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新章 青色の智姫
第345話 完成と代償
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まぶしい光が辺りを包み込んだかと思うと、徐々に光がおさまってくる。
しかし、あまりにも強い光だったために、しばらくは誰も目が開けられたものではなかった。
「いったぁ~……。これほどまでのエネルギーがあるとは思ってもみなかったわ」
最初に回復したのはチェリシアだった。さすがは異世界からの転生者、回復力においても化け物だった。
「な、なんだったんですかね、今の光は……」
続けて回復したのはシアンである。
最初から平気だったスミレを除いた全員が、まだ目を開けられない状態が続いていた。どれだけ強力な光だったのかと、シアンとチェリシアは再認識させられる。
「私たちの魔力もあまり残っていないから、回復できないわね。みんなには悪いけれど、しばらく我慢してもらうしかないわ」
「こんなに魔力を持っていかれるって、どれだけなんでしょうかね」
「さあね。実際の炭素圧縮でもかなりのパワーがいることは分かっていたし、魔法でやろうとしたらこんなに苦労するものだとは思ってもみなかったわ」
チェリシアは一歩前に歩み出て、スノーグリズリーの内臓の燃えカスのあった場所に近付いていく。
そこには、キラキラと輝くチェリシアの拳より一回りほど小さな物体が転がっていた。
「人工ダイヤモンドが完成したわね。見て、この輝き」
チェリシアは拾い上げて、シアンへと見せる。
「す、すごい……。あのグロテスクだったものが、こんな美しいものになるなんて……」
あまりの変貌具合に、シアンは驚きを隠せなかった。
「し、シアン様。一体どんな感じなのですか? 私も見たいです」
ヒスイはまだ目が開けられないでいた。
他の人たちもまだ目が開けられないでいる。
「ああ、これは失明しちゃったかしらね。あれだけまぶしかったんだもの。耐性がなければ視力が吹き飛んでいてもおかしくないわ」
チェリシアは淡々と怖いことを言っていた。この場にいた全員が、もう目が見えなくなっているとか軽く大惨事である。
その混乱具合を見たスミレは、はあっと大きなため息をついた。
「仕方ありませんね。今回のことは貸しですよ、チェリシア様」
「しょうがないわね。まっ、シアンのためだったらちょっとくらいお呼ばれしてあげるから、何かあったら呼んでちょうだい」
スミレの提案をのむチェリシアである。
次の瞬間、スミレが力を使うと、解体場にいた全員の状態が回復していく。
時間を操る力で光にさらされる前の状態へと目の状態を回復させたのである。まさに原状回復である。
「おお、目が開く、目が見える。すごいぞ!」
「ああ、目が見えるってこんなに素晴らしいことだったんだな!」
解体場にいた兵士たちが歓喜に打ち震えていた。
同じように巻き込まれていたヒスイとコハクも、目が見えることに嬉しくなったようである。
「今の力は……」
それ以上に気になったのがスミレの力だった。
「これが時の幻獣の力ですよ。少しくらいの時間なら、巻き戻すことができるのです」
「時を巻き戻す……。時を司る者だけに使える力、これがそうなのですね」
ヒスイは目の周りを忙しく触りながら、時の幻獣の力を実感していた。
その隣では、拾い上げた人工ダイヤモンドをシアンに渡すチェリシアの姿があった。
「はい、これが求めていたものよ。あなたたちの願い、叶うといいわね」
「はい、ありがとうございます、チェリシア様」
きれいな球体のダイヤモンドを手にして、シアンはチェリシアに対して頭を深々と下げていた。
「さてと、さすがに魔力がほとんど空っぽになってしまったわ。これじゃアイヴォリーに戻れないから、今日は泊めてもらえるか交渉しなくっちゃね」
チェリシアは右手を腰に当てながら、そんなことを言い出していた。あまりにも図太いチェリシアの態度に、シアンたちはくすくすと笑っていた。
「了承ですよ」
チェリシアの宿泊は、即答で認められたのだった。
解体場からパールのところへやって来たシアンたちだったが、何も言っていないのにこれだから目がまんまるになって固まってしまった。
「解体場からあふれ出る光が見えましたからね。あれは魔力が暴発した結果です。文献によると、アトランティス帝国の消滅した時にも、眩い光が発生したそうです。なんでも今いる場所から観測できたそうですからね」
パールから聞かされた話を聞いて、驚いているシアンたちは追い打ちをかけられてしまった。
ムー王国のお城からアイヴォリー王国の奇跡の湖まではかなりの距離がある上に、間にはたくさんの山が連なっている。マゼンダ侯爵領の氷山エリアだって挟まっている。
それだけの視界を遮る条件が揃っているというのに、光が観測できたということは、それだけ強烈な光が空中に放たれたというわけだ。アトランティス帝国の帝都が跡形もなく吹き飛ぶことに納得がいくというものだった。
「今日のところはお疲れでしょうから、シアン王女もチェリシアも、もう休まれた方がいいですよ」
「お気遣い、ありがとうございます。では、今日のところは失礼させて頂きます」
パールから気を遣ってもらったので、シアンたちはおとなしく言葉に従うことにした。
ひとまず、目的とする宝石の作製に成功したのだ。今日のところはこれで満足するシアンなのであった。
しかし、あまりにも強い光だったために、しばらくは誰も目が開けられたものではなかった。
「いったぁ~……。これほどまでのエネルギーがあるとは思ってもみなかったわ」
最初に回復したのはチェリシアだった。さすがは異世界からの転生者、回復力においても化け物だった。
「な、なんだったんですかね、今の光は……」
続けて回復したのはシアンである。
最初から平気だったスミレを除いた全員が、まだ目を開けられない状態が続いていた。どれだけ強力な光だったのかと、シアンとチェリシアは再認識させられる。
「私たちの魔力もあまり残っていないから、回復できないわね。みんなには悪いけれど、しばらく我慢してもらうしかないわ」
「こんなに魔力を持っていかれるって、どれだけなんでしょうかね」
「さあね。実際の炭素圧縮でもかなりのパワーがいることは分かっていたし、魔法でやろうとしたらこんなに苦労するものだとは思ってもみなかったわ」
チェリシアは一歩前に歩み出て、スノーグリズリーの内臓の燃えカスのあった場所に近付いていく。
そこには、キラキラと輝くチェリシアの拳より一回りほど小さな物体が転がっていた。
「人工ダイヤモンドが完成したわね。見て、この輝き」
チェリシアは拾い上げて、シアンへと見せる。
「す、すごい……。あのグロテスクだったものが、こんな美しいものになるなんて……」
あまりの変貌具合に、シアンは驚きを隠せなかった。
「し、シアン様。一体どんな感じなのですか? 私も見たいです」
ヒスイはまだ目が開けられないでいた。
他の人たちもまだ目が開けられないでいる。
「ああ、これは失明しちゃったかしらね。あれだけまぶしかったんだもの。耐性がなければ視力が吹き飛んでいてもおかしくないわ」
チェリシアは淡々と怖いことを言っていた。この場にいた全員が、もう目が見えなくなっているとか軽く大惨事である。
その混乱具合を見たスミレは、はあっと大きなため息をついた。
「仕方ありませんね。今回のことは貸しですよ、チェリシア様」
「しょうがないわね。まっ、シアンのためだったらちょっとくらいお呼ばれしてあげるから、何かあったら呼んでちょうだい」
スミレの提案をのむチェリシアである。
次の瞬間、スミレが力を使うと、解体場にいた全員の状態が回復していく。
時間を操る力で光にさらされる前の状態へと目の状態を回復させたのである。まさに原状回復である。
「おお、目が開く、目が見える。すごいぞ!」
「ああ、目が見えるってこんなに素晴らしいことだったんだな!」
解体場にいた兵士たちが歓喜に打ち震えていた。
同じように巻き込まれていたヒスイとコハクも、目が見えることに嬉しくなったようである。
「今の力は……」
それ以上に気になったのがスミレの力だった。
「これが時の幻獣の力ですよ。少しくらいの時間なら、巻き戻すことができるのです」
「時を巻き戻す……。時を司る者だけに使える力、これがそうなのですね」
ヒスイは目の周りを忙しく触りながら、時の幻獣の力を実感していた。
その隣では、拾い上げた人工ダイヤモンドをシアンに渡すチェリシアの姿があった。
「はい、これが求めていたものよ。あなたたちの願い、叶うといいわね」
「はい、ありがとうございます、チェリシア様」
きれいな球体のダイヤモンドを手にして、シアンはチェリシアに対して頭を深々と下げていた。
「さてと、さすがに魔力がほとんど空っぽになってしまったわ。これじゃアイヴォリーに戻れないから、今日は泊めてもらえるか交渉しなくっちゃね」
チェリシアは右手を腰に当てながら、そんなことを言い出していた。あまりにも図太いチェリシアの態度に、シアンたちはくすくすと笑っていた。
「了承ですよ」
チェリシアの宿泊は、即答で認められたのだった。
解体場からパールのところへやって来たシアンたちだったが、何も言っていないのにこれだから目がまんまるになって固まってしまった。
「解体場からあふれ出る光が見えましたからね。あれは魔力が暴発した結果です。文献によると、アトランティス帝国の消滅した時にも、眩い光が発生したそうです。なんでも今いる場所から観測できたそうですからね」
パールから聞かされた話を聞いて、驚いているシアンたちは追い打ちをかけられてしまった。
ムー王国のお城からアイヴォリー王国の奇跡の湖まではかなりの距離がある上に、間にはたくさんの山が連なっている。マゼンダ侯爵領の氷山エリアだって挟まっている。
それだけの視界を遮る条件が揃っているというのに、光が観測できたということは、それだけ強烈な光が空中に放たれたというわけだ。アトランティス帝国の帝都が跡形もなく吹き飛ぶことに納得がいくというものだった。
「今日のところはお疲れでしょうから、シアン王女もチェリシアも、もう休まれた方がいいですよ」
「お気遣い、ありがとうございます。では、今日のところは失礼させて頂きます」
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ひとまず、目的とする宝石の作製に成功したのだ。今日のところはこれで満足するシアンなのであった。
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