夏凛の大冒険

再会

「えっ！？何が起こったの？ぎゃー！！！」
（城から出てないのに死んでしまうなんて…なんでこういうときに誰も来てくれないの…！」
　もう死んでしまうのかと思い、目をぎゅっと閉じた。すると身体が急に軽くなったようか気がして、恐る恐る目を開いてみると…そこには異世界のようで、なにか懐かしいような場所だった。とてもとても深い森の中でたった一人で突っ立っていた。
「ここはどこなんだろう。でも来たことあるような気もするんだけどな…なんか…懐かしい」
と呟く。
すると、どこからか鳥のさえずりが聞こえてきた。ウサギが駆け回っていたり、綺麗な花畑があったのだ。
実際はたった一人ではなかったのだ。
「もしかして、ここって天国なのかな…？さっきの強い光のせいで死んじゃった！？」
ずっと考えていたら、頭の中に心地よい声が響いた。一瞬目を閉じて、開くと、その声の主がいた。
「…夏凛、夏凛。ここは天国なんかじゃないよ。ここは夏凛たちにとったら敵が住む国だ。俺のこと覚えてる？昔一度だけここで出会って遊んだことがあるんだ。」
「もしかして、タク？」
「思い出してくれたんだな」
「忘れるわけないよ!!（ここで会うまで忘れてたけど（汗））」
「どうしてここに？」
「あっ、聞いてよ！なんか、ほらっ、眩しい光がぐわーってなって気づいたらここにいたわけ」
「昔と同じで夏凛は説明が雑だな。笑」
「そんな！否定はできないけど…あはは」
「とにかく夏凛は城に帰りたいんだよな？ここは安全だけど町の方に行ったら敵ばっかりだし。」
「嫌だ！あんな城抜け出そうとしてるんだよ！城の風習が嫌だからむしろここが嬉しいくらい！」
「そんなこと言って…（ほんとは帰りたいくせに）わかった、じゃあここで一緒に暮らしちゃおうか」
「そんな顔のやつに言われたら照れます」
「まぁまぁ、とりあえず一緒に住んでみよ」
「うん。ありがとう、タク」
そうして夏凛の念願の自由の暮らしが始まったのだ。タクと共に。