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エピローグ
妖精のお話
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これはとある妖精のお話。
記憶と癒しを司る追憶の妖精は、最後の力を振り絞り、王様の大切な人を助けました。
力を使い果たしたことで、宿っていた琥珀の宝石は割れ、今はもう王様に会えなくなってしまいました。
王様はとても悲しんでいましたが、王様の周りには家族がいて、もう王様は一人ではありませんでした。
もう少しだけ王様を見守りたかったのですが、時間が来てしまったので、妖精はその場を去ることにしました。
依代がなくなっていたしまった妖精は、人間に認知されることはなくなり、自由な暮らしを手に入れることができます。
しかし、妖精はその自由が寂しいものだとは思っていませんでした。
人間のエゴで、琥珀に閉じ込められていた妖精。
しかし人間のやさしさで琥珀から逃げ出せた妖精。
そして人間のために自分の力を使い果たした妖精。
もう一度何かの宝石に宿ればいいとも思うが、あれほどまでに力を使えたのは、琥珀の宝石と、その宝石を扱うことができる人間がいたからです。
妖精は、王様を見つめます。
地上でのお手伝いをするために、いろいろな事をしてきました。
国を作るために、癒しの力を遣ったり
国をまとめるために、癒しの力を遣ったり
王を守るために、癒しの力を遣ったり
しかし、記憶の共有をしたのは、今回の王様が初めてでした。
なぜなら、初代の王様に絶対見せるなと言われていたからです。
自分が行った過ちのせいで、血筋を分断させてしまった。
そして、地下にいる人たちを助けることができなくなってしまった。
王は言いました。
「必ず、この国を救う本当の王が現れる。その時のこの記憶を見せてくれ」と。
妖精は、今回の王様こそが、この国を救うと確信しました。
予想通り、王様は国を救い、そして妖精も救いました。
『追憶の妖精』
ふいに、誰かに呼ばれた気がして振り返る。
そこには王家の事を何も知らせていないのに、妖精の姿を認知でき、力を使うことができていた王様のお母さんがいました。
『王様を見守ってくれてありがとう』
妖精は王様のお母さんの周りを飛び回ります。
『ふふ、あの頃に戻ったみたいだわ』
王様のお母さんも嬉しそうに笑います。
『さぁ追憶の妖精、あなたのお仕事はおしまい。私と一緒にたくさん遊びましょう』
そういうと、王様のお母さんは晴れた青色の空へと浮かんでいきます。
まるで、地上に初めて出たあの子が見た青空のようで、思わず涙が出てしまいました。
『大丈夫よ、追憶の妖精。貴方の大切な人は、ちゃんと幸せだったわ。きっと』
王様のお母さんの胸元に飛び込み、妖精は泣きはらしました。
「そうして、追憶の妖精は、自分の大切な人たちがいる天界へとむかっていったのでした」
「何そのお話、めっちゃ悲しいじゃん…」
ヨハンとの勉強会が終わり、俺とノエルはそのまま部屋で本を読んでいた。
というより、俺がノエルに読み聞かせをしていた。
「その妖精さんは最後幸せだったんだよね」
「うん、きっと幸せだったと思うよ」
俺はパタリと本を閉じる。
春をがすぎ、暑い夏の真っただ中。
俺は、勉強や執務の間に、追憶の妖精の物語を書いた。
物語なんて今まで書いたことがなかったから、うまく書けるか不安だったけど、何とか形になって、ヨハンが本にしてくれた。
今では市街地でも普通に売られ、今度、劇にもなるらしい。
市街地はどんどん景気が良くなり、そのおかげで働き手が必要という事で、スラムの人たちにも仕事が回ってきて、みんなの顔にも笑顔が増えたような気がする。
そんな毎日を送りながら俺は、明日。
戴冠式を迎えることとなった。
まだまだ先がいいと駄々をこねたが、ハマ王国や他の国からも、王を早くたてろと催促の手紙が来てしまい、いよいよ逃げられなくなってしまった。
「はーそれにしても、いよいよ明日かー」
「やめてくれ…緊張が頂点まで上り詰めてしまう」
俺は心臓をあたりを抑えながら、何度も深呼吸を繰り返す。
「大丈夫だよ、リオなら。このノエル様が保証します!」
「たよりなーい」
「「ぷっ…あはははは」」
まだまだ冗談は言い合えるくらいの余裕はあるんだな、とノエルと笑いあって俺は思った。
明日、戴冠式。
ついにこのアンブラリア王国の国王が再臨すると、市街地では今日からお祭り騒ぎらしい。
受け入れてもらえるかを心配していたあの頃が嘘のようだ。
「リオ、支度はできたか」
そうこうしていると、部屋にレオヴィクが入ってくる。
「うん、できてるよ」
「じゃあ行こうか」
俺はノエルに「また明日」と伝え、レオヴィクと共に部屋を出る。
今から、俺はお母さんとお父さん、そして先代国王たちに、明日王になる事を報告しに行く。
記憶と癒しを司る追憶の妖精は、最後の力を振り絞り、王様の大切な人を助けました。
力を使い果たしたことで、宿っていた琥珀の宝石は割れ、今はもう王様に会えなくなってしまいました。
王様はとても悲しんでいましたが、王様の周りには家族がいて、もう王様は一人ではありませんでした。
もう少しだけ王様を見守りたかったのですが、時間が来てしまったので、妖精はその場を去ることにしました。
依代がなくなっていたしまった妖精は、人間に認知されることはなくなり、自由な暮らしを手に入れることができます。
しかし、妖精はその自由が寂しいものだとは思っていませんでした。
人間のエゴで、琥珀に閉じ込められていた妖精。
しかし人間のやさしさで琥珀から逃げ出せた妖精。
そして人間のために自分の力を使い果たした妖精。
もう一度何かの宝石に宿ればいいとも思うが、あれほどまでに力を使えたのは、琥珀の宝石と、その宝石を扱うことができる人間がいたからです。
妖精は、王様を見つめます。
地上でのお手伝いをするために、いろいろな事をしてきました。
国を作るために、癒しの力を遣ったり
国をまとめるために、癒しの力を遣ったり
王を守るために、癒しの力を遣ったり
しかし、記憶の共有をしたのは、今回の王様が初めてでした。
なぜなら、初代の王様に絶対見せるなと言われていたからです。
自分が行った過ちのせいで、血筋を分断させてしまった。
そして、地下にいる人たちを助けることができなくなってしまった。
王は言いました。
「必ず、この国を救う本当の王が現れる。その時のこの記憶を見せてくれ」と。
妖精は、今回の王様こそが、この国を救うと確信しました。
予想通り、王様は国を救い、そして妖精も救いました。
『追憶の妖精』
ふいに、誰かに呼ばれた気がして振り返る。
そこには王家の事を何も知らせていないのに、妖精の姿を認知でき、力を使うことができていた王様のお母さんがいました。
『王様を見守ってくれてありがとう』
妖精は王様のお母さんの周りを飛び回ります。
『ふふ、あの頃に戻ったみたいだわ』
王様のお母さんも嬉しそうに笑います。
『さぁ追憶の妖精、あなたのお仕事はおしまい。私と一緒にたくさん遊びましょう』
そういうと、王様のお母さんは晴れた青色の空へと浮かんでいきます。
まるで、地上に初めて出たあの子が見た青空のようで、思わず涙が出てしまいました。
『大丈夫よ、追憶の妖精。貴方の大切な人は、ちゃんと幸せだったわ。きっと』
王様のお母さんの胸元に飛び込み、妖精は泣きはらしました。
「そうして、追憶の妖精は、自分の大切な人たちがいる天界へとむかっていったのでした」
「何そのお話、めっちゃ悲しいじゃん…」
ヨハンとの勉強会が終わり、俺とノエルはそのまま部屋で本を読んでいた。
というより、俺がノエルに読み聞かせをしていた。
「その妖精さんは最後幸せだったんだよね」
「うん、きっと幸せだったと思うよ」
俺はパタリと本を閉じる。
春をがすぎ、暑い夏の真っただ中。
俺は、勉強や執務の間に、追憶の妖精の物語を書いた。
物語なんて今まで書いたことがなかったから、うまく書けるか不安だったけど、何とか形になって、ヨハンが本にしてくれた。
今では市街地でも普通に売られ、今度、劇にもなるらしい。
市街地はどんどん景気が良くなり、そのおかげで働き手が必要という事で、スラムの人たちにも仕事が回ってきて、みんなの顔にも笑顔が増えたような気がする。
そんな毎日を送りながら俺は、明日。
戴冠式を迎えることとなった。
まだまだ先がいいと駄々をこねたが、ハマ王国や他の国からも、王を早くたてろと催促の手紙が来てしまい、いよいよ逃げられなくなってしまった。
「はーそれにしても、いよいよ明日かー」
「やめてくれ…緊張が頂点まで上り詰めてしまう」
俺は心臓をあたりを抑えながら、何度も深呼吸を繰り返す。
「大丈夫だよ、リオなら。このノエル様が保証します!」
「たよりなーい」
「「ぷっ…あはははは」」
まだまだ冗談は言い合えるくらいの余裕はあるんだな、とノエルと笑いあって俺は思った。
明日、戴冠式。
ついにこのアンブラリア王国の国王が再臨すると、市街地では今日からお祭り騒ぎらしい。
受け入れてもらえるかを心配していたあの頃が嘘のようだ。
「リオ、支度はできたか」
そうこうしていると、部屋にレオヴィクが入ってくる。
「うん、できてるよ」
「じゃあ行こうか」
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今から、俺はお母さんとお父さん、そして先代国王たちに、明日王になる事を報告しに行く。
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