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第二章 外側の世界
第366話 転生者、現状の問題をまとめる
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筋肉野郎を退けた俺たちは、北東のレーヴェンの樹から転移する。
念のためにレーヴェンの樹を定着させてから出発して正解だったぜ。何が起こるか、何が役に立つ変わらないってもんだ。
白い光の空間に戻ってきた時、レーヴェンが心配そうに俺たちに駆け寄ってきた。
「ああ、よかった、無事だったのですね」
「レーヴェン、一体何があったんだ」
駆け寄ってきたレーヴェンに俺は状況を確認する。
最初に出入りしていたレーヴェンの樹が枯れていたという現実がどうしても受け入れられないからだ。
「レーヴェン様、なぜ樹が枯れてしまったのですか? もしかして今回の出発地点が変わっていたことに関係があるのですか?」
セイ太に抱えられていたデイジーが、俺に駆け寄りながらレーヴェンに質問をしている。
だが、これにはレーヴェンはすぐには答えなかった。おそらく、レーヴェン自身もショックを受けているのだろう。
「なるほど、リヒテルが言っていたガーゴイルというあの変態紳士のせいか……」
「リヒテルに……リヒテルに会ったのですか?!」
俺がリヒテルの名を出せば、レーヴェンが激しく動揺して反応する。
「ああ、東の大陸にあったサージェント遺跡の地下でな。あそこではまだ外の世界の人物たちが生き残っていた。あいつらを生かすために、あそこに留まり続けているって感じだったな」
俺はリヒテルに会った時の印象をそのまま伝える。
俺の報告を聞いて、レーヴェンはほっとしたような表情を浮かべていた。
全身が真っ白に発光しているのでよく分からないが、なんとなくだがそんな気がする。
しばらくの沈黙が続いたのち、ようやくレーヴェンが話をし始めた。
「先程のデイジーの質問に答えましょう。出発地点が変わってしまった理由は、実にその通りのなのです」
つまり、レーヴェンの樹が枯れてしまい、使えなくなってしまったので出発地点をやむなく変更したのだという。
元々最初のレーヴェンの樹はかなり疲弊していた。なので、いずれ枯れることは想定していたそうだ。その時は魔王領の湖底洞窟の神殿の力を借りるつもりだったらしい。
だが、レーヴェンにとっては嬉しい誤算があった。
それが、俺が出発前にデイジーにレーヴェンの樹を定着させるように頼んだことである。
若いレーヴェンの樹であるなら、現在世界を覆い尽くしている毒素に簡単に負けることはないからだ。それこそ、今回俺たちが戦ったヘルプワゾンとか名乗る筋肉野郎でも簡単に近付けないくらいらしい。
つまり、出発前に違和感を覚えて定着させるように頼んだのは、結果的にレーヴェンの助けとなったようだった。
こういう時の獣人の勘って、マジでシャレにならないくらい有能だな。
俺は自分で自分の能力が恐ろしく感じてしまった。
ふと視線に気が付いてセイ太の方を見ると、セイ太がどうですかといわんばかりにドヤ顔を決めていた。
……そういえば、俺が獣人化した原因ってセイ太だったな。なるほど、自分の手柄だから褒めてくれっていうわけか。ちゃっかりしてんな。
むふーっと得意げな顔をするセイ太に近付き、俺は頭をよしよしと撫でてやる。セイ太は昔の犬時代のように、にんまりと嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
「それにしても、あの筋肉野郎……ヘルプワゾンとか名乗ってたか。あいつがこのケオス大陸に近付けたのも、変態紳士……ガーゴイルがレーヴェンの樹を枯らしたからなのか」
「はい。まさか枯らされるほどに弱っていたとは思いませんでした。これはひとえに私の不注意です。本当に申し訳ございませんでした」
神の使徒にあたるレーヴェンが、俺たちに頭を下げて謝罪している。なんとも意外な光景だった。
「レーヴェン様、頭を上げて下さい。何もレーヴェン様が悪いわけではありませんよ」
「そうね。あいつらが私たちに執着してしつこかったのが一番の原因だわ。すぐにでも復活させて、あいつを近付けさせない安全地帯を復活させないと……」
デイジーは一生懸命レーヴェンの落ち着かせ、ピエラが次の手を練り始めている。
「でも、今外に出るのは危険です。今帰ってきたレーヴェンの樹の影響範囲もよく分かりませんし、あいつの目に入れば、多少のケガなんてお構いなしに襲い掛かってきますよ」
「確かにそうだな。あいつ、種の力に焼かれても襲い掛かってきてからな」
今思い出してもぞっとする光景だった。すぐさま回復していたから、あいつの底なしの体力というものが恐ろしく感じられる。
いろいろな状況の総合的判断から、俺たちは一度中に戻ってしばらく休んだ方がいいと判断する。
今回出ていた期間を考えれば、ちょうどいい感じで武闘大会は終わっているだろうからな。
俺たちの外の世界の再生計画は順調に進んでいるように思えるが、同時に多くの問題を抱えている。
レーヴェンの樹が増えるにつれて、外の世界を実質支配している連中の抵抗は増していくからだ。
老齢となったレーヴェンの樹をその気になれば枯らさせることができるというのも、十分に脅威というもの。
これから激しさを増していくだろう奴らの抵抗に、俺たちはどう立ち向かえばいいのだろうか。新たな課題が浮上したのだった。
念のためにレーヴェンの樹を定着させてから出発して正解だったぜ。何が起こるか、何が役に立つ変わらないってもんだ。
白い光の空間に戻ってきた時、レーヴェンが心配そうに俺たちに駆け寄ってきた。
「ああ、よかった、無事だったのですね」
「レーヴェン、一体何があったんだ」
駆け寄ってきたレーヴェンに俺は状況を確認する。
最初に出入りしていたレーヴェンの樹が枯れていたという現実がどうしても受け入れられないからだ。
「レーヴェン様、なぜ樹が枯れてしまったのですか? もしかして今回の出発地点が変わっていたことに関係があるのですか?」
セイ太に抱えられていたデイジーが、俺に駆け寄りながらレーヴェンに質問をしている。
だが、これにはレーヴェンはすぐには答えなかった。おそらく、レーヴェン自身もショックを受けているのだろう。
「なるほど、リヒテルが言っていたガーゴイルというあの変態紳士のせいか……」
「リヒテルに……リヒテルに会ったのですか?!」
俺がリヒテルの名を出せば、レーヴェンが激しく動揺して反応する。
「ああ、東の大陸にあったサージェント遺跡の地下でな。あそこではまだ外の世界の人物たちが生き残っていた。あいつらを生かすために、あそこに留まり続けているって感じだったな」
俺はリヒテルに会った時の印象をそのまま伝える。
俺の報告を聞いて、レーヴェンはほっとしたような表情を浮かべていた。
全身が真っ白に発光しているのでよく分からないが、なんとなくだがそんな気がする。
しばらくの沈黙が続いたのち、ようやくレーヴェンが話をし始めた。
「先程のデイジーの質問に答えましょう。出発地点が変わってしまった理由は、実にその通りのなのです」
つまり、レーヴェンの樹が枯れてしまい、使えなくなってしまったので出発地点をやむなく変更したのだという。
元々最初のレーヴェンの樹はかなり疲弊していた。なので、いずれ枯れることは想定していたそうだ。その時は魔王領の湖底洞窟の神殿の力を借りるつもりだったらしい。
だが、レーヴェンにとっては嬉しい誤算があった。
それが、俺が出発前にデイジーにレーヴェンの樹を定着させるように頼んだことである。
若いレーヴェンの樹であるなら、現在世界を覆い尽くしている毒素に簡単に負けることはないからだ。それこそ、今回俺たちが戦ったヘルプワゾンとか名乗る筋肉野郎でも簡単に近付けないくらいらしい。
つまり、出発前に違和感を覚えて定着させるように頼んだのは、結果的にレーヴェンの助けとなったようだった。
こういう時の獣人の勘って、マジでシャレにならないくらい有能だな。
俺は自分で自分の能力が恐ろしく感じてしまった。
ふと視線に気が付いてセイ太の方を見ると、セイ太がどうですかといわんばかりにドヤ顔を決めていた。
……そういえば、俺が獣人化した原因ってセイ太だったな。なるほど、自分の手柄だから褒めてくれっていうわけか。ちゃっかりしてんな。
むふーっと得意げな顔をするセイ太に近付き、俺は頭をよしよしと撫でてやる。セイ太は昔の犬時代のように、にんまりと嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
「それにしても、あの筋肉野郎……ヘルプワゾンとか名乗ってたか。あいつがこのケオス大陸に近付けたのも、変態紳士……ガーゴイルがレーヴェンの樹を枯らしたからなのか」
「はい。まさか枯らされるほどに弱っていたとは思いませんでした。これはひとえに私の不注意です。本当に申し訳ございませんでした」
神の使徒にあたるレーヴェンが、俺たちに頭を下げて謝罪している。なんとも意外な光景だった。
「レーヴェン様、頭を上げて下さい。何もレーヴェン様が悪いわけではありませんよ」
「そうね。あいつらが私たちに執着してしつこかったのが一番の原因だわ。すぐにでも復活させて、あいつを近付けさせない安全地帯を復活させないと……」
デイジーは一生懸命レーヴェンの落ち着かせ、ピエラが次の手を練り始めている。
「でも、今外に出るのは危険です。今帰ってきたレーヴェンの樹の影響範囲もよく分かりませんし、あいつの目に入れば、多少のケガなんてお構いなしに襲い掛かってきますよ」
「確かにそうだな。あいつ、種の力に焼かれても襲い掛かってきてからな」
今思い出してもぞっとする光景だった。すぐさま回復していたから、あいつの底なしの体力というものが恐ろしく感じられる。
いろいろな状況の総合的判断から、俺たちは一度中に戻ってしばらく休んだ方がいいと判断する。
今回出ていた期間を考えれば、ちょうどいい感じで武闘大会は終わっているだろうからな。
俺たちの外の世界の再生計画は順調に進んでいるように思えるが、同時に多くの問題を抱えている。
レーヴェンの樹が増えるにつれて、外の世界を実質支配している連中の抵抗は増していくからだ。
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