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第二章 外側の世界
第419話 転生者、輝きを取り戻す
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無事に侵略者を打ち倒した俺たちだったが、新たな問題が目の前に転がっていた。
侵略者が供給していた世界を維持するためのエネルギーが失われてしまったのだ。このままでは、世界が本格的に死の世界に変わってしまう。
ケオスの言葉に、俺たちは真剣に悩む。
その最中、最初に動いたのはデイジーだった。
「お姉様、私の力を使えばいいのではないでしょうか」
「デイジー?」
デイジーがゆっくりと前に出てくる。その姿に、俺はちょっと思考が止まる。
「そうか。デイジーの使う成長促進魔法で、レーヴェンの樹をここに定着させればいいんだわ」
ピエラがピンときたのか、大きな声で叫んでいる。
その声に、俺はそうかと手を叩いていた。
「よし、そうと決まれば……」
俺はデザストレのうろこから、レーヴェンの樹の種を取り出す。
種を手渡すと、デイジーは種を握りしめると、引き締まった表情でこくりと頷く。
「しかし、この大陸は侵略者の毒素に侵されているはずでは?」
そこに冷静にキリエが指摘を入れる。
だが、ケオスがこの言葉を否定する。
「いや、大丈夫だ。ここは俺の力で満たされている。やつの力など、俺が相殺しておいたからな」
なんという有能だろうか。
でもまあ、納得のいく話ではある。
なにせ中央の大陸以外の大地はちゃんとレーヴェンの樹を定着させることはできていたのだからな。侵略者の魔力の影響がなければ、レーヴェンの樹はしっかりと根付くってわけだ。
俺たちはケオスの言葉を信じ、デイジーにすべてを託す。
「それでは、やってみます」
俺たちが見守る中、デイジーは地面へとレーヴェンの樹の種を植える。
成長後の大きさを分かっている以上、俺たちは安全のために距離を取る。
成長促進魔法は急激な成長を与えるものの、術者に対して危害が加わることはない。なので、俺たちは安心してデイジーをその場に残して離れられるというわけだ。
しかし、侵略者がいた場所なのでどうなるか分からないので、混沌の使徒であるケオスだけがその場に残っていた。
種を植えたデイジーは、成長促進魔法を使い始める。
デイジーの体に光が集まり始め、腕を通り、手の先からレーヴェンの樹の種へと注ぎ込まれていく。周囲がかなり暗いので、魔力の流れとしてはっきりと見ることができるようだ。
しばらくすると、地面から芽が出る。
これだけで俺たちはつい沸き立ってしまう。しかし、あまり騒がしくしてしまってデイジーの集中を切らせるわけにはいかない。俺たちはすぐに黙り込んで様子を見守る。
さらに魔力を込めていくと、段々とレーヴェンの樹が大きくなっていく。
さすがに侵略者の毒素がまだ色濃く残っているせいか、地上より効果の出に時間がかかっているようだ。
「むむむむ……」
時間がかかっているせいか、デイジーの表情に焦りの色が出始めている。
あまりにも見ていられなくなったので、俺はゆっくりと動き出す。
「セイ?」
セイ太が反応している。
「ちょっとデイジーを手伝ってくる。光の使徒リヒテルの使徒なんだ。俺の力も足しにはなるだろう」
「セイ、待って下さい。私も手伝います。命の使徒レーヴェン様の使徒である私ですから、きっと種とも相性がいいはずです」
「待つにゃ。私も手伝うにゃ」
俺の言葉に、セイ太とエイミーが一斉に反応する。俺が手伝うなら自分もというのだ。
俺は何も言わず、二人のやりたいようにさせることにする。
そっと肩に手を置くと、デイジーが俺の方を振り向く。
「お姉様?」
「デイジー、いいから集中してくれ。俺たちがサポートするからよ」
「たち?」
デイジーがもっとしっかり振り向くと、そこにはセイ太とエイミーの姿もあった。
この世界の三使徒の下に仕える使徒が揃っているのだ。デザストレは留守番だが、一人ずついるのだから揃っているといっていい。
「俺たちがデイジーの魔法をサポートするから、そのまま成長促進魔法を使い続けてくれ」
「分かりました。では、よろしくお願いします」
俺たちと言葉を交わしたデイジーは、一度しっかりと深呼吸を行い、もう一度成長促進魔法を使う。
するとどうしたことだろうか。先程までとは明らかに魔法の光の強さが違う。
俺たちの力によって、成長促進魔法が強化されているのだ。
みるみるとレーヴェンの樹は成長を続け、段々と大きくなっていく。
俺たちの身長をもあっという間に追い抜き、さらに成長を続けていく。
成長を続ける気からは、あふれんばかりの光の魔力が零れ落ち、触れた地面が淡く光り始めていた。
「きれい……」
「これは……、まさしく命の輝きというものか」
「このような奇跡を目の前で見ることができようとは……。このキリエ、いたく感動しております」
後ろで離れて見守るピエラ、キリエ、ネラールもただただ、この光景に息をのむばかりだった。
やがてレーヴェンの樹が成長しきると、レーヴェンの樹から更なる光があふれ出す。
どうやら俺たちは、この世界に再び命の光をともすことができたようだった。
そのあまりにも美しい光景を、俺たちはきっと永遠に忘れることはできないだろう。
侵略者が供給していた世界を維持するためのエネルギーが失われてしまったのだ。このままでは、世界が本格的に死の世界に変わってしまう。
ケオスの言葉に、俺たちは真剣に悩む。
その最中、最初に動いたのはデイジーだった。
「お姉様、私の力を使えばいいのではないでしょうか」
「デイジー?」
デイジーがゆっくりと前に出てくる。その姿に、俺はちょっと思考が止まる。
「そうか。デイジーの使う成長促進魔法で、レーヴェンの樹をここに定着させればいいんだわ」
ピエラがピンときたのか、大きな声で叫んでいる。
その声に、俺はそうかと手を叩いていた。
「よし、そうと決まれば……」
俺はデザストレのうろこから、レーヴェンの樹の種を取り出す。
種を手渡すと、デイジーは種を握りしめると、引き締まった表情でこくりと頷く。
「しかし、この大陸は侵略者の毒素に侵されているはずでは?」
そこに冷静にキリエが指摘を入れる。
だが、ケオスがこの言葉を否定する。
「いや、大丈夫だ。ここは俺の力で満たされている。やつの力など、俺が相殺しておいたからな」
なんという有能だろうか。
でもまあ、納得のいく話ではある。
なにせ中央の大陸以外の大地はちゃんとレーヴェンの樹を定着させることはできていたのだからな。侵略者の魔力の影響がなければ、レーヴェンの樹はしっかりと根付くってわけだ。
俺たちはケオスの言葉を信じ、デイジーにすべてを託す。
「それでは、やってみます」
俺たちが見守る中、デイジーは地面へとレーヴェンの樹の種を植える。
成長後の大きさを分かっている以上、俺たちは安全のために距離を取る。
成長促進魔法は急激な成長を与えるものの、術者に対して危害が加わることはない。なので、俺たちは安心してデイジーをその場に残して離れられるというわけだ。
しかし、侵略者がいた場所なのでどうなるか分からないので、混沌の使徒であるケオスだけがその場に残っていた。
種を植えたデイジーは、成長促進魔法を使い始める。
デイジーの体に光が集まり始め、腕を通り、手の先からレーヴェンの樹の種へと注ぎ込まれていく。周囲がかなり暗いので、魔力の流れとしてはっきりと見ることができるようだ。
しばらくすると、地面から芽が出る。
これだけで俺たちはつい沸き立ってしまう。しかし、あまり騒がしくしてしまってデイジーの集中を切らせるわけにはいかない。俺たちはすぐに黙り込んで様子を見守る。
さらに魔力を込めていくと、段々とレーヴェンの樹が大きくなっていく。
さすがに侵略者の毒素がまだ色濃く残っているせいか、地上より効果の出に時間がかかっているようだ。
「むむむむ……」
時間がかかっているせいか、デイジーの表情に焦りの色が出始めている。
あまりにも見ていられなくなったので、俺はゆっくりと動き出す。
「セイ?」
セイ太が反応している。
「ちょっとデイジーを手伝ってくる。光の使徒リヒテルの使徒なんだ。俺の力も足しにはなるだろう」
「セイ、待って下さい。私も手伝います。命の使徒レーヴェン様の使徒である私ですから、きっと種とも相性がいいはずです」
「待つにゃ。私も手伝うにゃ」
俺の言葉に、セイ太とエイミーが一斉に反応する。俺が手伝うなら自分もというのだ。
俺は何も言わず、二人のやりたいようにさせることにする。
そっと肩に手を置くと、デイジーが俺の方を振り向く。
「お姉様?」
「デイジー、いいから集中してくれ。俺たちがサポートするからよ」
「たち?」
デイジーがもっとしっかり振り向くと、そこにはセイ太とエイミーの姿もあった。
この世界の三使徒の下に仕える使徒が揃っているのだ。デザストレは留守番だが、一人ずついるのだから揃っているといっていい。
「俺たちがデイジーの魔法をサポートするから、そのまま成長促進魔法を使い続けてくれ」
「分かりました。では、よろしくお願いします」
俺たちと言葉を交わしたデイジーは、一度しっかりと深呼吸を行い、もう一度成長促進魔法を使う。
するとどうしたことだろうか。先程までとは明らかに魔法の光の強さが違う。
俺たちの力によって、成長促進魔法が強化されているのだ。
みるみるとレーヴェンの樹は成長を続け、段々と大きくなっていく。
俺たちの身長をもあっという間に追い抜き、さらに成長を続けていく。
成長を続ける気からは、あふれんばかりの光の魔力が零れ落ち、触れた地面が淡く光り始めていた。
「きれい……」
「これは……、まさしく命の輝きというものか」
「このような奇跡を目の前で見ることができようとは……。このキリエ、いたく感動しております」
後ろで離れて見守るピエラ、キリエ、ネラールもただただ、この光景に息をのむばかりだった。
やがてレーヴェンの樹が成長しきると、レーヴェンの樹から更なる光があふれ出す。
どうやら俺たちは、この世界に再び命の光をともすことができたようだった。
そのあまりにも美しい光景を、俺たちはきっと永遠に忘れることはできないだろう。
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