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第九章 大いなる秘密
第241話 驚きの連続
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ロゼリアたちの前にふわりと現れたのは、幾度となく見た事のある男性だった。
「ガレン先生? なぜここに!」
ロゼリアは叫ぶ。
「ガレン? 何を言っているのです。この方こそ、私たち妖精や精霊の王、オリジン様です」
妖精が挟んだ言葉に、ロゼリアたちは盛大に驚いて、声も出せなかった。なにせ学園の一教師が精霊王だというのだから信じられるわけもない。
「ははっ、君たちの驚く顔が見られて、私としては満足だね」
キザっぽい動きをしているガレン。ロゼリアたちは開いた口がいまだに塞がらなかった。
「オリジン様、なぜお戻りになられたのですか? 人間たちを間近で観察すると言って百年は戻らないと仰られていたのに」
「戻ってきた理由は簡単だよ。そこのお嬢さんたちがこっちに来ると聞いたからね」
妖精の問い掛けに、ガレンはあっさりと答える。そして、すっとライの方を見ると、ライがふいっと顔を背けた。
「ライ、あなた知ってたのね?」
その動作を見逃さなかったロゼリアとペシエラが、ライに詰め寄る。そのあまりに怖い形相に、ライは両手を前に出して後ずさる。
「私だって魔物とはいえ元々妖精なんですから、精霊王の気配くらい、すぐに分かりますよ……」
必死に弁明するライだったが、二人があまりに怖いものだからついには頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「ふぇぇぇ……、ごめんなさい~~っ!」
上級魔物であるハイスプライトとは思えない、とても情けない姿である。まぁ、ペシエラの魔法を見てすっかり恐怖を覚えてしまっているので、条件反射みたいなものだろう。後ろでアイリスとキャノルも無言で引いていた。
「それはそうと、ガレン先生がまさか精霊王オリジンだとは意外でしたね」
「まぁね。普通の人間のように生まれて生活していたからね。サンフレア学園はいろんな人間を見れるからという理由で教師を引き受けたんだ」
騒ぐライたちを尻目に、シルヴァノとガレンが話をしている。
「その辺りはまた時を改めて聞くとして、ペシエラの呪いに関して何か分かりますか?」
シルヴァノは遠慮なくストレートに切り込んだ。シルヴァノからのストレートな質問に、ガレンはちょっと驚いた表情を見せる。
「はははっ、婚約者だからか気になるか。去年の段階では大した事なかったので気付かなかったのだが、私の方でも調べるだけはしてたんだ。というわけでこれを見てくれ」
ガレンはそう言って、魔法で紙の束を取り出した。
「学園の書物だけじゃなくて、王宮の書物も勝手ながら少し調べさせてもらった。根源を司る精霊王とはいえ、全知全能ではないからな」
ガレンはその紙の束から数枚を抜き出す。
「人間側の記録で面白いものがあったからな。複写魔法で写し取ってきた。とりあえず目を通してくれ」
ガレンから渡された紙を見ながら、チェリシアが何かに気が付いたようだ。
「これは、まさか地球の世界地図? ……でも、太平洋と大西洋の位置に妙な陸地があるわ」
「やはりそうか。君が異世界から来たと聞いたのを、これを見ながら思い出してね。それで写し取って来たんだが、当たりだったか」
チェリシアの言葉に、何か確信を持つガレン。
「聞いた事がある。この位置辺りに高度な文明を持った大陸があったのでないかという話を……。確か、ムー大陸とアトランティス大陸だったはず」
チェリシアが漏らす独り言に、ガレンはますます確証を深めていく。横では訳が分からないとシルヴァノとペイルが首を傾げていた。
「……決まりだな。チェリシアくんがこちらの世界に飛ばされた原因はそこにある」
「なんだと?!」
「なんですって!」
ガレンの推測に驚く三人。
「文献によれば、ムーとアトランティスはこちらの世界にも過去にあった国の名前だ。私の記憶とも一致する。突如として現れて、あっという間に国を作り、優れた技術で世界征服を目論んだ連中だよ。その頃の私は外の世界に興味が無かったのだが、妖精や精霊にまで被害が及んでいたせいで奴らとは対峙したものだ」
「それで、その二つの国はどうなったのですか?」
「どっちも滅んだよ。自国で行っていた研究の暴走でな。私も捕らわれていた妖精や精霊を助けに行ったから確認済みだ。その時見た装置は、チェリシアくんたちの作る魔道具の何倍も大きかったな」
ガレンは文献の記述と自らの記憶をたどりながら、三人へと説明している。
「両方とも現在ではほとんど否定されているけれど、陸地ごと時空転移したなら証拠が一切残っていなくてもあり得る話だし……。つまり、その時の時空の歪みが未だに残っているって事?」
「そうと考えるのが自然だろうな。何の助けもなしに時空を超えるのなら、その間に何が起きても不思議じゃないからな」
驚愕の事実を聞いて、事態は予想もしない方向へと転がり始めていた。
「ガレン先生? なぜここに!」
ロゼリアは叫ぶ。
「ガレン? 何を言っているのです。この方こそ、私たち妖精や精霊の王、オリジン様です」
妖精が挟んだ言葉に、ロゼリアたちは盛大に驚いて、声も出せなかった。なにせ学園の一教師が精霊王だというのだから信じられるわけもない。
「ははっ、君たちの驚く顔が見られて、私としては満足だね」
キザっぽい動きをしているガレン。ロゼリアたちは開いた口がいまだに塞がらなかった。
「オリジン様、なぜお戻りになられたのですか? 人間たちを間近で観察すると言って百年は戻らないと仰られていたのに」
「戻ってきた理由は簡単だよ。そこのお嬢さんたちがこっちに来ると聞いたからね」
妖精の問い掛けに、ガレンはあっさりと答える。そして、すっとライの方を見ると、ライがふいっと顔を背けた。
「ライ、あなた知ってたのね?」
その動作を見逃さなかったロゼリアとペシエラが、ライに詰め寄る。そのあまりに怖い形相に、ライは両手を前に出して後ずさる。
「私だって魔物とはいえ元々妖精なんですから、精霊王の気配くらい、すぐに分かりますよ……」
必死に弁明するライだったが、二人があまりに怖いものだからついには頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「ふぇぇぇ……、ごめんなさい~~っ!」
上級魔物であるハイスプライトとは思えない、とても情けない姿である。まぁ、ペシエラの魔法を見てすっかり恐怖を覚えてしまっているので、条件反射みたいなものだろう。後ろでアイリスとキャノルも無言で引いていた。
「それはそうと、ガレン先生がまさか精霊王オリジンだとは意外でしたね」
「まぁね。普通の人間のように生まれて生活していたからね。サンフレア学園はいろんな人間を見れるからという理由で教師を引き受けたんだ」
騒ぐライたちを尻目に、シルヴァノとガレンが話をしている。
「その辺りはまた時を改めて聞くとして、ペシエラの呪いに関して何か分かりますか?」
シルヴァノは遠慮なくストレートに切り込んだ。シルヴァノからのストレートな質問に、ガレンはちょっと驚いた表情を見せる。
「はははっ、婚約者だからか気になるか。去年の段階では大した事なかったので気付かなかったのだが、私の方でも調べるだけはしてたんだ。というわけでこれを見てくれ」
ガレンはそう言って、魔法で紙の束を取り出した。
「学園の書物だけじゃなくて、王宮の書物も勝手ながら少し調べさせてもらった。根源を司る精霊王とはいえ、全知全能ではないからな」
ガレンはその紙の束から数枚を抜き出す。
「人間側の記録で面白いものがあったからな。複写魔法で写し取ってきた。とりあえず目を通してくれ」
ガレンから渡された紙を見ながら、チェリシアが何かに気が付いたようだ。
「これは、まさか地球の世界地図? ……でも、太平洋と大西洋の位置に妙な陸地があるわ」
「やはりそうか。君が異世界から来たと聞いたのを、これを見ながら思い出してね。それで写し取って来たんだが、当たりだったか」
チェリシアの言葉に、何か確信を持つガレン。
「聞いた事がある。この位置辺りに高度な文明を持った大陸があったのでないかという話を……。確か、ムー大陸とアトランティス大陸だったはず」
チェリシアが漏らす独り言に、ガレンはますます確証を深めていく。横では訳が分からないとシルヴァノとペイルが首を傾げていた。
「……決まりだな。チェリシアくんがこちらの世界に飛ばされた原因はそこにある」
「なんだと?!」
「なんですって!」
ガレンの推測に驚く三人。
「文献によれば、ムーとアトランティスはこちらの世界にも過去にあった国の名前だ。私の記憶とも一致する。突如として現れて、あっという間に国を作り、優れた技術で世界征服を目論んだ連中だよ。その頃の私は外の世界に興味が無かったのだが、妖精や精霊にまで被害が及んでいたせいで奴らとは対峙したものだ」
「それで、その二つの国はどうなったのですか?」
「どっちも滅んだよ。自国で行っていた研究の暴走でな。私も捕らわれていた妖精や精霊を助けに行ったから確認済みだ。その時見た装置は、チェリシアくんたちの作る魔道具の何倍も大きかったな」
ガレンは文献の記述と自らの記憶をたどりながら、三人へと説明している。
「両方とも現在ではほとんど否定されているけれど、陸地ごと時空転移したなら証拠が一切残っていなくてもあり得る話だし……。つまり、その時の時空の歪みが未だに残っているって事?」
「そうと考えるのが自然だろうな。何の助けもなしに時空を超えるのなら、その間に何が起きても不思議じゃないからな」
驚愕の事実を聞いて、事態は予想もしない方向へと転がり始めていた。
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