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第5話 異世界ヤンキーオーク、コンビニを溜まり場にするの巻 ②
しおりを挟む装備を外して寝ていたので、今は文字通り無防備だ。
ヤンキーオークと並ぶと、大人と赤子の様だ。
「あん、どこ中だごらぁっぁ!!」
「中学なぞ行ってない」
少年剣士はまったくビビらず、巨大なオークとメンチを切り合う。
なんか、ヤンキーマンガ的な展開だが、こういうことはコンビニでは――まぁある。
「なにっ!? わっ悪いヤツだぜ」
「悪くなぞないっちゃんと働いているからな」
「なにっ働いてるのかその年でっ!!」
働いたことなどなさそうなヤンキーオーク達が歯ぎしりし、たじろぐ。
「ふんっ、さぁ戦闘と行こうか?」
少年剣士が立て掛けていた剣を背負い柄に手をかける。
「くっ!!」
後ずさりしつつヤンキーオークは斧や棍棒を握り、戦闘準備を始める。
「わっばかっ店でケンカすんなっ!!」
止めなきゃ! 俺の頭のそろばんが、損害額を算出し、顔を青くさせる。
俺の武器はモップのみ。
勝てるか!!
手が動かず、硬直する俺の背後から、ふわりと甘い匂いが漂ってきた。
それは柔軟剤の香りか、あるいは夏南子(ななこ)母さん自身が発する天然のフェロモンか。
「ケンカをやめて~」
母さんが止めに入る。
「私のために争わないでぇえぇぇ~~」
母さんのためじゃない気がするけど。
俺は母さんのためだけど……。
オークと少年の間に割って入り、
「そんなに怖がらなくても大丈夫よ、ボクもカズヤくんも見た目で人を判断しちゃだめよ」
母さんも少年と同じように、まったく動じていなかった。
暴走族が深夜に集団で来ることなど、今まで何度もあったからだ。
「マム、が言うなら剣を引こう……」
おめぇのマムじゃねぇ!!
「ははっなんだっ! ママに言われてケンカをやめんのかっマザコンめっ!!」
ヤンキーオークのリーダー(番長)格が少年を挑発。赤い甲冑に赤い鉢巻き、赤い眼帯(多分見えてる)をして、なんか中二病丸出しで、高校生の俺にはむずがゆい。
「なんだと!!」
少年が再度、臨戦態勢を取る。
「もーっ男の子は困ったものだわ~」
母さんはため息を吐き、カウンターに戻り、満面の笑みを浮かべてオークたちに語りかける。
「いらっしゃいませ~! 今から学校でしょ? お腹空いてない?」
その声は、春の日差しのように暖かく、そして母親に抱かれる赤子のような安心感を孕んでいた。
殺気立っていたオークたちの動きが、ぴたりと止まる。
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