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第二章 外側の世界
第410話 転生者、リヒテルと再びまみえる
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侵略者の手によって人がいなくなり、長らく手入れのされていなかったサージェント遺跡は、あちこちが崩れかかっている。
元々ここにも縁の深かったネラールは、その廃れた光景に悲痛な面持ちを浮かべている。
俺たちは誰も言葉を発することなく、奥深く地下へ地下へと降りていく。
レーヴェンの木を植えまくったことでだいぶ地上の空気も浄化されてきているのだが、それでもマーシャルたちのクラス地下空間に入ると明らかに空気が変わる。その空間は光の使徒リヒテルの力の影響により、強い浄化を受けているためである。
「久しぶりに来たが、ここの雰囲気というものは明らかに違うな」
「だな。ケオス大陸の空気ともまた違った不思議な空間だぜ」
ネラールの言葉に、俺もぽつりと反応する。
俺たちの言葉を聞いて、セイ太とエイミーが揃って反応する。
「私の主のケオス様やこいつの主のレーヴェンとは比べ物にならないからにゃ、リヒテルの力は」
「ええ、リヒテルの扱う光の力は明らかに強さが違います。それよりエイミー、こいつという呼び方はやめてくれませんかね」
「こいつでいいのにゃ!」
俺に説明をしながらも、セイ太とエイミーがいがみ合い始めた。なんだってこんなに仲悪くしてるんだよ。
「あにゃ!」
「ひぎゃっ!」
次の瞬間、二人が顔を押さえてうずくまる。
何が起きたのかと思ったら、キリエが二人の顔を引っぱたいたようだった。
「魔王様を困らせるのじゃありませんよ。まったく、そんなだから獣風情とかいわれるのです。魔王様に失礼だと思いませんか」
「う、うるさいにゃ!」
エイミーは今度はキリエに突っかかっていた。
その後ろでは、ピエラとデイジーが困った顔をしている。まったく、どうすりゃいいんだよ……。
「おい、騒いでいくと置いてくぞ」
「わわっ、待つのにゃ!」
「最初からおとなしくしていればいいのですよ」
「……賑やかなものだな」
なんともまとまりのない感じではあるものの、俺たちはサージェント遺跡の最奥部へと再び足を踏み入れた。
最奥部にやって来ると、そこではマーシャルが一人で考えごとをしているようだった。
少々声がかけづらそうな雰囲気があるものの、久々の親子の対面をさせないわけにはいかない。俺はマーシャルに声をかけることにした。
「お久しぶりですね、マーシャル殿」
「うん? ああ、現代の魔王か。……そこにいるのは、まさか?」
俺の声にマーシャルが反応する。顔を向けたところで、俺の隣に立たせた人物にすぐ気が付いたようだ。
「ただいま戻りました、父上」
「おお、ネラールか。なんだ、生きておったのか。そうかそうか、無事ならよい。なにがあったのかは魔王が代替わりしておることで大体想像がつく。大変じゃったな」
「……はい。もったいなきお言葉でございます」
ネラールは涙ぐみながら、実の父親であるマーシャルの前に跪いていた。その姿は、親子というよりも魔王と部下みたいな関係だな。
とはいえ、ほぼ一千年ぶりの再会だ。ひとまずそのままにしておこう。
俺はマーシャルに別の用事があると言い残すと、ネラールを置いてすぐに移動を始めた。
やって来たのは、この地下空間を照らす太陽代わりの照明魔法が輝く真下の空間だった。
ここならきっと、光の使徒であるリヒテルが現れてくれるはずだ。
真下までやってきた俺は、光の玉に向かって呼び掛ける。
「リヒテルよ、いるだろうか」
呼び掛けてはみたものの、反応はない。
呼び出し方が違うのだろうか。
「やい、リヒテル。ケオス様の使徒たるエイミー様が来てやったにゃ。さっさと出てくるにゃ」
俺が悩んでいる横で、エイミーが突然ケンカを売るような口調で騒ぎ始める。おいおい、何をやってるんだよ、こいつは……。
「まったく、うるさいですね。ケオスはなぜこのようににぎやかなものを生み出すのですか……」
光の玉の下に光が集まり始める。
段々と集まるのが速くなったかと思うと、光が弾けて光の使徒リヒテルが姿を現した。
「光の使徒リヒテル、お久しぶりでございます」
セイ太は跪いて挨拶をしている。同列のレーヴェンの下につくセイ太なので、このように頭を下げているのである。
エイミーの態度は気に入らないものの、セイ太の態度には満足したのか、リヒテルの表情が穏やかになる。
「レーヴェンの使徒は弁えておりますね」
エイミーに対する反応とはまったく逆の反応を見せている。やっぱりちゃんとすべきなんだよ。
「リヒテル、あなたに聞きたいことがある。質問をしてもよろしいだろうか」
一応俺も丁寧に対応をする。
俺の言葉に対して、リヒテルが反応を返してくる。
「侵略者の使徒と戦っていた時なのだが、俺の中に不思議な力があふれてきたのだが、その力について何か思い当たるところはないだろうか」
俺がこのように質問をぶつけると、リヒテルはにこりと微笑み始めた。これは一体どういうことなのだろうか。
「そうですか。ようやく、あなた本来の力に目覚めつつあるのですね。それはよかったです」
リヒテルがその様に答えているが、いまいち意味が分からない。一体どういうことなのだろうか。
だが、これにいち早くピンときたのが、セイ太だった。
「まさか、私やセイの転生って……。いや、そんなわけ……。でも、それしか……」
なんとも歯切れの悪い言い方だ。一体何が言いたいのまったく分からない。
「いいでしょう。あなた方の転生の秘密を、お教えしましょう」
俺がまったく理解できないまま、リヒテルは何かを語り始める。
一体何が始まるというのだろうか。俺はわけもわからず身構えてしまうのだった。
元々ここにも縁の深かったネラールは、その廃れた光景に悲痛な面持ちを浮かべている。
俺たちは誰も言葉を発することなく、奥深く地下へ地下へと降りていく。
レーヴェンの木を植えまくったことでだいぶ地上の空気も浄化されてきているのだが、それでもマーシャルたちのクラス地下空間に入ると明らかに空気が変わる。その空間は光の使徒リヒテルの力の影響により、強い浄化を受けているためである。
「久しぶりに来たが、ここの雰囲気というものは明らかに違うな」
「だな。ケオス大陸の空気ともまた違った不思議な空間だぜ」
ネラールの言葉に、俺もぽつりと反応する。
俺たちの言葉を聞いて、セイ太とエイミーが揃って反応する。
「私の主のケオス様やこいつの主のレーヴェンとは比べ物にならないからにゃ、リヒテルの力は」
「ええ、リヒテルの扱う光の力は明らかに強さが違います。それよりエイミー、こいつという呼び方はやめてくれませんかね」
「こいつでいいのにゃ!」
俺に説明をしながらも、セイ太とエイミーがいがみ合い始めた。なんだってこんなに仲悪くしてるんだよ。
「あにゃ!」
「ひぎゃっ!」
次の瞬間、二人が顔を押さえてうずくまる。
何が起きたのかと思ったら、キリエが二人の顔を引っぱたいたようだった。
「魔王様を困らせるのじゃありませんよ。まったく、そんなだから獣風情とかいわれるのです。魔王様に失礼だと思いませんか」
「う、うるさいにゃ!」
エイミーは今度はキリエに突っかかっていた。
その後ろでは、ピエラとデイジーが困った顔をしている。まったく、どうすりゃいいんだよ……。
「おい、騒いでいくと置いてくぞ」
「わわっ、待つのにゃ!」
「最初からおとなしくしていればいいのですよ」
「……賑やかなものだな」
なんともまとまりのない感じではあるものの、俺たちはサージェント遺跡の最奥部へと再び足を踏み入れた。
最奥部にやって来ると、そこではマーシャルが一人で考えごとをしているようだった。
少々声がかけづらそうな雰囲気があるものの、久々の親子の対面をさせないわけにはいかない。俺はマーシャルに声をかけることにした。
「お久しぶりですね、マーシャル殿」
「うん? ああ、現代の魔王か。……そこにいるのは、まさか?」
俺の声にマーシャルが反応する。顔を向けたところで、俺の隣に立たせた人物にすぐ気が付いたようだ。
「ただいま戻りました、父上」
「おお、ネラールか。なんだ、生きておったのか。そうかそうか、無事ならよい。なにがあったのかは魔王が代替わりしておることで大体想像がつく。大変じゃったな」
「……はい。もったいなきお言葉でございます」
ネラールは涙ぐみながら、実の父親であるマーシャルの前に跪いていた。その姿は、親子というよりも魔王と部下みたいな関係だな。
とはいえ、ほぼ一千年ぶりの再会だ。ひとまずそのままにしておこう。
俺はマーシャルに別の用事があると言い残すと、ネラールを置いてすぐに移動を始めた。
やって来たのは、この地下空間を照らす太陽代わりの照明魔法が輝く真下の空間だった。
ここならきっと、光の使徒であるリヒテルが現れてくれるはずだ。
真下までやってきた俺は、光の玉に向かって呼び掛ける。
「リヒテルよ、いるだろうか」
呼び掛けてはみたものの、反応はない。
呼び出し方が違うのだろうか。
「やい、リヒテル。ケオス様の使徒たるエイミー様が来てやったにゃ。さっさと出てくるにゃ」
俺が悩んでいる横で、エイミーが突然ケンカを売るような口調で騒ぎ始める。おいおい、何をやってるんだよ、こいつは……。
「まったく、うるさいですね。ケオスはなぜこのようににぎやかなものを生み出すのですか……」
光の玉の下に光が集まり始める。
段々と集まるのが速くなったかと思うと、光が弾けて光の使徒リヒテルが姿を現した。
「光の使徒リヒテル、お久しぶりでございます」
セイ太は跪いて挨拶をしている。同列のレーヴェンの下につくセイ太なので、このように頭を下げているのである。
エイミーの態度は気に入らないものの、セイ太の態度には満足したのか、リヒテルの表情が穏やかになる。
「レーヴェンの使徒は弁えておりますね」
エイミーに対する反応とはまったく逆の反応を見せている。やっぱりちゃんとすべきなんだよ。
「リヒテル、あなたに聞きたいことがある。質問をしてもよろしいだろうか」
一応俺も丁寧に対応をする。
俺の言葉に対して、リヒテルが反応を返してくる。
「侵略者の使徒と戦っていた時なのだが、俺の中に不思議な力があふれてきたのだが、その力について何か思い当たるところはないだろうか」
俺がこのように質問をぶつけると、リヒテルはにこりと微笑み始めた。これは一体どういうことなのだろうか。
「そうですか。ようやく、あなた本来の力に目覚めつつあるのですね。それはよかったです」
リヒテルがその様に答えているが、いまいち意味が分からない。一体どういうことなのだろうか。
だが、これにいち早くピンときたのが、セイ太だった。
「まさか、私やセイの転生って……。いや、そんなわけ……。でも、それしか……」
なんとも歯切れの悪い言い方だ。一体何が言いたいのまったく分からない。
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