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新章 青色の智姫
第37話 風に乗ってひとっ飛び
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少々話し込んでしまったのか、ロゼリアが心配に迎えに来たところで話を終えてしまう。秘密裏にしたかったということもあり、ロゼリアが到着する前に蒼鱗魚たちは姿を消してしまった。
その後は何事もなかったかのようにサファイア湖を去り、アクアマリン子爵の別邸でもう一晩過ごしてから王都へと向かった。
王都へと到着すると、シルヴァノとペシエラと別れ、チェリシアのエアリアルボードでペイルたち一家は移動することになる。そのため、兵士や使用人たちは最低限だけを連れて移動することとなった。
身の回りの世話をする使用人たちを連れて、チェリシアとロゼリアのエアリアルボードで、まずはシェリアを目指す。
「うわぁ、空を飛んでる。それもすごく速い」
初めての体験に、モーフがものすごくはしゃいでいる。
「モーフ、あまりはしゃがないの。防護魔法で周りを覆っているとはいっても、落ちても知りませんからね」
「は、はーい……」
ロゼリアに叱られて、その場に座り込むモーフである。
「魔物は俺に任せておいてくれ」
「お任せしましたわ、陛下」
一家そろって乗っているので、なにかと会話が盛り上がっている。
一方のチェリシアの方には、シアンたちの使用人たちが乗っている。乗り慣れていない人ばかりなせいか、慣れてくると質問攻めになっていた。
「あなただけは、何も聞かないのね」
「えっ」
チェリシアは、一人だけおとなしくしているスミレに声を掛ける。
「あまり騒いでチェリシア様に迷惑をかけるわけには参りませんので……」
「そっか、気を遣ってくれてるのね。まぁ大丈夫よ、慣れた旅だし」
スミレの言葉に、チェリシアはにこにこと笑いながら話をしていた。
一度シェリアに寄って海産物を堪能すると、一泊しただけですぐさまカイスへと向かう。
なにぶん、即位直後の慌ただしい時期だ。日程はあまり多く取れなかったので仕方がない。とはいえ、忙しいのは大臣とかその辺りだけなので、ペイルたちはその仕事の邪魔をしないように出てきただけなのである。
シェリアからカイスへ向かう途中には、切り立った崖がある。本来ならばそこを縫うように馬車は登っていくのだが、エアリアルボードならそんなことは関係ない。一気に上昇して直線的にカイスを目指して移動していく。
「うわぁ~、すごいすごい。あんな崖を一気に登ってしまいした」
エアリアルボードの縦横無尽どころか、高低差も関係ない移動に、モーフははしゃぎっぱなしである。それでも疲れないのは八歳という年齢だからなのだろうか。
そうこうしているうちに、コーラル伯爵領の辺鄙な村だったカイスに到着する。
昔は荒れ地ばかりだったというカイスの村だが、ロゼリアたちがまだ小さい頃の活躍によって、緑あふれる大地へと変わっていた。
ところが、カイスの村には寄らず、ロゼリアはチェリシアに言って別の場所へと向かってもらっている。
「うん? どこに向かってるんだ」
村を確認したペイルが首を傾げている。
「カイスの村もそうですけれど、私やチェリシアにとってはこちらも大切な場所なのですよ」
ロゼリアは質問に答えているが、ペイルはわけが分からないといった感じの様子である。
そうやって降り立ったのは、カイスの村の近くの湖だった。
そう、ここはかつては大きなくぼ地のあった場所で、厄災の暗龍という魔物が出現した場所だった。そんな禍々しい場所だったくぼ地は、そんな事を微塵も感じられない湖となっているのである。
湖の中にある小島にエアリアルボードを到着させると、そこでようやく地面へと降りるロゼリアたちである。
ロゼリアたちがエアリアルボードを消し去ると、目の前に急に光が集まり始める。眩いばかりとまではいかないものの、光が集まって弾けたかと思うと、そこには中性的な姿をした人物が立っていた。
「やあ、久しぶりだね。チェリシアとロゼリアだっけか」
「レイニ。まさかすぐに姿を現すとは思ってなかったわ」
目の前の人物に話し掛けられると、ロゼリアが言葉を返している。
「精霊仲間からここに来るって話を聞いていたからね。だったら、出迎えないとと思うじゃない。二人とペシエラはボクの恩人なんだからね」
にっこりと話すレイニである。
「なあ、ロゼリア。これは誰なんだ?」
「この方は、光と水の精霊レイニ。ここで昔魔物氾濫が起きた際に、それを解決したら現れた精霊なのよ」
「へえ、二属性持ちの精霊か……」
ペイルは物珍しそうにレイニを眺めている。その隣ではモーフが目を輝かせている。
「いやぁ、村よりも先にここを訪れてくれた事を嬉しく思うよ。何もないけれど、ゆっくりしていってちょうだい」
レイニの言葉に甘えて、ロゼリアたちはこの小島でしばらく昔話に花を咲かせていた。
ペイルとモーフは興味津々に聞き入っている。ついてきた使用人たちは、ロゼリアの無茶苦茶に気絶しそうになっていた。
「お母様ったら、そんな無茶苦茶を……」
「ええ、そうですよ。最終的にはニーズヘッグを倒してしまいましたからね。その反動でチェリシアは一週間寝込みましたけれどね」
スミレからある程度聞いていたとはいえ、改めて聞いたシアンも驚きを隠せなかった。
こうして、日が暮れるまで昔話は続けられたのであった。
その後、慌ててカイスの村に移動したのは、いうまでもないのである。
その後は何事もなかったかのようにサファイア湖を去り、アクアマリン子爵の別邸でもう一晩過ごしてから王都へと向かった。
王都へと到着すると、シルヴァノとペシエラと別れ、チェリシアのエアリアルボードでペイルたち一家は移動することになる。そのため、兵士や使用人たちは最低限だけを連れて移動することとなった。
身の回りの世話をする使用人たちを連れて、チェリシアとロゼリアのエアリアルボードで、まずはシェリアを目指す。
「うわぁ、空を飛んでる。それもすごく速い」
初めての体験に、モーフがものすごくはしゃいでいる。
「モーフ、あまりはしゃがないの。防護魔法で周りを覆っているとはいっても、落ちても知りませんからね」
「は、はーい……」
ロゼリアに叱られて、その場に座り込むモーフである。
「魔物は俺に任せておいてくれ」
「お任せしましたわ、陛下」
一家そろって乗っているので、なにかと会話が盛り上がっている。
一方のチェリシアの方には、シアンたちの使用人たちが乗っている。乗り慣れていない人ばかりなせいか、慣れてくると質問攻めになっていた。
「あなただけは、何も聞かないのね」
「えっ」
チェリシアは、一人だけおとなしくしているスミレに声を掛ける。
「あまり騒いでチェリシア様に迷惑をかけるわけには参りませんので……」
「そっか、気を遣ってくれてるのね。まぁ大丈夫よ、慣れた旅だし」
スミレの言葉に、チェリシアはにこにこと笑いながら話をしていた。
一度シェリアに寄って海産物を堪能すると、一泊しただけですぐさまカイスへと向かう。
なにぶん、即位直後の慌ただしい時期だ。日程はあまり多く取れなかったので仕方がない。とはいえ、忙しいのは大臣とかその辺りだけなので、ペイルたちはその仕事の邪魔をしないように出てきただけなのである。
シェリアからカイスへ向かう途中には、切り立った崖がある。本来ならばそこを縫うように馬車は登っていくのだが、エアリアルボードならそんなことは関係ない。一気に上昇して直線的にカイスを目指して移動していく。
「うわぁ~、すごいすごい。あんな崖を一気に登ってしまいした」
エアリアルボードの縦横無尽どころか、高低差も関係ない移動に、モーフははしゃぎっぱなしである。それでも疲れないのは八歳という年齢だからなのだろうか。
そうこうしているうちに、コーラル伯爵領の辺鄙な村だったカイスに到着する。
昔は荒れ地ばかりだったというカイスの村だが、ロゼリアたちがまだ小さい頃の活躍によって、緑あふれる大地へと変わっていた。
ところが、カイスの村には寄らず、ロゼリアはチェリシアに言って別の場所へと向かってもらっている。
「うん? どこに向かってるんだ」
村を確認したペイルが首を傾げている。
「カイスの村もそうですけれど、私やチェリシアにとってはこちらも大切な場所なのですよ」
ロゼリアは質問に答えているが、ペイルはわけが分からないといった感じの様子である。
そうやって降り立ったのは、カイスの村の近くの湖だった。
そう、ここはかつては大きなくぼ地のあった場所で、厄災の暗龍という魔物が出現した場所だった。そんな禍々しい場所だったくぼ地は、そんな事を微塵も感じられない湖となっているのである。
湖の中にある小島にエアリアルボードを到着させると、そこでようやく地面へと降りるロゼリアたちである。
ロゼリアたちがエアリアルボードを消し去ると、目の前に急に光が集まり始める。眩いばかりとまではいかないものの、光が集まって弾けたかと思うと、そこには中性的な姿をした人物が立っていた。
「やあ、久しぶりだね。チェリシアとロゼリアだっけか」
「レイニ。まさかすぐに姿を現すとは思ってなかったわ」
目の前の人物に話し掛けられると、ロゼリアが言葉を返している。
「精霊仲間からここに来るって話を聞いていたからね。だったら、出迎えないとと思うじゃない。二人とペシエラはボクの恩人なんだからね」
にっこりと話すレイニである。
「なあ、ロゼリア。これは誰なんだ?」
「この方は、光と水の精霊レイニ。ここで昔魔物氾濫が起きた際に、それを解決したら現れた精霊なのよ」
「へえ、二属性持ちの精霊か……」
ペイルは物珍しそうにレイニを眺めている。その隣ではモーフが目を輝かせている。
「いやぁ、村よりも先にここを訪れてくれた事を嬉しく思うよ。何もないけれど、ゆっくりしていってちょうだい」
レイニの言葉に甘えて、ロゼリアたちはこの小島でしばらく昔話に花を咲かせていた。
ペイルとモーフは興味津々に聞き入っている。ついてきた使用人たちは、ロゼリアの無茶苦茶に気絶しそうになっていた。
「お母様ったら、そんな無茶苦茶を……」
「ええ、そうですよ。最終的にはニーズヘッグを倒してしまいましたからね。その反動でチェリシアは一週間寝込みましたけれどね」
スミレからある程度聞いていたとはいえ、改めて聞いたシアンも驚きを隠せなかった。
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