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第二章「信じる者、欺く者」
それぞれの隠し事
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レオヴィクの言葉に返答しようとした時だった。
ちりっと、胸のあたりに痛みが走った。
しかしこの痛みは知っている痛みだ。首飾りがまた熱を持っている。
だた、前ほどの熱はなく、耐えられるほどの熱量。
どうして今、首飾りが熱を持ってしまっているのだろうか、そっと首元に視線を移す。
特に光は放っていない。
このことは、俺が黙っておけばレオヴィク達にはばれない。
「どうした、大丈夫か」
俺が返事をしないからか、レオヴィクから再び声をかけられる。
隣にいるアレンからも「大丈夫ですかー?」と顔をのぞかれ、俺は思わずバッと顔を上げる。
「だ、大丈夫。ごめん。移動に関してだよな。大丈夫。いいよ、レオヴィクに従う」
「……そうか」
レオヴィクは俺からの返答を聞いて、すぐ返事をするわけではなく、なんだか苦しそうな表情を一瞬見せた後、いつものレオヴィクに戻り、俺の了承の返事を受け取ってくれた。
「では、リオ様のご移動に伴い、荷物の移動もしていこうと思います」
ヨハンが、パンと両手を叩き乾いた音が部屋に響いた後、移動に関する説明が始まった。
ここをすぐに移動することは難しいらしい。
俺は元より、身一つでここにいる身だから、俺が移動すればいいと思っていたのだが、レオヴィクが俺の洋服などをいつの間にか多く準備していたようだった。
俺はいつもメイドに出される服を着ていたから、どれくらいの量があるかなど、全く知らなかったが、クローゼットを開けた時に、アレンが「わぁ。団長意外とお優しいですねー」と驚いた顔で言っていたから、それなりに服があったのだろう。
そんなアレンを後ろから拳で殴るレオヴィクは、「別にこれくらい普通だ」と言っていたが、少しだけ、ほんの少しだけ耳が赤くなっているような気がして、レオヴィクも照れることがあるのかと、初めての発見もできた。
「では、移動の手配はこちらで行っておきますので、リオ様には移動の日程が決まり次第、またお伝えいたしますね」
「うん、ありがとう」
そんな会話をしているうちに、熱を持っていた首飾りは、いつもの状態に戻っていて、もう違和感はない。
しかし、何となく首飾りに熱が残っているような気もして、無意識に首飾りを服の上から撫でてしまい、それをレオヴィクに見られた。
「首飾りがどうかしたのか」
クローゼットの前にいたレオヴィクがソファに座る俺の近くまでやってくる。
触れてみて実感したが、やはり今は何ともない。だから何ともないといっても嘘にはならない。
「いや、別に何ともない。だた、触りたくなっただけ」
レオヴィクは「そうか」と一言いうと、俺が触っていた首飾りがあるであろう場所を、服の上から見つめる。
「リオ、何かあったらすぐに言え」
「前も言ってたね。大丈夫だよ」
レオヴィクにそう返事をすると、レオヴィクはぐっと拳を握りしめる。
あれ、俺も一発殴られちゃうのかな、なんて考えたりはしたが、もちろんそんなことはなく、レオヴィクは再びソファに座る。
「リオ、移動をした後、ノエルとはしばらく会えなくなるかもしれないから、今度庭に来た時にそのことはちゃんと伝えておいてやれ。もちろん、諸々落ち着けば、ヨハンにノエルを連れてきてもらおう」
おれは、頷くだけで返事をする。
ノエルは次、いつ来るだろうか。
俺が移動するまでにくるのだろうか?
「明後日にでも、ノエルを連れてきますよ、リオ様」
俺の不安を察してくれたのか、ヨハンが言う。
「いつも通り、お昼過ぎがいいですかね?」
「あ、うん。それくらいの時間がいい」
「かしこまりました。ではノエルにも伝えておきますね」
ありがとうと礼を言うと、「いえいえ、こちらこそありがとうございます」とヨハンは言う。
「よーし!じゃあ話はまとまりましたね!ごはん!ごはんたべましょー!」
アレンが背伸びをしながら言う。
「あぁ、そうだなメイドに準備させよう」
そう言うと、初めにここに来た時に見たベルを、レオヴィクがチリンと鳴らす。
するとすぐにメイドが来て、すごい早さで夕食の準備が始まった。
あっという間に4人分の夕食が準備されたので、おれは思わず「すげぇ」と呟いてしまった。
しかし、一つ疑問に思った。
「ヨハン、ノエルは?」
「ノエルは本日、教会の方で夕食のお世話になるので、元々別々で食べる予定だったのですよ」
「教、、、会?」
ヨハンから出たその言葉に、身構える。
教会とは、信仰者が集まるところ。ということはノーバイデン教団の教会なのか?
そんな不安を、ヨハンはまた素早く察知する。
「ご安心ください。小さな教会で、時々、地域の子供たちが集まって食事をとったり、歌を歌ったりと交流をしているようなんです」
「交流……」
「はい、ですので、ノーバイデン教団とは全く関係もないですし、危ないとこでもないのでご安心ください」
「でも、ノエル、友達がいないって、…いってた」
「あぁ、やはりそうでしたか」
ヨハンはおれの言葉をきいて、何か納得したようだった。
「ノエルは、うまくなじめていないようですね。あまりにもリオ様のお話ばかりなさるので、一度教会の事を尋ねてみたのですが、楽しいという一言だけで、そのあとはまたリオ様のお話に戻ってしまいまして。であれば、今日も早く帰って迎えに行った方がよさそうですね」
ヨハンの雰囲気が少し不安げに揺れる。眉毛や髭で表情は読めないが、きっと悲しい顔をしているのだろう。
「そういうことであれば、早めにいただこうか」
レオヴィクが言うと、各々食事をとり始める。
俺も、ノエルのためにと思って、いつもより気持ち早めに食事を済ませた。
明後日、ノエルに会うときに、一時的なさよならを伝えないといけないという事にツキンと心臓が痛み、その痛みに呼応するようにチリっと一瞬だけ琥珀の首飾りが熱を持ったような気がした。
ちりっと、胸のあたりに痛みが走った。
しかしこの痛みは知っている痛みだ。首飾りがまた熱を持っている。
だた、前ほどの熱はなく、耐えられるほどの熱量。
どうして今、首飾りが熱を持ってしまっているのだろうか、そっと首元に視線を移す。
特に光は放っていない。
このことは、俺が黙っておけばレオヴィク達にはばれない。
「どうした、大丈夫か」
俺が返事をしないからか、レオヴィクから再び声をかけられる。
隣にいるアレンからも「大丈夫ですかー?」と顔をのぞかれ、俺は思わずバッと顔を上げる。
「だ、大丈夫。ごめん。移動に関してだよな。大丈夫。いいよ、レオヴィクに従う」
「……そうか」
レオヴィクは俺からの返答を聞いて、すぐ返事をするわけではなく、なんだか苦しそうな表情を一瞬見せた後、いつものレオヴィクに戻り、俺の了承の返事を受け取ってくれた。
「では、リオ様のご移動に伴い、荷物の移動もしていこうと思います」
ヨハンが、パンと両手を叩き乾いた音が部屋に響いた後、移動に関する説明が始まった。
ここをすぐに移動することは難しいらしい。
俺は元より、身一つでここにいる身だから、俺が移動すればいいと思っていたのだが、レオヴィクが俺の洋服などをいつの間にか多く準備していたようだった。
俺はいつもメイドに出される服を着ていたから、どれくらいの量があるかなど、全く知らなかったが、クローゼットを開けた時に、アレンが「わぁ。団長意外とお優しいですねー」と驚いた顔で言っていたから、それなりに服があったのだろう。
そんなアレンを後ろから拳で殴るレオヴィクは、「別にこれくらい普通だ」と言っていたが、少しだけ、ほんの少しだけ耳が赤くなっているような気がして、レオヴィクも照れることがあるのかと、初めての発見もできた。
「では、移動の手配はこちらで行っておきますので、リオ様には移動の日程が決まり次第、またお伝えいたしますね」
「うん、ありがとう」
そんな会話をしているうちに、熱を持っていた首飾りは、いつもの状態に戻っていて、もう違和感はない。
しかし、何となく首飾りに熱が残っているような気もして、無意識に首飾りを服の上から撫でてしまい、それをレオヴィクに見られた。
「首飾りがどうかしたのか」
クローゼットの前にいたレオヴィクがソファに座る俺の近くまでやってくる。
触れてみて実感したが、やはり今は何ともない。だから何ともないといっても嘘にはならない。
「いや、別に何ともない。だた、触りたくなっただけ」
レオヴィクは「そうか」と一言いうと、俺が触っていた首飾りがあるであろう場所を、服の上から見つめる。
「リオ、何かあったらすぐに言え」
「前も言ってたね。大丈夫だよ」
レオヴィクにそう返事をすると、レオヴィクはぐっと拳を握りしめる。
あれ、俺も一発殴られちゃうのかな、なんて考えたりはしたが、もちろんそんなことはなく、レオヴィクは再びソファに座る。
「リオ、移動をした後、ノエルとはしばらく会えなくなるかもしれないから、今度庭に来た時にそのことはちゃんと伝えておいてやれ。もちろん、諸々落ち着けば、ヨハンにノエルを連れてきてもらおう」
おれは、頷くだけで返事をする。
ノエルは次、いつ来るだろうか。
俺が移動するまでにくるのだろうか?
「明後日にでも、ノエルを連れてきますよ、リオ様」
俺の不安を察してくれたのか、ヨハンが言う。
「いつも通り、お昼過ぎがいいですかね?」
「あ、うん。それくらいの時間がいい」
「かしこまりました。ではノエルにも伝えておきますね」
ありがとうと礼を言うと、「いえいえ、こちらこそありがとうございます」とヨハンは言う。
「よーし!じゃあ話はまとまりましたね!ごはん!ごはんたべましょー!」
アレンが背伸びをしながら言う。
「あぁ、そうだなメイドに準備させよう」
そう言うと、初めにここに来た時に見たベルを、レオヴィクがチリンと鳴らす。
するとすぐにメイドが来て、すごい早さで夕食の準備が始まった。
あっという間に4人分の夕食が準備されたので、おれは思わず「すげぇ」と呟いてしまった。
しかし、一つ疑問に思った。
「ヨハン、ノエルは?」
「ノエルは本日、教会の方で夕食のお世話になるので、元々別々で食べる予定だったのですよ」
「教、、、会?」
ヨハンから出たその言葉に、身構える。
教会とは、信仰者が集まるところ。ということはノーバイデン教団の教会なのか?
そんな不安を、ヨハンはまた素早く察知する。
「ご安心ください。小さな教会で、時々、地域の子供たちが集まって食事をとったり、歌を歌ったりと交流をしているようなんです」
「交流……」
「はい、ですので、ノーバイデン教団とは全く関係もないですし、危ないとこでもないのでご安心ください」
「でも、ノエル、友達がいないって、…いってた」
「あぁ、やはりそうでしたか」
ヨハンはおれの言葉をきいて、何か納得したようだった。
「ノエルは、うまくなじめていないようですね。あまりにもリオ様のお話ばかりなさるので、一度教会の事を尋ねてみたのですが、楽しいという一言だけで、そのあとはまたリオ様のお話に戻ってしまいまして。であれば、今日も早く帰って迎えに行った方がよさそうですね」
ヨハンの雰囲気が少し不安げに揺れる。眉毛や髭で表情は読めないが、きっと悲しい顔をしているのだろう。
「そういうことであれば、早めにいただこうか」
レオヴィクが言うと、各々食事をとり始める。
俺も、ノエルのためにと思って、いつもより気持ち早めに食事を済ませた。
明後日、ノエルに会うときに、一時的なさよならを伝えないといけないという事にツキンと心臓が痛み、その痛みに呼応するようにチリっと一瞬だけ琥珀の首飾りが熱を持ったような気がした。
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