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第一章 大陸編
第242話 転生者、ピエラに睨まれる
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戦いが終われば、エイミーは帝国へと戻っていった。
俺は目の前にいるヒョウムの取り扱いを悩んでいる。
俺に対して反乱を起こしたとはいえ、これでも俺の部下であるキリエ、カスミ、コモヤの父親なんだよな。
魔族ってのは血のつながりが希薄とはいうものの、俺は正直扱いに悩む。なにせ元人間だからな。
「はあ、面倒だな。てか、俺一人でどうすんだよ、この状況……」
つくづくいろいろ失敗したなと思いつつ、一人でしばらくその場にたたずむことになってしまったのだった。
ヒョウムを一応暴れられないようにぐるぐる巻きに縛っておいた俺は、その場でしばらくのんびりと誰か来るのを待っていた。
しばらくすると、羽ばたく音が聞こえてきた。この音はデザストレだな。
「よう、デザストレ。やっとやって……?」
地面に降り立ったデザストレを見て、俺はつい言葉が止まってしまう。
なんといってもそこには予想外な人物がいたのだから。
「まったく、戦い方がなってないわね、セイ」
「ピエラ? さっきもだけどなんでいるんだよ」
そう、幼馴染みで俺の魔王としての仕事を手伝ってくれているピエラだった。
ヒョウムの仕掛けた魔法の解除にしても、どうしてこいつがいるのかまったくもって気になって仕方がないというものだぜ。
「セイの行くところ、なにかと面白いことがありそうだもの。だったら首を突っ込んでみるってものでしょ?」
なんでそんなに楽しそうに喋ってるんだよ、こいつは。
危険だからと思って置いていったのに、結局関わらせちまったなあ……、はあ。
「魔王、そいつが大事なのは分かるが、お前がいる限りこいつは絶対に関わろうとするぞ。諦めろ」
「あ、ああ。そうだな」
デザストレに言われて、俺はただ笑うことしかできなかった。
「だが、魔王よ。調和のやつは帰ったんだな」
「ああ、仕事中に飛び出してきたらしいんでな。大急ぎで帰っていたよ。怒られるって叫びながらな」
「はっ、あいつにはちょうどいいじゃねえか。がっはっはっはっ!」
やれやれ、人の不幸を笑うとか。本当にデザストレとエイミーは仲が悪いんだな。
デザストレを見て笑っていると、ピエラが俺に迫ってくる。
「そうそう、思い出したわ。セイ、一緒にいた女って誰なのよ。答えによっては……」
ピエラが怒った表情を俺に向けてくる。
待て、なんで怒っているんだ。
あまりにも理解しがたいピエラの表情に、俺はただ戸惑うばかりだった、
「お、お前が話していた相手はな、東方帝国の皇帝の秘書をしているエイミーってやつだ。そこのデザストレと同じ人物によって生み出された、まったく正反対の性格の人物さ」
「ふ~ん。デザストレと同じってことは、その人もドラゴン?」
怪しんでやがるな。てか、ドラゴンかどうかは大事なことか?
「いや、エイミーは猫だよ。バカでっかい猫で背中に乗って移動することができるぜ」
「なんですって!?」
ピエラが突然大声を出す。
そうだよ、ピエラは重度のケモナーだ。でかい猫というワードがよろしくなかったか。
「この浮気者ーっ!」
「お、おい。痛え、叩くんじゃねえよ」
大声を上げながら、ピエラはポコポコと握った拳で俺を叩いてくる。いや、マジ痛いんだが?
魔法使いで非力なはずのピエラの拳だが、本当に痛かった。
「ピエラ、そんなことをしている場合じゃねえ。こいつ! こいつの処分を考えないとな」
「こいつ?」
ピエラは俺の向こう側を覗き込むように背伸びをしている。
その視線の先には、今回の騒動の犯人であるヒョウムがのびていた。これで何度目の気絶だろうな、こいつ。
「はは~ん、この魔族が今回の騒動の犯人ね。よっぽどセイにこてんぱんにされたのが悔しかったのね」
「ああ。だからといっても、自分のところの領民を巻き込むような真似は許されたもんじゃない。さすがに純魔族の長からは降りてもらわないといけないな」
「そうね。だったら、私が預からせてもらおうかしら」
「ピエラが?」
にやつくピエラに、俺は顔を引きつらせながら反応する。
「そっ、獣人を見下しているのなら、獣人の下で働いてもらうわ。幸い、私はいろんな魔法を知っているし、ちょちょっと魔法を工夫すれば、この人の魔力を弱めることができるわ」
「お前、ずいぶんとえげつないことを考えてるな」
「だって、魔王討伐に向けていろんな魔法の研究をしてたもの。セイのせいでほとんど試せずじまいだったんだから、ちょうどいい機会だわ」
ピエラは話を終えるとヒョウムの前に立つ。
普段から持ち歩いている杖を取り出すと、ヒョウムの上に差し出し、なにやら魔法の詠唱を始める。
魔法の詠唱をするということは、ピエラが使い慣れない魔法を使うということだ。
ピエラは普段は無詠唱か省略詠唱を使っているので、ここまで長々とした詠唱をすることはないからな。
長々とした詠唱が終わる。
詠唱中閉じていたピエラの目が、カッと勢いよく開く。
「忌まわしき魔力よ。我が魔力によって封じられなさい。シーリング!」
ピエラから放たれた魔力が、ヒョウムの体を包み込んでいく。全身を包み込んだかと思うと、一気に縮まり、まるで網のような模様になっていた。
魔封じの魔法、それがピエラの使った魔法の正体である。
俺は目の前にいるヒョウムの取り扱いを悩んでいる。
俺に対して反乱を起こしたとはいえ、これでも俺の部下であるキリエ、カスミ、コモヤの父親なんだよな。
魔族ってのは血のつながりが希薄とはいうものの、俺は正直扱いに悩む。なにせ元人間だからな。
「はあ、面倒だな。てか、俺一人でどうすんだよ、この状況……」
つくづくいろいろ失敗したなと思いつつ、一人でしばらくその場にたたずむことになってしまったのだった。
ヒョウムを一応暴れられないようにぐるぐる巻きに縛っておいた俺は、その場でしばらくのんびりと誰か来るのを待っていた。
しばらくすると、羽ばたく音が聞こえてきた。この音はデザストレだな。
「よう、デザストレ。やっとやって……?」
地面に降り立ったデザストレを見て、俺はつい言葉が止まってしまう。
なんといってもそこには予想外な人物がいたのだから。
「まったく、戦い方がなってないわね、セイ」
「ピエラ? さっきもだけどなんでいるんだよ」
そう、幼馴染みで俺の魔王としての仕事を手伝ってくれているピエラだった。
ヒョウムの仕掛けた魔法の解除にしても、どうしてこいつがいるのかまったくもって気になって仕方がないというものだぜ。
「セイの行くところ、なにかと面白いことがありそうだもの。だったら首を突っ込んでみるってものでしょ?」
なんでそんなに楽しそうに喋ってるんだよ、こいつは。
危険だからと思って置いていったのに、結局関わらせちまったなあ……、はあ。
「魔王、そいつが大事なのは分かるが、お前がいる限りこいつは絶対に関わろうとするぞ。諦めろ」
「あ、ああ。そうだな」
デザストレに言われて、俺はただ笑うことしかできなかった。
「だが、魔王よ。調和のやつは帰ったんだな」
「ああ、仕事中に飛び出してきたらしいんでな。大急ぎで帰っていたよ。怒られるって叫びながらな」
「はっ、あいつにはちょうどいいじゃねえか。がっはっはっはっ!」
やれやれ、人の不幸を笑うとか。本当にデザストレとエイミーは仲が悪いんだな。
デザストレを見て笑っていると、ピエラが俺に迫ってくる。
「そうそう、思い出したわ。セイ、一緒にいた女って誰なのよ。答えによっては……」
ピエラが怒った表情を俺に向けてくる。
待て、なんで怒っているんだ。
あまりにも理解しがたいピエラの表情に、俺はただ戸惑うばかりだった、
「お、お前が話していた相手はな、東方帝国の皇帝の秘書をしているエイミーってやつだ。そこのデザストレと同じ人物によって生み出された、まったく正反対の性格の人物さ」
「ふ~ん。デザストレと同じってことは、その人もドラゴン?」
怪しんでやがるな。てか、ドラゴンかどうかは大事なことか?
「いや、エイミーは猫だよ。バカでっかい猫で背中に乗って移動することができるぜ」
「なんですって!?」
ピエラが突然大声を出す。
そうだよ、ピエラは重度のケモナーだ。でかい猫というワードがよろしくなかったか。
「この浮気者ーっ!」
「お、おい。痛え、叩くんじゃねえよ」
大声を上げながら、ピエラはポコポコと握った拳で俺を叩いてくる。いや、マジ痛いんだが?
魔法使いで非力なはずのピエラの拳だが、本当に痛かった。
「ピエラ、そんなことをしている場合じゃねえ。こいつ! こいつの処分を考えないとな」
「こいつ?」
ピエラは俺の向こう側を覗き込むように背伸びをしている。
その視線の先には、今回の騒動の犯人であるヒョウムがのびていた。これで何度目の気絶だろうな、こいつ。
「はは~ん、この魔族が今回の騒動の犯人ね。よっぽどセイにこてんぱんにされたのが悔しかったのね」
「ああ。だからといっても、自分のところの領民を巻き込むような真似は許されたもんじゃない。さすがに純魔族の長からは降りてもらわないといけないな」
「そうね。だったら、私が預からせてもらおうかしら」
「ピエラが?」
にやつくピエラに、俺は顔を引きつらせながら反応する。
「そっ、獣人を見下しているのなら、獣人の下で働いてもらうわ。幸い、私はいろんな魔法を知っているし、ちょちょっと魔法を工夫すれば、この人の魔力を弱めることができるわ」
「お前、ずいぶんとえげつないことを考えてるな」
「だって、魔王討伐に向けていろんな魔法の研究をしてたもの。セイのせいでほとんど試せずじまいだったんだから、ちょうどいい機会だわ」
ピエラは話を終えるとヒョウムの前に立つ。
普段から持ち歩いている杖を取り出すと、ヒョウムの上に差し出し、なにやら魔法の詠唱を始める。
魔法の詠唱をするということは、ピエラが使い慣れない魔法を使うということだ。
ピエラは普段は無詠唱か省略詠唱を使っているので、ここまで長々とした詠唱をすることはないからな。
長々とした詠唱が終わる。
詠唱中閉じていたピエラの目が、カッと勢いよく開く。
「忌まわしき魔力よ。我が魔力によって封じられなさい。シーリング!」
ピエラから放たれた魔力が、ヒョウムの体を包み込んでいく。全身を包み込んだかと思うと、一気に縮まり、まるで網のような模様になっていた。
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