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第一章

いざ、ケンネムルンの森!

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 フレイと再会の約束を交わしてそれぞれの道へと進んだ俺は、半日ほど歩き続けた甲斐もあり遂に目的地・ケンネムルンの森へと辿り着いたのであった。
 
 巨大な木々、太陽の光を遮断する大きな葉、薄暗い不気味な雰囲気はまるで侵入者を拒むようだ。 

 意を決して森へと足を踏み入れる。

 伸びきった草やツルを切っては進み切っては進むの繰り返し。飽き性な俺は我慢しながら、愚痴をこぼしながらもせっせと自分の道を切り開いてゆく。

 青々と生い茂る木々が蓋をしてるからタチが悪い。空気が篭もるせいで熱が発散されないのだ。開けていたら幾分マシなのだろうけどそれは望めそうにない。

 ジメッと且つムワッとむせ返るような熱気に包まれる俺は思わず呟く。

「あっちぃー・・・まるで豚まんになった気分だな。いや、俺の場合は人まんか?」

 としょうもない冗談を呟くくらいにはこの暑さに参ってしまっていた。

「なんか上手いこと特典の場所まで飛ばしてくれるトラップとかねぇかな」

 と俺が都合の良い展開を口にした途端、足元に魔法陣が描かれた。

 魔法陣は俺を別の空間へと誘うかのように怪しい光を放っている。

 これ、俺の返答を待ってる感じかな?

 いやいや、まさか。あまりに都合が良すぎないか?絶対慎重にこの魔法陣を調べてから入るかどうかの判断をするべきだろう。

「でも俺はこういう展開は大好きだ。いいよ、乗ってあげようじゃないか」

 自分が氷魔法の使い手と知って気が大きくなっていた俺はとりあえず物は試しとばかりに抵抗せず、青白い光の渦に呑み込まれた。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

 光に呑まれてしばらく。

 俺が目を開けるとそこは、まるでジ○リに出てきそうな透き通る泉が湧く神秘的な場であった。

 一歩踏み出し泉へと近寄る。泉の真ん中には大きな木が生えていた。大昔から生えていると思われる年季の入った大木をぼんやりと眺める。

 どのくらいそうしていたのだろう。ほんの数秒かもしれないし、もしかしたら数時間もの時が流れていたのかもしれない。普段なら景観にあまり興味を示さない俺だが、無駄に時間を浪費したも関わらず、不思議と嫌な感じはしなかった。

 むしろもっと眺めていたいようなそんな気分。

「ん?泉の中央の空気が歪んで・・・うわっ!!」 

 突如として眩い光が辺りを包み込む。

 俺は目を細め、それの正体を確かめるが、強すぎる光にやられた目では原因究明とはいかなかった。

「目がぁぁぁ!・・・ってあら?」

 数秒後に光が収まり、俺の視界も回復しだした頃にあることに気付く。
 
 五歳くらいのワンピースを着た少女が泉の中央に浮いていたのだった。

 少女の足は泉に浸かっていない、水面にすら触れていない。文字通り浮いているのである。

 少女の顔には靄がかかっており、その表情は窺えないが、なぜか笑顔でいるように思えた。

「やあ、こんにちは」

 俺は少女に挨拶をした。

 初対面の人とは挨拶をせよ。これは父さんの教え。当たり前だけど大切な姿勢だ。

 初手に挨拶をかましちゃえば、どんなに性根が曲がった奴でも不快感は抱かないでしょ。

 まあ、俺は例外を知ってるんだけどね。

「待っておりましたマルス様。ようこそ神秘の泉へ」

 ふわりとスカートの裾を摘んで一礼。途端に顔にかかっていた靄が晴れ、ようやく少女の素顔が露に。

 綺麗な青色の瞳はどこか見覚えがある、可愛らしい子であった。
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