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新章 青色の智姫
第211話 忙しい合間に休息を
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学園祭も目の前に迫って来た日のこと、シアンはお城にプルネとブランチェスカを呼んでお茶会を開いていた。
開催時期が差し迫ってきているとはいっても、やはり息抜きというのは大事なのだ。
今日は学園が休みの日なので、ちょうどいいと思ってシアンは二人を誘ったのである。
「本日はお招きいただき、誠にありがとう存じます」
「シアン様、本日はよろしくお願い致します」
シアン自体は慣れている二人でも、さすがにお城というのは慣れていなかった。
思ったよりもガチガチである。
「ごめんなさいね、二人とも。どちらかの家に遊びに行こうかと思ったのですが、タイミングのせいでお城に呼ぶことになってしまいました」
シアンは城でのお茶会になぜか謝罪していた。
隣国の王女とはいえ、王族の人間。城で開催しても何の問題もないはずだ。
そこは、やはり前世が侯爵令嬢付きのメイドであったことが影響しているのかもしれないのである。
「学園祭の時期を前に息抜きをしようと思ったのですが、トパゼリアからの来客があるとのことで、到着の前後の時期は外へと出られないのですよ」
「そ、そうなのですね。私たちお城にお邪魔していいのでしょうか」
「ペシエラ様には許可を頂いているので問題ないです。でも、来客があれば一緒に出迎えてほしいと仰られてしまいました」
「私たちもですか……」
思ったよりもとんでもないことに巻き込まれたなと思うプルネとブランチェスカである。
シアンの開くお茶会に誘われてきただけなのに、隣国からの客人の出迎えに同席しなければならないとは思わなかったからだ。
とはいえ、シアンのお茶会にほいほいと参加してしまった二人なので、もう断ろうにも今さらなのである。
「本当にごめんなさい。私とライト殿下とダイア様の三人だけではちょっと不安でしたからね。巻き込むような形になってしまって」
お茶会を始める前に、シアンは全力で謝罪している。
トパゼリアからの来客は女王と王子二人だと聞いている。こちらも自分とライトとダイアの三人であれば、王子二人から自分とダイアに余計な感情が集中しかねないのだ。
互いの間で婚約者と決まっている以上、下手なことがあればアイヴォリーとモスグリネの関係にひびが入りかねないからだ。
要は、気逸らしというわけである。それを見込んで、ペシエラはこのような形でのお茶会を許可したのだった。
とりあえず、来てしまった以上はお城でのお茶会を堪能している。
「クラスでの出し物もかなり力が入ってますよね、ブランチェスカ様」
「はい、シアン様とは今年が一緒に学生をしていられる最後ですからね。みんな気合いが入っているみたいです。でも、やろうとしていることは去年までと変わらないんですけれどね」
「喫茶店だっけか。よく連続で許可が取れましたね」
「そこはこちらのマゼンダ商会とのつながりのおかげでしょうね。コーラル伯爵家は、マゼンダ商会の設立に関わっていますし」
ひとまず学園祭の出し物のことで盛り上がっている。
「そういえば、マゼンダ商会というと、今日のお出ししているお菓子も、マゼンダ商会の取扱品でしたね」
目の前にはいろいろなお菓子が並んでいる。大抵はクッキーやビスケットといったものが並ぶのだが、シアンたちの目の前にあるお菓子の種類はかなり多い。
その理由はすべてチェリシアである。
前世の記憶を頼りに、様々な料理を生み出していったのだ。本人にしてみれば前世の再現に過ぎないのだが、この世界にしてみれば目新しいものだ。
カップケーキにマドレーヌ、プリンにゼリーなど、その種類は本当に豊富なのである。
「三人で食べきれますかね」
「明らかに過剰な量ですよね」
「残れば持ち帰ってもいいとのことなので、家族で分け合ってもいいかもしれませんね」
「なるほど、そうさせて頂きます」
シアンがぽつりと告げた内容に、ブランチェスカはすんなりと反応していた。
話をしているとあっという間に時間が過ぎていく。
長くなりすぎてしまったので、いよいよお開きにして二人を帰そうかと考えたシアンだったが、そこに一人の兵士が慌てた様子で姿を見せる。
「し、シアン様にお伝え申し上げます」
息を整えながら、兵士が報告しようとしている。
「なんでしょうか、申して下さい」
「はっ、ご歓談中に申し訳ないのですが、トパゼリアからの一団が到着いたしました」
「なんですって?!」
シアンの表情が一気に険しくなる。
「それに伴いまして、シアン様とご友人方も同席頂くようにという王妃様のご指示でございます。僭越ながら、このわたくしめがご案内させて頂きます」
なんというタイミングなのだろうか。お茶会を終えてプルネとブランチェスカを家に帰らせようとした、まさにその時だったのだから。
シアンがちらりと二人を見ると、揃って不安そうな表情を見せていた。
「……分かりました。すぐに案内下さい」
「はっ!」
分かっていても、ペシエラからの命令であるのなら従わざるを得ない。
お出迎えに巻き込まれた二人を気遣いながら、シアンは城の入口に向かったのだった。
開催時期が差し迫ってきているとはいっても、やはり息抜きというのは大事なのだ。
今日は学園が休みの日なので、ちょうどいいと思ってシアンは二人を誘ったのである。
「本日はお招きいただき、誠にありがとう存じます」
「シアン様、本日はよろしくお願い致します」
シアン自体は慣れている二人でも、さすがにお城というのは慣れていなかった。
思ったよりもガチガチである。
「ごめんなさいね、二人とも。どちらかの家に遊びに行こうかと思ったのですが、タイミングのせいでお城に呼ぶことになってしまいました」
シアンは城でのお茶会になぜか謝罪していた。
隣国の王女とはいえ、王族の人間。城で開催しても何の問題もないはずだ。
そこは、やはり前世が侯爵令嬢付きのメイドであったことが影響しているのかもしれないのである。
「学園祭の時期を前に息抜きをしようと思ったのですが、トパゼリアからの来客があるとのことで、到着の前後の時期は外へと出られないのですよ」
「そ、そうなのですね。私たちお城にお邪魔していいのでしょうか」
「ペシエラ様には許可を頂いているので問題ないです。でも、来客があれば一緒に出迎えてほしいと仰られてしまいました」
「私たちもですか……」
思ったよりもとんでもないことに巻き込まれたなと思うプルネとブランチェスカである。
シアンの開くお茶会に誘われてきただけなのに、隣国からの客人の出迎えに同席しなければならないとは思わなかったからだ。
とはいえ、シアンのお茶会にほいほいと参加してしまった二人なので、もう断ろうにも今さらなのである。
「本当にごめんなさい。私とライト殿下とダイア様の三人だけではちょっと不安でしたからね。巻き込むような形になってしまって」
お茶会を始める前に、シアンは全力で謝罪している。
トパゼリアからの来客は女王と王子二人だと聞いている。こちらも自分とライトとダイアの三人であれば、王子二人から自分とダイアに余計な感情が集中しかねないのだ。
互いの間で婚約者と決まっている以上、下手なことがあればアイヴォリーとモスグリネの関係にひびが入りかねないからだ。
要は、気逸らしというわけである。それを見込んで、ペシエラはこのような形でのお茶会を許可したのだった。
とりあえず、来てしまった以上はお城でのお茶会を堪能している。
「クラスでの出し物もかなり力が入ってますよね、ブランチェスカ様」
「はい、シアン様とは今年が一緒に学生をしていられる最後ですからね。みんな気合いが入っているみたいです。でも、やろうとしていることは去年までと変わらないんですけれどね」
「喫茶店だっけか。よく連続で許可が取れましたね」
「そこはこちらのマゼンダ商会とのつながりのおかげでしょうね。コーラル伯爵家は、マゼンダ商会の設立に関わっていますし」
ひとまず学園祭の出し物のことで盛り上がっている。
「そういえば、マゼンダ商会というと、今日のお出ししているお菓子も、マゼンダ商会の取扱品でしたね」
目の前にはいろいろなお菓子が並んでいる。大抵はクッキーやビスケットといったものが並ぶのだが、シアンたちの目の前にあるお菓子の種類はかなり多い。
その理由はすべてチェリシアである。
前世の記憶を頼りに、様々な料理を生み出していったのだ。本人にしてみれば前世の再現に過ぎないのだが、この世界にしてみれば目新しいものだ。
カップケーキにマドレーヌ、プリンにゼリーなど、その種類は本当に豊富なのである。
「三人で食べきれますかね」
「明らかに過剰な量ですよね」
「残れば持ち帰ってもいいとのことなので、家族で分け合ってもいいかもしれませんね」
「なるほど、そうさせて頂きます」
シアンがぽつりと告げた内容に、ブランチェスカはすんなりと反応していた。
話をしているとあっという間に時間が過ぎていく。
長くなりすぎてしまったので、いよいよお開きにして二人を帰そうかと考えたシアンだったが、そこに一人の兵士が慌てた様子で姿を見せる。
「し、シアン様にお伝え申し上げます」
息を整えながら、兵士が報告しようとしている。
「なんでしょうか、申して下さい」
「はっ、ご歓談中に申し訳ないのですが、トパゼリアからの一団が到着いたしました」
「なんですって?!」
シアンの表情が一気に険しくなる。
「それに伴いまして、シアン様とご友人方も同席頂くようにという王妃様のご指示でございます。僭越ながら、このわたくしめがご案内させて頂きます」
なんというタイミングなのだろうか。お茶会を終えてプルネとブランチェスカを家に帰らせようとした、まさにその時だったのだから。
シアンがちらりと二人を見ると、揃って不安そうな表情を見せていた。
「……分かりました。すぐに案内下さい」
「はっ!」
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お出迎えに巻き込まれた二人を気遣いながら、シアンは城の入口に向かったのだった。
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