琥珀の灯火を抱く少年と、誓いに囚われた騎士

大城トモ

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最終章「繋ぐ者、託される者」

繋ぐ者、託される者

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あれから、俺たちは城の広場で起きた騒動の後片付けと、王としての民への説明、周辺諸国への通達などなど。
やることが山積みで、気が付けばそろそろ冬の終わりを告げる季節だった。

城の窓から見える景色はまだまだ復興には遠いが、すこしばかり活気のついた市街地の様子に笑みがこぼれる。

久しぶりに行ってみようと、スラムから連れてこられた秘密の部屋に向かい、そこから庭に出る。
草花は、もうすこしで芽吹きそうだった。
またこの庭をノエルに整備してもらおうと考えていると、後ろに人の気配がした。

「リオセル」

そこには虚ろな瞳をしたゼリウスが、毛布を体に巻き付けたまま庭まで出てきていた。

「ゼリウス、珍しく部屋から出てきたんだ。でも、まだ寒いんだから部屋に戻らなきゃ」

俺はゼリウスの体を押しながら部屋に戻る。
前に俺が使っていた部屋は、現在ゼリウスの監視部屋となっている。
少なからず王族に対して行った行動は罰せられる対象となるのだが、俺が無理を言ってここで監視させてもらっている。
ゼリウスはここから出ようと思えば出られるのだが、全く出ていく気配はなく、静かにここで日々を過ごしている。

ゼリウスをベッドに戻し、持っていた毛布を体にかける。
そのまま何も話すことなく、ゼリウスは目を閉じそして寝てしまった。

俺は、ゼリウスの寝顔を見て、そっと部屋を後にする。

すると、遠くの方からすごい早さで走ってくる人影が見えた。

「リオ!!!!」

結構な速度で走っていたはずなのに、全く息を乱していないレオヴィク騎士団長。
もとい。
俺の専属護衛レオヴィクだ。

「あれだけ、どこかに行くのであれば、俺に一言言ってからにしろとーー」

「わかったわかった、ごめんって、もぉレオヴィクは過保護なんだからぁ」

俺はレオヴィクの言葉を遮り、そのままレオヴィクを置いて歩き出す。

「大丈夫だって、俺ももうか弱い少年じゃないんだから」

「いーや。お前は十分か弱い少年だ」

俺の言葉に反論してくる専属護衛様は、俺の首根っこを掴み、歩みを止めてくる。

「少しはこちらの苦労もお考え下さい?リオセル国王」

レオヴィクはわざとらしく、俺を国王と呼んでくる。
結局、俺は国王になるのはまだ早いと、玉座は空席のままだ。
しかし、今後この国の王になるために、ヨハンにもう一度勉強を一から教えてもらっている。
記憶を取り戻したことで、読み書きは何ら問題ない状態となったので、次はこの国の歴史や、周辺諸国との関連性などなど…
何とも頭を抱えたくなるほどの勉強量だった。

その勉強から逃げ出すこともしばしばあり、その時はこうやってレオヴィクが俺を迎えに来てくれる。

そして、テーラー。
彼は、その後無事に療養を終えると、報告しなければいけないという事でハマ王国に帰国した。
たくさん言いたいことも、伝えたいこともあったが、またハマ王国に遊びに来ればいいとテーラーに言われ、俺はそれを承諾した。
国王になれば、あいさつ回りに行かないといけないしね。

「リーオー」

俺がそんなこんなで物思いにふけっていると、後ろからまた別の声がする。

「ノエル!」

「もう!リオが逃げ回るから、僕もおじいちゃんに怒られる羽目になってるんだからね!」

「あはは、ごめんごめん、未来の宰相殿?」

俺は、ノエルにそう言うと、リオは「もう!だからまだ目指してるだけだって言ってるじゃん!」と俺をぽかぽかと殴ってくる。
今はヨハンが宰相として、俺が国王になるまで政治周りの事をいろいろと動いてくれているらしく、ノエルはそれを見て、将来はヨハンの仕事を僕が引き継ぐんだ!と意気込んで一緒に勉強を始めた。

「ほら!おじいちゃんが待ってるから、行くよリオ!」

「は、はいはい」

俺は引きずられるようにノエルに引っ張られる。
その後ろをレオヴィクがにやにやしながら見ている。

「なんだよ、レオヴィク」

「いえ?どうにもまだまだ子どもだなと思いまして」

「その子どもに恋慕を抱いているのはだれかなー?」

「リ、リオ!」

レオヴィクの最近のからかい方だ。
あまりこういう感情は表に出ないと思っていたが、自分からする分にはいいけど、俺から言われることは恥ずかしいのだとか。
前にそんなことを話していた気がする。

「リオさまー」

そうこうしていると、正面からアレン騎士団長が歩いてくる。
レオヴィクが俺の専属護衛になったことで、アレンがその後を継いだ。
レオヴィクほど厳しくはないそうだが、アレンはアレンで、また別の厳しさもあるようで、騎士団は前にもまして力をつけてきているような気がする。

「そろそろ、来期のお話をしたいとヨハンがいってたのでー伝えに来ましたよー」

「あーわかった。そしたら、このままノエル連れてヨハンの元に戻るから、その時に話すよ。ありがと」

「どーいたしましてー、ってレオヴィク様。なんでそんな顔赤いんですか?」

「あぁそれは俺がからかったから」

「もーリオ様ったらいじわるなんだからー」

アレンの後頭部に拳が飛ぶまで








ーendー


ーーーーーーーー
琥珀の灯火 ~忘れられた王家の誓い~
これにて完結。
残りエピローグとして数話ありますので、お時間の許す方は
もうしばらくお付き合いくださいませ。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!
近況ボードにてあとがきを書く予定なので、お暇な方はご一読くださいませ。

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