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第127話 決闘の決着
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「ぐっ……、ステラ、いつの間に……」
ステラの攻撃が、ベルオムの脇腹に突き刺さる。
血を流すベルオムだが、ステラの攻撃はかなり浅い。そこまでのダメージにはなっていないはずである。
ところが、ベルオムはステラが自分を突き刺したという事実の方に驚いているようだった。
「あなたは憎むべき両親の敵なのです。殺してやりたい、そう思ったのは事実ですよ。でも……」
双剣を握る手が震えるステラ。
「私がここまで強くなれたのは師匠のおかげなんです。そう思うと、急に……」
言葉に詰まってしまうステラ。
だが、ベルオムは実に容赦なかった。
「ばかめっ! 戦いにおいてそのような情けは、自殺行為だと思え!」
血を流しながらも食いしばって魔法を使うベルオム。
「焼き尽くせ、炎よ!」
至近距離でステラに向けて炎の球を放つベルオム。
ステラはとっさに水の球を作り出して相殺させている。その対応で力が緩むと、ベルオムは刺さった双剣を抜いて、ステラから距離を取った。
いくら浅いとはいえ、剣が刺さったのだ。ベルオムのダメージは思ったよりあるようである。
「だから甘いんだよ。一時的な気の迷いは己の身を滅ぼす。為政者たる者、時に非情でなければならないのです!」
感情が昂っているせいか、口調にまとまりのないベルオム。
本当ならば治癒魔法を使えるのに、興奮状態のせいか傷を治さずにそのままステラにもう一度襲い掛かってくる。不意打ちに完全に頭に血が上っているようだった。
だが、腹に受けた一撃は確実にベルオムの動きを鈍らせていた。
ステラの非力な双剣ですら、ベルオムの攻撃を十分に捌ききれる。しかし、捌ききれるだけで精一杯で、なかなか反撃の糸口が見つけられない。これが師匠と弟子の越えられない壁なのだろうか。
攻めあぐねるステラではあるが、ベルオムはその状態ながらにも魔法も繰り出してくる。
「死ね、ステラリア・エルミタージュ!」
熾烈な攻撃にステラは防戦一方である。そこへ、ベルオムはとどめを刺すべく双剣と魔法の攻撃を同時に仕掛けようとしていた。
これにはさすがのステラも身構えてしまう。
「ステラさんは、僕が守るんだ!」
そこへリューンが飛び込んできた。
普段ならば難なく対応できるリューンの行動だが、頭に血が上って大技を繰り出そうとしている今のベルオムでは対応ができなかった。
「ぐはっ!」
リューンの大振りの一撃が、ベルオムの背中に一閃を描く。
完全に隙を突かれたその一撃に、ベルオムは苦しみながら膝をついてしまった。
「うむ、これは勝負あったとみてもいいかな?」
戦いを見ていたアンペラトリスが決闘を止めようとする。だが、ベルオムは全身から魔力をあふれさせ始める。
「まだだ……。まだ終わるわけにはいかない」
膝に手をつきながら、ベルオムは根性で立ち上がる。
無理に動こうとするものだから、痛みに表情を歪ませているようだ。
「私の野望のために散れ、エルミタージュの血よ!」
双剣に魔法を乗せて、ステラとリューンを同時に狙うベルオム。
「くっ……。負けてなるものですか!」
ステラは無事に攻撃を弾く。問題はリューンの方だ。
「僕は、負けません!」
リューンも躱す事なく、魔法に合わせて剣を振り下ろす。そして、なんと魔法を一刀両断してしまった。
魔法を放って呼吸の荒いベルオムは、そのまま力尽きて倒れてしまう。
「師匠!」
思わずすぐに駆け寄ってしまうステラ。
両親や王国民たちの敵とはいえ、ここまでステラが頑張って来れたのもベルオムのおかげなのだ。心配にならざるを得ないのである。
ステラが近付いても動く気配はないが、どうやら痛みを我慢して無茶をした結果、気絶してしまったようだ。呼吸があるので安心できる。
「まったく、決闘ということで最後まで意地を張ったようだな。どうするステラリア、助けるのか?」
近付いてきたアンペラトリスが、ステラに確認を取る。すると、ステラはこくりと頷いて、すぐさま治癒魔法を使い始めた。
「この男にはいろいろ聞かなければなりません。両親を殺した事実は消えませんが、これまでの付き合いを思うとはっきりさせないといけないことが多すぎる気がしますから」
「ふむ、それもそうだな」
アンペラトリスもステラの意見に賛成のようである。
「おい、リューンを休ませてやれ」
「はっ!」
離れた場所にいたリューンは、疲れのせいで剣を持ったまま、その場に座り込んで動けなくなっていた。リューンは帝国の兵士に連れられて、その野営地の中でゆっくりと休むことになったのだった。
こうして、ベルオムとの間で行われた決闘は、ステラとリューンのペアが勝つという形で幕を閉じた。
エルミタージュ王国が滅びた原因は、ベルオムたち外の大陸のエルフたちが原因だと分かったが、まだまだ分からないことが多い。
ステラはその憎い敵でもあるベルオムの様子を、心配そうに眺めている。ベルオムにはいろいろ聞きたい事がるからだ。
だが、その日は結局ベルオムは目を覚ます事なく、仕方なく交代で見張りながらステラたちは休むことにしたのだった。
ステラの攻撃が、ベルオムの脇腹に突き刺さる。
血を流すベルオムだが、ステラの攻撃はかなり浅い。そこまでのダメージにはなっていないはずである。
ところが、ベルオムはステラが自分を突き刺したという事実の方に驚いているようだった。
「あなたは憎むべき両親の敵なのです。殺してやりたい、そう思ったのは事実ですよ。でも……」
双剣を握る手が震えるステラ。
「私がここまで強くなれたのは師匠のおかげなんです。そう思うと、急に……」
言葉に詰まってしまうステラ。
だが、ベルオムは実に容赦なかった。
「ばかめっ! 戦いにおいてそのような情けは、自殺行為だと思え!」
血を流しながらも食いしばって魔法を使うベルオム。
「焼き尽くせ、炎よ!」
至近距離でステラに向けて炎の球を放つベルオム。
ステラはとっさに水の球を作り出して相殺させている。その対応で力が緩むと、ベルオムは刺さった双剣を抜いて、ステラから距離を取った。
いくら浅いとはいえ、剣が刺さったのだ。ベルオムのダメージは思ったよりあるようである。
「だから甘いんだよ。一時的な気の迷いは己の身を滅ぼす。為政者たる者、時に非情でなければならないのです!」
感情が昂っているせいか、口調にまとまりのないベルオム。
本当ならば治癒魔法を使えるのに、興奮状態のせいか傷を治さずにそのままステラにもう一度襲い掛かってくる。不意打ちに完全に頭に血が上っているようだった。
だが、腹に受けた一撃は確実にベルオムの動きを鈍らせていた。
ステラの非力な双剣ですら、ベルオムの攻撃を十分に捌ききれる。しかし、捌ききれるだけで精一杯で、なかなか反撃の糸口が見つけられない。これが師匠と弟子の越えられない壁なのだろうか。
攻めあぐねるステラではあるが、ベルオムはその状態ながらにも魔法も繰り出してくる。
「死ね、ステラリア・エルミタージュ!」
熾烈な攻撃にステラは防戦一方である。そこへ、ベルオムはとどめを刺すべく双剣と魔法の攻撃を同時に仕掛けようとしていた。
これにはさすがのステラも身構えてしまう。
「ステラさんは、僕が守るんだ!」
そこへリューンが飛び込んできた。
普段ならば難なく対応できるリューンの行動だが、頭に血が上って大技を繰り出そうとしている今のベルオムでは対応ができなかった。
「ぐはっ!」
リューンの大振りの一撃が、ベルオムの背中に一閃を描く。
完全に隙を突かれたその一撃に、ベルオムは苦しみながら膝をついてしまった。
「うむ、これは勝負あったとみてもいいかな?」
戦いを見ていたアンペラトリスが決闘を止めようとする。だが、ベルオムは全身から魔力をあふれさせ始める。
「まだだ……。まだ終わるわけにはいかない」
膝に手をつきながら、ベルオムは根性で立ち上がる。
無理に動こうとするものだから、痛みに表情を歪ませているようだ。
「私の野望のために散れ、エルミタージュの血よ!」
双剣に魔法を乗せて、ステラとリューンを同時に狙うベルオム。
「くっ……。負けてなるものですか!」
ステラは無事に攻撃を弾く。問題はリューンの方だ。
「僕は、負けません!」
リューンも躱す事なく、魔法に合わせて剣を振り下ろす。そして、なんと魔法を一刀両断してしまった。
魔法を放って呼吸の荒いベルオムは、そのまま力尽きて倒れてしまう。
「師匠!」
思わずすぐに駆け寄ってしまうステラ。
両親や王国民たちの敵とはいえ、ここまでステラが頑張って来れたのもベルオムのおかげなのだ。心配にならざるを得ないのである。
ステラが近付いても動く気配はないが、どうやら痛みを我慢して無茶をした結果、気絶してしまったようだ。呼吸があるので安心できる。
「まったく、決闘ということで最後まで意地を張ったようだな。どうするステラリア、助けるのか?」
近付いてきたアンペラトリスが、ステラに確認を取る。すると、ステラはこくりと頷いて、すぐさま治癒魔法を使い始めた。
「この男にはいろいろ聞かなければなりません。両親を殺した事実は消えませんが、これまでの付き合いを思うとはっきりさせないといけないことが多すぎる気がしますから」
「ふむ、それもそうだな」
アンペラトリスもステラの意見に賛成のようである。
「おい、リューンを休ませてやれ」
「はっ!」
離れた場所にいたリューンは、疲れのせいで剣を持ったまま、その場に座り込んで動けなくなっていた。リューンは帝国の兵士に連れられて、その野営地の中でゆっくりと休むことになったのだった。
こうして、ベルオムとの間で行われた決闘は、ステラとリューンのペアが勝つという形で幕を閉じた。
エルミタージュ王国が滅びた原因は、ベルオムたち外の大陸のエルフたちが原因だと分かったが、まだまだ分からないことが多い。
ステラはその憎い敵でもあるベルオムの様子を、心配そうに眺めている。ベルオムにはいろいろ聞きたい事がるからだ。
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