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第四章 ロゼリア10歳
第54話 暗い空
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翌日、チェリシアが魔物の討伐に慣れたという事で、目的地への移動を再開する。
夜は晴れていたというのに、この日の空は雨でも降り始めそうなくらい雲が重く立ち込めていた。
「エアリアルボードは、雨が降っても大丈夫なの?」
ロゼリアが心配そうに尋ねてくる。
「うん、大丈夫よ」
チェリシアは自信たっぷりに答える。
まずはエアリアルボードを作り出して、三人とも乗る。次に風や飛来物から身を守る防御壁を展開。
「この防御障壁が雨を防いでくれるの」
チェリシアは笑顔で答えた。
野営地にはゴミの一つも残さず、エアリアルボードは地面から浮き上がる。浮いたところで、改めて方角を確認する。
方角を確認したところで、エアリアルボードを目的地に向けて移動させ始める。
エアリアルボードと名乗ってはいるが、実際の形は船に近い。とはいえ空気の塊なので、正確にその形を見る事はできない。ただ、塊の部分の空気は周りと違って景色がぼやけているので、どうにか乗れる場所を確認できるのだ。
「空気の密度の違いによる、光の屈折率の違いですね」
チェリシアに聞くと、こんな返答があった。うん、まったく分からない。
「眼鏡やガラスを想像すると分かりやすいですよ」
こう言われて、なんとなく分かった気がしたロゼリアである。ちなみにペシエラは分かっていない。
そんなこんなで三日目もどんどん進んで行く。
途中からはついに雨が降り始めてきたが、防御壁のおかげで雨は弾かれて濡れる事は無かった。
「不思議な光景ね……」
雨が弾かれていく様子に、ロゼリアは眺めながら呟いた、
エアリアルボードでの移動の速度はかなり速いために、目の前には崖のような斜面の場所が見えるようになってきた。あれが、シェリアとカイスを隔てる斜面である。
「崖は登ってしまっておきましょう。あの下では土砂崩れに巻き込まれかねません」
ロゼリアの提案で、チェリシアは魔力を込めて、エアリアルボードの高度を上げていく。最初の五十メートルから、倍の百メートルほどに上げた。おかげで雨模様であるにも関わらずより遠くまでが見える。二日前に近くを通ったシクラメアの街すら見える。
「カイスの村は……、まだ見えませんわね」
ペシエラが地図と見比べながら確認する。崖の上の村である上に、手前には森もあるせいで見えなかった。
この日は、崖の上まで上がって、少し入った所で野営となった。魔石による結界に更に防御結界を張って、雨にもぬかるみにも悩まされない場所を作る。都合のいい森まではまだ距離があったので仕方なかった。
雨の降る中の台地上の平地であるにも関わらず、快適な野営となった。
翌日もひたすらカイスの村を目指して進んでいく。夜中のうちに雨は上がったものの、空は重く垂れ込めたままだ。
「思ったより高さがないわね」
「あっ、気が付きました?」
ロゼリアの呟きに、チェリシアが反応した。
「実は台地の上に上がった事で、空気が希薄になってしまって、必要な空気が足りないんです。これ以上上がってしまうと、人を乗せていられるだけの密度が確保できないんですよ」
「希薄? えっ、足りなくなる?」
チェリシアは説明するが、ロゼリアたちは理解できなかった。
とはいえ、これでも地面から四十五メートルの高さだ。実は前日の百メートル時より視点は上がっているのだが、その分だけ標高が上がったという事になる。
チェリシアはエアリアルボードを操ってカイスを目指す。途中にある森は十分に飛び越えられる高さなので、そのまま森を飛び越えていく。
途中でフォレストバードが襲ってきたが、ロゼリアが風魔法で撃退。チェリシアは平気なようなのでそのまま進んで行く。
間にもう一泊挟んで、王都を出発してから五日目にして、遠くの眼下にカイスの村が見え始めてきたのだった。
「目的地が見えてきたわ」
ロゼリアたちの顔は明るいが、対照的に空は暗い雲が立ち込めたままだった。
夜は晴れていたというのに、この日の空は雨でも降り始めそうなくらい雲が重く立ち込めていた。
「エアリアルボードは、雨が降っても大丈夫なの?」
ロゼリアが心配そうに尋ねてくる。
「うん、大丈夫よ」
チェリシアは自信たっぷりに答える。
まずはエアリアルボードを作り出して、三人とも乗る。次に風や飛来物から身を守る防御壁を展開。
「この防御障壁が雨を防いでくれるの」
チェリシアは笑顔で答えた。
野営地にはゴミの一つも残さず、エアリアルボードは地面から浮き上がる。浮いたところで、改めて方角を確認する。
方角を確認したところで、エアリアルボードを目的地に向けて移動させ始める。
エアリアルボードと名乗ってはいるが、実際の形は船に近い。とはいえ空気の塊なので、正確にその形を見る事はできない。ただ、塊の部分の空気は周りと違って景色がぼやけているので、どうにか乗れる場所を確認できるのだ。
「空気の密度の違いによる、光の屈折率の違いですね」
チェリシアに聞くと、こんな返答があった。うん、まったく分からない。
「眼鏡やガラスを想像すると分かりやすいですよ」
こう言われて、なんとなく分かった気がしたロゼリアである。ちなみにペシエラは分かっていない。
そんなこんなで三日目もどんどん進んで行く。
途中からはついに雨が降り始めてきたが、防御壁のおかげで雨は弾かれて濡れる事は無かった。
「不思議な光景ね……」
雨が弾かれていく様子に、ロゼリアは眺めながら呟いた、
エアリアルボードでの移動の速度はかなり速いために、目の前には崖のような斜面の場所が見えるようになってきた。あれが、シェリアとカイスを隔てる斜面である。
「崖は登ってしまっておきましょう。あの下では土砂崩れに巻き込まれかねません」
ロゼリアの提案で、チェリシアは魔力を込めて、エアリアルボードの高度を上げていく。最初の五十メートルから、倍の百メートルほどに上げた。おかげで雨模様であるにも関わらずより遠くまでが見える。二日前に近くを通ったシクラメアの街すら見える。
「カイスの村は……、まだ見えませんわね」
ペシエラが地図と見比べながら確認する。崖の上の村である上に、手前には森もあるせいで見えなかった。
この日は、崖の上まで上がって、少し入った所で野営となった。魔石による結界に更に防御結界を張って、雨にもぬかるみにも悩まされない場所を作る。都合のいい森まではまだ距離があったので仕方なかった。
雨の降る中の台地上の平地であるにも関わらず、快適な野営となった。
翌日もひたすらカイスの村を目指して進んでいく。夜中のうちに雨は上がったものの、空は重く垂れ込めたままだ。
「思ったより高さがないわね」
「あっ、気が付きました?」
ロゼリアの呟きに、チェリシアが反応した。
「実は台地の上に上がった事で、空気が希薄になってしまって、必要な空気が足りないんです。これ以上上がってしまうと、人を乗せていられるだけの密度が確保できないんですよ」
「希薄? えっ、足りなくなる?」
チェリシアは説明するが、ロゼリアたちは理解できなかった。
とはいえ、これでも地面から四十五メートルの高さだ。実は前日の百メートル時より視点は上がっているのだが、その分だけ標高が上がったという事になる。
チェリシアはエアリアルボードを操ってカイスを目指す。途中にある森は十分に飛び越えられる高さなので、そのまま森を飛び越えていく。
途中でフォレストバードが襲ってきたが、ロゼリアが風魔法で撃退。チェリシアは平気なようなのでそのまま進んで行く。
間にもう一泊挟んで、王都を出発してから五日目にして、遠くの眼下にカイスの村が見え始めてきたのだった。
「目的地が見えてきたわ」
ロゼリアたちの顔は明るいが、対照的に空は暗い雲が立ち込めたままだった。
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