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僕は明日卒業式を迎える。
長いようで短かった高校生活
あなたに出会えて僕は幸せでした
あなたは幸せでしたか?
「おはよう。水無瀬」
「おはよ」
「眠そうだねぇ」
「昨日なかなか眠れなくて」
「寂しくて?」
「まぁそんなとこ」
「らしくねぇの」
「お前は…俺をなんだと思っているんだ…」
「冷酷天使」
「あっそ」
そんな話をしながら体育館へ向かう時間となる
これが終われば僕らも終わる。
そう約束していたから
話なんてちっとも聞こえない。感動も感謝も何もない。
終わらなければいいのに…このまま時が止まってしまえばいいのに…
なんて叶うはずもなく無情にも時が過ぎてしまう
教室へ戻り最後のHR
今教卓に立つあなたを見守る
あなたが大好きでした…あなたがいたから僕は頑張れました
色々なことを教えてくれてありがとう。
あなたにとってはただの生徒の一人でしかなくて…
そんなのわかってて…でも…
僕はそれでもあなたの側にいたかった…
たった3年だとわかっていたけれど…
何事もなく時間は過ぎ終了のチャイムが鳴る…皆バラバラにここを出ていく。まるで僕の心みたい
俺は最後の景色をゆっくり見渡した
外へ出て空を見上げる。悲しいほど澄んだ青空にひとつ息をはく
校門へ歩みを進めると数人に呼び止められ思いの丈をぶつけられる
そんな言葉たちなんて君に言われないなら意味を持たない
「興味ない。じゃあね」
みんなにそう返事をして帰路に着く
「おーい。水無瀬」
まだ誰か僕に用があるのか?振り返るとあなたがいた
涙を必死に耐え笑顔を向ける。
あなたは僕の笑顔が好きだと言ったから
「これ。忘れ物」
手に握らされたのは小さな箱。見覚えのある物に涙が溢れそうだ
「卒業おめでとう」
「ありがとうございます。お世話になりました」
「元気でな」
「はい。あなたもお元気で」
互いに背を向け歩き出す。もう涙なんて我慢しない…
急いで自宅に戻りベッドへ突っ伏した…
どうしてあなたはあんなに曇りない笑顔で…
どうして僕は泣いていて…
どうしてあなたは…どうして僕は…
まだこんなにも好きなのに…どうして…
あなたはまた別の誰かと共に生きていくの?
僕みたいに期間限定の恋人を幾人も作るの?
あなたの唯一になりたかったです…
テーブルでぽつんと影を落とす小さな箱…
このまま捨ててしまおうか…
でもできなくて…箱を胸にまた涙を流す…
やはりここにおいていてはいけない…そう思い立ち上がる
手の中から僕の思いと同じように溢れたそれの蓋が無惨にも開き中身がこぼれ出す…
見覚えのあるシルバーのリングに打ちのめされて…
声をあげて泣いた…
一頻り泣いて落ち着いて…もう一度箱を取る。
溢れ出たリングを納めて…
長いようで短かった高校生活
あなたに出会えて僕は幸せでした
あなたは幸せでしたか?
「おはよう。水無瀬」
「おはよ」
「眠そうだねぇ」
「昨日なかなか眠れなくて」
「寂しくて?」
「まぁそんなとこ」
「らしくねぇの」
「お前は…俺をなんだと思っているんだ…」
「冷酷天使」
「あっそ」
そんな話をしながら体育館へ向かう時間となる
これが終われば僕らも終わる。
そう約束していたから
話なんてちっとも聞こえない。感動も感謝も何もない。
終わらなければいいのに…このまま時が止まってしまえばいいのに…
なんて叶うはずもなく無情にも時が過ぎてしまう
教室へ戻り最後のHR
今教卓に立つあなたを見守る
あなたが大好きでした…あなたがいたから僕は頑張れました
色々なことを教えてくれてありがとう。
あなたにとってはただの生徒の一人でしかなくて…
そんなのわかってて…でも…
僕はそれでもあなたの側にいたかった…
たった3年だとわかっていたけれど…
何事もなく時間は過ぎ終了のチャイムが鳴る…皆バラバラにここを出ていく。まるで僕の心みたい
俺は最後の景色をゆっくり見渡した
外へ出て空を見上げる。悲しいほど澄んだ青空にひとつ息をはく
校門へ歩みを進めると数人に呼び止められ思いの丈をぶつけられる
そんな言葉たちなんて君に言われないなら意味を持たない
「興味ない。じゃあね」
みんなにそう返事をして帰路に着く
「おーい。水無瀬」
まだ誰か僕に用があるのか?振り返るとあなたがいた
涙を必死に耐え笑顔を向ける。
あなたは僕の笑顔が好きだと言ったから
「これ。忘れ物」
手に握らされたのは小さな箱。見覚えのある物に涙が溢れそうだ
「卒業おめでとう」
「ありがとうございます。お世話になりました」
「元気でな」
「はい。あなたもお元気で」
互いに背を向け歩き出す。もう涙なんて我慢しない…
急いで自宅に戻りベッドへ突っ伏した…
どうしてあなたはあんなに曇りない笑顔で…
どうして僕は泣いていて…
どうしてあなたは…どうして僕は…
まだこんなにも好きなのに…どうして…
あなたはまた別の誰かと共に生きていくの?
僕みたいに期間限定の恋人を幾人も作るの?
あなたの唯一になりたかったです…
テーブルでぽつんと影を落とす小さな箱…
このまま捨ててしまおうか…
でもできなくて…箱を胸にまた涙を流す…
やはりここにおいていてはいけない…そう思い立ち上がる
手の中から僕の思いと同じように溢れたそれの蓋が無惨にも開き中身がこぼれ出す…
見覚えのあるシルバーのリングに打ちのめされて…
声をあげて泣いた…
一頻り泣いて落ち着いて…もう一度箱を取る。
溢れ出たリングを納めて…
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