雪花

麻美

文字の大きさ
3 / 11

しおりを挟む
「ところでよくあんなとこに俺がいるってわかったね」

「ここから見えるんですよ。あの道。真っ白の中に黒い色がぽつんと見えたんです。白い車だったら気が付かなかったから黒でよかった。ここから黒い塊を見つけて、あぁ。困ってるなぁって思って…で行ってみたら困ってるだけじゃなくてあなた気を失ってたからかなり焦ったんですよ。俺の車に移動させて温めてそれから牽引してきたんです。あなたの車も庭に停めてありますよ」

「ありがとう。雪道は走ったことなくて困ってたんだよね」

「そうでしょうね。街から来たの?」

「うん。この辺りには20年振りくらいに来たんだ…墓参り…いきたかったんだけど…山の上だから…厳しいかなぁ…」

「…ん~。多分ちゃんと準備してけば平気です。幸い明日は晴れるみたいだし時間見つけて一緒にいきますか?山の上のお墓って廃寺になったとこですよね?」

「そうそう。知ってるの?」

「えぇ。俺はずっとこの辺りに住んでますから。ご飯出来ましたよ。食べましょうか。」

「いいの?」

「えぇ。いい猪が、取れていつもならお裾分けに行けるけど今日は無理だし…たくさんあるんです」

「猪?捕ったの?」

「えぇ。自分で捕りに行って処理してます」

「スゲー…そんなことできるの?」

「えぇ。小さい頃から回りの大人にスパルタ教育受けて。資格も持ってるんですよ」

「そうなんだねぇ。俺猪肉食べたことないかも…いただいてもいい?」

「いいですよ。じゃあ食べましょ。いただきまぁ」

「すごいうまい。勝手な偏見だけどもっと匂うかと思ってた。」

「処理がうまくいってないとそうなるんですよね。俺も慣れるまでは…うぇー…思い出したらだめですね」

「あははっ!!」

「やっと笑顔見られた。そうやって笑っていて?あと…」

そういいながら俺の重たい前髪をあげる

「やっぱり…ねぇ。六華さん。せっかく美人だからもっと髪型変えたら?」

「は?いや。それはちょっと…いやかも」

「なんで?」

「ん~この顔のせいで結構な目にあってきたからね」

「そうなの?」

そう。いじめの原因はこの顔だった。祖母と曾祖父がこっちの人じゃないので肌が真っ白で目は金色なのだ。だから気味悪がられていた。

目は金なのに髪は漆黒でしかも白い。どこか不気味だったんだと思う。だから高校からはカラーコンタクトを使ってた。

今日は休みだし前もって旅館の人には伝えてたから実は今日はコンタクトしてない。

店によるときはサングラスをかけていたし…

「気持ち悪いでしょ?」

「ううん。すごく綺麗だなあって思ったんだよね。」

「ありがとう…」

「…俺もね瞳の色違うんだよ」

「そうなの?」

「うん。ちょっと待ってね」

席を立ち洗面所らしきところから戻ってきた彼の瞳の色は

「オッドアイ?」

「はい。六華さんみたいに目立つ色ではないけど左右違うから色々ありました。たまたまこうなっただけなのにね」









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

サラリーマン二人、酔いどれ同伴

BL
久しぶりの飲み会! 楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。 「……え、やった?」 「やりましたね」 「あれ、俺は受け?攻め?」 「受けでしたね」 絶望する佐万里! しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ! こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

幸せごはんの作り方

コッシー
BL
他界した姉の娘、雫ちゃんを引き取ることになった天野宗二朗。 しかし三十七年間独り身だった天野は、子供との接し方が分からず、料理も作れず、仕事ばかりの日々で、ずさんな育て方になっていた。 そんな天野を見かねた部下の水島彰がとった行動はーー。 仕事もプライベートも完璧優秀部下×仕事中心寡黙上司が、我が儘を知らない五歳の女の子と一緒に過ごすお話し。

禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り

結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。 そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。 冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。 愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。 禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。

聖者の愛はお前だけのもの

いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。 <あらすじ> ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。 ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。 意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。 全年齢対象。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

処理中です...