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最終章「繋ぐ者、託される者」
再会と別れ
しおりを挟む「リオ、はし、れ。レオヴィク様が、きてるはず、だ」
ボスが俺に向かっていう。
スラムにレオヴィクたち騎士団が来た時も同じように言われた。
走れと、逃げろと、
どうして、俺はまた同じ過ちを繰り返してしまっているのだろうか。
やはり、アモンが言うように俺の傍にいるからボスは…ーー
そこまで考えていると、ボスの体から剣が抜かれ、そして「ゴフッ」とボスが血を吐き出す声が聞こえ、我に返る。
目の前でゆっくり倒れていくボス。
た、すけ、なきゃ
そう思って俺はボスに向かって手を伸ばす。
「リオ!!」
俺の伸ばす手はボスに届かなかった。
気が付けば、抱えられそしてここまで来た廊下をすごい早さで駆け抜けていた。
「リオ!無事か!」
「レオ、ヴィク?」
「あぁそうだ!テーラー、じゃない…タロルから話は聞いていないのか!」
「レオヴィクが来てるはず、て」
俺は、とりあえずレオヴィクに聞かれたことに返答する。
会えてうれしい。再会できて嬉しいはずなのに、今はだんだんと遠ざかっていく血だらけのボスの事しか頭になく、どうしてレオヴィクに担がれ、廊下をすごい早さで駆けているのかがわからなかった。
「ま、まって、ぼ、ボスが…」
「今はお前が最優先だ」
レオヴィクはそれだけを言うと、走る速度を上げていく。
そしてそれとは逆方向に多くの騎士団がバルコニーの方へ走っていった。
「ゼリウスの裏切りがあるとは知らなかったが、これはこれでいい結果だ」
「いい結果?」
俺は、レオヴィクから出てくる言葉を信じられずそのまま返してしまう。
「今回の作戦の第一優先事項は、お前だ、リオ。そして、テーラーはその作戦の要だ」
「テーラーって…」
「あぁお前の元ボスだ。今はひとまずここを離れる。舌をかまないように口をとじておけ」
叫ぶこともできず、戻ることもできず、いつの間にかバルコニーは見えなくなり、遠くから聞こえる怒号と、民衆たちのざわめきを聞きながら、俺は呆然とすることしかできなかった。
しばらく走り続け、気付けば城からも出て大きな屋敷の前にいた。
「俺の屋敷だ」
レオヴィクが言う。
俺は未だにレオヴィクに担がれたままだが、動く気力もなく、そのままだらりと身を委ねている。
「ひとまず、落ち着いて話ができる場所に行こう」
そう言ってレオヴィクは俺を担いで屋敷に入り、そして大きな広間に入る。
「おろすぞ」と言われ、俺はされるがままに広間に足をつける。
そして振り返り、部屋の中を見渡すと、そこにいたのは、ヨハンとノエルだった。
「ノエ、ル?」
「リオーーー!」
久しぶりにノエルが俺の名前をよび、そして俺にとびかかってくる。
今回もノエルの勢いに耐えられなくて後ろに倒れそうになるが、レオヴィクが俺ごと支えてくれて、倒れることはなかった。
「ノエル!もう少し大人しくしなさいと何度言ったらーー」
「だって、だって!」
ノエルは、ヨハンの言葉を遮って泣きながら言葉をつむぐ。
「リオ、リオ……」
その泣き声と暖かさに、俺はようやく感情を取り戻してきたのか、泣きたいような気持になりつつも、ボスの事を思い出してしまい、うまくノエルに会えた喜びを伝えられずにいた。
「リオ、どこも怪我してない?大丈夫?」
ノエルにそう聞かれて、俺もハッとしてノエルに聞く。
「そ、それはノエル、の方が…」
「え?僕?」
ノエルが涙をためた瞳のままこちらを見て首をかしげる。
「アモンが、ノエルはもう普通の生活ができないくらいの重傷をおっていたって……」
「何その嘘」
ノエルがぼそりという。
その声は今までの可愛さが、一瞬で消えてしまうくらいドスの利いた声だった。
「え、ノエル?」
「あ!ううん!何でもないよ!僕はこの通りぴんぴんしてるよ!でもこれもリオのおかげだったんでしょう?ありがとう」
ノエルはそう言って、再び俺に抱き着いてくる。
俺はどうしたらいいかわからず両手を彷徨わせていると、ヨハンが近づいてきて、「抱きしめ返してあげてください」と俺の手をノエルの背中に持っていてくれた。
そして俺は、その言葉に甘えノエルをぎゅっと抱きしめる。
「さて、本題を話そう」
再会を喜んでいるとこに水を差すレオヴィクの声。
「ノエル、すまないが、少しリオと話をしなければならない。屋敷から出ないようにだけ気を付けて、一旦席を外してくれるか」
「はーい」
とても聞き分けのいいノエルにびっくりして、俺はノエルの体から手を離す。
するとノエルも抱き着いていた手を離し、そして、俺の手を両手で握る。
「おかえり、リオ。あとでいっぱい話そうね」
そういって、部屋を後にした。
「リオ、座ろうか」
レオヴィクに促され、俺はレオヴィクの屋敷のソファに初めて座った。
隣にはヨハン、正面にはレオヴィク。
まるで、あのお城での事を思い出すような配置だった。
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