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第二章 外側の世界
第377話 転生者、戦いを楽しんでしまう
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ヘルプワゾン、死の毒とはよく名付けたものだ。
自分の傷などお構いなしに、俺たちを確実に殺そうとその身の毒を振りまき続ける戦闘マシーンのような男だった。
多少の手負いぐらいなら、先程見せたように痛みを感じないかのように攻撃を全力で振るってくる。
攻撃を当てるならば遠距離から攻撃するか、完全に不意を打つかのどちらかといったところだろう。
だが、奴にはしっかりと弱点があった。
それがレーヴェンの樹の種だ。ただ、投げつけただけでは強力な反撃が待っている。使うなら、今のように魔法の威力を増幅させる方向の補助アイテムとして使うのが妥当な線だろう。
そこで、俺は前衛をセイ太とネラールに任せ、一度ピエラとデイジーのところまで戻る。
「ピエラ、デイジー」
「セイ! 何ここまで来ているのよ」
俺がやって来ると、ピエラから思いっきり怒られていた。そりゃまあそうだろうな。あいつを押さえられるのは現状俺くらいだからな。
「説教は今はなしだ。とりあえずこれを持っていてくれ」
俺はぽいっとレーヴェンの樹の種を投げる。
「えっと、これは種?」
「ああ、魔法を使う時にはそいつに祈りを込めながら使ってくれ。さっきの感じからすると、力を増幅してくれる可能性がある。俺だけかもしれないが、試してみる価値はあるだろう」
俺がそう言うと、ピエラは半信半疑で種を眺めていた。
だが、すぐにぎゅっと握りしめると、俺をじっと見つめてくる。
「分かったわ。セイのいうことだもの、信じてみるわ」
「ああ、それじゃ、俺はセイ太たちの手伝いに戻るぜ」
「気をつけてね!」
「ああ!」
俺はすぐにピエラたちのところを去り、ヘルプワゾンと対峙する。
今のあの二人には、奴は荷が重すぎるだろうからな。
俺が戻った頃には、ヘルプワゾンの攻撃に二人とも手を焼いているところだった。
地面のあちこちからは、毒によって地面が溶ける音が聞こえてくる。硫酸か何かかよ、あいつの毒は……。
「大丈夫か?」
「これがだいじょうぶに見えるかい?」
「まったくですよ。あいつの攻撃はもろに食らってはなりません。かすっただけで皮膚が焼けます」
なるほど大丈夫そうじゃないな。
確かにセイ太は毛並みに一部が黒く変色していた。
どうやらヘルプワゾンの攻撃がかすめたらしい。セイ太だってレーヴェンの使徒で加護を受けているはずなんだが、それを貫通してくるとはな。
だが、セイ太の自慢の毛並みに傷をつけるとは許せねえな。
「セイ?」
「ちょっと二人は下がっていてくれ。俺がちょっと分からせてくる」
「お、おい!」
セイ太の毛並みが焦げていることに気が付いた俺は、静かにはらわたを煮え繰り返していた。
俺はゆっくりとヘルプワゾンの前へと歩み出ていく。
「ふん、逃げたのではなかったのか」
「誰が逃げるかよ。ちょっと席を外していただけだろうが」
ヘルプワゾンは俺を見下しながら挑発してくる。だがな、その程度の挑発には乗らねえんだよ。甘く見てくれるんじゃねえぜ。
俺は奴を挑発し返しておく。
俺の挑発に対して、ヘルプワゾンはにやりと笑みを浮かべていた。
「ふん、そうこなくてはな。やはりお前でないと、歯ごたえがなさそうだ!」
ヘルプワゾンは嬉しそうに俺に襲い掛かってきた。
俺は攻撃に備えるべく、手足に、いや全身に神聖魔力をまとう。そうでもないと、あいつの持つ毒に焼かれてしまうからな。
「ぶるああああぁぁぁっ!!」
俺に向けて、ヘルプワゾンの全力の拳を振りかざしてくる。
「セイ!」
あまりにも凄まじい攻撃に、セイ太も思わず声をあげてしまう程だ。
だが、俺にはちょっとした秘策があるんだよ。
服の中に仕込んだレーヴェンの種に魔力を仕込みながら、俺はヘルプワゾンの攻撃を迎え撃つ。
「だあああっ!!」
そして、ヘルプワゾンの拳に合わせて、俺の拳を思い切り振り抜いた。
双方の拳がぶつかった瞬間に、ものすごい衝撃が周辺へと走り抜けていく。
「くっ!」
「くうぅっ!」
そう離れていないネラールとセイ太は必死に耐えている。そのくらいの強い衝撃波だ。
二人が必死に耐えている間、俺もヘルプワゾンの攻撃を必死に受け止めている。
「ぐふふふふ……。これならば石のやつが気に入ったのも頷ける。我の拳を無事に受け止めるとはな」
「それはどうも。お前らみたいなのに気に入れられても、まったく嬉しくないんだがな」
俺はどうにかにやけ顔を見せてヘルプワゾンを煽る。
ヘルプワゾンの方も俺の意図を汲んだのか、凄まじいにやけ顔を見せている。
「ふん、そうこなくてはいかんな。さあ、我をもっと楽しませろ。もっと力を見せてみろ!」
ヘルプワゾンは余裕の笑みを見せて、俺を煽り返してくる。
でも、不思議なもので、この煽りは嫌な感じはしなかった。こいつも純粋に戦いを楽しんでいるようだからな。
とはいっても、こいつにいつまでも構っている場合じゃない。こいつは三使徒と名乗るやつの二人目だ。つまり、こいつの後にまだ一人、そして主と呼ばれる大ボスが待ち構えている。
俺たちが外の世界を取り戻すには、ここで足踏みをしているわけにはいかないんだよ。
俺は改めて、ヘルプワゾンとのにらみ合いに突入する。
ここで必ず撃破してやるからな。
自分の傷などお構いなしに、俺たちを確実に殺そうとその身の毒を振りまき続ける戦闘マシーンのような男だった。
多少の手負いぐらいなら、先程見せたように痛みを感じないかのように攻撃を全力で振るってくる。
攻撃を当てるならば遠距離から攻撃するか、完全に不意を打つかのどちらかといったところだろう。
だが、奴にはしっかりと弱点があった。
それがレーヴェンの樹の種だ。ただ、投げつけただけでは強力な反撃が待っている。使うなら、今のように魔法の威力を増幅させる方向の補助アイテムとして使うのが妥当な線だろう。
そこで、俺は前衛をセイ太とネラールに任せ、一度ピエラとデイジーのところまで戻る。
「ピエラ、デイジー」
「セイ! 何ここまで来ているのよ」
俺がやって来ると、ピエラから思いっきり怒られていた。そりゃまあそうだろうな。あいつを押さえられるのは現状俺くらいだからな。
「説教は今はなしだ。とりあえずこれを持っていてくれ」
俺はぽいっとレーヴェンの樹の種を投げる。
「えっと、これは種?」
「ああ、魔法を使う時にはそいつに祈りを込めながら使ってくれ。さっきの感じからすると、力を増幅してくれる可能性がある。俺だけかもしれないが、試してみる価値はあるだろう」
俺がそう言うと、ピエラは半信半疑で種を眺めていた。
だが、すぐにぎゅっと握りしめると、俺をじっと見つめてくる。
「分かったわ。セイのいうことだもの、信じてみるわ」
「ああ、それじゃ、俺はセイ太たちの手伝いに戻るぜ」
「気をつけてね!」
「ああ!」
俺はすぐにピエラたちのところを去り、ヘルプワゾンと対峙する。
今のあの二人には、奴は荷が重すぎるだろうからな。
俺が戻った頃には、ヘルプワゾンの攻撃に二人とも手を焼いているところだった。
地面のあちこちからは、毒によって地面が溶ける音が聞こえてくる。硫酸か何かかよ、あいつの毒は……。
「大丈夫か?」
「これがだいじょうぶに見えるかい?」
「まったくですよ。あいつの攻撃はもろに食らってはなりません。かすっただけで皮膚が焼けます」
なるほど大丈夫そうじゃないな。
確かにセイ太は毛並みに一部が黒く変色していた。
どうやらヘルプワゾンの攻撃がかすめたらしい。セイ太だってレーヴェンの使徒で加護を受けているはずなんだが、それを貫通してくるとはな。
だが、セイ太の自慢の毛並みに傷をつけるとは許せねえな。
「セイ?」
「ちょっと二人は下がっていてくれ。俺がちょっと分からせてくる」
「お、おい!」
セイ太の毛並みが焦げていることに気が付いた俺は、静かにはらわたを煮え繰り返していた。
俺はゆっくりとヘルプワゾンの前へと歩み出ていく。
「ふん、逃げたのではなかったのか」
「誰が逃げるかよ。ちょっと席を外していただけだろうが」
ヘルプワゾンは俺を見下しながら挑発してくる。だがな、その程度の挑発には乗らねえんだよ。甘く見てくれるんじゃねえぜ。
俺は奴を挑発し返しておく。
俺の挑発に対して、ヘルプワゾンはにやりと笑みを浮かべていた。
「ふん、そうこなくてはな。やはりお前でないと、歯ごたえがなさそうだ!」
ヘルプワゾンは嬉しそうに俺に襲い掛かってきた。
俺は攻撃に備えるべく、手足に、いや全身に神聖魔力をまとう。そうでもないと、あいつの持つ毒に焼かれてしまうからな。
「ぶるああああぁぁぁっ!!」
俺に向けて、ヘルプワゾンの全力の拳を振りかざしてくる。
「セイ!」
あまりにも凄まじい攻撃に、セイ太も思わず声をあげてしまう程だ。
だが、俺にはちょっとした秘策があるんだよ。
服の中に仕込んだレーヴェンの種に魔力を仕込みながら、俺はヘルプワゾンの攻撃を迎え撃つ。
「だあああっ!!」
そして、ヘルプワゾンの拳に合わせて、俺の拳を思い切り振り抜いた。
双方の拳がぶつかった瞬間に、ものすごい衝撃が周辺へと走り抜けていく。
「くっ!」
「くうぅっ!」
そう離れていないネラールとセイ太は必死に耐えている。そのくらいの強い衝撃波だ。
二人が必死に耐えている間、俺もヘルプワゾンの攻撃を必死に受け止めている。
「ぐふふふふ……。これならば石のやつが気に入ったのも頷ける。我の拳を無事に受け止めるとはな」
「それはどうも。お前らみたいなのに気に入れられても、まったく嬉しくないんだがな」
俺はどうにかにやけ顔を見せてヘルプワゾンを煽る。
ヘルプワゾンの方も俺の意図を汲んだのか、凄まじいにやけ顔を見せている。
「ふん、そうこなくてはいかんな。さあ、我をもっと楽しませろ。もっと力を見せてみろ!」
ヘルプワゾンは余裕の笑みを見せて、俺を煽り返してくる。
でも、不思議なもので、この煽りは嫌な感じはしなかった。こいつも純粋に戦いを楽しんでいるようだからな。
とはいっても、こいつにいつまでも構っている場合じゃない。こいつは三使徒と名乗るやつの二人目だ。つまり、こいつの後にまだ一人、そして主と呼ばれる大ボスが待ち構えている。
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