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第二章「信じる者、欺く者」
灯火の眠る琥珀 ーレオヴィク視点ー
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俺は、ひたすら自分の屋敷まで走った。
ノエルはヨハンに任せておいた方がいいだろう。
あそこで俺がいる方が、ノエルはきっと休むことができない。
それにしてもノーバイデン教団は本当に厄介だ。
洗脳という強硬手段に出ていることにも驚いたが、そもそもリオと既に接触していた。
今までリオの存在と、首飾りの存在を隠していたが、どこかで漏れてしまっていたのだろうか。
そんなことを考えるが、今すぐに答えが見るかるような内容ではない。
そして今は見返さなければいけないものがある。
祖父が残した手記を。
俺は、自身の屋敷にたどり着き、執事から「おかえりなさいませ」と声をかけられるが、返答している場合ではなかった。
焦る気持ちに、バタバタと足を動かしながら自室の扉を開ける。
そして、手記が入っていた箱を、机の鍵がかかっている引き出しから取り出そうと、常に持ち歩いている小さな鍵を取り出し、鍵穴に鍵を指す。
しかし、うまく鍵が入ってくれない。
焦りすぎて手元がくるっている。
俺は「ふぅ」と一度呼吸を整える。
そして、もう一度鍵を引き出しに差し込みくるりと回す。
カチリと鍵が開く音がして、その音を聞いてからゆっくりと引き出しを開ける。
古い箱を机の上に取り出した後、蓋をあけ、手記を開く。
手記の内容はすべて読んでいた。
しかし、1頁だけどうしても理解ができない部分があったのだ。
そのことを思い出し、俺は該当の頁を開く。
ーーーーー
≪琥珀の首飾り≫
灯火の眠る琥珀は、人々に健やかな光を与える
灯火の眠る琥珀は、人々に命を与える
その力、受け継ぎしもの
琥珀の力で国を守らん
ーーーーー
俺は、それだけが書かれている頁を何度も何度も読み返す。
筆跡は、今までの手記に書かれているものと同じなため、おそらく祖父が書いたものだろう。
しかし、この内容はまるで物語のようで、意図している内容が分かりにくい。
そうして、何度か読み直しているとき、ふと思い出す
「灯火の眠る琥珀……」
俺は、本来であればリオが使うはずだった部屋へ向かう。
今日城からの移動が完了して、この部屋にはリオがいるはずだった。
扉を開けた時に「レオヴィク」という声が聞こえてくるのではないかと、慎重に開けるが、もちろんその部屋には人の気配は全くない。
ただ、あの城に来てから増えたリオの荷物はもうすべてこちらに移動が完了している。
だから、あるはずなのだ。「灯火の眠る琥珀」というタイトルの本が。
アレンと共に市街地に出た時に購入したという本。
あの本は宝石と妖精のお話で、子供から大人まで楽しめる物語の本だ。
俺は、机の上に置いてある本を何冊か手に取り、そして目当てのものを見つけた。
「これだ」
本の表紙から一頁づつめくっていき、物語を読む。
一見、何の変哲もない宝石の妖精が悪と戦い、勝利して、国を守るお話だが、その中に気になる展開があった。
琥珀の妖精は記憶を保管することができるが、実は他にも力がある。
それは、癒しの力。
しかしこれは、自身の生命力を使う力となるため、物語では最後の最後、悪の妖精との闘いで傷ついた妖精たちを癒すために使い、そしてそのことがきっかけで、再び悪に立ち向かうことができた妖精たちが勝利する。という流れだった。
「治癒、……」
俺は、本を持ったままソファに座り込む。
「だが、リオはーー」
リオは元々スラムで育っている。母親も父親も分からない。唯一、身内として近い立ち位置にいたのが、犯罪組織のボスだ。
しかし、あいつも特にリオの過去を知っているわけではなく、スラムで出会い、そして保護をしていたと話した。
琥珀の首飾りについて聞いたが「知らない」の一辺倒で、特に情報しい情報を聞き取ることもできていなかった。
「お前は…、何者なんだ」
問いかけるた言葉は静かな部屋に溶け込んで消えていく。
結局、ノーバイデン教団は琥珀の首飾りだけではなく、リオも一緒に連れて行っている。
という事は、琥珀の首飾りだけが目的ではないのだろうか。
それとも、首飾りを外すことを嫌がったから、そのまま連れて行ったのだろうか。
しかし、ノエルの話によれば「リオに会いたい」と言っていたという。
であれば、目的が首飾りだけではない可能性の方が高い。
ともかく、今のこの少ない情報では確実な真実にたどり着くことはできない。
とはいえ、何となくではあるが、導き出せそうな回答に俺は少なからず動揺する。
「琥珀の首飾り……。治癒…。生命力。受け継ぎし、もの…」
そこまで呟くと、コンコンと扉のノック音が聞こえる。
扉は開いたままだっため、視線を向けると、そこにはアレンが立っていた。
「団長。聞きました。リオ君が…」
「あぁ。ノーバイデン教団に連れ去られた」
アレンは俺の言葉を聞きながら部屋に入ってくる。
恐らく、俺があの部屋を離れた後に、ヨハンがアレンに伝えてくれたのだろう。
「乗り込みますか」
アレンの声がいつもより低くなる。アレンもリオの事は保護する対象として、大事にしてくれていた。
それがわかるからこそ、俺も同じ気持ちではある。
乗り込みたいが、今行ったところで恐らく教団から突き返されるだけだろう。
もちろんそのまま特攻してしまえばいいのかもしれないが、それではリオの安全も分からない。
「首飾り、じゃなくてか」
「え?なんか言いました?」
「あ、いや。何でもない」
ふと自分で呟いた言葉をアレンに聞かれてしまっていた。
リオの安全を気にするのは当たり前だろう。と、自分言い聞かせてみるが、少しだけ別の顔を出してきている別の感情に、まだ目を向けたくないと思ってしまい、俺は蓋をした。
ノエルはヨハンに任せておいた方がいいだろう。
あそこで俺がいる方が、ノエルはきっと休むことができない。
それにしてもノーバイデン教団は本当に厄介だ。
洗脳という強硬手段に出ていることにも驚いたが、そもそもリオと既に接触していた。
今までリオの存在と、首飾りの存在を隠していたが、どこかで漏れてしまっていたのだろうか。
そんなことを考えるが、今すぐに答えが見るかるような内容ではない。
そして今は見返さなければいけないものがある。
祖父が残した手記を。
俺は、自身の屋敷にたどり着き、執事から「おかえりなさいませ」と声をかけられるが、返答している場合ではなかった。
焦る気持ちに、バタバタと足を動かしながら自室の扉を開ける。
そして、手記が入っていた箱を、机の鍵がかかっている引き出しから取り出そうと、常に持ち歩いている小さな鍵を取り出し、鍵穴に鍵を指す。
しかし、うまく鍵が入ってくれない。
焦りすぎて手元がくるっている。
俺は「ふぅ」と一度呼吸を整える。
そして、もう一度鍵を引き出しに差し込みくるりと回す。
カチリと鍵が開く音がして、その音を聞いてからゆっくりと引き出しを開ける。
古い箱を机の上に取り出した後、蓋をあけ、手記を開く。
手記の内容はすべて読んでいた。
しかし、1頁だけどうしても理解ができない部分があったのだ。
そのことを思い出し、俺は該当の頁を開く。
ーーーーー
≪琥珀の首飾り≫
灯火の眠る琥珀は、人々に健やかな光を与える
灯火の眠る琥珀は、人々に命を与える
その力、受け継ぎしもの
琥珀の力で国を守らん
ーーーーー
俺は、それだけが書かれている頁を何度も何度も読み返す。
筆跡は、今までの手記に書かれているものと同じなため、おそらく祖父が書いたものだろう。
しかし、この内容はまるで物語のようで、意図している内容が分かりにくい。
そうして、何度か読み直しているとき、ふと思い出す
「灯火の眠る琥珀……」
俺は、本来であればリオが使うはずだった部屋へ向かう。
今日城からの移動が完了して、この部屋にはリオがいるはずだった。
扉を開けた時に「レオヴィク」という声が聞こえてくるのではないかと、慎重に開けるが、もちろんその部屋には人の気配は全くない。
ただ、あの城に来てから増えたリオの荷物はもうすべてこちらに移動が完了している。
だから、あるはずなのだ。「灯火の眠る琥珀」というタイトルの本が。
アレンと共に市街地に出た時に購入したという本。
あの本は宝石と妖精のお話で、子供から大人まで楽しめる物語の本だ。
俺は、机の上に置いてある本を何冊か手に取り、そして目当てのものを見つけた。
「これだ」
本の表紙から一頁づつめくっていき、物語を読む。
一見、何の変哲もない宝石の妖精が悪と戦い、勝利して、国を守るお話だが、その中に気になる展開があった。
琥珀の妖精は記憶を保管することができるが、実は他にも力がある。
それは、癒しの力。
しかしこれは、自身の生命力を使う力となるため、物語では最後の最後、悪の妖精との闘いで傷ついた妖精たちを癒すために使い、そしてそのことがきっかけで、再び悪に立ち向かうことができた妖精たちが勝利する。という流れだった。
「治癒、……」
俺は、本を持ったままソファに座り込む。
「だが、リオはーー」
リオは元々スラムで育っている。母親も父親も分からない。唯一、身内として近い立ち位置にいたのが、犯罪組織のボスだ。
しかし、あいつも特にリオの過去を知っているわけではなく、スラムで出会い、そして保護をしていたと話した。
琥珀の首飾りについて聞いたが「知らない」の一辺倒で、特に情報しい情報を聞き取ることもできていなかった。
「お前は…、何者なんだ」
問いかけるた言葉は静かな部屋に溶け込んで消えていく。
結局、ノーバイデン教団は琥珀の首飾りだけではなく、リオも一緒に連れて行っている。
という事は、琥珀の首飾りだけが目的ではないのだろうか。
それとも、首飾りを外すことを嫌がったから、そのまま連れて行ったのだろうか。
しかし、ノエルの話によれば「リオに会いたい」と言っていたという。
であれば、目的が首飾りだけではない可能性の方が高い。
ともかく、今のこの少ない情報では確実な真実にたどり着くことはできない。
とはいえ、何となくではあるが、導き出せそうな回答に俺は少なからず動揺する。
「琥珀の首飾り……。治癒…。生命力。受け継ぎし、もの…」
そこまで呟くと、コンコンと扉のノック音が聞こえる。
扉は開いたままだっため、視線を向けると、そこにはアレンが立っていた。
「団長。聞きました。リオ君が…」
「あぁ。ノーバイデン教団に連れ去られた」
アレンは俺の言葉を聞きながら部屋に入ってくる。
恐らく、俺があの部屋を離れた後に、ヨハンがアレンに伝えてくれたのだろう。
「乗り込みますか」
アレンの声がいつもより低くなる。アレンもリオの事は保護する対象として、大事にしてくれていた。
それがわかるからこそ、俺も同じ気持ちではある。
乗り込みたいが、今行ったところで恐らく教団から突き返されるだけだろう。
もちろんそのまま特攻してしまえばいいのかもしれないが、それではリオの安全も分からない。
「首飾り、じゃなくてか」
「え?なんか言いました?」
「あ、いや。何でもない」
ふと自分で呟いた言葉をアレンに聞かれてしまっていた。
リオの安全を気にするのは当たり前だろう。と、自分言い聞かせてみるが、少しだけ別の顔を出してきている別の感情に、まだ目を向けたくないと思ってしまい、俺は蓋をした。
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