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第一章 大陸編
第27話 転生者、幼馴染みに驚愕する
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「お待ちしておりました、我らが王よ」
建物に入ると意外と若い感じの獣人が出迎えてくれた。たてがみがすごいので、どうやらライオンの獣人のようだ。
「獣人族を率いるライネスと申します。新しい魔王様に忠誠を」
自己紹介とともにいきなり跪くライネス。同時建物内に居た獣人たちも同じように跪いていた。思いもよらない行動に思わず面食らってしまう俺だった。
ピエラはどうにか落ち着いているんだが、内心は恐らく叫び声を上げているんだろうな。
そんな俺たちに構わず、それに対応したのはバフォメットだった。
「久しぶりですね、ライネス」
「おお、バフォメット様。わざわざお越しとは光栄ですな」
バフォメットに対して頭を下げるライネス。さすがは魔王の参謀を務める魔族、部族長相手に頭を下げさせるとはな。俺は思わず感心した反応を見せてしまう。
「最近、一部の獣人が調子に乗っているとの報告が入ってきていますが、事実なのでしょうかね」
ところがどっこい、いきなり尋問である。
予想外だったのか、ライネスは目を開いてつい後退ってしまう。この反応はあれだ。痛いところを突かれた時に見る反応だぞ。
「どうなんですか?」
さらに迫るバフォメット。すると、さすがにライネスは観念したようだった。
「申し訳……ございません。その通りで、ございます……」
ライネスはおとなしく認めた。
どうやら、俺の顔見世の席にライネスも来ていたらしく、それを獣人たちに話すと思い上がってしまった連中がいたようだ。
ライネス自身は釘を刺したらしいのだが、それでも自制の利かない連中が吹聴して回って勢いに乗っているそうだ。
まったく、どこの世界にもつけ上がるやつっていうのはいるんだな。思わずため息が漏れてしまう俺だった。
「ふふん、それだったら私が黙らせてやるわ。その代わり勝ったらもふらせ放題させてもらうわよ」
そこで前に出てくるピエラだが、本音がだだ漏れしてるぞ。
まったく、ピエラときたら、獣人のもふもふを堪能することしか考えてないじゃないか。つい、俺は頭が痛くなってきてしまう。
ところが、ピエラの申し出にライネスは非常に興味を示していた。
「ふむ、人間のくせに怖いもの知らずだな。いいだろう、人間に負けたとなればあいつらにはいい薬になる。さっさと負かして好きなようにしてやってくれ」
「任せない」
ライネスの言葉に間髪入れずにガッツポーズを見せるピエラ。あれ、ピエラってこんなキャラだったっけ?
幼馴染みでよく知っているはずの相手の思わぬ姿に、俺は驚きと戸惑いを隠しきれなかった。
「おい、ピエラ、本気でやるつもりなのか?」
「セイと一緒に魔王を倒した私よ? それに、心ゆくまでもふれるとなったら、気合いが入らないわけがないじゃないのよ」
「お、おう?」
なんてこった、目がしいたけになってやがる……。ダメだこいつ、早くなんとかしないと。
俺は頭が痛くて仕方がなかった。
「魔王様を倒した? ずいぶんとでかい口を叩くものだな。まぁいい、それが真実かはすぐに分かる事だ、ついてきなさい」
ライネスが立ち上がって移動を始めると、ピエラは鼻歌を歌いながらついていっている。俺たちは困惑しながらその後を追いかけていった。
「おいお前ら、ちょっといいか」
集落のとある小屋へと怒鳴り込んでいくライネス。中に居た獣人たちは何事かと驚いた顔でライネスの方を向いた。
「ライネス様、なんですかいきなり」
「お前ら、この人間と勝負しろ」
「はあ?!」
いきなりライネスから命令された獣人たちは驚いている。ライネスから指し示されたピエラは、ものすごく鼻息荒く獣人たちを見つめている。
「すごい、犬と猫と熊! これはもふりがいがありそうだわ」
「ピエラ、目が怖いぞ」
鼻息が荒いピエラに、俺は鋭くツッコミを入れる。
「な、なんだこの人間は……」
「あの目はやべえぞ」
獣人たちがまさかのドン引きである。
「なんだ、怖気づいたのか? あれだけ普段から吹聴しまわっているというのに、獣人の風上にも置けぬよね?」
「ぐっ……」
ライネスにこう言われてしまえば、さすがに獣人たちも黙ってはいられなかった。
「やってやるよ。人間、覚悟はいいな?」
「ええ、もちろんですよ。なんなら三人まとめてお相手しますよ」
「なめやがって!」
ピエラの自信満々な態度に獣人たちがブチ切れて襲い掛かってくる。
だが、次の瞬間だった。
「うふふ、いい触り心地ですね」
「なんだ、こいつ……。本当に人間か?」
まとめて横たわる獣人たちをたっぷりともふり倒すピエラの姿があった。
さすがの俺たちも何が起きたのかまったく分からなかった。そのくらい一瞬で決着がついたってわけだよ。
「な、何が起きたんですかね……、魔王様」
ライネスが尋ねてくるが、俺もさっぱり分からない。
「魔法の中に空気を固めて飛ばす魔法がありますでしょう。その規模の大きいものを作り出して、彼らを押し潰したんですよ」
「なんだよ、それは……」
バフォメットの解説を聞いてもまったく分からない。ましてや、普通の人間に扱える魔法なのかも分からない。
ただ分かっているのは、ピエラが獣人たちを倒して、そのもふもふを楽しんでいる事だけだった。
ピエラが圧倒的実力を見せつけた事で、この後の獣人たちとの話し合いが順調に進んだのはよかったんだがな。しかし、なんとも複雑な気持ちになったものだよ……。
建物に入ると意外と若い感じの獣人が出迎えてくれた。たてがみがすごいので、どうやらライオンの獣人のようだ。
「獣人族を率いるライネスと申します。新しい魔王様に忠誠を」
自己紹介とともにいきなり跪くライネス。同時建物内に居た獣人たちも同じように跪いていた。思いもよらない行動に思わず面食らってしまう俺だった。
ピエラはどうにか落ち着いているんだが、内心は恐らく叫び声を上げているんだろうな。
そんな俺たちに構わず、それに対応したのはバフォメットだった。
「久しぶりですね、ライネス」
「おお、バフォメット様。わざわざお越しとは光栄ですな」
バフォメットに対して頭を下げるライネス。さすがは魔王の参謀を務める魔族、部族長相手に頭を下げさせるとはな。俺は思わず感心した反応を見せてしまう。
「最近、一部の獣人が調子に乗っているとの報告が入ってきていますが、事実なのでしょうかね」
ところがどっこい、いきなり尋問である。
予想外だったのか、ライネスは目を開いてつい後退ってしまう。この反応はあれだ。痛いところを突かれた時に見る反応だぞ。
「どうなんですか?」
さらに迫るバフォメット。すると、さすがにライネスは観念したようだった。
「申し訳……ございません。その通りで、ございます……」
ライネスはおとなしく認めた。
どうやら、俺の顔見世の席にライネスも来ていたらしく、それを獣人たちに話すと思い上がってしまった連中がいたようだ。
ライネス自身は釘を刺したらしいのだが、それでも自制の利かない連中が吹聴して回って勢いに乗っているそうだ。
まったく、どこの世界にもつけ上がるやつっていうのはいるんだな。思わずため息が漏れてしまう俺だった。
「ふふん、それだったら私が黙らせてやるわ。その代わり勝ったらもふらせ放題させてもらうわよ」
そこで前に出てくるピエラだが、本音がだだ漏れしてるぞ。
まったく、ピエラときたら、獣人のもふもふを堪能することしか考えてないじゃないか。つい、俺は頭が痛くなってきてしまう。
ところが、ピエラの申し出にライネスは非常に興味を示していた。
「ふむ、人間のくせに怖いもの知らずだな。いいだろう、人間に負けたとなればあいつらにはいい薬になる。さっさと負かして好きなようにしてやってくれ」
「任せない」
ライネスの言葉に間髪入れずにガッツポーズを見せるピエラ。あれ、ピエラってこんなキャラだったっけ?
幼馴染みでよく知っているはずの相手の思わぬ姿に、俺は驚きと戸惑いを隠しきれなかった。
「おい、ピエラ、本気でやるつもりなのか?」
「セイと一緒に魔王を倒した私よ? それに、心ゆくまでもふれるとなったら、気合いが入らないわけがないじゃないのよ」
「お、おう?」
なんてこった、目がしいたけになってやがる……。ダメだこいつ、早くなんとかしないと。
俺は頭が痛くて仕方がなかった。
「魔王様を倒した? ずいぶんとでかい口を叩くものだな。まぁいい、それが真実かはすぐに分かる事だ、ついてきなさい」
ライネスが立ち上がって移動を始めると、ピエラは鼻歌を歌いながらついていっている。俺たちは困惑しながらその後を追いかけていった。
「おいお前ら、ちょっといいか」
集落のとある小屋へと怒鳴り込んでいくライネス。中に居た獣人たちは何事かと驚いた顔でライネスの方を向いた。
「ライネス様、なんですかいきなり」
「お前ら、この人間と勝負しろ」
「はあ?!」
いきなりライネスから命令された獣人たちは驚いている。ライネスから指し示されたピエラは、ものすごく鼻息荒く獣人たちを見つめている。
「すごい、犬と猫と熊! これはもふりがいがありそうだわ」
「ピエラ、目が怖いぞ」
鼻息が荒いピエラに、俺は鋭くツッコミを入れる。
「な、なんだこの人間は……」
「あの目はやべえぞ」
獣人たちがまさかのドン引きである。
「なんだ、怖気づいたのか? あれだけ普段から吹聴しまわっているというのに、獣人の風上にも置けぬよね?」
「ぐっ……」
ライネスにこう言われてしまえば、さすがに獣人たちも黙ってはいられなかった。
「やってやるよ。人間、覚悟はいいな?」
「ええ、もちろんですよ。なんなら三人まとめてお相手しますよ」
「なめやがって!」
ピエラの自信満々な態度に獣人たちがブチ切れて襲い掛かってくる。
だが、次の瞬間だった。
「うふふ、いい触り心地ですね」
「なんだ、こいつ……。本当に人間か?」
まとめて横たわる獣人たちをたっぷりともふり倒すピエラの姿があった。
さすがの俺たちも何が起きたのかまったく分からなかった。そのくらい一瞬で決着がついたってわけだよ。
「な、何が起きたんですかね……、魔王様」
ライネスが尋ねてくるが、俺もさっぱり分からない。
「魔法の中に空気を固めて飛ばす魔法がありますでしょう。その規模の大きいものを作り出して、彼らを押し潰したんですよ」
「なんだよ、それは……」
バフォメットの解説を聞いてもまったく分からない。ましてや、普通の人間に扱える魔法なのかも分からない。
ただ分かっているのは、ピエラが獣人たちを倒して、そのもふもふを楽しんでいる事だけだった。
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