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第一章 大陸編
第137話 転生者、一番の衝撃を受ける
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話と夕食が無事に終わったが、魔王領の話をしていたら、それだけお腹いっぱいだったな。
新しいデザインの服、アラクネの糸を使った布地、魔物の卵の安定供給。ちょっとばかり、いろいろ一気にやりすぎたかな。
伯爵が反応に困るのは当然だし、ピエラも呆れてしまうってもんだ。二人の反応を見て、俺はようやくやらかした事を自覚したのだった。
「それで、伯爵」
「なんだね、セイ」
「西方王国と今後取引することがあったら、魔王城経由の街道を使って下さい」
「どういうつもりかな」
俺からの提案に、伯爵の表情が歪んでいる。どうも怪しんでいるようだな。
「いえ、魔王城から南方王国と西方王国に延びる街道は、魔族たちの精鋭でもってしっかり整えられているんですよ。地面はまっ平らで揺れも少ない。ほぼ直線的なので迷う心配もないので、少々遠回りでも安心安全かと思いましてね」
「ふむ。それは一考の価値はあるかもな」
俺の売り文句を聞いて、伯爵は考え込んでいる。
「お父様、私もセイの意見には賛成です。なにせ、私も今は魔王領に住んでいて、その快適さは実際に体験していますから」
ピエラからの援護射撃である。実体験のある人物からの言葉は、この上なく相手に響くというものだ。しかも、それが実の娘からとなれば、なおのこと効果は抜群だ。
「……分かった」
伯爵の反応に、俺たちは歓喜の表情を見せる。
だが、伯爵は冷静だったのか、言葉さらに続ける。
「とはいえ、お前たちのいう言葉とはいえそのまま飲み込むわけにはいかぬ。陛下たちに進言して、調査団を組ませてもらうぞ」
「ああ、それは構いませんよ。実際に見てもらうのが一番早いですからね」
俺は伯爵の言い分をすんなり受け入れる。隠し事をするくらいなら、自分からひけらかしてやるよ。
しばらくの間、俺と伯爵はじっと睨み合っていた。先に目を逸らしたら負けだと思って、それこそ自信たっぷりな表情でな。
先に伯爵が折れたらしく、膝をパンと打って大笑いを始めた。
「くくく、やっぱり君が女性になってしまったのは惜しい。そう思わないか、ピエラ」
「私に話を振らないで下さい、お父様」
伯爵がいきなり話を振ると、ピエラは真っ赤になりながら怒っていた。しかし、どこか嬉しそうに見えるんだが?
気にはなるけれども、ひとまず今日はここで終わりにしておこうと考えた。
なにせ、いきなり城に連行とかされて、結構精神的にすり減ってるんだ。この分だと明日も城に行くことになりそうだし、精神的に休んでおきたいんだよ。
だが、食後に改めて案内された部屋に、俺は困惑するしかなかった。
「なあ、ピエラ」
「なに、セイ」
俺は改めてピエラに尋ねる。
「やっぱり、俺の寝る部屋はお前と一緒の部屋なのか?」
「そうみたいね。今は使用人の部屋も空いているし、どうしてもというのならそっちに行けばいいんじゃないかしら」
「そっか。それじゃそうさせて……」
ピエラの提案に乗って部屋を移動とする俺だったが、がしっとピエラに腕をつかまれてしまった。
「ちょっと、ピエラさん?」
明らかに困った顔をして、俺はピエラへと顔を向けていく。そこにあったのは、頬を膨らませて不満そうにしているピエラの顔だった。
「私と寝るのはそんなに嫌なの?」
「い、いや、俺はまだ精神は男だし、未婚の男女が同じ部屋、ましてや同じベッドで寝るのはな?」
俺はどうにか逃れようとするのだが、俺の腕をつかむピエラの手にさらに力が入っていく。同時に表情もますます不機嫌になっていく。
同時に、顔も俺から背けていっているのだが、まったくどうしたらいいんだよ。
「むぅ……、私は別にセイと一緒なら構わないのに」
「でもなぁ、俺の精神的に……」
俺が反応に困っていると、ピエラは俺の腕を引いて俺と至近距離で向かい合う。
「私は、どんな姿になってもセイがいいのよ。いい加減、私の気持ち分かってくれないの?」
「ぴ、ピエラ?」
いつになく積極的なピエラに、俺はもうたじたじだった。多分、前世も含めて一番のピンチじゃないだろうか。
まったくもって、どう反応していいのか分からない。
「私は確かにもふもふが好きだけど、それがなくても、セイが好きなんだから……」
「ぴ、ピエラ……」
まさかのピエラからの告白だった。
伯爵の物言いのせいで少しは察していたが、やっぱり直に言われるとこう、心に来るものがあった。
「ピエラ、気持ちは嬉しいけれどさ、やっぱり今の俺じゃそれは受け入れられない……かな」
「だったら、受け入れてもらえるまで、いつまでだって待ってやるわよ。私の本気、見せつけてやるんだからね」
ピエラにここまで言われてしまえば、もう俺からは何も言えなかった。
でも、さすがに気まずくて一緒のベッドで寝るというわけにはいかなかったので、今日のところは勘弁してもらった。
「はあ、告白されるってこんな感じなのか……」
俺は隣接している専属の使用人用の部屋のベッドで大きなため息をついている。
いろいろなものが頭の中を駆け巡ってはいるものの、とりあえずはおそらく行われる国王との謁見に集中することにする。
ピエラの告白を無視するわけじゃないけど、そのくらいには大きな問題だからな。
「ひとまず当面の問題が片付いたら、ピエラのことを本気で考えよう」
俺は自分にそう言い聞かせて、そっと眠りに就いたのだった。
新しいデザインの服、アラクネの糸を使った布地、魔物の卵の安定供給。ちょっとばかり、いろいろ一気にやりすぎたかな。
伯爵が反応に困るのは当然だし、ピエラも呆れてしまうってもんだ。二人の反応を見て、俺はようやくやらかした事を自覚したのだった。
「それで、伯爵」
「なんだね、セイ」
「西方王国と今後取引することがあったら、魔王城経由の街道を使って下さい」
「どういうつもりかな」
俺からの提案に、伯爵の表情が歪んでいる。どうも怪しんでいるようだな。
「いえ、魔王城から南方王国と西方王国に延びる街道は、魔族たちの精鋭でもってしっかり整えられているんですよ。地面はまっ平らで揺れも少ない。ほぼ直線的なので迷う心配もないので、少々遠回りでも安心安全かと思いましてね」
「ふむ。それは一考の価値はあるかもな」
俺の売り文句を聞いて、伯爵は考え込んでいる。
「お父様、私もセイの意見には賛成です。なにせ、私も今は魔王領に住んでいて、その快適さは実際に体験していますから」
ピエラからの援護射撃である。実体験のある人物からの言葉は、この上なく相手に響くというものだ。しかも、それが実の娘からとなれば、なおのこと効果は抜群だ。
「……分かった」
伯爵の反応に、俺たちは歓喜の表情を見せる。
だが、伯爵は冷静だったのか、言葉さらに続ける。
「とはいえ、お前たちのいう言葉とはいえそのまま飲み込むわけにはいかぬ。陛下たちに進言して、調査団を組ませてもらうぞ」
「ああ、それは構いませんよ。実際に見てもらうのが一番早いですからね」
俺は伯爵の言い分をすんなり受け入れる。隠し事をするくらいなら、自分からひけらかしてやるよ。
しばらくの間、俺と伯爵はじっと睨み合っていた。先に目を逸らしたら負けだと思って、それこそ自信たっぷりな表情でな。
先に伯爵が折れたらしく、膝をパンと打って大笑いを始めた。
「くくく、やっぱり君が女性になってしまったのは惜しい。そう思わないか、ピエラ」
「私に話を振らないで下さい、お父様」
伯爵がいきなり話を振ると、ピエラは真っ赤になりながら怒っていた。しかし、どこか嬉しそうに見えるんだが?
気にはなるけれども、ひとまず今日はここで終わりにしておこうと考えた。
なにせ、いきなり城に連行とかされて、結構精神的にすり減ってるんだ。この分だと明日も城に行くことになりそうだし、精神的に休んでおきたいんだよ。
だが、食後に改めて案内された部屋に、俺は困惑するしかなかった。
「なあ、ピエラ」
「なに、セイ」
俺は改めてピエラに尋ねる。
「やっぱり、俺の寝る部屋はお前と一緒の部屋なのか?」
「そうみたいね。今は使用人の部屋も空いているし、どうしてもというのならそっちに行けばいいんじゃないかしら」
「そっか。それじゃそうさせて……」
ピエラの提案に乗って部屋を移動とする俺だったが、がしっとピエラに腕をつかまれてしまった。
「ちょっと、ピエラさん?」
明らかに困った顔をして、俺はピエラへと顔を向けていく。そこにあったのは、頬を膨らませて不満そうにしているピエラの顔だった。
「私と寝るのはそんなに嫌なの?」
「い、いや、俺はまだ精神は男だし、未婚の男女が同じ部屋、ましてや同じベッドで寝るのはな?」
俺はどうにか逃れようとするのだが、俺の腕をつかむピエラの手にさらに力が入っていく。同時に表情もますます不機嫌になっていく。
同時に、顔も俺から背けていっているのだが、まったくどうしたらいいんだよ。
「むぅ……、私は別にセイと一緒なら構わないのに」
「でもなぁ、俺の精神的に……」
俺が反応に困っていると、ピエラは俺の腕を引いて俺と至近距離で向かい合う。
「私は、どんな姿になってもセイがいいのよ。いい加減、私の気持ち分かってくれないの?」
「ぴ、ピエラ?」
いつになく積極的なピエラに、俺はもうたじたじだった。多分、前世も含めて一番のピンチじゃないだろうか。
まったくもって、どう反応していいのか分からない。
「私は確かにもふもふが好きだけど、それがなくても、セイが好きなんだから……」
「ぴ、ピエラ……」
まさかのピエラからの告白だった。
伯爵の物言いのせいで少しは察していたが、やっぱり直に言われるとこう、心に来るものがあった。
「ピエラ、気持ちは嬉しいけれどさ、やっぱり今の俺じゃそれは受け入れられない……かな」
「だったら、受け入れてもらえるまで、いつまでだって待ってやるわよ。私の本気、見せつけてやるんだからね」
ピエラにここまで言われてしまえば、もう俺からは何も言えなかった。
でも、さすがに気まずくて一緒のベッドで寝るというわけにはいかなかったので、今日のところは勘弁してもらった。
「はあ、告白されるってこんな感じなのか……」
俺は隣接している専属の使用人用の部屋のベッドで大きなため息をついている。
いろいろなものが頭の中を駆け巡ってはいるものの、とりあえずはおそらく行われる国王との謁見に集中することにする。
ピエラの告白を無視するわけじゃないけど、そのくらいには大きな問題だからな。
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