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第一章 大陸編
第60話 転生者、コツコツと仕事をこなす
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ウネによる騒動はひとまず落ち着きを取り戻し、畑となった庭園は出入りできる人物はキリエの発案により制限されることになった。
俺とピエラ、それとキリエ、カスミ、コモヤの五人である。バフォメットも入れようとしたが本人が辞退したらしい。
辞退した理由だが、バフォメットはヤギの魔族らしく、草を食べてしまいそうだからという理由らしい。実に可愛らしい理由で、思わず笑いそうになっちまった。
俺とピエラは当然だが、キリエが自分の妹たちも優遇した形みたいになっちまったな。
キリエは俺の専属侍女兼参謀だし、カスミはキリエが対処できない時のフォロー役だし、コモヤは隠密を担当しているので何も問題はないな。役割を考えれば妥当な判断だろ思うぜ。
当然ながら反発は出てきたが、そいつらの前で俺は言い切ってやった。
「俺の庭園だ。入れる連中を制限して何が悪い」
魔王直々の言葉ってのは重いよな。誰も文句を言ってこなくなったぜ。
とりあえずここまでやれば、俺まで怒られる原因になったウネの主食の葉っぱが外に漏れることはないだろう。そうだよな。
俺は根拠のない自信を見せて、自分を無理やり納得させていた。
というわけで、いろいろとした仕事はキリエやバフォメットに割り振った俺は、今日も庭園の畑へとやって来ていた。
「どうだ、ウネ。植物の生長具合は」
「魔王様。まあまあ順調なのよ」
そうやってウネが見せてくれた畑は、既に芽があちこちから出てきている状態だった。さすが植物のエキスパートが育てると違うな。
俺にそうやって成果を見せながら、ウネはむふーっと自慢げに胸を張っていた。……そこは育たないんだな。
でもまぁ、ウネの見た目は幼女だから仕方ないか。
「魔王様、どこを見てる?」
「いや、なんでもない。この調子で頑張ってくれよ」
俺はごまかしながらウネの頭を軽く撫でてやる。頭を撫でられたウネは満足そうに笑っていた。
「任せるのよ。わちは植物のエキスパートだからね」
とことこと歩きながら、畑の世話に戻るウネだった。
その一生懸命に畑の世話をするウネの姿を見ながら、俺も負けじと畑の世話をしたのだった。
昼食を済ませた俺は、午後からはキリエやバフォメットと一緒に事務処理にあたる。さすがに魔王である以上何もしないわけにはいかないからな。
そんな中でちまちまと報告が上がってくるのが、俺の出身である王国以外からの侵入者の話だった。
魔王を倒したという情報が他の国にいっていないのか、魔族をせん滅しようと躍起になっているのかは分からないが、分かりにくいように少数精鋭で攻め込んできているらしい。
ただ、国境付近にはこの間の視察巡りの時にいろいろ仕掛けを作っておいたので、当地の魔族たちでもあっさり対処が可能という状況になっていた。
ちなみに、身ぐるみを剥いで送り返すようにも言っておいたので、撃退した魔族たちの手元には冒険者たちの装備品や荷物が溜まるようになっていた。
「んー、たまに回収しに行ってやらなきゃいけないかな。人間たちの装備って思ったよりも面倒なのが多いしな。魔族では扱えないのもあるし、持たせていても宝の持ち腐れだろう」
俺は片肘をつきながら唸る。
「そうでございますね。それでしたら、視察がてら向かわれてはどうですか?」
「まあそうだな。今は畑の対応もあって忙しいし、そのうち向かう事にしようか」
「早い方がいいかと存じます。下手に溜めさせると、謀反を起こしかねませんからね」
面倒なのでのんびり構えようとする俺だったが、キリエからは急かされてしまった。
「分かった。とりあえず、集めた人間の装備品を魔王城に持ってこさせるように通達を出しておいてくれ。下手に奪われたら、危険だからとでも言っておくといい」
「承知致しました」
俺からの指示を、すぐさま文書に認めて各地に送るキリエである。さすがは参謀、行動が早いな。
こういう時は頼りになる部下がいるというのはとても助かるな。
どんな議論をしても決まるまでの時間が短いし、実行するのもあっという間だ。非常に楽でいいものだ。
「あ、そうです、魔王様」
「うん、なんだ?」
何かを思い出したかのようにキリエが声を掛けてくる。
「明日にでも魔王軍の訓練に顔を出して下さい。ヴォルフ殿に勝った魔王様から直に指導を受けたいという声が増えておりますのでね。一度くらい相手をしてあげてはどうかと存じます」
「ああ、そういうのもあるのか……」
ヴォルフというのは、魔王軍の中でもトップクラスの強さを誇る獣人だ。軍隊の中だと実力主義なので、彼も獣人だからといってバカにされるような事はない。
そんな彼に勝った俺だからこそ、その胸を借りたいという願望が出てきたんだろうな。
「まあたまには思いっきり体を動かすのもいいかもな。明日にでも早速やってやろうじゃないか」
「畏まりました。おそらくみなさん喜ぶと思いますよ」
というわけで、翌日の予定がこれで決まってしまった。
昨日理不尽に説教を食らったうっ憤晴らしも兼ねて、俺は魔王軍の訓練に付き合うことにしたのだった。
俺とピエラ、それとキリエ、カスミ、コモヤの五人である。バフォメットも入れようとしたが本人が辞退したらしい。
辞退した理由だが、バフォメットはヤギの魔族らしく、草を食べてしまいそうだからという理由らしい。実に可愛らしい理由で、思わず笑いそうになっちまった。
俺とピエラは当然だが、キリエが自分の妹たちも優遇した形みたいになっちまったな。
キリエは俺の専属侍女兼参謀だし、カスミはキリエが対処できない時のフォロー役だし、コモヤは隠密を担当しているので何も問題はないな。役割を考えれば妥当な判断だろ思うぜ。
当然ながら反発は出てきたが、そいつらの前で俺は言い切ってやった。
「俺の庭園だ。入れる連中を制限して何が悪い」
魔王直々の言葉ってのは重いよな。誰も文句を言ってこなくなったぜ。
とりあえずここまでやれば、俺まで怒られる原因になったウネの主食の葉っぱが外に漏れることはないだろう。そうだよな。
俺は根拠のない自信を見せて、自分を無理やり納得させていた。
というわけで、いろいろとした仕事はキリエやバフォメットに割り振った俺は、今日も庭園の畑へとやって来ていた。
「どうだ、ウネ。植物の生長具合は」
「魔王様。まあまあ順調なのよ」
そうやってウネが見せてくれた畑は、既に芽があちこちから出てきている状態だった。さすが植物のエキスパートが育てると違うな。
俺にそうやって成果を見せながら、ウネはむふーっと自慢げに胸を張っていた。……そこは育たないんだな。
でもまぁ、ウネの見た目は幼女だから仕方ないか。
「魔王様、どこを見てる?」
「いや、なんでもない。この調子で頑張ってくれよ」
俺はごまかしながらウネの頭を軽く撫でてやる。頭を撫でられたウネは満足そうに笑っていた。
「任せるのよ。わちは植物のエキスパートだからね」
とことこと歩きながら、畑の世話に戻るウネだった。
その一生懸命に畑の世話をするウネの姿を見ながら、俺も負けじと畑の世話をしたのだった。
昼食を済ませた俺は、午後からはキリエやバフォメットと一緒に事務処理にあたる。さすがに魔王である以上何もしないわけにはいかないからな。
そんな中でちまちまと報告が上がってくるのが、俺の出身である王国以外からの侵入者の話だった。
魔王を倒したという情報が他の国にいっていないのか、魔族をせん滅しようと躍起になっているのかは分からないが、分かりにくいように少数精鋭で攻め込んできているらしい。
ただ、国境付近にはこの間の視察巡りの時にいろいろ仕掛けを作っておいたので、当地の魔族たちでもあっさり対処が可能という状況になっていた。
ちなみに、身ぐるみを剥いで送り返すようにも言っておいたので、撃退した魔族たちの手元には冒険者たちの装備品や荷物が溜まるようになっていた。
「んー、たまに回収しに行ってやらなきゃいけないかな。人間たちの装備って思ったよりも面倒なのが多いしな。魔族では扱えないのもあるし、持たせていても宝の持ち腐れだろう」
俺は片肘をつきながら唸る。
「そうでございますね。それでしたら、視察がてら向かわれてはどうですか?」
「まあそうだな。今は畑の対応もあって忙しいし、そのうち向かう事にしようか」
「早い方がいいかと存じます。下手に溜めさせると、謀反を起こしかねませんからね」
面倒なのでのんびり構えようとする俺だったが、キリエからは急かされてしまった。
「分かった。とりあえず、集めた人間の装備品を魔王城に持ってこさせるように通達を出しておいてくれ。下手に奪われたら、危険だからとでも言っておくといい」
「承知致しました」
俺からの指示を、すぐさま文書に認めて各地に送るキリエである。さすがは参謀、行動が早いな。
こういう時は頼りになる部下がいるというのはとても助かるな。
どんな議論をしても決まるまでの時間が短いし、実行するのもあっという間だ。非常に楽でいいものだ。
「あ、そうです、魔王様」
「うん、なんだ?」
何かを思い出したかのようにキリエが声を掛けてくる。
「明日にでも魔王軍の訓練に顔を出して下さい。ヴォルフ殿に勝った魔王様から直に指導を受けたいという声が増えておりますのでね。一度くらい相手をしてあげてはどうかと存じます」
「ああ、そういうのもあるのか……」
ヴォルフというのは、魔王軍の中でもトップクラスの強さを誇る獣人だ。軍隊の中だと実力主義なので、彼も獣人だからといってバカにされるような事はない。
そんな彼に勝った俺だからこそ、その胸を借りたいという願望が出てきたんだろうな。
「まあたまには思いっきり体を動かすのもいいかもな。明日にでも早速やってやろうじゃないか」
「畏まりました。おそらくみなさん喜ぶと思いますよ」
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