堕ちた神

セティ

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 国王は王城に戻り、すぐに国民達に湖の出来事を話した。国民達もまた歓喜し、彼らの思い通りに雨を降らすといったプルーヴォを嘲笑った。馬鹿な神だと。
 プルーヴォのために再建した神殿を再度取り壊し、そこにできた広場で宴を開いた。プルーヴォのために再建した神殿は木の枝を立たせ、着古した服から作った布を被せただけのものだった。取り壊すのも四半時もかからなかった。
 宴の最中、雨が降り始めた。人々は狂喜乱舞する。これで自分達は以前のように暮らせると。
 翌日もまた雨が降っていた。乾きひび割れていた土に水が与えられ、潤った。その翌日も雨が降っていた。枯れていた草木に水が与えられ、失くしかけていた生命力を取り戻した。その更に翌日も雨が降っていた。涸れていた川に水が戻った。雨は降り続けた。
 人々がそれに可笑しいと感じ始めたのは雨が降り始めて半月が経った頃だった。雨が止まないのだ。
 水を与えられすぎた土はぬかるみ、草木は根腐れをおこし、川は増水した。それでも雨は降り続けた。
 人々はまたプルーヴォのいる湖を訪れた。プルーヴォのいる湖の周りもまた雨は降っていたが小雨で、太陽の光も差し込んでいた。湖を彩るように美しい花々は咲き乱れ、花弁に乗った水滴を弾き落としていた。いつの間にか黒く澱んでいた水も清く透き通っていた。
 国王の子である王子がプルーヴォを呼び、叫んだ。曰く、雨を止ませろと。プルーヴォが現れることは無かった。それに怒った王子が湖へ石を投げ入れようと背をかがめ、咲き乱れる花々を見た。にやりと父である国王と同じ表情を浮かべた王子はすぐに城へ帰った。雨をやめさせられなかった王子は王に叱責されたが、すぐに口を開いた王子の弁に王は息子を褒め称えた。
 
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