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第四章 ロゼリア10歳
第67話 魔石確保
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チェリシアが目を覚ますまでの間、プラウスたちはカイスの村に滞在する事になった。
村長の家で話をした後、ロゼリアたちはプラウスに連れられてとある場所へと案内された。
案内された場所でロゼリアたちが目にしたのは、たくさんの魔石と素材の山だった。そう、魔物氾濫の魔物たちの成れの果てである。
中でも一際目を引いたのが、厄災の暗龍の魔石だ。不完全であったがために、魔石以外の部位は役にも立たないゴミという判断だったが、魔石の大きさは村の家の一室にも匹敵する、とんでもない大きさとなっていた。
「君たちの功績だからな、まずは君たちが選んでくれ。残った素材は村と山分けにするつもりだ」
プラウスはロゼリアたちを見る。
「そうですね。多くは商会の商品に使いますけれど、厄災の暗龍の魔石は……持ち運ぶだけで大変ですね」
「お姉様の収納魔法でないと、持ち運べませんわ」
ロゼリアとペシエラがそれぞれに、厄災の暗龍の魔石を見て言葉を漏らした。
「しかし、よくこれをここまで運んで来れましたね」
「縄を括り付けて、馬と腕力自慢を集めても大変だったよ。丸太を用意してその上を滑らせて運んだんだ」
なんとも原始的な運び方である。魔法使いが居なければ、このような方法になるのも無理はない話だ。
しかし、改めて見てもなんとも大きな魔石である。これだけの大きさがあれば、どの程度の規模の魔法をどれだけ持続できるか、実に興味をそそられる。
だが一方で、不安もある。この魔石が力を失った時、一体代替にどれ程の量の魔石が必要になるのか。まったく想像できない話だ。
不安はこれだけにとどまらない。この非常識な大きさの魔石の存在が知られてしまえば、最悪は争いの火種になりかねない。隠し通すにも一領主であるプラウスには荷の重い話である。不安は尽きない。
そんなわけで、大きな魔石の扱いは一旦脇に置いておく。
魔石に関しては全部回収するが、持ち運ぶにはチェリシアの回復を待たねばならない。数が多すぎるので、通常なら荷馬車が必要だからだ。
それ以外の素材に関してはよく分からない物が多く、プラウスやヴァミリオに任せる事となった。そして、選別には数時間を要したものの、ひとまずは作業は済んだ。
ちなみに、二人が選別している間、プラウスは村長と話をしていた。さすがはできる子爵、時間の有効活用もできる。
村長の家に戻ってお昼の時間だ。
ところが、そこには驚きの光景が待っていた。
「あっ、お父様、ロゼリア、ペシエラ、お帰りなさい」
「チェリシア!」
「お姉様!」
寝ていたはずのチェリシアが、目を覚まして食事の支度をしていた。驚く三人に、スミレが事情を説明する。
どうやらまだ思うように体は動かないし、魔法もコントロールできないらしい。それでも料理くらいは作りたいと言い出して、スミレ他数名がやめるように説得にあたったものの、現実はこの通りであった。
しかし、目の前の料理は病み上がりとは思えないしっかりとしたものだった。数少ないカイスの食材を使い、それでいて豪華に見せる見事なものだった。
「チェリシア、後で説教だぞ」
料理の出来映えはともかくとして、ここまでの勝手な行動、魔物氾濫での無茶、そして、今現在の無茶……。もう説教の材料が揃いすぎている。
「……甘んじてお受けします、お父様」
チェリシアも覚悟は決めているようだった。
そんなこんなで、久しぶりの親子(母親は王都で留守番のため居ないが)による食事となった。
本当にあの貧相な備蓄で作られたのか疑う程の美味しい料理に、ここでもプラウスは驚かされた。……嫁に出したくない気分だ。
しかし、この満たされるような時間もすぐに終わりを迎える。
食事を終えて、スミレをはじめとした村人に片づけをさせる中、チェリシアたち三人にプラウスから特大の雷が落とされたのだ。もちろん、最初に褒める事は忘れずに行ったのだが……。
結局、その説教は夕方になるまで続けられて、チェリシアたちは涙目になっていた。
「言っておくが、私だけではないぞ。妻やマゼンダ侯爵からも同様に怒られるだろうから、三人とも覚悟はしておきなさい。私から事情は説明しておくが、妻たちに心配を掛けたんだからな。きちんと怒られて反省しなさい」
「はーい……」
三人揃って床に正座している光景は、心なしか滑稽に映るのだった。
村長の家で話をした後、ロゼリアたちはプラウスに連れられてとある場所へと案内された。
案内された場所でロゼリアたちが目にしたのは、たくさんの魔石と素材の山だった。そう、魔物氾濫の魔物たちの成れの果てである。
中でも一際目を引いたのが、厄災の暗龍の魔石だ。不完全であったがために、魔石以外の部位は役にも立たないゴミという判断だったが、魔石の大きさは村の家の一室にも匹敵する、とんでもない大きさとなっていた。
「君たちの功績だからな、まずは君たちが選んでくれ。残った素材は村と山分けにするつもりだ」
プラウスはロゼリアたちを見る。
「そうですね。多くは商会の商品に使いますけれど、厄災の暗龍の魔石は……持ち運ぶだけで大変ですね」
「お姉様の収納魔法でないと、持ち運べませんわ」
ロゼリアとペシエラがそれぞれに、厄災の暗龍の魔石を見て言葉を漏らした。
「しかし、よくこれをここまで運んで来れましたね」
「縄を括り付けて、馬と腕力自慢を集めても大変だったよ。丸太を用意してその上を滑らせて運んだんだ」
なんとも原始的な運び方である。魔法使いが居なければ、このような方法になるのも無理はない話だ。
しかし、改めて見てもなんとも大きな魔石である。これだけの大きさがあれば、どの程度の規模の魔法をどれだけ持続できるか、実に興味をそそられる。
だが一方で、不安もある。この魔石が力を失った時、一体代替にどれ程の量の魔石が必要になるのか。まったく想像できない話だ。
不安はこれだけにとどまらない。この非常識な大きさの魔石の存在が知られてしまえば、最悪は争いの火種になりかねない。隠し通すにも一領主であるプラウスには荷の重い話である。不安は尽きない。
そんなわけで、大きな魔石の扱いは一旦脇に置いておく。
魔石に関しては全部回収するが、持ち運ぶにはチェリシアの回復を待たねばならない。数が多すぎるので、通常なら荷馬車が必要だからだ。
それ以外の素材に関してはよく分からない物が多く、プラウスやヴァミリオに任せる事となった。そして、選別には数時間を要したものの、ひとまずは作業は済んだ。
ちなみに、二人が選別している間、プラウスは村長と話をしていた。さすがはできる子爵、時間の有効活用もできる。
村長の家に戻ってお昼の時間だ。
ところが、そこには驚きの光景が待っていた。
「あっ、お父様、ロゼリア、ペシエラ、お帰りなさい」
「チェリシア!」
「お姉様!」
寝ていたはずのチェリシアが、目を覚まして食事の支度をしていた。驚く三人に、スミレが事情を説明する。
どうやらまだ思うように体は動かないし、魔法もコントロールできないらしい。それでも料理くらいは作りたいと言い出して、スミレ他数名がやめるように説得にあたったものの、現実はこの通りであった。
しかし、目の前の料理は病み上がりとは思えないしっかりとしたものだった。数少ないカイスの食材を使い、それでいて豪華に見せる見事なものだった。
「チェリシア、後で説教だぞ」
料理の出来映えはともかくとして、ここまでの勝手な行動、魔物氾濫での無茶、そして、今現在の無茶……。もう説教の材料が揃いすぎている。
「……甘んじてお受けします、お父様」
チェリシアも覚悟は決めているようだった。
そんなこんなで、久しぶりの親子(母親は王都で留守番のため居ないが)による食事となった。
本当にあの貧相な備蓄で作られたのか疑う程の美味しい料理に、ここでもプラウスは驚かされた。……嫁に出したくない気分だ。
しかし、この満たされるような時間もすぐに終わりを迎える。
食事を終えて、スミレをはじめとした村人に片づけをさせる中、チェリシアたち三人にプラウスから特大の雷が落とされたのだ。もちろん、最初に褒める事は忘れずに行ったのだが……。
結局、その説教は夕方になるまで続けられて、チェリシアたちは涙目になっていた。
「言っておくが、私だけではないぞ。妻やマゼンダ侯爵からも同様に怒られるだろうから、三人とも覚悟はしておきなさい。私から事情は説明しておくが、妻たちに心配を掛けたんだからな。きちんと怒られて反省しなさい」
「はーい……」
三人揃って床に正座している光景は、心なしか滑稽に映るのだった。
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