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第126話 強敵ベルオム
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ステラが再びベルオムに向かっていく。
ベルオムはステラの師匠というだけあって、まともにやり合ってはすべて弾き返されてしまう。
「巻き起これ、嵐よ!」
ベルオムに向けて大きなつむじ風を放つステラ。
今のベルオムは足を拘束されて動けない。それなりにダメージを与えることができるはずだと考えた。
「本当に、そこの皇帝に入れ知恵をされて感覚が狂いましたかね、ステラ」
呆れたようにため息をつきながら棒立ちのベルオム。
「飛び上がれ、風よ」
ベルオムがそう呟くと、足元に風が集まってステラが出した拘束を切り刻んでしまう。そして、そのまま高く飛び上がり、それを利用してステラに斬りかかってきた。
「穿て、氷よ!」
予想外な方法で脱出したベルオムに驚くステラ。氷の矢を放ってベルオムを牽制する。空中であるならば簡単には避けられないはずだからだ。
だが、ベルオムはそれを上回る動きをしてくる。
魔法で氷の矢を全部弾き飛ばし、ステラに襲い掛かってきた。
「くっ、さすがは師匠。そう簡単にはいきませんか」
「まったくもって甘いのですよ、ステラ。本気で殺しに来ないと……私には勝てませんよ!」
「くうっ!」
ベルオムの攻撃を受け止めたステラだったが、その直後の攻撃に耐え切れず再び吹き飛ばされてしまう。
魔法が得意で魔道具をいじりまくっていたベルオムだが、その体力は異常なほどあるようだ。
「あとでたっぷりいたぶってあげましょう。そこでおとなしくしていなさい!」
ベルオムはステラに言い放つと、リューンへと再び狙いを変える。
本当にあれだけ動いているというのに、ベルオムは疲れしらずのようだ。
それもそのはず。戦う時には自身に能力強化を掛けるのは基本中の基本だからだ。そのためにベルオムはこれだけ平気で動いていられるのである。
ステラたちはそれに気が付いていないために、ここまで一方的に追い込まれていたのだ。
「そうは……参りませんよ!」
簡単な治癒魔法をかけながら、ステラはベルオムの後を追いかける。
しかし、そもそも大人と子どもの体格差がある上に、身体強化の有無の差まであっては、簡単にステラは追いつけない。わずかな距離とはいえ絶望的な距離の差である。
(くっ、遠い……)
追いつけないことに苛立ちを隠せないステラ。
だが、ベルオムは着実にリューンに近付いている。危ないと分かっていても追いつけないもどかしさに、ステラの気持ちは絶望の色に染まりつつあった。
「ふははは! 悪いなリューンくん。君には恨みはないが、エルミタージュを完全に滅ぼすためだ。おとなしく死んでくれないか!」
凄まじい形相でリューンへと双剣を振りかざすベルオム。ここまでの判断で、リューンには魔法は要らないと見たのだろう。真正面からリューンへと攻撃を仕掛けている。
リューンは驚いているのか反応が悪い。その姿に、ベルオムの顔は見た事ないくらいの邪悪な笑みを浮かべていた。
「僕は、ステラさんを守るんだ!」
リューンは叫ぶ。ここまで一方的に攻撃されたままでは終われない。
故郷であるバナルを離れた時の決意、それは今も変わっていない。その想いを、今この場で再度爆発させるリューン。
すると、リューンの持っている剣が、どういうわけか光り始めたのだ。
「なに?!」
予想外のできごとに、思わず声を上げてしまうベルオム。
そのために、攻撃の威力が削がれ、リューンに簡単に受け止められてしまった。
「くそっ、その剣はエルミタージュ王国騎士団の……。よもや現存しているとはな」
予想外なものが出てきて、ベルオムの表情が珍しく焦りの色を浮かべている。
「だが、経験不足の子どもに何ができるという。その剣は宝の持ち腐れに過ぎん。くたばれ、小僧!」
再び双剣を振り回してリューンに襲い掛かるベルオムだが、リューンにその攻撃を簡単にあしらわれてしまっている。
(すごい、力があふれてくる。これなら、ベルオムさんに勝つ事だってきっと……!)
力とともに自信も満ちあふれてくるリューン。左右から変則的に打ち込んでくるベルオムの攻撃を、片手剣で捌いてしまっているのだ。
「ちぃ、ここまでやるようになるとは……。仕方がない、力の出し惜しみはなしだ。全力で……殺す!」
双剣で攻撃を繰り出しながら、その手に魔力を乗せていくベルオム。
そうなるとリューンもその幼さゆえに、ベルオムに押され始めてしまう。
受けるだけで精一杯になったリューンに、ベルオムは勝ち誇ったかのような笑みを浮かべる。
「さあ、死になさい。エルミタージュ王国の未来とともに!」
リューンの剣を弾いて距離を取るベルオムは、魔法を使うつもりだ。さすがに魔法ともなれば、リューンでは対応の限界があるので、やるならこれしかないといったところである。
だが、いざ魔法を放とうとしたベルオムに衝撃が走る。
「か……は……。す、ステラ?」
そう、ステラが知らない間にベルオムに剣を突き立てていたのだ。
腹部にまともにステラの剣を受けてしまったベルオムは、魔法を中断させられ、その場に崩れ落ちた。
「はあはあ……」
地面に膝から崩れ落ちたベルオムに、ステラは黙って視線を落としているのだった。
ベルオムはステラの師匠というだけあって、まともにやり合ってはすべて弾き返されてしまう。
「巻き起これ、嵐よ!」
ベルオムに向けて大きなつむじ風を放つステラ。
今のベルオムは足を拘束されて動けない。それなりにダメージを与えることができるはずだと考えた。
「本当に、そこの皇帝に入れ知恵をされて感覚が狂いましたかね、ステラ」
呆れたようにため息をつきながら棒立ちのベルオム。
「飛び上がれ、風よ」
ベルオムがそう呟くと、足元に風が集まってステラが出した拘束を切り刻んでしまう。そして、そのまま高く飛び上がり、それを利用してステラに斬りかかってきた。
「穿て、氷よ!」
予想外な方法で脱出したベルオムに驚くステラ。氷の矢を放ってベルオムを牽制する。空中であるならば簡単には避けられないはずだからだ。
だが、ベルオムはそれを上回る動きをしてくる。
魔法で氷の矢を全部弾き飛ばし、ステラに襲い掛かってきた。
「くっ、さすがは師匠。そう簡単にはいきませんか」
「まったくもって甘いのですよ、ステラ。本気で殺しに来ないと……私には勝てませんよ!」
「くうっ!」
ベルオムの攻撃を受け止めたステラだったが、その直後の攻撃に耐え切れず再び吹き飛ばされてしまう。
魔法が得意で魔道具をいじりまくっていたベルオムだが、その体力は異常なほどあるようだ。
「あとでたっぷりいたぶってあげましょう。そこでおとなしくしていなさい!」
ベルオムはステラに言い放つと、リューンへと再び狙いを変える。
本当にあれだけ動いているというのに、ベルオムは疲れしらずのようだ。
それもそのはず。戦う時には自身に能力強化を掛けるのは基本中の基本だからだ。そのためにベルオムはこれだけ平気で動いていられるのである。
ステラたちはそれに気が付いていないために、ここまで一方的に追い込まれていたのだ。
「そうは……参りませんよ!」
簡単な治癒魔法をかけながら、ステラはベルオムの後を追いかける。
しかし、そもそも大人と子どもの体格差がある上に、身体強化の有無の差まであっては、簡単にステラは追いつけない。わずかな距離とはいえ絶望的な距離の差である。
(くっ、遠い……)
追いつけないことに苛立ちを隠せないステラ。
だが、ベルオムは着実にリューンに近付いている。危ないと分かっていても追いつけないもどかしさに、ステラの気持ちは絶望の色に染まりつつあった。
「ふははは! 悪いなリューンくん。君には恨みはないが、エルミタージュを完全に滅ぼすためだ。おとなしく死んでくれないか!」
凄まじい形相でリューンへと双剣を振りかざすベルオム。ここまでの判断で、リューンには魔法は要らないと見たのだろう。真正面からリューンへと攻撃を仕掛けている。
リューンは驚いているのか反応が悪い。その姿に、ベルオムの顔は見た事ないくらいの邪悪な笑みを浮かべていた。
「僕は、ステラさんを守るんだ!」
リューンは叫ぶ。ここまで一方的に攻撃されたままでは終われない。
故郷であるバナルを離れた時の決意、それは今も変わっていない。その想いを、今この場で再度爆発させるリューン。
すると、リューンの持っている剣が、どういうわけか光り始めたのだ。
「なに?!」
予想外のできごとに、思わず声を上げてしまうベルオム。
そのために、攻撃の威力が削がれ、リューンに簡単に受け止められてしまった。
「くそっ、その剣はエルミタージュ王国騎士団の……。よもや現存しているとはな」
予想外なものが出てきて、ベルオムの表情が珍しく焦りの色を浮かべている。
「だが、経験不足の子どもに何ができるという。その剣は宝の持ち腐れに過ぎん。くたばれ、小僧!」
再び双剣を振り回してリューンに襲い掛かるベルオムだが、リューンにその攻撃を簡単にあしらわれてしまっている。
(すごい、力があふれてくる。これなら、ベルオムさんに勝つ事だってきっと……!)
力とともに自信も満ちあふれてくるリューン。左右から変則的に打ち込んでくるベルオムの攻撃を、片手剣で捌いてしまっているのだ。
「ちぃ、ここまでやるようになるとは……。仕方がない、力の出し惜しみはなしだ。全力で……殺す!」
双剣で攻撃を繰り出しながら、その手に魔力を乗せていくベルオム。
そうなるとリューンもその幼さゆえに、ベルオムに押され始めてしまう。
受けるだけで精一杯になったリューンに、ベルオムは勝ち誇ったかのような笑みを浮かべる。
「さあ、死になさい。エルミタージュ王国の未来とともに!」
リューンの剣を弾いて距離を取るベルオムは、魔法を使うつもりだ。さすがに魔法ともなれば、リューンでは対応の限界があるので、やるならこれしかないといったところである。
だが、いざ魔法を放とうとしたベルオムに衝撃が走る。
「か……は……。す、ステラ?」
そう、ステラが知らない間にベルオムに剣を突き立てていたのだ。
腹部にまともにステラの剣を受けてしまったベルオムは、魔法を中断させられ、その場に崩れ落ちた。
「はあはあ……」
地面に膝から崩れ落ちたベルオムに、ステラは黙って視線を落としているのだった。
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