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SCENE029 最大の秘密、教えます
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戦いが終わった後は、僕たちは話を始めることにした。ダンジョンの方向性を決めるためだ。
なにせここはまだ何にもないダンジョンだもんね。なので、どういう風にだって改造できちゃうんだ。
「さて、ここからお見せすることはトップシークレットですぞ。口外厳禁ですからな」
「もちろんだ。せっかくの探索者育成ダンジョンなのだからな」
谷地さんたちはバトラーの言葉に頷いてくれている。
「ダンジョンの根源たるコアよ。我はダンジョンマスター、ラミアプリンセスのウィンクなり。我の呼びかけに応え、今ここに、その姿を現せ!」
バトラーの合図を受けて、僕はダンジョンコアを召喚する。
配信自体はきちんと切ってあるので、この映像が外に漏れることはない。なにせこれは、ダンジョン最大の秘密だからね。
僕たちの前に、宝珠の乗った台座が現れる。
「な、なんだこれは!」
みんな揃って叫んでいるね。初めて見るから仕方ないかな。
「プリンセスの詠唱を聞いておりませんでしたかな。これが、このダンジョンのコアでございます」
「これが、ダンジョンコア?」
「はい。このダンジョンはプリンセスの純粋な心を反映してか、見ての通りきれいな宝珠となっております」
「つまり、これを破壊すれば、このダンジョンは消えると?」
「左様ですな。もちろん、ダンジョンマスターであるプリンセスもただでは済みません。コアを破壊すれば、間違いなく死ぬでしょう」
「そ、それは困る。瞬くんは私にとっては弟のようなものだ。死なせるわけにはいかない」
衣織お姉さんはすごく焦って困っているようだった。
そういえば、僕もどうなるか知らないんだよね。コアを壊すとどうなるかって。
普通はボスを倒した後にコアが出現するらしいから、ボスが無事な状態でコアを見ることってないはずだもんね。
でも、バトラーの言う通りだったら、僕はコアが壊されると同時に死んでしまうことになる。想像すると、体が震えてしまう。
「瞬くん、大丈夫だ。私は壊さないから安心しろ」
「い、衣織お姉さん……」
僕は衣織お姉さんにぎゅっと抱き締められていた。なんだかとっても安心する気がする。
「まあ、そういうわけですな。なので、このことは内密にお願いしますぞ」
「もちろんですとも」
谷地さんと日下さんは、バトラーの言葉をしっかりと了承していた。
「さあ、プリンセス。メニューを開いて下さいな」
「あ、うん」
ダンジョンコアの宝珠に手を置いて、魔力をそっと流す。
コアの上にはなにやら画面が表示される。
「立体ホログラムのようなものですかね」
「なんとも不思議な感じですね」
「まるで魔法だな、これは」
三人がそれぞれに反応をしているみたい。
ひとまず僕は、『ダンジョン拡張』を選択して、ダンジョンの全体像を見せる。
そこには、実にシンプルな僕のダンジョンの全体像が表示される。
「とんでもなく一本道だな」
「笑わないで下さい、衣織お姉さん」
吹き出しそうになっている衣織お姉さんに、ひとまず文句は言っておく。
「この赤いのがモンスターですかね」
「そうですね。今は全部で十二個あると思います。キラーアント十匹と僕とバトラーで十二ですから」
「確かに、赤い点が十二ありますね。これってダンジョン全体が分かるんですね」
いちいちダンジョンコアを呼び出さないといけないけれど、ダンジョン全体を把握できるのは本当にありがたい。……呼び出すのが面倒なんだけどね。
ダンジョンマスターによっては、魔法やスキルでダンジョンの内部の状況を把握できるらしいから、僕も早くそうなりたいなって思う。
「ダンジョン拡張ということは、これによってダンジョンの通路や部屋、それと階層を増やせるんですね?」
「その通りでございます。そのためには、ダンジョンポイントなるものを消費していかねばなりません。入ってきた探索者へとダメージを与えることで、その評価を得、ダンジョンポイントに変換されます」
「ふむふむ。それでダンジョンの中にはいろんな罠が仕掛けられていたり、強いモンスターがいたりするというわけですか」
「その通りでございます」
バトラーの説明を、谷地さんたちはしっかりと理解していた。さすがはダンジョン管理局の事務担当といったところかな。
でも、これくらいなら衣織お姉さんも……ってお姉さん?!
僕がちらりと見ると、衣織お姉さんが頭を抱えているような様子を見せていた。
「ちょっと待て。ということは、私たちの命がそのまま、評価点としてダンジョンマスターたちに与えられているということなのか」
「まあ、そういうことになりますな。別に殺す必要はございませんがね」
「横浜ダンジョンは、死んでも入口で復活できるようになっているが、それでも加算はされるのか?」
「されますな。にしても、復活設備をお持ちとは、さすがは異界の王家の血筋の方ですな。プリンセス、負けてはおれませんぞ」
「う、うん。頑張るけど……」
バトラーの勢いに押されて僕は頷いてしまう。でも、モンスターたちの住んでいる異界っていうところにも王様っているんだな。意外な事実を知れてびっくりしちゃった。
「それにしても、このダンジョンもポイントが結構貯まっているな。これはどうやって稼いだんだ?」
「それは、先程の行動に答えがありますぞ」
「先程?」
バトラーの答えに、衣織お姉さんは首を傾げてしまっている。どうも理解できないみたいだ。
「あっ、そっか。配信か」
「その通りでございます。さすがは管理局の方は理解が早いですな」
谷地さんが叫ぶと、バトラーは笑顔で褒めちぎっていた。
「その通り。プリンセスが配信を通して視聴者なるものを魅了しますと、それでダンジョンポイントが稼げるのでございます。ラミア族としての種族スキルでございますな」
バトラーがにやりと笑うと、その場は凍り付いてしまっていた。
結局、ダンジョンの打ち合わせのはずが、ひとつも話が進まずに終わってしまった。
こんな調子で本当に大丈夫かな。僕は心配になってきちゃったよ。
なにせここはまだ何にもないダンジョンだもんね。なので、どういう風にだって改造できちゃうんだ。
「さて、ここからお見せすることはトップシークレットですぞ。口外厳禁ですからな」
「もちろんだ。せっかくの探索者育成ダンジョンなのだからな」
谷地さんたちはバトラーの言葉に頷いてくれている。
「ダンジョンの根源たるコアよ。我はダンジョンマスター、ラミアプリンセスのウィンクなり。我の呼びかけに応え、今ここに、その姿を現せ!」
バトラーの合図を受けて、僕はダンジョンコアを召喚する。
配信自体はきちんと切ってあるので、この映像が外に漏れることはない。なにせこれは、ダンジョン最大の秘密だからね。
僕たちの前に、宝珠の乗った台座が現れる。
「な、なんだこれは!」
みんな揃って叫んでいるね。初めて見るから仕方ないかな。
「プリンセスの詠唱を聞いておりませんでしたかな。これが、このダンジョンのコアでございます」
「これが、ダンジョンコア?」
「はい。このダンジョンはプリンセスの純粋な心を反映してか、見ての通りきれいな宝珠となっております」
「つまり、これを破壊すれば、このダンジョンは消えると?」
「左様ですな。もちろん、ダンジョンマスターであるプリンセスもただでは済みません。コアを破壊すれば、間違いなく死ぬでしょう」
「そ、それは困る。瞬くんは私にとっては弟のようなものだ。死なせるわけにはいかない」
衣織お姉さんはすごく焦って困っているようだった。
そういえば、僕もどうなるか知らないんだよね。コアを壊すとどうなるかって。
普通はボスを倒した後にコアが出現するらしいから、ボスが無事な状態でコアを見ることってないはずだもんね。
でも、バトラーの言う通りだったら、僕はコアが壊されると同時に死んでしまうことになる。想像すると、体が震えてしまう。
「瞬くん、大丈夫だ。私は壊さないから安心しろ」
「い、衣織お姉さん……」
僕は衣織お姉さんにぎゅっと抱き締められていた。なんだかとっても安心する気がする。
「まあ、そういうわけですな。なので、このことは内密にお願いしますぞ」
「もちろんですとも」
谷地さんと日下さんは、バトラーの言葉をしっかりと了承していた。
「さあ、プリンセス。メニューを開いて下さいな」
「あ、うん」
ダンジョンコアの宝珠に手を置いて、魔力をそっと流す。
コアの上にはなにやら画面が表示される。
「立体ホログラムのようなものですかね」
「なんとも不思議な感じですね」
「まるで魔法だな、これは」
三人がそれぞれに反応をしているみたい。
ひとまず僕は、『ダンジョン拡張』を選択して、ダンジョンの全体像を見せる。
そこには、実にシンプルな僕のダンジョンの全体像が表示される。
「とんでもなく一本道だな」
「笑わないで下さい、衣織お姉さん」
吹き出しそうになっている衣織お姉さんに、ひとまず文句は言っておく。
「この赤いのがモンスターですかね」
「そうですね。今は全部で十二個あると思います。キラーアント十匹と僕とバトラーで十二ですから」
「確かに、赤い点が十二ありますね。これってダンジョン全体が分かるんですね」
いちいちダンジョンコアを呼び出さないといけないけれど、ダンジョン全体を把握できるのは本当にありがたい。……呼び出すのが面倒なんだけどね。
ダンジョンマスターによっては、魔法やスキルでダンジョンの内部の状況を把握できるらしいから、僕も早くそうなりたいなって思う。
「ダンジョン拡張ということは、これによってダンジョンの通路や部屋、それと階層を増やせるんですね?」
「その通りでございます。そのためには、ダンジョンポイントなるものを消費していかねばなりません。入ってきた探索者へとダメージを与えることで、その評価を得、ダンジョンポイントに変換されます」
「ふむふむ。それでダンジョンの中にはいろんな罠が仕掛けられていたり、強いモンスターがいたりするというわけですか」
「その通りでございます」
バトラーの説明を、谷地さんたちはしっかりと理解していた。さすがはダンジョン管理局の事務担当といったところかな。
でも、これくらいなら衣織お姉さんも……ってお姉さん?!
僕がちらりと見ると、衣織お姉さんが頭を抱えているような様子を見せていた。
「ちょっと待て。ということは、私たちの命がそのまま、評価点としてダンジョンマスターたちに与えられているということなのか」
「まあ、そういうことになりますな。別に殺す必要はございませんがね」
「横浜ダンジョンは、死んでも入口で復活できるようになっているが、それでも加算はされるのか?」
「されますな。にしても、復活設備をお持ちとは、さすがは異界の王家の血筋の方ですな。プリンセス、負けてはおれませんぞ」
「う、うん。頑張るけど……」
バトラーの勢いに押されて僕は頷いてしまう。でも、モンスターたちの住んでいる異界っていうところにも王様っているんだな。意外な事実を知れてびっくりしちゃった。
「それにしても、このダンジョンもポイントが結構貯まっているな。これはどうやって稼いだんだ?」
「それは、先程の行動に答えがありますぞ」
「先程?」
バトラーの答えに、衣織お姉さんは首を傾げてしまっている。どうも理解できないみたいだ。
「あっ、そっか。配信か」
「その通りでございます。さすがは管理局の方は理解が早いですな」
谷地さんが叫ぶと、バトラーは笑顔で褒めちぎっていた。
「その通り。プリンセスが配信を通して視聴者なるものを魅了しますと、それでダンジョンポイントが稼げるのでございます。ラミア族としての種族スキルでございますな」
バトラーがにやりと笑うと、その場は凍り付いてしまっていた。
結局、ダンジョンの打ち合わせのはずが、ひとつも話が進まずに終わってしまった。
こんな調子で本当に大丈夫かな。僕は心配になってきちゃったよ。
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