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第七話 志鷹の部屋
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綾人が気がつくと、そこは見知らぬ部屋の窓際に立っていた。どうやらどこかの病院の個室のようで、曇った空が見える窓は開けられカーテンが風で揺れていた。
(どこだ⋯ここ)
綾人が当たりを見渡し⋯息を飲んだ。
そこにはたくさんの機械につながれベッドに横たわり綾人⋯自分の姿だった。瞳を閉じて眠るように横たわる自分を見た綾人の心臓がまるで早鐘のように打つ。
そこで自室のベッドで綾人で飛び起きた。心臓は相変わらず早鐘のように打っている。
「⋯なんなんだよ⋯」
額に手を当て綾人は呟いたタイミングで目覚ましが鳴った。「チッ」と舌打ちをすると携帯のアラームを消し支度をしにバスルームに歩いて行った。支度を済ますと、綾人は警察署に向かった。
警察署につくが、いつもは綾人より早く来ている志鷹の姿がないことに気づき、携帯を取り出し時計を見ると、時刻は集合時間を示していた。
(珍しいな。志鷹さんが遅刻なんて)
そんなことを思いながら灰色の空の下待つが、10分待っても20分待っても志鷹は現れない。
(おっかしいなぁ。先に中に入ってんかな。電話番号聞いとくんだった)
そう思い綾人は頭をかき四課に向かった。
四課に行くと、鬼瓦、鴉飛、甘美瑛が話を止めこちらを見た。
「 おー!おはよう」
鬼瓦は笑みを浮かべ綾人に片手を上げた。
「あれ?志鷹さんは?」
甘美瑛に聞かれ綾人は少し苦い顔をした。
「それが下で待ち合わせしていたんですが来なくて。こちらに来てませんか?」
「いえ⋯こちらにはまだいらしてませんが」
鴉飛はそう言うと当たりを見渡すが、志鷹の姿を見つけることはできなかった。
「どうしたんだろうな。どうする?相方さんの家とかに行ってみるかい?」
「いや、どこ住んでるかまではわからないので」
綾人は頭を描いた。
「ん?ちょっと待ってな」
鬼瓦は自分のデスクへ行くとパタパタとパソコンをいじると、手元のメモ帳に何かを書き戻ってきた。
「はい。これが住所だよ」
「いいんですか?個人情報を勝手に」
苦笑いしつつ綾人が尋ねると鬼瓦も苦笑いした。
「まぁ家で倒れてたら大変だし、緊急事態ってことで」
鬼瓦が差し出すメモを綾人は受け取った。
「それから昨日話していた伊邪那岐製薬だが、表向きは心臓病や糖尿病の薬をつくっている会社だが、きな臭い噂もあるみたいだな。裏では良からぬ薬をつくっているっていう噂もある」
鬼瓦は綾人に資料をわたした。
「他にも異人が関わっているという噂もあります」
「⋯なるほど。ちょっと話聞いてきます」
綾人は話を続けた鴉飛を見た。
「大丈夫ですか?」
「はい。話を聞くだけなんで」
綾人は鴉飛に資料を返した。
ジッと鬼瓦は綾人を見ると真面目な表情を浮かべ、綾人の背中をポンと叩くと短く「ついてこい」と言い、歩いて行った。
(なんだ⋯)
綾人は不安そうに鴉飛を見るがすぐに鬼瓦が待っている部屋の前に足早に歩いて行った。鬼瓦は綾人が来たことを確認すると、扉の鍵を開け綾人を中に入れた。そこには、銃や槍などの武器が置いてあった。
「「異人」は人間とは違うから特殊な武器が必要なんだ。もしものために、好きな武器を持って行くといい」
銃、刀、銃、薙刀と並ぶ中で綾人は銃を手にした。
「なら俺はこれで」
「わかった。それを持って行くといい」
「ありがとうございます」
綾人は頭を下げると銃をケースにしまうと腰につけた。
2人が部屋を出ると、鴉飛が足早に近づいてきた。
「すみません部長。部長にお会いしたいという方がいらしてまして」
ドアからひょっこり甘美瑛か顔を出した。
「俺に?」
鬼瓦は不思議そうな表情を浮かべ入口へ行くとそこには、1匹の猫が入口あたりに座って顔を洗っていた。その猫をよく見ると尾っぽが二股に分かれていた。(猫又⋯)
そう綾人が思っていると鬼瓦はトコトコっとその猫又に歩み寄った。
「おや、春さん。どうしたんです?こんな時間にこんなとこで」
春と呼んだ猫又に合わせ鬼瓦はしゃがみニコニコと春を見た。
「いやねぇ。これを拾ったから届けに来たんだよ」
そう言うと春は地面に置いておいた1枚のカードをくわえ鬼瓦にわたした。鬼瓦が受け取ると、表を見たり裏返したりするとニヤリと笑った。
「これまたタイムリーな。ほら」
そう言い綾人にカードをわたした。
(カード?いやどこかのカードキーか。どこのだ?)
おもむろにカードを裏返すとそこには、「伊邪那岐製薬研究所」と書かれていた。
「なるほど。たしかにタイムリーですね」
綾人はニヤリと笑った。
「春さんありがとう。預かるね」
「そうかい?ならよろしくたのむよ」
そう言うと春は、トコトコと入口から出ていった。⋯気のせいだろうか外からは「可愛いー!!」という黄色い悲鳴が聞こえてくる。
「さて、君はどうする?」
春が消えた壁から鬼瓦は綾人に視線を向けた。
「志鷹さんの家に寄ってから伊邪那岐製薬研究所に話を聞きに行ってきます」
「そっか。なら気をつけていってきな」
鬼瓦は二カッと笑いポン!と綾人の背中を叩き自分のデスクへ歩いて行った。ジンジンと痛む背中を撫でつつ恨めしそうに鬼瓦の背中を見たあと、綾人は志鷹の部屋に向かった。
綾人が志鷹の部屋につくと、チャイムを鳴らした。
「志鷹さん。いますか?」
綾人が声をかけるが、やはり返事がない。ドアノブに手をかけるとドアノブはするリとまわりドアは開いた。
(えっ?)
綾人は戸惑いながらのぶに手を回しドア中に入った。
「志鷹さーん。入りますよー」
そう言い靴を脱いでいると、いつも志鷹が履いている革靴がないことに気がついた。靴箱を見ると、スニーカーなどは入っているが、革靴はなかった。
(帰ってきて⋯ない?)
ふと部屋の奥からテレビの音がした。
「なんだ。いるんじゃないですか。志鷹さん?」
ホッとし綾人がリビングに行くが、そこには誰もおらず、ただつけっぱなしのテレビから朝のニュースが流れていた。その前には食べかけの1人分の弁当が小さなテーブルにのせられていた。ガラガラとベランダをあけると、そこには鉢に入った花が置いてあった。綾人はフッと笑みを浮かべると、花の前にしゃがんだ。
「志鷹さんに花ってちょっと意外だなぁ。お前のためにもご主人様探さないとな」
呟くと綾人は部屋に入り、トイレや風呂場を見るが志鷹の姿はなかった。
「あとは⋯」
そう言いクローゼットを見た。
(中で冷たくなってとかやめてくれよ?)
悪い想像を振り払うように頭を振るとクローゼットをあけた。しかしそこにはスーツがかかっているだけだった。ホッとしながら 綾人はクローゼットを閉めた。
(帰ってきて、何かあって食事もそのままにスーツに着替え直して出かけた?⋯一課に呼び出された?)
綾人は携帯を取り出すと、四課に電話をした。
「あ、鴉飛さんお疲れ様です。月見里です」
「お疲れ様です。どうかされましたか?」
「すみません、ちょっと志鷹さんが昨日から今朝にかけて一課に戻っているか調べていただけないでしょうか」
「わかりました。そしたらわかり次第折り返しますね」
「はい。ありがとうございます」
そこで綾人は電話を切った。
「ったく、どこ行っちまったんだよ志鷹さん」
呟くと綾人は頭をくしゃくしゃとかいた。
「ここで待っても仕方ない。とりあえず、製薬研究所に行ってみるか」
そう不安をかき消すように呟くと部屋をあとにしたが、クルッと踵を返すと管理人のもとへ行き事情を説明し、志鷹の部屋の鍵をしめてもらった。そして、綾人は伊邪那岐製薬に向かった。
(どこだ⋯ここ)
綾人が当たりを見渡し⋯息を飲んだ。
そこにはたくさんの機械につながれベッドに横たわり綾人⋯自分の姿だった。瞳を閉じて眠るように横たわる自分を見た綾人の心臓がまるで早鐘のように打つ。
そこで自室のベッドで綾人で飛び起きた。心臓は相変わらず早鐘のように打っている。
「⋯なんなんだよ⋯」
額に手を当て綾人は呟いたタイミングで目覚ましが鳴った。「チッ」と舌打ちをすると携帯のアラームを消し支度をしにバスルームに歩いて行った。支度を済ますと、綾人は警察署に向かった。
警察署につくが、いつもは綾人より早く来ている志鷹の姿がないことに気づき、携帯を取り出し時計を見ると、時刻は集合時間を示していた。
(珍しいな。志鷹さんが遅刻なんて)
そんなことを思いながら灰色の空の下待つが、10分待っても20分待っても志鷹は現れない。
(おっかしいなぁ。先に中に入ってんかな。電話番号聞いとくんだった)
そう思い綾人は頭をかき四課に向かった。
四課に行くと、鬼瓦、鴉飛、甘美瑛が話を止めこちらを見た。
「 おー!おはよう」
鬼瓦は笑みを浮かべ綾人に片手を上げた。
「あれ?志鷹さんは?」
甘美瑛に聞かれ綾人は少し苦い顔をした。
「それが下で待ち合わせしていたんですが来なくて。こちらに来てませんか?」
「いえ⋯こちらにはまだいらしてませんが」
鴉飛はそう言うと当たりを見渡すが、志鷹の姿を見つけることはできなかった。
「どうしたんだろうな。どうする?相方さんの家とかに行ってみるかい?」
「いや、どこ住んでるかまではわからないので」
綾人は頭を描いた。
「ん?ちょっと待ってな」
鬼瓦は自分のデスクへ行くとパタパタとパソコンをいじると、手元のメモ帳に何かを書き戻ってきた。
「はい。これが住所だよ」
「いいんですか?個人情報を勝手に」
苦笑いしつつ綾人が尋ねると鬼瓦も苦笑いした。
「まぁ家で倒れてたら大変だし、緊急事態ってことで」
鬼瓦が差し出すメモを綾人は受け取った。
「それから昨日話していた伊邪那岐製薬だが、表向きは心臓病や糖尿病の薬をつくっている会社だが、きな臭い噂もあるみたいだな。裏では良からぬ薬をつくっているっていう噂もある」
鬼瓦は綾人に資料をわたした。
「他にも異人が関わっているという噂もあります」
「⋯なるほど。ちょっと話聞いてきます」
綾人は話を続けた鴉飛を見た。
「大丈夫ですか?」
「はい。話を聞くだけなんで」
綾人は鴉飛に資料を返した。
ジッと鬼瓦は綾人を見ると真面目な表情を浮かべ、綾人の背中をポンと叩くと短く「ついてこい」と言い、歩いて行った。
(なんだ⋯)
綾人は不安そうに鴉飛を見るがすぐに鬼瓦が待っている部屋の前に足早に歩いて行った。鬼瓦は綾人が来たことを確認すると、扉の鍵を開け綾人を中に入れた。そこには、銃や槍などの武器が置いてあった。
「「異人」は人間とは違うから特殊な武器が必要なんだ。もしものために、好きな武器を持って行くといい」
銃、刀、銃、薙刀と並ぶ中で綾人は銃を手にした。
「なら俺はこれで」
「わかった。それを持って行くといい」
「ありがとうございます」
綾人は頭を下げると銃をケースにしまうと腰につけた。
2人が部屋を出ると、鴉飛が足早に近づいてきた。
「すみません部長。部長にお会いしたいという方がいらしてまして」
ドアからひょっこり甘美瑛か顔を出した。
「俺に?」
鬼瓦は不思議そうな表情を浮かべ入口へ行くとそこには、1匹の猫が入口あたりに座って顔を洗っていた。その猫をよく見ると尾っぽが二股に分かれていた。(猫又⋯)
そう綾人が思っていると鬼瓦はトコトコっとその猫又に歩み寄った。
「おや、春さん。どうしたんです?こんな時間にこんなとこで」
春と呼んだ猫又に合わせ鬼瓦はしゃがみニコニコと春を見た。
「いやねぇ。これを拾ったから届けに来たんだよ」
そう言うと春は地面に置いておいた1枚のカードをくわえ鬼瓦にわたした。鬼瓦が受け取ると、表を見たり裏返したりするとニヤリと笑った。
「これまたタイムリーな。ほら」
そう言い綾人にカードをわたした。
(カード?いやどこかのカードキーか。どこのだ?)
おもむろにカードを裏返すとそこには、「伊邪那岐製薬研究所」と書かれていた。
「なるほど。たしかにタイムリーですね」
綾人はニヤリと笑った。
「春さんありがとう。預かるね」
「そうかい?ならよろしくたのむよ」
そう言うと春は、トコトコと入口から出ていった。⋯気のせいだろうか外からは「可愛いー!!」という黄色い悲鳴が聞こえてくる。
「さて、君はどうする?」
春が消えた壁から鬼瓦は綾人に視線を向けた。
「志鷹さんの家に寄ってから伊邪那岐製薬研究所に話を聞きに行ってきます」
「そっか。なら気をつけていってきな」
鬼瓦は二カッと笑いポン!と綾人の背中を叩き自分のデスクへ歩いて行った。ジンジンと痛む背中を撫でつつ恨めしそうに鬼瓦の背中を見たあと、綾人は志鷹の部屋に向かった。
綾人が志鷹の部屋につくと、チャイムを鳴らした。
「志鷹さん。いますか?」
綾人が声をかけるが、やはり返事がない。ドアノブに手をかけるとドアノブはするリとまわりドアは開いた。
(えっ?)
綾人は戸惑いながらのぶに手を回しドア中に入った。
「志鷹さーん。入りますよー」
そう言い靴を脱いでいると、いつも志鷹が履いている革靴がないことに気がついた。靴箱を見ると、スニーカーなどは入っているが、革靴はなかった。
(帰ってきて⋯ない?)
ふと部屋の奥からテレビの音がした。
「なんだ。いるんじゃないですか。志鷹さん?」
ホッとし綾人がリビングに行くが、そこには誰もおらず、ただつけっぱなしのテレビから朝のニュースが流れていた。その前には食べかけの1人分の弁当が小さなテーブルにのせられていた。ガラガラとベランダをあけると、そこには鉢に入った花が置いてあった。綾人はフッと笑みを浮かべると、花の前にしゃがんだ。
「志鷹さんに花ってちょっと意外だなぁ。お前のためにもご主人様探さないとな」
呟くと綾人は部屋に入り、トイレや風呂場を見るが志鷹の姿はなかった。
「あとは⋯」
そう言いクローゼットを見た。
(中で冷たくなってとかやめてくれよ?)
悪い想像を振り払うように頭を振るとクローゼットをあけた。しかしそこにはスーツがかかっているだけだった。ホッとしながら 綾人はクローゼットを閉めた。
(帰ってきて、何かあって食事もそのままにスーツに着替え直して出かけた?⋯一課に呼び出された?)
綾人は携帯を取り出すと、四課に電話をした。
「あ、鴉飛さんお疲れ様です。月見里です」
「お疲れ様です。どうかされましたか?」
「すみません、ちょっと志鷹さんが昨日から今朝にかけて一課に戻っているか調べていただけないでしょうか」
「わかりました。そしたらわかり次第折り返しますね」
「はい。ありがとうございます」
そこで綾人は電話を切った。
「ったく、どこ行っちまったんだよ志鷹さん」
呟くと綾人は頭をくしゃくしゃとかいた。
「ここで待っても仕方ない。とりあえず、製薬研究所に行ってみるか」
そう不安をかき消すように呟くと部屋をあとにしたが、クルッと踵を返すと管理人のもとへ行き事情を説明し、志鷹の部屋の鍵をしめてもらった。そして、綾人は伊邪那岐製薬に向かった。
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