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新章 青色の智姫
第140話 シアン対ルシウ
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「さて、次は私ですね」
フューシャが準備をする。
「シアン様、私の剣をとくと見ておくことですね。勝てば次に当たりますから」
シアンへとちらりと視線を送ったフューシャは、自信たっぷりな様子だった。
「それは楽しみですね。ぜひとも拝見したいですね」
シアンはにこりと微笑んで返している。その様子を見たフューシャはにこりと微笑んで控室を出ていった。
入れ替わるようにして、プルネとダイアが戻ってくる。
「悔しいですね。私ではまだお母様ほどにはなれませんね」
「王妃様はすごかったらしいですね。本来の年齢より三つも年下ながら、体格に勝る上級生も倒していたそうですからね」
悔しがるダイアに、プルネはペシエラの武勇談を話し始めていた。母親が義理の姉であるので、アイリスを通じてかなり聞かされていたためだった。
現王妃であるペシエラは学園では伝説的扱いである。実際、現在おそらく最強であろうガーネットも目標にしているくらいなのだから。
ただ、ガーネットはパンツスタイルでの戦い。件のペシエラは、ドレス姿にハイヒールで戦っていたというのだから桁が違い過ぎるというものだった。年齢差も相まって、まさに伝説なのである。
さて、控室のモニターにはフューシャの戦いが映されている。
チェリシアが作り出した前世のテレビのモニターというものは、こんな感じでバリバリに役に立っているのである。
控室にいながらにして、現在の戦いを観戦できるのだから、武術大会の参加者からはかなり好評のようなのである。
「さて、私にあれだけの啖呵を切っていましたから、いかほどになったのかしっかりと見させて頂きましょうか」
シアンはモニターをがっつり注視したのだった。
結果、フューシャの圧勝だった。
残念なことに相手も弱すぎた。今のダイアでも勝てそうなくらいなのだ。
「あの方も弱いわけではないんですけれどね……」
ダイアは苦笑いである。
「それでは、次は私ですので、行ってまいりますね」
「はい。シアン様、ご武運を」
ダイアとプルネに見送られながら、シアンは武台へと向かったのだった。
武台に上がったシアンの前に現れたのは、よりによってルシウ・ノワールだった。
騎士団のオフライト・ノワールの双子の娘の方だった。
「隣国モスグリネの王女であられるシアン様とのお手合わせ、実に光栄でございます」
騎士の娘らしく、しっかりと挨拶をしてくるルシウである。
「学年はひとつ下ではございますが、王国の剣である騎士団を目指す者として、簡単に負けるつもりはございません」
ルシウはそういいながら、剣を構える。
「本日は、胸をお借りいたします」
一応、シアンの方が上だと認めての発言だった。さすがは騎士の娘である。
「分かりました。こちらもモスグリネの王女として、負けるわけには参りません」
呼応するようにしてシアンも剣を構える。
「全力でお相手致しましょう!」
両者がしっかりと模擬剣を構えると、審判の号令がかかる。
「始め!」
合図と同時に、揃って腰を深く落とし……。
「参ります!」
武台を蹴って一気に距離を縮める。
金属が激しくぶつかる音が響き渡る。
両者の顔の前で模擬剣がぶつかり合い、お互いに押し合いとなっていた。
「スピードもパワーもほぼ互角といったところでしょうかね」
「そのようですね……!」
キンという音が響き、一度両者距離を取る。
着地をしたかと思うと、再び飛び込んでいって剣がぶつかり合う。
(一撃の重さはほぼ同じ。ここは戦法切り替えましょう)
(ひとつ下とはいっても、さすがはオフライト様の娘ですね。気を抜いては重い一撃をもらってしまいます)
再び距離を取った二人は、互いに一呼吸を置く。
剣を握る手に力が入ったかと思うと、再度距離を詰めにかかる。
だが、今度は先程のように一撃を受け合うのではなく、激しく剣を打ち合っていた。
(王女と思って甘く見ておりましたね。さすがはお父様ともいい勝負をされたというペイル陛下のご息女です)
(一撃が思ったよりも重い……。このままでは手がしびれて先に降参をせざるを得なくなります。フューシャと約束をした以上、負けるわけには参りません)
剣の勝負ではほぼ互角。こうなると、二人とも考えることは同じだった。
次の一撃を入れるタイミングで、同時に魔法も放ったのだ。
「シャドウランス!」
「ウィンドエッジ!」
剣がぶつかり合うと同時に、魔法も同時にぶつかり合う。
これまた同威力。
ぶつかり合った剣と魔法が、その場で大爆発を起こす。
「きゃあっ?!」
揃って武台の外へ向けて吹き飛んでいくシアンとルシウ。
「くっ!」
ルシウは武台に触れて宙返りをしようとするがうまくいかない。
「風よ!」
一方のシアンはとっさに自分の飛ぶ方向に風のクッションを生み出し、その反動で武台へと復帰する。
受け身に失敗したルシウはそのまま場外へ。
持っている魔法の属性がそのまま勝敗に繋がってしまったのだった。
「場外! 勝者、シアン・モスグリネ!」
まさに間一髪、紙一重。属性の差でなんとか辛勝したシアンなのであった。
フューシャが準備をする。
「シアン様、私の剣をとくと見ておくことですね。勝てば次に当たりますから」
シアンへとちらりと視線を送ったフューシャは、自信たっぷりな様子だった。
「それは楽しみですね。ぜひとも拝見したいですね」
シアンはにこりと微笑んで返している。その様子を見たフューシャはにこりと微笑んで控室を出ていった。
入れ替わるようにして、プルネとダイアが戻ってくる。
「悔しいですね。私ではまだお母様ほどにはなれませんね」
「王妃様はすごかったらしいですね。本来の年齢より三つも年下ながら、体格に勝る上級生も倒していたそうですからね」
悔しがるダイアに、プルネはペシエラの武勇談を話し始めていた。母親が義理の姉であるので、アイリスを通じてかなり聞かされていたためだった。
現王妃であるペシエラは学園では伝説的扱いである。実際、現在おそらく最強であろうガーネットも目標にしているくらいなのだから。
ただ、ガーネットはパンツスタイルでの戦い。件のペシエラは、ドレス姿にハイヒールで戦っていたというのだから桁が違い過ぎるというものだった。年齢差も相まって、まさに伝説なのである。
さて、控室のモニターにはフューシャの戦いが映されている。
チェリシアが作り出した前世のテレビのモニターというものは、こんな感じでバリバリに役に立っているのである。
控室にいながらにして、現在の戦いを観戦できるのだから、武術大会の参加者からはかなり好評のようなのである。
「さて、私にあれだけの啖呵を切っていましたから、いかほどになったのかしっかりと見させて頂きましょうか」
シアンはモニターをがっつり注視したのだった。
結果、フューシャの圧勝だった。
残念なことに相手も弱すぎた。今のダイアでも勝てそうなくらいなのだ。
「あの方も弱いわけではないんですけれどね……」
ダイアは苦笑いである。
「それでは、次は私ですので、行ってまいりますね」
「はい。シアン様、ご武運を」
ダイアとプルネに見送られながら、シアンは武台へと向かったのだった。
武台に上がったシアンの前に現れたのは、よりによってルシウ・ノワールだった。
騎士団のオフライト・ノワールの双子の娘の方だった。
「隣国モスグリネの王女であられるシアン様とのお手合わせ、実に光栄でございます」
騎士の娘らしく、しっかりと挨拶をしてくるルシウである。
「学年はひとつ下ではございますが、王国の剣である騎士団を目指す者として、簡単に負けるつもりはございません」
ルシウはそういいながら、剣を構える。
「本日は、胸をお借りいたします」
一応、シアンの方が上だと認めての発言だった。さすがは騎士の娘である。
「分かりました。こちらもモスグリネの王女として、負けるわけには参りません」
呼応するようにしてシアンも剣を構える。
「全力でお相手致しましょう!」
両者がしっかりと模擬剣を構えると、審判の号令がかかる。
「始め!」
合図と同時に、揃って腰を深く落とし……。
「参ります!」
武台を蹴って一気に距離を縮める。
金属が激しくぶつかる音が響き渡る。
両者の顔の前で模擬剣がぶつかり合い、お互いに押し合いとなっていた。
「スピードもパワーもほぼ互角といったところでしょうかね」
「そのようですね……!」
キンという音が響き、一度両者距離を取る。
着地をしたかと思うと、再び飛び込んでいって剣がぶつかり合う。
(一撃の重さはほぼ同じ。ここは戦法切り替えましょう)
(ひとつ下とはいっても、さすがはオフライト様の娘ですね。気を抜いては重い一撃をもらってしまいます)
再び距離を取った二人は、互いに一呼吸を置く。
剣を握る手に力が入ったかと思うと、再度距離を詰めにかかる。
だが、今度は先程のように一撃を受け合うのではなく、激しく剣を打ち合っていた。
(王女と思って甘く見ておりましたね。さすがはお父様ともいい勝負をされたというペイル陛下のご息女です)
(一撃が思ったよりも重い……。このままでは手がしびれて先に降参をせざるを得なくなります。フューシャと約束をした以上、負けるわけには参りません)
剣の勝負ではほぼ互角。こうなると、二人とも考えることは同じだった。
次の一撃を入れるタイミングで、同時に魔法も放ったのだ。
「シャドウランス!」
「ウィンドエッジ!」
剣がぶつかり合うと同時に、魔法も同時にぶつかり合う。
これまた同威力。
ぶつかり合った剣と魔法が、その場で大爆発を起こす。
「きゃあっ?!」
揃って武台の外へ向けて吹き飛んでいくシアンとルシウ。
「くっ!」
ルシウは武台に触れて宙返りをしようとするがうまくいかない。
「風よ!」
一方のシアンはとっさに自分の飛ぶ方向に風のクッションを生み出し、その反動で武台へと復帰する。
受け身に失敗したルシウはそのまま場外へ。
持っている魔法の属性がそのまま勝敗に繋がってしまったのだった。
「場外! 勝者、シアン・モスグリネ!」
まさに間一髪、紙一重。属性の差でなんとか辛勝したシアンなのであった。
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