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第二章 外側の世界
第322話 転生者、高いところに登る
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謎の魔物たちの襲撃を退けた俺たちは、警戒をしながら二晩を過ごす。
ようやくデイジーの魔力が回復したので、いよいよ木は最終段階を迎えることになる。
「それではいきますよ……」
デイジーがいつも以上に気合いを入れている。
ここで失敗するようなことがあれば、今までの努力が無駄になっちまうからな。
とはいえ、ドライアドのリーフ直伝の魔法だし、デイジーの力があればおそらくは大丈夫だろう。
俺とセイ太、ピエラの三人は、少し離れたところでデイジーの様子を見守っている。
幸いながら、あれ以降に魔物が襲ってくることはなかったが、今で俺たちは警戒を解いてはいない。
安心できるまでは、絶対に解いちゃいけないんだよ。
俺たちが見守る中、いよいよ三段階目の成長を促進する魔法を使い始める。
花まで咲いているのだから、最終段階はおそらく実りだろう。そうなると、俺たちがレーヴェンからもらった種の数が大幅に増えることになる。
これは間違いなく、外の世界の再生の第一歩になるはずだ。
目の前で、デイジーから大量の光が放たれる。これは魔王城でウネが見せたものと同じ光だった。
今までは対象が小さかったのでよく分からなかったが、ここまで成長した木が相手ならば、それはよく目立つというものである。
「セイ、気配がします」
ところが、そうやすやすと成長をさせまいと、先日感じた妙な気配が再び俺たちの元に集いつつあった。
「けっ、すんなりとレーヴェンの樹を定着させないつもりか。やるぞ、セイ太、ピエラ!」
「分かったわ」
「お任せを」
セイ太もピエラもすっかり臨戦態勢だ。
もちろん、俺だってすでに構えている。
さあ、どこからでも来い。この木とデイジーは守り通してやるからよ!
俺たちは、木を取り囲むように三角形に陣取り、相手の出方を窺っている。
「来ます、上空です!」
「なんだと!?」
セイ太の声が響き渡り、俺たちはすっかり不意を突かれてしまった。
前回が半魚人だったので、今回も海からだろうと踏んでいたからだ。
ところが、今回の襲撃は上空からだ。多少の魔法はあるものの、地上戦の方が得意な俺やセイ太では、対応が難しかった。
「ウィンドアロー! ウィンドカッター!」
だが、ピエラが思った以上に冷静だった。
上空からの敵を視認すると、すぐさま魔法を使って撃ち落としていた。
こういう時は魔法が得意な人物が非常に頼りになる。
「私が魔法で撃ち落とすから、落ちてきた連中の相手をお願い」
「分かったぜ」
ピエラの作戦に、俺たちは乗る。
なんといってもピエラは魔法のエキスパートだ。ピエラが狙えば追尾機能でもあるじゃないかってくらい正確に魔法を当ててくれるからな。
俺はセイ太にも確認して、地上に落ちてくる魔物の相手をすることにした。
「どりゃあっ!」
「グギャアアッ!」
「えいっ!」
「ゲルルル……」
ピエラの魔法によって地上に落ちてきた魔物たちに、俺たちの拳や蹴りが炸裂する。
ピエラの魔法はかなり威力が高いので、食らった魔物たちはまったく身動きが取れなくなっているから、タイミングよく攻撃を当ててやればそのまま倒せてしまう。
「ラストよ、お願いね」
「オッケー!」
ピエラの声に俺たちは身構える。
「ウィンドツイスター!」
最後はトルネードじゃなくてツイスターかよ。
でも、よく見てみれば、ただ単に風がらせんを描いて上空に上がっていくだけだ。確かに竜巻とはわけが違うな。
「グギャギャッ!」
魔物はあえなく旋風に巻き込まれ、翼をズタズタにされて落下してくる。
「いくぞ、セイ太」
「はい、セイ」
落下してくる魔物に対して、タイミングよく攻撃を仕掛けるために、セイ太に呼び掛ける。
「これで」
「終わりです!」
俺たちの拳が、同時に落下してきた魔物に命中する。
さすがに二人同時に放った拳なので、魔物はどこまでも吹き飛んでいく。
何度か海面で跳ねた後、そのまま力なく海中へと沈んでいってしまった。
「完全勝利!」
すべての魔物を倒し終えると、ほぼ同時にデイジーの魔法が完了する。
さすがに最終段階だったらしく、相当に時間がかかってしまっていたようだ。
「っと、あぶねえ」
魔力をかなり使ってしまったデイジーがふらついている。
その姿を見た瞬間、俺は支えるために駆け出していた。
「っと、セーフ。よく頑張ったな、デイジー」
「はい、頑張りました。これで実っていれば成功です」
「ああ、今から確認するからゆっくり休んでいろ」
「はい」
俺が声をかけると、デイジーはにっこりと微笑んでいた。
「それじゃ、私とセイ太で面倒を見てるから、確認をお願いね、セイ」
「ああ、ちょっと待ってろ。上まで登って確認してくるぜ」
とんとんと二度飛び跳ねると、俺は一気に木をよじ登っていく。
よく思えば木登りなんかしたことなんだが、どうして過去の時ばかりは登りたくて仕方がなかった。
「おお、すげぇ……。これが猛毒に包まれた世界だなんて信じられねえな」
気が付いたら木のてっぺんまで登っていた俺は、そこから見える景色を堪能していた。
空は曇ってはいるものの、周辺の様子がしっかり見える。
「ここが終われば、次はあそこか」
辺りを見回すと、少し離れてはいるものの、大きめの陸地が目に入った。
次の目標を見定めた俺は、木の実を回収して地上へと降りていったのだった。
ようやくデイジーの魔力が回復したので、いよいよ木は最終段階を迎えることになる。
「それではいきますよ……」
デイジーがいつも以上に気合いを入れている。
ここで失敗するようなことがあれば、今までの努力が無駄になっちまうからな。
とはいえ、ドライアドのリーフ直伝の魔法だし、デイジーの力があればおそらくは大丈夫だろう。
俺とセイ太、ピエラの三人は、少し離れたところでデイジーの様子を見守っている。
幸いながら、あれ以降に魔物が襲ってくることはなかったが、今で俺たちは警戒を解いてはいない。
安心できるまでは、絶対に解いちゃいけないんだよ。
俺たちが見守る中、いよいよ三段階目の成長を促進する魔法を使い始める。
花まで咲いているのだから、最終段階はおそらく実りだろう。そうなると、俺たちがレーヴェンからもらった種の数が大幅に増えることになる。
これは間違いなく、外の世界の再生の第一歩になるはずだ。
目の前で、デイジーから大量の光が放たれる。これは魔王城でウネが見せたものと同じ光だった。
今までは対象が小さかったのでよく分からなかったが、ここまで成長した木が相手ならば、それはよく目立つというものである。
「セイ、気配がします」
ところが、そうやすやすと成長をさせまいと、先日感じた妙な気配が再び俺たちの元に集いつつあった。
「けっ、すんなりとレーヴェンの樹を定着させないつもりか。やるぞ、セイ太、ピエラ!」
「分かったわ」
「お任せを」
セイ太もピエラもすっかり臨戦態勢だ。
もちろん、俺だってすでに構えている。
さあ、どこからでも来い。この木とデイジーは守り通してやるからよ!
俺たちは、木を取り囲むように三角形に陣取り、相手の出方を窺っている。
「来ます、上空です!」
「なんだと!?」
セイ太の声が響き渡り、俺たちはすっかり不意を突かれてしまった。
前回が半魚人だったので、今回も海からだろうと踏んでいたからだ。
ところが、今回の襲撃は上空からだ。多少の魔法はあるものの、地上戦の方が得意な俺やセイ太では、対応が難しかった。
「ウィンドアロー! ウィンドカッター!」
だが、ピエラが思った以上に冷静だった。
上空からの敵を視認すると、すぐさま魔法を使って撃ち落としていた。
こういう時は魔法が得意な人物が非常に頼りになる。
「私が魔法で撃ち落とすから、落ちてきた連中の相手をお願い」
「分かったぜ」
ピエラの作戦に、俺たちは乗る。
なんといってもピエラは魔法のエキスパートだ。ピエラが狙えば追尾機能でもあるじゃないかってくらい正確に魔法を当ててくれるからな。
俺はセイ太にも確認して、地上に落ちてくる魔物の相手をすることにした。
「どりゃあっ!」
「グギャアアッ!」
「えいっ!」
「ゲルルル……」
ピエラの魔法によって地上に落ちてきた魔物たちに、俺たちの拳や蹴りが炸裂する。
ピエラの魔法はかなり威力が高いので、食らった魔物たちはまったく身動きが取れなくなっているから、タイミングよく攻撃を当ててやればそのまま倒せてしまう。
「ラストよ、お願いね」
「オッケー!」
ピエラの声に俺たちは身構える。
「ウィンドツイスター!」
最後はトルネードじゃなくてツイスターかよ。
でも、よく見てみれば、ただ単に風がらせんを描いて上空に上がっていくだけだ。確かに竜巻とはわけが違うな。
「グギャギャッ!」
魔物はあえなく旋風に巻き込まれ、翼をズタズタにされて落下してくる。
「いくぞ、セイ太」
「はい、セイ」
落下してくる魔物に対して、タイミングよく攻撃を仕掛けるために、セイ太に呼び掛ける。
「これで」
「終わりです!」
俺たちの拳が、同時に落下してきた魔物に命中する。
さすがに二人同時に放った拳なので、魔物はどこまでも吹き飛んでいく。
何度か海面で跳ねた後、そのまま力なく海中へと沈んでいってしまった。
「完全勝利!」
すべての魔物を倒し終えると、ほぼ同時にデイジーの魔法が完了する。
さすがに最終段階だったらしく、相当に時間がかかってしまっていたようだ。
「っと、あぶねえ」
魔力をかなり使ってしまったデイジーがふらついている。
その姿を見た瞬間、俺は支えるために駆け出していた。
「っと、セーフ。よく頑張ったな、デイジー」
「はい、頑張りました。これで実っていれば成功です」
「ああ、今から確認するからゆっくり休んでいろ」
「はい」
俺が声をかけると、デイジーはにっこりと微笑んでいた。
「それじゃ、私とセイ太で面倒を見てるから、確認をお願いね、セイ」
「ああ、ちょっと待ってろ。上まで登って確認してくるぜ」
とんとんと二度飛び跳ねると、俺は一気に木をよじ登っていく。
よく思えば木登りなんかしたことなんだが、どうして過去の時ばかりは登りたくて仕方がなかった。
「おお、すげぇ……。これが猛毒に包まれた世界だなんて信じられねえな」
気が付いたら木のてっぺんまで登っていた俺は、そこから見える景色を堪能していた。
空は曇ってはいるものの、周辺の様子がしっかり見える。
「ここが終われば、次はあそこか」
辺りを見回すと、少し離れてはいるものの、大きめの陸地が目に入った。
次の目標を見定めた俺は、木の実を回収して地上へと降りていったのだった。
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