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第一章「利用される者、する者」
まともな会話
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「ところでリオ。お前食事はちゃんととっているのか?」
「え?」
飛び込んだ状態から、今は片腕だけで、抱えられている状態だ。
まるで子供のように。
「軽すぎる」
レオヴィクはそれだけを言うと、俺の体をまじまじと見てくる。
「た!食べてる!」
「本当か?それにしてはまだ栄養が足りてなさそうだ」
と、言われてもメイドが持ってきてくれる料理はとてもおいしくて、毎日しっかり平らげている。
栄養に関しては、ここに来る数日前まで必要最低限……以下の食事量だったのだから、そんなすぐには回復しないだろう。
「まぁいい。これからも食事はちゃんととるようにしろ。あと、ヨハンとの勉強は進んでいるのか?」
「あ、うんたぶん。この前アレンと買った本は全部読めたよ」
「そうか。……その、あーっと。何か不都合なことは…ないか?」
「特には……。」
「メイドたちは、良くしてくれてるか?」
「良くして、くれてるよ?……え?なに?」
急にレオヴィクに質問攻めにされているが、何が聞きたいのか真意がさっぱりわからない。
というより、いつになったらおろしてくれるんだろうか。
少しだけ、両手でレオヴィクの胸あたりを押してみるが、当たり前だがびくともしない。
と思っている、俺を抱えたままレオヴィクは噴水の方まで歩いていき、そのまま噴水の縁に座る。
「えっと……。俺、自分で座れるよ?」
「なんかいい具合にはまっているからこのままでいい」
「そうなんだ」
レオヴィクは一体何を考えているのだろうか?
「レオヴィク……。どうしたんだ?なんかあったの?」
もうこういう時は正直に聞いた方が早いだろうと、どうしたんだろうかと質問してみるが、レオヴィクは「うーん」とか「そうだな」とか、質問に対する返答は返ってこない。
「何か……、あ、この前のベッドでの事、気にしてる?」
そう聞くとレオヴィクは黙る。
やっぱりそうだったんだ。
「いや、気にしていないといえば噓になるが、それが理由ではないというか…」
何とも煮え切らない回答である。
「じゃあ、なに?」
レオヴィクがここまで回答を渋るのは、初めて出会ってから今日までで一度もなかったように感じる。
俺から質問できることはもうないし、見当もつかないから、回答を導き出すための言葉も見つからない。
レオヴィクが答えてくれるのを待っていると、抱えてくれている腕に少しだけ力が入った。
「いや、ここに来てから、俺はお前とちゃんと話したことなかったなと思ってだな」
「あ、うん」
「ヨハンにだな、その、言われたんだ。もう少しお前と話してみてはどうですかって」
ヨハンがまさかそんな事を言っているとは思わず、なんだか暖かい気持ちになりつつも、その言葉を聞いてレオヴィクは俺と話そうとしてくれているようだった。
何とも不器用だなと感じるものの、逆の立場だったとしても俺も同じような感じになってしまうのだろうかと考えたりした。
「でだ。お前と話そうと、部屋の前まで行ったんだが、メイドももう去った後で、お前ももう寝てるだろうと思ってな、ひとまず外から様子を窺ってみようと思ったんだ」
なるほど、だから庭にいたのか。
「でも、カーテンが閉まってる」
「そうなんだ。ちゃんとカーテンが閉まっていたから、特に様子も見れないのであれば帰るかと思ったら、丁度窓が開く音がして、少し待ってみた。そしたら、お前がバルコニーから覗いてきたんだ」
タイミングがすごくよかったんだ。
そう理解した。
少しでも俺が窓を開けるのが遅れていたら、レオヴィクは庭から立ち去り、そしてこの時間も無くなっていたのだ。
俺はレオヴィクに関して知らないことが多すぎる。
ただ、俺を利用している以外、他に嫌なことをしようなんて思ってない、ということも分かる。
だからこそ、この部屋でも不自由を感じることなく過ごせている。
と、ここまで考えて自分で自覚した。安心していたのだ。
だから、今日この庭でこうしてレオヴィクと話す時間ができたのは、少し嬉しかったりする。
「そっか」
そう呟くと、レオヴィクはようやく俺をおろし、噴水の縁に座らせる。
隣に座ると急にレオヴィクの顔が自分よりも高い位置にあるから、少し顔を上げなければならない。
すると、レオヴィクの髪色と同じ色で輝く夜空を、重ねて見ることができた。
「じゃあ、何か……話す?」
「あぁ、そうだな。話したいのは山々なんだが……」
「?」
「俺は今までこういったことをしたことがない。騎士団の部下にも話すというより、訓練でわからせるという形でしか対話してこなかったから」
「俺も、どうしたらいいかわかんない」
「ふっ」
俺が言った言葉にレオヴィクが笑う。
「案外、俺たちは似た者同士なのかもな」
そういうと、レオヴィクは俺の頭に手を置き、ぽんぽんと撫でてくる。
むず痒いこの感じに見上げていた顔を下に向けうつむく。
まだ、何も話せてないが、今までよりは少し距離が近づいたような気がした。
「え?」
飛び込んだ状態から、今は片腕だけで、抱えられている状態だ。
まるで子供のように。
「軽すぎる」
レオヴィクはそれだけを言うと、俺の体をまじまじと見てくる。
「た!食べてる!」
「本当か?それにしてはまだ栄養が足りてなさそうだ」
と、言われてもメイドが持ってきてくれる料理はとてもおいしくて、毎日しっかり平らげている。
栄養に関しては、ここに来る数日前まで必要最低限……以下の食事量だったのだから、そんなすぐには回復しないだろう。
「まぁいい。これからも食事はちゃんととるようにしろ。あと、ヨハンとの勉強は進んでいるのか?」
「あ、うんたぶん。この前アレンと買った本は全部読めたよ」
「そうか。……その、あーっと。何か不都合なことは…ないか?」
「特には……。」
「メイドたちは、良くしてくれてるか?」
「良くして、くれてるよ?……え?なに?」
急にレオヴィクに質問攻めにされているが、何が聞きたいのか真意がさっぱりわからない。
というより、いつになったらおろしてくれるんだろうか。
少しだけ、両手でレオヴィクの胸あたりを押してみるが、当たり前だがびくともしない。
と思っている、俺を抱えたままレオヴィクは噴水の方まで歩いていき、そのまま噴水の縁に座る。
「えっと……。俺、自分で座れるよ?」
「なんかいい具合にはまっているからこのままでいい」
「そうなんだ」
レオヴィクは一体何を考えているのだろうか?
「レオヴィク……。どうしたんだ?なんかあったの?」
もうこういう時は正直に聞いた方が早いだろうと、どうしたんだろうかと質問してみるが、レオヴィクは「うーん」とか「そうだな」とか、質問に対する返答は返ってこない。
「何か……、あ、この前のベッドでの事、気にしてる?」
そう聞くとレオヴィクは黙る。
やっぱりそうだったんだ。
「いや、気にしていないといえば噓になるが、それが理由ではないというか…」
何とも煮え切らない回答である。
「じゃあ、なに?」
レオヴィクがここまで回答を渋るのは、初めて出会ってから今日までで一度もなかったように感じる。
俺から質問できることはもうないし、見当もつかないから、回答を導き出すための言葉も見つからない。
レオヴィクが答えてくれるのを待っていると、抱えてくれている腕に少しだけ力が入った。
「いや、ここに来てから、俺はお前とちゃんと話したことなかったなと思ってだな」
「あ、うん」
「ヨハンにだな、その、言われたんだ。もう少しお前と話してみてはどうですかって」
ヨハンがまさかそんな事を言っているとは思わず、なんだか暖かい気持ちになりつつも、その言葉を聞いてレオヴィクは俺と話そうとしてくれているようだった。
何とも不器用だなと感じるものの、逆の立場だったとしても俺も同じような感じになってしまうのだろうかと考えたりした。
「でだ。お前と話そうと、部屋の前まで行ったんだが、メイドももう去った後で、お前ももう寝てるだろうと思ってな、ひとまず外から様子を窺ってみようと思ったんだ」
なるほど、だから庭にいたのか。
「でも、カーテンが閉まってる」
「そうなんだ。ちゃんとカーテンが閉まっていたから、特に様子も見れないのであれば帰るかと思ったら、丁度窓が開く音がして、少し待ってみた。そしたら、お前がバルコニーから覗いてきたんだ」
タイミングがすごくよかったんだ。
そう理解した。
少しでも俺が窓を開けるのが遅れていたら、レオヴィクは庭から立ち去り、そしてこの時間も無くなっていたのだ。
俺はレオヴィクに関して知らないことが多すぎる。
ただ、俺を利用している以外、他に嫌なことをしようなんて思ってない、ということも分かる。
だからこそ、この部屋でも不自由を感じることなく過ごせている。
と、ここまで考えて自分で自覚した。安心していたのだ。
だから、今日この庭でこうしてレオヴィクと話す時間ができたのは、少し嬉しかったりする。
「そっか」
そう呟くと、レオヴィクはようやく俺をおろし、噴水の縁に座らせる。
隣に座ると急にレオヴィクの顔が自分よりも高い位置にあるから、少し顔を上げなければならない。
すると、レオヴィクの髪色と同じ色で輝く夜空を、重ねて見ることができた。
「じゃあ、何か……話す?」
「あぁ、そうだな。話したいのは山々なんだが……」
「?」
「俺は今までこういったことをしたことがない。騎士団の部下にも話すというより、訓練でわからせるという形でしか対話してこなかったから」
「俺も、どうしたらいいかわかんない」
「ふっ」
俺が言った言葉にレオヴィクが笑う。
「案外、俺たちは似た者同士なのかもな」
そういうと、レオヴィクは俺の頭に手を置き、ぽんぽんと撫でてくる。
むず痒いこの感じに見上げていた顔を下に向けうつむく。
まだ、何も話せてないが、今までよりは少し距離が近づいたような気がした。
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