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第一章 大陸編
第198話 転生者、緩衝地帯のクルクーを見に行く
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数日間城で過ごした俺は、久しぶりに思い立って聖国へと向かうことにした。
なんでかっていうと、緩衝地帯まで連れていったクルクーのことが気になるからだ。クルクーっていうのは結構神経質だから、慣れない環境でどうなっているのかが今さらながらに気になったんだ。
それに、もうそろそろ決めていたひと月を迎えるしな。
「というわけで、デザストレ。俺を乗せて緩衝地帯まで向かってくれ」
「いや、なにがというわけなのだ」
俺からいきなり告げられて、まったく理解できないといった顔をするデザストレだ。そりゃそうだろうな、俺は何も目的を言ってないからな。
「まったく、察しが悪い奴だな。クルクーを緩衝地帯に連れていったろ。その状況を確認しに行くんだよ」
「ああ、そんなことがあったな」
デザストレの奴め、完全に忘れていたようだな。まったく相変わらずだな。
とにかく、俺はデザストレを引きずって城の外へと移動していく。
城の外で出たところで、ぽいっと投げて解放する。俺もすっかり雑な扱いをするようになったもんだな。
「くそっ、俺様は厄災ぞ。もののように扱うな!」
当然ながら、尊厳がずたずたのデザストレが怒ってくる。だがしかし、そんな文句を聞く俺じゃない。
「まぁまぁ、今回の視察から戻ってきたらおいしいもの食わしてやるから。ちょっとだけ我慢してくれ」
「むぅ……、そういうのなら仕方ないな」
うっわ……。ちょろいな、こいつ。
ドラゴンはツンデレが多いってのは本当みたいだな。
俺はあまりにも意外な状況に、ついため息をもらしてしまった。
「おい、何をしている。行くなら行くぞ!」
さっきまでの渋りが嘘のように、デザストレは俺を急かしてきていた。手のひらくるっくるっていうのは、こういうのをいうんだな。
前世でかじる程度にしか覚えのない知識でも、実際に目の前で見てみれば鮮明に理解できちまう。怖いよな。
俺があっけに取られている間に、デザストレはドラゴンの姿となって準備万端だった。
しっぽを振って俺を催促してくる。その動きを見た俺は、思わず笑わずにはいられない。
悪い顔をした俺がひょいとデザストレの背中に乗ると、デザストレは翼をはばたかせて空へと舞い上がった。
時間的にはまるっと一日とまではいかないものの、翌日の早朝、俺たちは緩衝地帯の上空に到着していた。
上空から見た緩衝地帯は、そこまできれいとは言えないものの、しっかりとした円形になっている。魔族側と聖国側でそれぞれに建設したというのに、ほぼ結界を挟んで線対称になっていた。
(う~ん、こうもほぼ同じ形とはなぁ。こういう街っていうのは、基本的な形はこの世界で共通なのもか知れないな)
あまりにも大差がないために、俺はそのように考えたのだった。
「よし、魔王領側の街に降りてくれ。クルクーはまだ魔王領側でしか飼育してないからな」
「分かったぜ」
返事をしたデザストレが降下を始める。
地面まで降りると、俺はデザストレの背中から飛び降りる。それと同時に、デザストレは人の姿へと変化する。
「これは、魔王様、デザストレ様、ようこそお越しなさいました」
「うむ、どうだ、街の状態は」
俺たちの姿に気が付いた門番に、状況を確認している。
「はっ、聖国との間の取引に特に問題はございません。先日も砂糖を積んだ馬車が街を発って魔王城へ向かいました」
「そうか」
普通に取引が行われていると聞いて、俺はほっと安心する。
この取引には魔王領の主である俺と聖国のトップである聖王が絡んでいるからな。ちょろまかしは効かないんだぜ。
軽く緩衝地帯の街を視察した俺は、ようやく本題であるクルクーの飼育場へとやってきた。
「これはこれは魔王様、ようこそお越し下さいました」
クルクーの群れに囲まれて、リールが出迎えてくれた。さすがはドライアド、クルクーに完全に懐かれている。
「やあ、クルクーの様子はどうだい?」
「はい、順調に数は増えています。ですが、まだ卵を確保できるところまではきていませんね。当面は抜け落ちた羽をきれいにして保管する作業ばかりといったところです」
「そうか。ご苦労だな」
俺が労うと、リールはすっとカーテシーをしていた。さすがは純魔族の妻だな。ウネたちとは大違いだ。
リールと話を終えた俺がクルクーに近付くと、クルクーたちは俺におとなしく撫でられていた。だが、デザストレが近付くと威嚇しながら騒ぎ始める。
「お、おい。なんでここまで嫌われなきゃいかんのだ」
「俺様主義が嫌なんだろ、諦めろ」
「納得いかん!」
不機嫌な顔をするデザストレを見ながら、俺たちは大笑いをしていた。
久々にやってきた緩衝地帯を一通り見た俺とデザストレ。
真ん中で結界で分かれているとはいっても、全体的には普通の街とあまり変わらない印象だった。ただ、結界のせいで聖国側にはまったく魔族がいないんだがな。
結界ばかりは仕方ないが、ちゃんと街になっていることに俺は安心する。
その日は領主邸に一泊した俺たちは、保管されていたクルクーの羽を回収して魔王城へと戻っていった。
なんでかっていうと、緩衝地帯まで連れていったクルクーのことが気になるからだ。クルクーっていうのは結構神経質だから、慣れない環境でどうなっているのかが今さらながらに気になったんだ。
それに、もうそろそろ決めていたひと月を迎えるしな。
「というわけで、デザストレ。俺を乗せて緩衝地帯まで向かってくれ」
「いや、なにがというわけなのだ」
俺からいきなり告げられて、まったく理解できないといった顔をするデザストレだ。そりゃそうだろうな、俺は何も目的を言ってないからな。
「まったく、察しが悪い奴だな。クルクーを緩衝地帯に連れていったろ。その状況を確認しに行くんだよ」
「ああ、そんなことがあったな」
デザストレの奴め、完全に忘れていたようだな。まったく相変わらずだな。
とにかく、俺はデザストレを引きずって城の外へと移動していく。
城の外で出たところで、ぽいっと投げて解放する。俺もすっかり雑な扱いをするようになったもんだな。
「くそっ、俺様は厄災ぞ。もののように扱うな!」
当然ながら、尊厳がずたずたのデザストレが怒ってくる。だがしかし、そんな文句を聞く俺じゃない。
「まぁまぁ、今回の視察から戻ってきたらおいしいもの食わしてやるから。ちょっとだけ我慢してくれ」
「むぅ……、そういうのなら仕方ないな」
うっわ……。ちょろいな、こいつ。
ドラゴンはツンデレが多いってのは本当みたいだな。
俺はあまりにも意外な状況に、ついため息をもらしてしまった。
「おい、何をしている。行くなら行くぞ!」
さっきまでの渋りが嘘のように、デザストレは俺を急かしてきていた。手のひらくるっくるっていうのは、こういうのをいうんだな。
前世でかじる程度にしか覚えのない知識でも、実際に目の前で見てみれば鮮明に理解できちまう。怖いよな。
俺があっけに取られている間に、デザストレはドラゴンの姿となって準備万端だった。
しっぽを振って俺を催促してくる。その動きを見た俺は、思わず笑わずにはいられない。
悪い顔をした俺がひょいとデザストレの背中に乗ると、デザストレは翼をはばたかせて空へと舞い上がった。
時間的にはまるっと一日とまではいかないものの、翌日の早朝、俺たちは緩衝地帯の上空に到着していた。
上空から見た緩衝地帯は、そこまできれいとは言えないものの、しっかりとした円形になっている。魔族側と聖国側でそれぞれに建設したというのに、ほぼ結界を挟んで線対称になっていた。
(う~ん、こうもほぼ同じ形とはなぁ。こういう街っていうのは、基本的な形はこの世界で共通なのもか知れないな)
あまりにも大差がないために、俺はそのように考えたのだった。
「よし、魔王領側の街に降りてくれ。クルクーはまだ魔王領側でしか飼育してないからな」
「分かったぜ」
返事をしたデザストレが降下を始める。
地面まで降りると、俺はデザストレの背中から飛び降りる。それと同時に、デザストレは人の姿へと変化する。
「これは、魔王様、デザストレ様、ようこそお越しなさいました」
「うむ、どうだ、街の状態は」
俺たちの姿に気が付いた門番に、状況を確認している。
「はっ、聖国との間の取引に特に問題はございません。先日も砂糖を積んだ馬車が街を発って魔王城へ向かいました」
「そうか」
普通に取引が行われていると聞いて、俺はほっと安心する。
この取引には魔王領の主である俺と聖国のトップである聖王が絡んでいるからな。ちょろまかしは効かないんだぜ。
軽く緩衝地帯の街を視察した俺は、ようやく本題であるクルクーの飼育場へとやってきた。
「これはこれは魔王様、ようこそお越し下さいました」
クルクーの群れに囲まれて、リールが出迎えてくれた。さすがはドライアド、クルクーに完全に懐かれている。
「やあ、クルクーの様子はどうだい?」
「はい、順調に数は増えています。ですが、まだ卵を確保できるところまではきていませんね。当面は抜け落ちた羽をきれいにして保管する作業ばかりといったところです」
「そうか。ご苦労だな」
俺が労うと、リールはすっとカーテシーをしていた。さすがは純魔族の妻だな。ウネたちとは大違いだ。
リールと話を終えた俺がクルクーに近付くと、クルクーたちは俺におとなしく撫でられていた。だが、デザストレが近付くと威嚇しながら騒ぎ始める。
「お、おい。なんでここまで嫌われなきゃいかんのだ」
「俺様主義が嫌なんだろ、諦めろ」
「納得いかん!」
不機嫌な顔をするデザストレを見ながら、俺たちは大笑いをしていた。
久々にやってきた緩衝地帯を一通り見た俺とデザストレ。
真ん中で結界で分かれているとはいっても、全体的には普通の街とあまり変わらない印象だった。ただ、結界のせいで聖国側にはまったく魔族がいないんだがな。
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その日は領主邸に一泊した俺たちは、保管されていたクルクーの羽を回収して魔王城へと戻っていった。
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