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新章 青色の智姫
第53話 プルネからのお誘い
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ブランチェスカとプルネという友人ができて、ひとまず幸先の良い学園生活をスタートしたと思われるシアン。
隣国モスグリネ王国の王女という立場にありながら、自分に対する取り巻きというのは面白いほどに存在しなかった。おそらくはプルネの名であるフューシャが原因だろう。
先日の学食での一件で、頼りなさげなプルネとは対照的に、どことなく危険な香りが漂う感じがしたのだ。まぁ家の環境と長女という立場を考えれば、想像に難くはないかもしれない。
そんな中、プルネからコーラル家に遊びに来てほしいという申し出を受けるシアン。
どうしたものかと、誘われたその日に食事の席でシルヴァノとペシエラに相談を入れることにした。
相談を受けた二人の反応は、思ったよりも淡白なものだった。
「護衛もつけるから行ってきなさい」
ペシエラからはそう言われた。
「護衛ですか?」
こくりと頷くペシエラ。
「あなたは隣国の王女なのです。何かあっては困るでしょう?」
「……そうでした」
うっかり自分の立場を忘れかけていたシアンである。これにはペシエラも苦笑いだ。対面に座るライトとダイアもなんて反応していいのか困っている。
「でも、お茶会をするというのでしたら、正式に招待状を送って頂きませんとね。実家だからとはいえ、優遇するつもりはございませんわ」
ペシエラははっきりとそう言い切っている。こういうところは厳しいのである。さすがは逆行前に厳しい人生を送ってきただけのことはあるというものだ。自分のやらかしで王国だけでなく自分の身まで滅ぼしただけに、かなり厳格な性格になっているのである。
「承知致しました。では、明日にでもプルネに話しておきますね」
「ええ、そうしてちょうだい。わたくしからもお父様に話しておきますわ」
そんなこんなで、ペシエラとの間で話が決まってしまった。ペシエラの実家と話とあって、シルヴァノは終始静観を決め込んでいたらしく、一切話に絡んでこなかった。
翌日、シアンは学園でプルネに話し掛ける。
「プルネ、ちょっとよろしいでしょうか」
「はい、シアン様、何でしょうか」
シアンの呼び掛けに、プルネが反応する。その表情はちょっと緊張した様子だった。
「王妃様にお話したところ、招待状を送って下さいとのことでした。私も王族ですから、いろいろと面倒があるみたいです」
「あ……、分かりました。それでは、今夜にでも早速認めさせて頂きます」
シアンから言われて、プルネはおとなしくそれに従うことにしたのだった。
これで早ければ明日にでも城に招待状が届くだろう。正直言えば口約束でもいいのだろうけれど、お茶会となれば立派な社交。形式を守ってこその貴族社会というものなのである。
そして、翌日の朝一に王城だけではなくクロッツ子爵家にも招待状が届いたようである。どうやら学園から帰ってからすぐに認め、朝一に届くように手配をしたらしい。よっぽどすぐに返事が欲しかったのだと思われる。
(うふふ、可愛らしいですね、プルネってば)
届けられた手紙を確認して、口に当てながら笑うシアン。そんな姿を見てもスミレはすんとした真顔を見せている。さすがは幻獣、そういう感情には乏しいようだ。あれだけシアンの側で仕えているというのに、本質はまったく変わらないのである。
「スミレ」
「はい、シアン様」
「今度のお休みが楽しみですね」
「そうでございますね」
にこやかな表情をするシアンに対し、スミレの表情は相変わらず無表情だった。
学園でプルネに出会ったシアンは、直にお茶会の了承を伝える。すると、嬉しそうに飛び跳ねていた。まったく可愛らしい反応である。
ちなみにだが、シアンは城を出る前に返事を認めて王都のコーラル伯爵邸に届けるように手配をしていた。なので、学園が終わって帰るとその知らせが届くようになっている。もちろん、プルネには内緒である。
ブランチェスカともこっそり話をするシアンだったが、どうやらブランチェスカも同じ対応と取ったらしく、家に戻ったプルネの反応が楽しみで仕方ないようだった。まったく、妙なところで気の合う二人である。
「二人とも、どうしたのですか?」
笑い合うシアンとブランチェスカの姿を見て、プルネは不思議そうに首を傾げている。
「内緒ですよ」
「内緒ですね」
ピッタリ息の合うシアンとブランチェスカ。これにはプルネは困った表情を見せていた。まるで仲間外れのように感じたのだろうか。
「まぁそんなに怖い顔をしないで下さい。それよりも楽しみですね、今度のお休み」
「はい、そうですね」
シアンに言葉を返されて、思わず頷いてしまうプルネである。
その日も三人は、仲良くにこやかに一日を終えたのだった。
そして、いよいよお休みの日。この日はコーラル伯爵邸でお茶会が行われる。
「さて、よく思えばアイヴォリー王国内で初めてのお茶会です。無事にこなしてみせますよ」
シアンの姿にはかなり気合いが入っていた。
侍女であるスミレの付き添いの下、シアンは馬車でコーラル伯爵邸を目指したのだった。
隣国モスグリネ王国の王女という立場にありながら、自分に対する取り巻きというのは面白いほどに存在しなかった。おそらくはプルネの名であるフューシャが原因だろう。
先日の学食での一件で、頼りなさげなプルネとは対照的に、どことなく危険な香りが漂う感じがしたのだ。まぁ家の環境と長女という立場を考えれば、想像に難くはないかもしれない。
そんな中、プルネからコーラル家に遊びに来てほしいという申し出を受けるシアン。
どうしたものかと、誘われたその日に食事の席でシルヴァノとペシエラに相談を入れることにした。
相談を受けた二人の反応は、思ったよりも淡白なものだった。
「護衛もつけるから行ってきなさい」
ペシエラからはそう言われた。
「護衛ですか?」
こくりと頷くペシエラ。
「あなたは隣国の王女なのです。何かあっては困るでしょう?」
「……そうでした」
うっかり自分の立場を忘れかけていたシアンである。これにはペシエラも苦笑いだ。対面に座るライトとダイアもなんて反応していいのか困っている。
「でも、お茶会をするというのでしたら、正式に招待状を送って頂きませんとね。実家だからとはいえ、優遇するつもりはございませんわ」
ペシエラははっきりとそう言い切っている。こういうところは厳しいのである。さすがは逆行前に厳しい人生を送ってきただけのことはあるというものだ。自分のやらかしで王国だけでなく自分の身まで滅ぼしただけに、かなり厳格な性格になっているのである。
「承知致しました。では、明日にでもプルネに話しておきますね」
「ええ、そうしてちょうだい。わたくしからもお父様に話しておきますわ」
そんなこんなで、ペシエラとの間で話が決まってしまった。ペシエラの実家と話とあって、シルヴァノは終始静観を決め込んでいたらしく、一切話に絡んでこなかった。
翌日、シアンは学園でプルネに話し掛ける。
「プルネ、ちょっとよろしいでしょうか」
「はい、シアン様、何でしょうか」
シアンの呼び掛けに、プルネが反応する。その表情はちょっと緊張した様子だった。
「王妃様にお話したところ、招待状を送って下さいとのことでした。私も王族ですから、いろいろと面倒があるみたいです」
「あ……、分かりました。それでは、今夜にでも早速認めさせて頂きます」
シアンから言われて、プルネはおとなしくそれに従うことにしたのだった。
これで早ければ明日にでも城に招待状が届くだろう。正直言えば口約束でもいいのだろうけれど、お茶会となれば立派な社交。形式を守ってこその貴族社会というものなのである。
そして、翌日の朝一に王城だけではなくクロッツ子爵家にも招待状が届いたようである。どうやら学園から帰ってからすぐに認め、朝一に届くように手配をしたらしい。よっぽどすぐに返事が欲しかったのだと思われる。
(うふふ、可愛らしいですね、プルネってば)
届けられた手紙を確認して、口に当てながら笑うシアン。そんな姿を見てもスミレはすんとした真顔を見せている。さすがは幻獣、そういう感情には乏しいようだ。あれだけシアンの側で仕えているというのに、本質はまったく変わらないのである。
「スミレ」
「はい、シアン様」
「今度のお休みが楽しみですね」
「そうでございますね」
にこやかな表情をするシアンに対し、スミレの表情は相変わらず無表情だった。
学園でプルネに出会ったシアンは、直にお茶会の了承を伝える。すると、嬉しそうに飛び跳ねていた。まったく可愛らしい反応である。
ちなみにだが、シアンは城を出る前に返事を認めて王都のコーラル伯爵邸に届けるように手配をしていた。なので、学園が終わって帰るとその知らせが届くようになっている。もちろん、プルネには内緒である。
ブランチェスカともこっそり話をするシアンだったが、どうやらブランチェスカも同じ対応と取ったらしく、家に戻ったプルネの反応が楽しみで仕方ないようだった。まったく、妙なところで気の合う二人である。
「二人とも、どうしたのですか?」
笑い合うシアンとブランチェスカの姿を見て、プルネは不思議そうに首を傾げている。
「内緒ですよ」
「内緒ですね」
ピッタリ息の合うシアンとブランチェスカ。これにはプルネは困った表情を見せていた。まるで仲間外れのように感じたのだろうか。
「まぁそんなに怖い顔をしないで下さい。それよりも楽しみですね、今度のお休み」
「はい、そうですね」
シアンに言葉を返されて、思わず頷いてしまうプルネである。
その日も三人は、仲良くにこやかに一日を終えたのだった。
そして、いよいよお休みの日。この日はコーラル伯爵邸でお茶会が行われる。
「さて、よく思えばアイヴォリー王国内で初めてのお茶会です。無事にこなしてみせますよ」
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