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第114話 挑発のステラ
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ステラに押し込まれて、劣勢に立たされたリューン。片膝をついている時点でかなり不利な状況である。
そのリューンに対して、いつになく厳しい表情を向けるステラ。
それにしても、突然ドレス姿のままで戦いを申し込んできたのは、一体どういう風の吹き回しなのだろうか。周りで見守る騎士や兵士の一部には、そう思っている者もいるくらいに不自然な話なのである。
「どうしましたか、リューンくん。まさかもう降参とは言いませんよね?」
ギリギリと剣を押し込みながら煽りを入れるステラ。
押し込まれてはいるものの、リューンだってこのままで終わるわけがない。ただ、急なステラからの戦いの申し入れに面食らっているだけなのだ。
しかし、戦いともなれば、そのちょっとした躊躇は命取りになる。
「ちょ、ちょっと驚いただけです。これからですからね」
リューンはそういって、力を入れてステラの剣を弾く。
ステラが弾かれた勢いでバックステップを踏んだため、その間に体勢を立て直そうとするリューン。だが、相手は500年もの間生きてきた、冒険者生活も慣れたものである王女である。
リューンがまともに立て直せない間に、バックステップで着いた足でそのまま再び斬り込んできた。
「嘘でしょ?」
思わず叫んでしまうリューンである。
すっかり両足をついてから踏み込んでくると思ったので、予想外の行動に驚きが隠せなかった。
それでも、毎日のように丸太を打ったり、兵士と剣を交えたりしているリューン。さすがにさっきのような不甲斐なさは見せない。
しっかりと、ステラの急襲に対応して、今度はしっかりと立った状態で剣を受け止める。
さっきよりはマシな状態で剣を受け止められ、ステラは思わず笑みをこぼしてしまう。
「そうでなければなりませんね。ですが、まだまだ未熟ですよ、リューンくん」
ドレス姿のステラが、予想外にも足を上げてきたのだ。
まさかの中段蹴りである。
「ステラさん、その格好で蹴りを繰り出すんですか」
「大丈夫よ。その辺のガードは完璧ですからね」
蹴りを躱した上でステラにツッコミを入れるリューン。すると、ステラはくすくすと笑いながら答えていた。
どうやらスカートの中はしっかりドロワーズのようである。
「冒険者の生活の方が長いですから、いちいち型にはまったような戦い方はできませんよ。それに、毎回騎士のような方を相手するわけではありません。この程度の動きに対処できなくては困りますよ」
ステラはそういいながら、今度は高く足を上げて回し蹴りを繰り出す。不安定な服装でよくもまあこんな動きを繰り出すものだ。
「ふぅ、久しぶりな動きでしたけど、ちゃんと体が動きますね」
どうやら、ステラ自身もこの動きは久しぶりだったらしい。
「でも、まさか二発とも躱されるとは思っていませんでしたね。リューンくんもだいぶ鍛えられたのは本当のようですね」
満足そうに笑うステラだが、周りの騎士や兵士たちは驚きの表情でその姿を見ている。
お姫様だと思っていたら、思った以上に武闘派だったからだ。しかも、ドレス姿で蹴りまで繰り出していれば、それはもう言葉を失うというものである。
気が付けば、全員が訓練の手を止めてその戦いを見守っている状況になっていた。
「とんでもない動きをするけど、きれいだな……」
その中の一人はこんな感想を漏らしていた。
騎士や兵士たちが見守る中、ステラとリューンの戦いは続いている。
正直なところ、普段の訓練の様子からすると、ここまでリューンが粘るとは思っていなかったようである。
しかし、やっぱりそこは経験の差。徐々にリューンは劣勢に立たされていた。
何度か見たステラの動きを思い出し、どうにか反撃に出たいリューン。
アンペラトリスが告げていた弱点は、双剣を持った時のものである。そのために、片手剣の今ではその指摘が使えない。リューンはもはや防戦一方なのである。
「ほらほら、その程度ですか、リューンくん。ドレス姿の私に負けたとあっては、格好がつきませんよ?」
普段のステラからはまったく考えられない煽りの数々である。さすがにここまで悪く言われては、おとなしいリューンとはいえ悔しさが湧き上がってくる。
強く唇をかみしめたリューンは、必死の形相でステラを睨む。
その瞬間、ステラが微笑んだようにも見える。
カーン……!
木がぶつかり合う音がして、1本の木剣が宙を舞う。そして、カランカランと音を立てて地面に落ちる。
大きく肩で息をしながら、リューンがステラに木剣を突きつけている。どうやら、反撃の一振りでステラの木剣を弾いたようだった。
「ふふっ、剣を弾かれてしまいましたね。リューンくん、君の勝ちですよ」
ステラは微笑んで、リューンの頭を撫でていた。
「いい気分転換になりました。さすがに毎日書庫では体がなまってしまいますからね」
なんともまあ、どうやらステラは気分転換でリューンに勝負を挑んだようだった。それにしては、ずいぶんと挑発的だったように思われる。
「自信をつけて下さい。あなたはまだまだ強くなりますよ」
ステラはリューンに耳打ちするように言うと、兵士たちに謝罪の弁を述べると訓練場を去っていったのだった。
そのリューンに対して、いつになく厳しい表情を向けるステラ。
それにしても、突然ドレス姿のままで戦いを申し込んできたのは、一体どういう風の吹き回しなのだろうか。周りで見守る騎士や兵士の一部には、そう思っている者もいるくらいに不自然な話なのである。
「どうしましたか、リューンくん。まさかもう降参とは言いませんよね?」
ギリギリと剣を押し込みながら煽りを入れるステラ。
押し込まれてはいるものの、リューンだってこのままで終わるわけがない。ただ、急なステラからの戦いの申し入れに面食らっているだけなのだ。
しかし、戦いともなれば、そのちょっとした躊躇は命取りになる。
「ちょ、ちょっと驚いただけです。これからですからね」
リューンはそういって、力を入れてステラの剣を弾く。
ステラが弾かれた勢いでバックステップを踏んだため、その間に体勢を立て直そうとするリューン。だが、相手は500年もの間生きてきた、冒険者生活も慣れたものである王女である。
リューンがまともに立て直せない間に、バックステップで着いた足でそのまま再び斬り込んできた。
「嘘でしょ?」
思わず叫んでしまうリューンである。
すっかり両足をついてから踏み込んでくると思ったので、予想外の行動に驚きが隠せなかった。
それでも、毎日のように丸太を打ったり、兵士と剣を交えたりしているリューン。さすがにさっきのような不甲斐なさは見せない。
しっかりと、ステラの急襲に対応して、今度はしっかりと立った状態で剣を受け止める。
さっきよりはマシな状態で剣を受け止められ、ステラは思わず笑みをこぼしてしまう。
「そうでなければなりませんね。ですが、まだまだ未熟ですよ、リューンくん」
ドレス姿のステラが、予想外にも足を上げてきたのだ。
まさかの中段蹴りである。
「ステラさん、その格好で蹴りを繰り出すんですか」
「大丈夫よ。その辺のガードは完璧ですからね」
蹴りを躱した上でステラにツッコミを入れるリューン。すると、ステラはくすくすと笑いながら答えていた。
どうやらスカートの中はしっかりドロワーズのようである。
「冒険者の生活の方が長いですから、いちいち型にはまったような戦い方はできませんよ。それに、毎回騎士のような方を相手するわけではありません。この程度の動きに対処できなくては困りますよ」
ステラはそういいながら、今度は高く足を上げて回し蹴りを繰り出す。不安定な服装でよくもまあこんな動きを繰り出すものだ。
「ふぅ、久しぶりな動きでしたけど、ちゃんと体が動きますね」
どうやら、ステラ自身もこの動きは久しぶりだったらしい。
「でも、まさか二発とも躱されるとは思っていませんでしたね。リューンくんもだいぶ鍛えられたのは本当のようですね」
満足そうに笑うステラだが、周りの騎士や兵士たちは驚きの表情でその姿を見ている。
お姫様だと思っていたら、思った以上に武闘派だったからだ。しかも、ドレス姿で蹴りまで繰り出していれば、それはもう言葉を失うというものである。
気が付けば、全員が訓練の手を止めてその戦いを見守っている状況になっていた。
「とんでもない動きをするけど、きれいだな……」
その中の一人はこんな感想を漏らしていた。
騎士や兵士たちが見守る中、ステラとリューンの戦いは続いている。
正直なところ、普段の訓練の様子からすると、ここまでリューンが粘るとは思っていなかったようである。
しかし、やっぱりそこは経験の差。徐々にリューンは劣勢に立たされていた。
何度か見たステラの動きを思い出し、どうにか反撃に出たいリューン。
アンペラトリスが告げていた弱点は、双剣を持った時のものである。そのために、片手剣の今ではその指摘が使えない。リューンはもはや防戦一方なのである。
「ほらほら、その程度ですか、リューンくん。ドレス姿の私に負けたとあっては、格好がつきませんよ?」
普段のステラからはまったく考えられない煽りの数々である。さすがにここまで悪く言われては、おとなしいリューンとはいえ悔しさが湧き上がってくる。
強く唇をかみしめたリューンは、必死の形相でステラを睨む。
その瞬間、ステラが微笑んだようにも見える。
カーン……!
木がぶつかり合う音がして、1本の木剣が宙を舞う。そして、カランカランと音を立てて地面に落ちる。
大きく肩で息をしながら、リューンがステラに木剣を突きつけている。どうやら、反撃の一振りでステラの木剣を弾いたようだった。
「ふふっ、剣を弾かれてしまいましたね。リューンくん、君の勝ちですよ」
ステラは微笑んで、リューンの頭を撫でていた。
「いい気分転換になりました。さすがに毎日書庫では体がなまってしまいますからね」
なんともまあ、どうやらステラは気分転換でリューンに勝負を挑んだようだった。それにしては、ずいぶんと挑発的だったように思われる。
「自信をつけて下さい。あなたはまだまだ強くなりますよ」
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