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第18話 神社に足を向けて
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「はぁ~……」
家に帰った私は、ずっとため息をついていた。
私の頭にちらつくのは、神輿を担いでいた海斗の姿。幼馴染みの知らない姿を見て、私はすっかり呆けてしまっていたのだ。
(なんだろう……。お神輿を担ぐ海斗はなんか輝いて見えたなぁ……)
部屋の畳の上で、私はひたすらごろごろと転がっている。お風呂で水分チャージをしてきたばかりだけど、なんだか動く気がしない。頭の中に海斗の姿がちらついて離れないことが、とても悩ましくて何もする気が起きないのだ。
「おーい、マイ。そろそろ夕食じゃぞ」
おじいちゃん先生が呼ぶ声が聞こえてくる。
「はーい、おじいちゃん。今行くよ」
返事をした私は、体をどうにか起こして食事を取ることにした。
食事中にはおじいちゃん先生からお祭りのことを聞かれたけれど、どうにも上の空で、どう答えたのか覚えていない。おじいちゃん先生が首を捻っている姿だけは覚えていた。
はあ、どうしちゃったんだろ、私。
なんの身も入らない私は、お祭りの日の夜はそのままぐっすりと眠ったのだった。
翌日、学校を終えた私は、気が付いたら昨日やってきた神社に足を運んでいた。
「あれ、なんで私ここにいるんだろう……」
ついつぶやいてしまう。
本当に自分でも、なぜここに来たのか分からない。まるで不思議な力に引き寄せられるように、私は神社にやって来ていた。
「せっかく来たんだし、ちょっとお参りしていこう」
ぼそっと口に出した私は、そのまま神社へと足を踏み入れた。
入口の鳥居で頭を下げ、手水舎で手と口を清めて進んでいく。一応やり方だけは知っているからね。ちゃんとしないと失礼だものね。
(えっと、二回頭を下げてっと……)
異世界生活のせいでちょっとあいまいにはなっているけれど、親から教えてもらった作法はしっかりと残っていた。
お願い事をして最後に頭を下げると、私は少しすっきりした気分になる。
とりあえずお参りはしたわけだし、私は帰ろうとくるりと振り返った時だった。
『ほうほう、面白い娘子が来ておるものじゃな』
どこからともなく声が聞こえてきた。
「だ、誰?!」
私はつい叫んでしまう。
月曜の夕方とはいえ、そこそこの立地にある神社には人がそれなりにいるので、叫んでしまえばたちまち注目の的になっていた。
(わわわっ、目立ってる?!)
『そこな娘子、拝殿の裏に回るとよいぞ。そこなら人はあまり来ぬ』
(誰か分からないけどありがとう!)
私は聞こえてきた声に従って、目の前の建物の裏手へと回っていく。
行きついた場所は、確かに周りから見えないような場所だ。ここなら、落ち着けそうだった。
だけど、目立たないということは逆に変な危険もあるかもしれない。そのことに気が付いた私はちょっと身構えてしまった。
『心配するな。わしがいる限り、そのようなことはさせぬ』
「だ、誰なの? さっきから私に話しかけているのは」
聞こえてきた声に、私は言葉を返している。どこからともなく聞こえてくる声に、なんだか怖くなってきた。
騒ぐ私の姿に困ったのか、私の目の前にすうっと誰かの姿が見えてきた。
『やれやれ、騒がしい娘子じゃのう。おぬしの存在は、わしと大差ないであろう?』
「うわっ、お化け!」
どこからともなく現れたおじいさん……いや、おじさんの姿に私はびっくりしてしまう。
『お化けとは失礼だな。わしはこの神社に祀られておる神じゃぞ』
「か、神様?!」
『静かにせい。何のためにここに呼んだと思うておるんじゃ』
神様に怒られて、私は慌てて口に手を当てている。その状態のまま、私は目の前の神様を見ている。
見た感じは、私の前世のお父さんと同じくらいの年齢の男性みたいだけど、言葉遣いがおじいちゃん先生みたいに年寄りくさい。格好もずいぶんと古いみたいだし。
『悪かったのう、年寄りくさくて』
「わわっ……」
思ったこともすんなり伝わってしまっているみたいだ。さすが神様、隠し事はできないみたいだわ。
私は口を押さえたままどうしたらいいのか分からずに、目を泳がせてしまう。
『それにしても、そこな娘子はなんとも不思議な魂を持っておるな。わしの弟、そこの海の神の神社があるじゃろう、そこに祀られておる弟と似たような力を感じるわい』
「お、弟さんですか?」
神様の話す内容に、私は目を丸くしてしまう。
『うむ。わしと弟は元々はこの辺り一帯を治めておった豪族だった。わしは農耕に尽力したことから田均命、弟は波均命と呼ばれておる』
「へぇー……、初耳ですね」
『そりゃそうじゃ。祭りこそ行われてはおるが、知名度とともにわしらへの信仰というのは年々と弱まっておるからな。それが証拠に、弟の神社の寂れ具合酷いものじゃろうて。漁師ですらまったく手入れをせんから荒れ放題じゃ。嘆かわしいぞ』
私の目の前で顔押さえながら首を左右に振る自称神様の姿に、私はどう反応していいのか分からない。
それにしてもこの自称神様、一体何が目的で私の前に現れたのだろうか。私は思わず息をのんでしまうのだった。
家に帰った私は、ずっとため息をついていた。
私の頭にちらつくのは、神輿を担いでいた海斗の姿。幼馴染みの知らない姿を見て、私はすっかり呆けてしまっていたのだ。
(なんだろう……。お神輿を担ぐ海斗はなんか輝いて見えたなぁ……)
部屋の畳の上で、私はひたすらごろごろと転がっている。お風呂で水分チャージをしてきたばかりだけど、なんだか動く気がしない。頭の中に海斗の姿がちらついて離れないことが、とても悩ましくて何もする気が起きないのだ。
「おーい、マイ。そろそろ夕食じゃぞ」
おじいちゃん先生が呼ぶ声が聞こえてくる。
「はーい、おじいちゃん。今行くよ」
返事をした私は、体をどうにか起こして食事を取ることにした。
食事中にはおじいちゃん先生からお祭りのことを聞かれたけれど、どうにも上の空で、どう答えたのか覚えていない。おじいちゃん先生が首を捻っている姿だけは覚えていた。
はあ、どうしちゃったんだろ、私。
なんの身も入らない私は、お祭りの日の夜はそのままぐっすりと眠ったのだった。
翌日、学校を終えた私は、気が付いたら昨日やってきた神社に足を運んでいた。
「あれ、なんで私ここにいるんだろう……」
ついつぶやいてしまう。
本当に自分でも、なぜここに来たのか分からない。まるで不思議な力に引き寄せられるように、私は神社にやって来ていた。
「せっかく来たんだし、ちょっとお参りしていこう」
ぼそっと口に出した私は、そのまま神社へと足を踏み入れた。
入口の鳥居で頭を下げ、手水舎で手と口を清めて進んでいく。一応やり方だけは知っているからね。ちゃんとしないと失礼だものね。
(えっと、二回頭を下げてっと……)
異世界生活のせいでちょっとあいまいにはなっているけれど、親から教えてもらった作法はしっかりと残っていた。
お願い事をして最後に頭を下げると、私は少しすっきりした気分になる。
とりあえずお参りはしたわけだし、私は帰ろうとくるりと振り返った時だった。
『ほうほう、面白い娘子が来ておるものじゃな』
どこからともなく声が聞こえてきた。
「だ、誰?!」
私はつい叫んでしまう。
月曜の夕方とはいえ、そこそこの立地にある神社には人がそれなりにいるので、叫んでしまえばたちまち注目の的になっていた。
(わわわっ、目立ってる?!)
『そこな娘子、拝殿の裏に回るとよいぞ。そこなら人はあまり来ぬ』
(誰か分からないけどありがとう!)
私は聞こえてきた声に従って、目の前の建物の裏手へと回っていく。
行きついた場所は、確かに周りから見えないような場所だ。ここなら、落ち着けそうだった。
だけど、目立たないということは逆に変な危険もあるかもしれない。そのことに気が付いた私はちょっと身構えてしまった。
『心配するな。わしがいる限り、そのようなことはさせぬ』
「だ、誰なの? さっきから私に話しかけているのは」
聞こえてきた声に、私は言葉を返している。どこからともなく聞こえてくる声に、なんだか怖くなってきた。
騒ぐ私の姿に困ったのか、私の目の前にすうっと誰かの姿が見えてきた。
『やれやれ、騒がしい娘子じゃのう。おぬしの存在は、わしと大差ないであろう?』
「うわっ、お化け!」
どこからともなく現れたおじいさん……いや、おじさんの姿に私はびっくりしてしまう。
『お化けとは失礼だな。わしはこの神社に祀られておる神じゃぞ』
「か、神様?!」
『静かにせい。何のためにここに呼んだと思うておるんじゃ』
神様に怒られて、私は慌てて口に手を当てている。その状態のまま、私は目の前の神様を見ている。
見た感じは、私の前世のお父さんと同じくらいの年齢の男性みたいだけど、言葉遣いがおじいちゃん先生みたいに年寄りくさい。格好もずいぶんと古いみたいだし。
『悪かったのう、年寄りくさくて』
「わわっ……」
思ったこともすんなり伝わってしまっているみたいだ。さすが神様、隠し事はできないみたいだわ。
私は口を押さえたままどうしたらいいのか分からずに、目を泳がせてしまう。
『それにしても、そこな娘子はなんとも不思議な魂を持っておるな。わしの弟、そこの海の神の神社があるじゃろう、そこに祀られておる弟と似たような力を感じるわい』
「お、弟さんですか?」
神様の話す内容に、私は目を丸くしてしまう。
『うむ。わしと弟は元々はこの辺り一帯を治めておった豪族だった。わしは農耕に尽力したことから田均命、弟は波均命と呼ばれておる』
「へぇー……、初耳ですね」
『そりゃそうじゃ。祭りこそ行われてはおるが、知名度とともにわしらへの信仰というのは年々と弱まっておるからな。それが証拠に、弟の神社の寂れ具合酷いものじゃろうて。漁師ですらまったく手入れをせんから荒れ放題じゃ。嘆かわしいぞ』
私の目の前で顔押さえながら首を左右に振る自称神様の姿に、私はどう反応していいのか分からない。
それにしてもこの自称神様、一体何が目的で私の前に現れたのだろうか。私は思わず息をのんでしまうのだった。
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