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第五章 学園編
第76話 初日
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サンフレア学園の入学式はつつがなく終わった。新入生代表の挨拶は、今回もロゼリアが担当したのだが、前回のものを流用した。それを聞いてペシエラがくすくす笑っていたのは内緒だ。
在校生の代表は、六年生の生徒会長が祝辞を述べた。こちらも当たり障りのない言葉で、前回と同じだった。一言一句変化していない。
ちなみにゲームでは、どちらもさっさとモノローグで流れて具体的な文言は不明だったので、転生者である今のチェリシアには新鮮だったようだ。その上、新入生代表がロゼリアだったと知って、チェリシアのテンションは爆上がりだった。
「お姉様、はしゃぎ過ぎですわよ」
「あっ、ごめんなさい」
ペシエラに怒られて、チェリシアは素直に謝った。
ペシエラの方は、さすがに二度目の入学式とあって冷めてはいた。しかし、冷静になった事でロゼリアの挨拶が新鮮に耳に入ってきた。
(最初からちゃんと聞いておくべきでしたわね)
子爵とはいえ田舎領主の娘だったペシエラは、緊張でよく聞いていなかったのだ。ただ、なんか偉そうな貴族令嬢が何か言ってる程度の認識だったからか、その後は反骨精神というかただのやっかみでロゼリアに噛み付いていた。それが最悪の形で結実した事を、今は後悔している。冷静でいられるのは、そういった経緯もあるからなのだろう。
入学式が終わると、それぞれクラス分けに従ってクラスに分かれる。一年次は座学中心に行われる。専攻ごとに学科が分かれるのは二年次からだ。
ロゼリアたちのクラスは、爵位に物を言わせて三人同じクラスに配置された。商会の事もあるので、集合するための時間ももったいないと考えたからだ。
ちなみに、三人とも女王になるための教育を、学園に入るまでに受けており、一年次で習う座学はほぼマスター済である。王国にとっては必要な人材なので、そういった無茶もまかり通るのだった。
王子の婚約者候補はロゼリアとチェリシアの二人ではあるものの、ペシエラも見込みありとされており、婚約者の選定が現在行われている。結論が出るまではまだ時間がかかりそうだ。
さて、一旦クラスごとに分かれた後、さくさくとクラス内の自己紹介が終わる。ロゼリアたちは落ち着いていたのでつつがなくこなしていた。
最初に自己紹介した教師から、一年次の講義の流れの説明があった。翌日から講義が始まるために、この後すぐに教科書の配布が行われる。なので、忘れずに受け取るようにとのお達しだ。場所は入学式の行われた講堂らしい。
だが、ロゼリアたちにはそれよりも重要なイベントが待ち構えていた。
シルヴァノ殿下たち、攻略対象五人を交えたお茶会だ。五人以外の隠し対象のロゼリアの兄カーマイルもやって来る。
だが、お茶会の場にやって来たロゼリアたちは、面々を見て驚いた。ロゼリアたち以外にも女性が居たのだ。
貴族の十三歳ともなれば、高確率で婚約者ないし候補者が存在しているものである。
王子は二人の婚約者候補が居て、カーマイルは十六歳にして候補者すら無しである。隣国の王子は単身の遊学という設定。攻略対象のオフライトの双子の妹のシェイディアがついてくるのは当然なので、女性は四人のはずだったのだが、どういうわけか見慣れない女性が三人居た。侍女ではない同い年くらいの女性だ。
「君たちが最後だよ。もうみんな待ちかねているんだ。早く席に着いてくれ」
シルヴァノ殿下が淡々と言う。
「そうですわね。お待たせして申し訳ございませんわ」
状況が分からないが、とにかく待たせてしまったのは事実なので、ロゼリアが代表して謝罪し、それぞれ上座のシルヴァノ殿下の両脇へと座った。
こうして、学園入学後の最初のイベントである“王子とお茶会”が始まったのである。
攻略対象が全員と見知らぬ令嬢たちが集ったこのお茶会。その場には何とも言えない雰囲気が立ち込めているのであった。
在校生の代表は、六年生の生徒会長が祝辞を述べた。こちらも当たり障りのない言葉で、前回と同じだった。一言一句変化していない。
ちなみにゲームでは、どちらもさっさとモノローグで流れて具体的な文言は不明だったので、転生者である今のチェリシアには新鮮だったようだ。その上、新入生代表がロゼリアだったと知って、チェリシアのテンションは爆上がりだった。
「お姉様、はしゃぎ過ぎですわよ」
「あっ、ごめんなさい」
ペシエラに怒られて、チェリシアは素直に謝った。
ペシエラの方は、さすがに二度目の入学式とあって冷めてはいた。しかし、冷静になった事でロゼリアの挨拶が新鮮に耳に入ってきた。
(最初からちゃんと聞いておくべきでしたわね)
子爵とはいえ田舎領主の娘だったペシエラは、緊張でよく聞いていなかったのだ。ただ、なんか偉そうな貴族令嬢が何か言ってる程度の認識だったからか、その後は反骨精神というかただのやっかみでロゼリアに噛み付いていた。それが最悪の形で結実した事を、今は後悔している。冷静でいられるのは、そういった経緯もあるからなのだろう。
入学式が終わると、それぞれクラス分けに従ってクラスに分かれる。一年次は座学中心に行われる。専攻ごとに学科が分かれるのは二年次からだ。
ロゼリアたちのクラスは、爵位に物を言わせて三人同じクラスに配置された。商会の事もあるので、集合するための時間ももったいないと考えたからだ。
ちなみに、三人とも女王になるための教育を、学園に入るまでに受けており、一年次で習う座学はほぼマスター済である。王国にとっては必要な人材なので、そういった無茶もまかり通るのだった。
王子の婚約者候補はロゼリアとチェリシアの二人ではあるものの、ペシエラも見込みありとされており、婚約者の選定が現在行われている。結論が出るまではまだ時間がかかりそうだ。
さて、一旦クラスごとに分かれた後、さくさくとクラス内の自己紹介が終わる。ロゼリアたちは落ち着いていたのでつつがなくこなしていた。
最初に自己紹介した教師から、一年次の講義の流れの説明があった。翌日から講義が始まるために、この後すぐに教科書の配布が行われる。なので、忘れずに受け取るようにとのお達しだ。場所は入学式の行われた講堂らしい。
だが、ロゼリアたちにはそれよりも重要なイベントが待ち構えていた。
シルヴァノ殿下たち、攻略対象五人を交えたお茶会だ。五人以外の隠し対象のロゼリアの兄カーマイルもやって来る。
だが、お茶会の場にやって来たロゼリアたちは、面々を見て驚いた。ロゼリアたち以外にも女性が居たのだ。
貴族の十三歳ともなれば、高確率で婚約者ないし候補者が存在しているものである。
王子は二人の婚約者候補が居て、カーマイルは十六歳にして候補者すら無しである。隣国の王子は単身の遊学という設定。攻略対象のオフライトの双子の妹のシェイディアがついてくるのは当然なので、女性は四人のはずだったのだが、どういうわけか見慣れない女性が三人居た。侍女ではない同い年くらいの女性だ。
「君たちが最後だよ。もうみんな待ちかねているんだ。早く席に着いてくれ」
シルヴァノ殿下が淡々と言う。
「そうですわね。お待たせして申し訳ございませんわ」
状況が分からないが、とにかく待たせてしまったのは事実なので、ロゼリアが代表して謝罪し、それぞれ上座のシルヴァノ殿下の両脇へと座った。
こうして、学園入学後の最初のイベントである“王子とお茶会”が始まったのである。
攻略対象が全員と見知らぬ令嬢たちが集ったこのお茶会。その場には何とも言えない雰囲気が立ち込めているのであった。
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