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SCENE043 セイレーンの初配信
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あー、緊張いたしますわ。
あたしはウィンクさんにいろいろ教えてもらいながら、どうにか配信の準備を済ませました。
まったく、こういう時に下僕はまったく役に立ちませんわね。
それにしても、このどろーんというものですか。不思議なものですわね。こんな小さなもので、あたしたちを撮影して遠くに広められるというのですから。
「それにしても、このどろーんでしたっけか、これが映している様子がこうやって見られるなんて、すごいですわね」
「お、俺もこういうのは初めてですよ。俺、目立たないんで配信なんて考えたこともなかったんで……」
「まあ、そうなのですわね。でも、ここまで来れている時点でその通りだと思いますわ」
下僕には、ここまで来れるだけの隠密スキルがありますもの。配信をしていてもきっと見られていませんわよね。
あたしはつい笑ってしまいます。
でも、おかげで少し緊張がほぐれましたかしら。
「さあ、下僕。配信を始めますわよ。きちんとこのドローンなるものを操作して下さいませ」
「はい、やってみます」
あたしはウィンクさんに教えていただきました魔法で表示された画面を見ます。そこにある『配信開始』なる部分にそっと指を触れます。
すると、画面の端っこの方に、『配信中』の文字が出てきました。これで配信されてますのね。頑張りませんと。
これからと思った時です。なにやら言葉が表示されましたわね。
『セイレーンさん、きちんと映っています。何かしゃべってみて下さい』
こちらの世界の文字は覚えましたので、言葉をしっかり理解できていますわ。これはウィンクさんからのメッセージですわね。
「ごきげんよう。あたしはセイレーンですわ。横浜ダンジョンのダンジョンマスターですわよ」
あたしがひと言発しますと、なにやらぽこぽこという音が聞こえてきますわね。
『セイレーンさん、僕が宣伝しておきました。人が増えてきましたので、もう一度ご挨拶をお願いします』
ウィンクさんと思われる言葉がやたらと目につきますわね。
二度も自己紹介など、あたしにとっては屈辱ですわ。ですけれど、ここは配信に関しては先駆者になるウィンクさんに従いましょう。
「ごきげんよう。あたしはセイレーンですわ。横浜ダンジョンのダンジョンマスターですわよ」
あたしはもう一度自己紹介をします。
『なんだ、この配信』
『ウィンクちゃんの宣伝で来てみたけど、ダンジョンマスター?!』
『うっそだろ、ダンジョンマスターがなんで配信できてるんだ?』
なんともうるさい反応ですわね。
「おーっほっほっほっほっ。あたしには不可能はございませんのよ。さあ、とくとあたしの美貌をご覧になることね」
文句が多いですから、あたしは魅了スキルを発動させますわよ。
『たまげたなぁ。ダンジョンマスターと言ってたけど、これまた美しい女性だな』
『横浜ダンジョンって、あの性悪なダンジョンだろ?』
『あそこのダンジョンマスターってこんなのだったのか』
『とんでもない迷路だけど、楽しませてもらってるし、稼がせてももらってるから文句はないな』
なんですの、これ。あまりにも反応が悪いですわね。
『セイレーンさん、笑顔笑顔』
『うん?アドバイス送っているのがいるな』
『これってウィンクちゃんかな?』
『配信するダンジョンマスターの先輩として見に来てるのか。優しいなぁ』
なんですの、これ。あたしよりもあのちんちくりんなラミアの方がいいとでも言いますの?
納得がいきませんわね。
『セイレーンさん、最初はこんなものですって。とりあえず、ひと通り紹介をしてみて下さい』
ウィンクさんはずっとアドバイスをしてくれていますわね。
腹は立ちましたけれど、あの子は本気であたしを気遣ってくれていますのね。
でしたら、そのアドバイスに従ってあげようではありませんの。ええ、仕方なくですわよ、仕方なく。
「あたしがなぜ配信を行えているかは、トップシークレットですわよ。とにかく探索者がどなたも来られませんので暇ですわ。ですので、探索者の踏み入れたことのない最下層を、本日は案内してあげましょう」
あたしはいつも座っている場所から移動しますと、神殿の外へと出てきます。
神殿の外には一面の海が広がっておりますわ。相変わらず、素晴らしい景色ですわね。
「どうでしょうか。これが横浜ダンジョンの最下層の景色ですわよ」
『うへっ、これが地中の景色なのか?』
『海やんけ』
『はえー、きれいすぎる』
「ここまでたどり着けましたら、ご褒美を差し上げますわ。ええ、たどり着けるのでしたら、ですけれどね」
『五階層までくらいが限界だぜ』
『そんな景色が見られるのなら、行ってみたい』
ふふっ、みなさんの反応は上々といったところでしょうか。
「このダンジョンでは死んでも入口で復活できるようになっておりますので、気兼ねなくいらして下さいね。あたしが生きている限り、このダンジョンは無くなりませんのでね」
『死んでも復活できるのはありがたい』
『慈悲深いのか、鬼畜なのか分からん』
『見た目は好みなので会いに行きたい』
なにやらいろいろ言ってますわね。意味がちょっと分かりませんが、悪い反応ではないと思いますわ。
「では、今回は初めてですので、このくらいで終わりたいと思いますわ。ごきげんよう」
あまり長くはありませんでしたが、あたしは初めての配信を終わらせることにしましたわ。
なんといいましょうか、思ったよりも疲れますわね、これ。
でも、これで魅了によるポイントが入るのであれば、あたしの総合一位の座は揺るぎませんわね。おーっほっほっほっ。
あたしはウィンクさんにいろいろ教えてもらいながら、どうにか配信の準備を済ませました。
まったく、こういう時に下僕はまったく役に立ちませんわね。
それにしても、このどろーんというものですか。不思議なものですわね。こんな小さなもので、あたしたちを撮影して遠くに広められるというのですから。
「それにしても、このどろーんでしたっけか、これが映している様子がこうやって見られるなんて、すごいですわね」
「お、俺もこういうのは初めてですよ。俺、目立たないんで配信なんて考えたこともなかったんで……」
「まあ、そうなのですわね。でも、ここまで来れている時点でその通りだと思いますわ」
下僕には、ここまで来れるだけの隠密スキルがありますもの。配信をしていてもきっと見られていませんわよね。
あたしはつい笑ってしまいます。
でも、おかげで少し緊張がほぐれましたかしら。
「さあ、下僕。配信を始めますわよ。きちんとこのドローンなるものを操作して下さいませ」
「はい、やってみます」
あたしはウィンクさんに教えていただきました魔法で表示された画面を見ます。そこにある『配信開始』なる部分にそっと指を触れます。
すると、画面の端っこの方に、『配信中』の文字が出てきました。これで配信されてますのね。頑張りませんと。
これからと思った時です。なにやら言葉が表示されましたわね。
『セイレーンさん、きちんと映っています。何かしゃべってみて下さい』
こちらの世界の文字は覚えましたので、言葉をしっかり理解できていますわ。これはウィンクさんからのメッセージですわね。
「ごきげんよう。あたしはセイレーンですわ。横浜ダンジョンのダンジョンマスターですわよ」
あたしがひと言発しますと、なにやらぽこぽこという音が聞こえてきますわね。
『セイレーンさん、僕が宣伝しておきました。人が増えてきましたので、もう一度ご挨拶をお願いします』
ウィンクさんと思われる言葉がやたらと目につきますわね。
二度も自己紹介など、あたしにとっては屈辱ですわ。ですけれど、ここは配信に関しては先駆者になるウィンクさんに従いましょう。
「ごきげんよう。あたしはセイレーンですわ。横浜ダンジョンのダンジョンマスターですわよ」
あたしはもう一度自己紹介をします。
『なんだ、この配信』
『ウィンクちゃんの宣伝で来てみたけど、ダンジョンマスター?!』
『うっそだろ、ダンジョンマスターがなんで配信できてるんだ?』
なんともうるさい反応ですわね。
「おーっほっほっほっほっ。あたしには不可能はございませんのよ。さあ、とくとあたしの美貌をご覧になることね」
文句が多いですから、あたしは魅了スキルを発動させますわよ。
『たまげたなぁ。ダンジョンマスターと言ってたけど、これまた美しい女性だな』
『横浜ダンジョンって、あの性悪なダンジョンだろ?』
『あそこのダンジョンマスターってこんなのだったのか』
『とんでもない迷路だけど、楽しませてもらってるし、稼がせてももらってるから文句はないな』
なんですの、これ。あまりにも反応が悪いですわね。
『セイレーンさん、笑顔笑顔』
『うん?アドバイス送っているのがいるな』
『これってウィンクちゃんかな?』
『配信するダンジョンマスターの先輩として見に来てるのか。優しいなぁ』
なんですの、これ。あたしよりもあのちんちくりんなラミアの方がいいとでも言いますの?
納得がいきませんわね。
『セイレーンさん、最初はこんなものですって。とりあえず、ひと通り紹介をしてみて下さい』
ウィンクさんはずっとアドバイスをしてくれていますわね。
腹は立ちましたけれど、あの子は本気であたしを気遣ってくれていますのね。
でしたら、そのアドバイスに従ってあげようではありませんの。ええ、仕方なくですわよ、仕方なく。
「あたしがなぜ配信を行えているかは、トップシークレットですわよ。とにかく探索者がどなたも来られませんので暇ですわ。ですので、探索者の踏み入れたことのない最下層を、本日は案内してあげましょう」
あたしはいつも座っている場所から移動しますと、神殿の外へと出てきます。
神殿の外には一面の海が広がっておりますわ。相変わらず、素晴らしい景色ですわね。
「どうでしょうか。これが横浜ダンジョンの最下層の景色ですわよ」
『うへっ、これが地中の景色なのか?』
『海やんけ』
『はえー、きれいすぎる』
「ここまでたどり着けましたら、ご褒美を差し上げますわ。ええ、たどり着けるのでしたら、ですけれどね」
『五階層までくらいが限界だぜ』
『そんな景色が見られるのなら、行ってみたい』
ふふっ、みなさんの反応は上々といったところでしょうか。
「このダンジョンでは死んでも入口で復活できるようになっておりますので、気兼ねなくいらして下さいね。あたしが生きている限り、このダンジョンは無くなりませんのでね」
『死んでも復活できるのはありがたい』
『慈悲深いのか、鬼畜なのか分からん』
『見た目は好みなので会いに行きたい』
なにやらいろいろ言ってますわね。意味がちょっと分かりませんが、悪い反応ではないと思いますわ。
「では、今回は初めてですので、このくらいで終わりたいと思いますわ。ごきげんよう」
あまり長くはありませんでしたが、あたしは初めての配信を終わらせることにしましたわ。
なんといいましょうか、思ったよりも疲れますわね、これ。
でも、これで魅了によるポイントが入るのであれば、あたしの総合一位の座は揺るぎませんわね。おーっほっほっほっ。
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