琥珀の灯火を抱く少年と、誓いに囚われた騎士

大城トモ

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最終章「繋ぐ者、託される者」

明かされる真実 ーゼリウス視点ー

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私の母は、ノーバイデン教団の信徒だった。
しかし、神は崇拝していなかった。
何も信じていなかった。
そして毎日のように俺にこう言っていた。

「アンブラリア王国を壊せ、私たちの琥珀を取り戻せ」

私は、毎日のように言われるこの言葉を呪いと思ったが、地下に住む私にとっては母が全てだった。
アンブラリア王家が全員処刑された日を境に、地下から地上へと出ていくノーバイデン教団の人たちの中に、私の親族はいなかった。
私たち家族はそのまま地下に閉じこもった。
そして暗く湿った世界で、私は生まれた。

生まれた私は、母から希望の星と言われた。
それは、私が黒い瞳をもって生まれたからだった。
黒い瞳は、全てを無にし、そして再生する力があるといわれていた。
私は、母の希望と言われて嬉しかった。
だから母のためにも、呪いの言葉を実行することこそが、私の役目だと信じていた。

時が立ち、母は病に倒れた。
そして最後に「アンブラリア王国を壊せ、私たちの琥珀を取り戻せ」と言い残し、その生涯に幕を閉じた。
私は、琥珀の所在を探すため地上に出て、そしてアモン神官に近づいた。
玉座を乗っ取ったというノーバイデン教団の神官こそ、琥珀を持っているのではないかと。
しかし、やつは持っていなかった。
であれば、どこにいるのかといろいろな場所を探したが手掛かりが見つからなかった。

ある日、市街地を歩いていた時。人の中に溶け込むようにと築いた人間関係の輪。その中にいたボイルを見かけた。
そして、その隣にいる女性を見て驚いた。
若いころの母にそっくりだったのだ。
もしかしてと思い、その二人の後を追う。
二人は小さな家に入り、そして、その家からは子供の声も聞こえた。
そして私は感じ取ったのだ。
琥珀の存在を。

私の先祖は、アンブラリア王家の先代カスティアン・アンブラリアの弟だと聞いていた。
我々一族は、代々琥珀の妖精からの加護を受けた一族で、カスティアンももちろんその一人だ。
しかし、カスティアンは琥珀を独り占めし、そしてそれをもって地上に出て、我々一族を捨てたらしい。

妖精の加護は、一族の血が流れていれば、同じように与えられるもので、その血筋をもってすれば琥珀のありかや、琥珀の使い方、琥珀との共鳴ができる。

だから私は確信していた。
あの家に琥珀があると。

私は、ボイルの家に行き、家族を呼び寄せ、そして琥珀を奪うはずだった。

なのに、あいつらは私をだまし、琥珀のありかをまたも隠した。
私はボイルとその妻を殺し、そして再び捜索を再開した。

しかし、琥珀は見つからなかった。

二人は私に殺される前にこう言っていた。

「絶対に見つからない。力は閉じ込めた。もう私にも場所はわからない」と。

その間も、アモンの傍にいて神を崇拝しているように振舞った。
やつは単純で扱いやすかった。
とはいえ、私もアモンも琥珀を崇拝する身。そう簡単に私の思惑はばれなかった。
そしてアモンの言う神とやらは私に味方をした。

城でたまたま見かけた子ども。
琥珀の首飾りをもって、ヨハンを助け、琥珀の灯火を顕現させていた。

私は歓喜した。
こんなに近くにいたとは、と。

子ども、リオをこちらに引き入れ、そして眠っているリオの胸元に光る琥珀を見て思わず笑みを零してしまい、アモンに叱られる。

やっと、私の物になるのだ。
やっと、母の願いを、一族の願いをかなえることができるのだ。

アモンをだまし、琥珀を奪い、そしてこの国を壊す。


しかし、寸前のところで邪魔が入った。
計画が台無しだ。
だが、まだ神は私の味方をしているようだった。
アモンによって刺されたタロルと名乗る男を連れてその場を去った。
タロルはリオをとても大事にしていることは見ていてすぐにわかった。
きっとリオの弱点になる。
そう踏んで連れていった。
傷はある程度の治療はした。
死にはしない。あと数日は。

そして再び開かれた式典で、私は最後の行動に出る。

お母様、ようやくあなたの願いを…呪いを…
この手で遂行できそうです。
待っていてください。
全てを壊し、そして我が一族に再び琥珀の力を。

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