「夢の異世界転生先は、お姫様」と願ったらなぜか傭兵団にいます。

momo6

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ゴフッゴホッ
(まじで、死ぬ!!まだ数分しか生きていないのに!!)


水の塊に包まれながら息が出来ず、苦痛に顔を歪める。
「魔族め!お前が魔物を呼んだのか!?」

(何を言ってるのか聞こえないーー苦しい)

鎧の人が憎しみを込めると水の力が強くなり体を締め付けられる。

「おい!アレックス!!何してるんだ!?」
「アレックスさん!!!しっかりして下さい!水を消して下さい!」

鎧の人、二人が近づき取り押さえようとしているが。「やめろ!!魔族は俺が殺すんだ!!」
頭に血が上り歯向かうアレックス。

繭は、苦しみの中で3人を見ていた。

(イケメンパラダイスもしないまま死ぬなんて!!!絶対にいやだ!!!!!)

ピコーン
{解、水の呪縛を解きますか?}

頭の中で機械音が流れた。
(何?水の?)

ピコーン
{解、水の呪縛を解きますか?}

また同じ機械音が流れ、(はい!はい!お願いします!)何でも良いからこの苦しみから解放して!

ピコーン
{了承を得ました。水の呪縛を解きます}

バシュンっと機械音と共に繭を包んでいた水が一瞬で消えた。
「ゴホッゲホッゴホッ」
繭は、地面に叩きつけられ体の痛みと水を飲んでしまい、むせてしまう。

一瞬で消えた水に3人は、チャキっと剣を向ける。
先程まで。アレックスを取り押さえていた2人は真剣な表情で質問する。

「なぁ、アレックス。さっきの魔法って、水の呪縛だろ?お前ーー解除したのか?」
「そんな訳ないだろ?だから、魔族だって言ってるだろ。」
「おいおい、まじかよー。魔物の次は魔族とか、今日帰れるかなー」

ぼやきが耳に入らず、何度も深呼吸する繭は真後ろに立たれているのに気付いていなかった。
チャキ
繭の首筋に鋭く光る剣が当たる。
スーッと赤い血が流れでた。

「答えろ。魔族、お前はどこからきた?」

アレックスが剣を向けながら問いかけると、呼吸を取り戻した繭がゆっくりと振り返る。

ドキっ

水に濡れた白い髪がキラキラと月の光に反射しており。
透き通る様に白い肌に、宝石の様な煌めく金色の瞳。うっすらと赤い唇はカタカタと震えていた。

3人は繭の美しさに時間を忘れ見惚れていた。
アレックスは、剣を落としそうになり気を引き締める。

「おっ、お前は誰だ!」

「わたしは、繭ーー人間です。魔族?ではありません。」
カタカタと震える声で話すも鳥の囀りのような声色にうっとりする。

「人間だと!?そんな色の瞳は見た事ないぞ!!」
騙されんぞ!とアレックスが罵声を上げるがビクッと体を縮こませる繭に一瞬怯む。

「まぁまぁ、アレックス。落ち着け。なら、鑑定すればいいだろ?なっ?それで、種族が分かるだろ?」
後ろから声をかけてきたのは、青い目に金髪の男性だった。
「ローリー、分かった。鑑定する。」

アレックスは、そう言うと震える繭に手をかざした。
「鑑定」

そう言うと。
繭の顔の前にステータスが表示された。

アレックスしか見えない様で、繭も他の2人も息を飲みながら見守る。


【鑑定】
種族:滅んだ聖者の生き残り・人間
名前:マユ  性別:女  年齢:17歳
属性:全属性
魔法:レベル∞
称号:神に愛されし子。迫害を受け記憶障害。




「ーーー・・・人間だ。」
アレックスは、鑑定結果に目を丸くしながら息を飲む。魔族では無かったが、全属性に無限・・・神に愛されしーー迫害・・・すぐに剣を納め、目線を合わせる。

「すまなかった。怖がらせてしまったな。」
繭は、震えながらアレックスを見つめた。ダークブラウンの目に黒い髪。意外にイケメンだったと気づいたが、初対面で水の攻撃をされたから油断できないと固く唇を結ぶ。

「アレックスは、気が短いからな。俺が連れて行くよ。どっちみち、人間なら保護しないとな。」
ローリーは優しく繭を抱きかかえると細く軽い割に大きく揺れる胸に気づいた。

水で濡れた洋服は、うっすらと繭の肌が透けていたのだ。
「まったく、アレックスは。いきなり水は無いだろ。はぁー、怖かったよな?仲間がすまなかった。」
ローリーは自分のマントを取ると繭に巻き付けてお姫様抱っこをする。

「今から俺たちの宿舎に戻るが、一緒に行くかい?」
優しく話しかけたので。繭も思わず頷いた。

「よし。では。行こうかーーーおい!ジャン!いつまで固まってるんだ!置いて行くぞ!」

3人目のジャンは茶色い髪に焦げ茶の目を丸くさせながら顔を赤くしていた。
いそいそと2人の後をついていく。


ローリーに抱き寄せられ、マントで髪と顔を隠しながら歩いて行くと斬り殺された怪物の山があり、周りに鎧をきた人達が火を付けていた。
大勢の人がいる。中には怪我をしている人も。

(本当に異世界に来たんだーー)

震えが止まらない繭にローリーは、眉を細める。

(魔の森にこんな小さな子供が一人で?親に捨てられたか?だが、アレックスの魔法を破ったのは間違いなくこの子だ。鑑定結果を後で聞かないとな)


「ここからは、馬車で戻るんだが。座れるかい?」
木で出来た馬車は、大きな木の箱が馬に繋がれたお粗末な物だった。

「はぃーー」
マントを緩め、段を登ると薄暗い中に木の床に座る。
繭と3人の他に8人程乗ってきたのでぎゅうぎゅうだ。
薄暗い中、繭に気づく者は居なかった。
ローリーが盾になり、見られないようにしていたからだ。
ガタンガタンと揺れる車内が船酔いの感覚に似ており、酷く気持ち悪くなる。
「ふー」
辛い息を吐き出すと

「大丈夫か?寄りかかった方が少しは楽になる。」
小声でそっと繭の頭を自分の膝に乗せると、先程よりは良くなる。
そのままスースーと緊張の糸が切れたのか眠ってしまった。

(寝たか、こうして見ると可愛い子だなーー売られて逃げたのか?調べてみないとな)

冷静に見つめるローリーにアレックスは、モヤモヤしていた。

(先程の鑑定が正しければ、何故あんな場所にいたのか?神に愛されているなら、魔の森に入らないだろう。っとーーーそれに…滅んだ国の生き残りーー確か、聖者と呼ばれた国があったな。随分昔に滅ぼされたと聞いていたが、まだ生き残りがいたのか。・・・迫害か。確かにこの姿では人間だと思われないな、可哀想に)

スースー眠る繭を見つめながら、頭の中が混乱する。


繭は束の間の休息を取っていたので、二人が何を考えているのか分からなかった。







ガタンガタンガタンッ
馬車が止まる。

ローリーにマントで包まれながら馬車を降りるが、寝入っている繭は気付かない。

「ローリー、彼女をどうするんだ?」
「今日は、遅いから宿舎に連れて行く。」
「!!女だぞ!」

大声を出すアレックスに、ローリーはガスんと足で蹴る。
「シーー。大声を出すな、寝ているんだから。
子供相手にするわけ無いだろ?馬鹿だなー」
「なら!俺でもいいだろ!見つけたのは俺だ!」

子供みたく言い張るアレックスにため息をしながらローリーは呆れた顔で「お前は、いきなり魔法で苦しめたろ?起きたらアレックスの顔を見てビビるに決まってるだろ。脳筋が。」

「!!!いや、でも」
「もう遅い。この話は終わりだ。」
スタスタ歩き出すローリーにアレックスは、何か言いたげな顔で隣を歩く。

「はぁ、アレックス。お前はまだいいが、ジャンを見てみろ。あいつには刺激が強いみたいで何をするか分からないぞ。ジャンを見張ってろ。」

顔を赤く染めながらチラチラ見ているジャンにローリーとアレックスは深いため息をする。
ジャンは若くして、傭兵団に入ってきた。
まだ女を経験していない。ローリーとアレックスは何度か経験があるので、繭を見ても抑制出来るがジャンは危ない。

無言で頷く二人は、繭の事を上に報告しなくては、と相槌をする。



ローリーが持っているマントは何だ?とその夜、一部で話題になったが、魔物狩りの話が盛り上がり、すぐに忘れられた。
食堂では宴が始まっていた。


ジャンの事をアレックスに任せローリーは部屋に戻る。
静かにベッドに横にさせるとまだ微かに震えている姿を見てため息をついた。

「はぁー、これからどうすればいいのやら」

男世帯に女がいる。と分かったら、騒ぎになるのは間違いない。
頭が痛いとローリーは思った。
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