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2.初出勤で本当の姿を見せる
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早々と帰ってきた私は、メイドから既に両親は眠っている事を聞かされてホッとした。姉たちの時は門限ギリギリの時間まで帰ってこなかったせいで、心配していたらしい。
――末っ子は早く帰ってきました。お腹も空いてます。
着替えると軽い食事を取って、魔術師団の制服をうっとりと眺めた。学校の制服はふりふりが沢山ついていて膝下スカートでうんざりしていたが、この制服は膝丈スカートで本当に可愛い。ローブに金の刺繍が入っていて、とても現代的でおしゃれなところも良かった。
お風呂にゆっくり使って、明日から始まる仕事に気合を入れた。忘れ物がないかチェックする。元々美人なカティアは周りから疎まれるかもしれない。美人は卑屈になったら舐められると姉たちが言っていた。ニキビが出来ないように食事を取り、運動もしていた。
上司や同僚に気に入られて、そこそこの年齢になったら結婚する。
魔術師団は男女ともに美人で有名だ。そこに学生時代のカツラとダサ眼鏡がいたら、信頼も何もなくなる。
魔術師団は名実ともに偉大な組織である。不正なんてものは存在せず、発覚した際には温情が一切ない容赦のない処分が下される。
余程の事情がない限り見た目を変えることが許されない。
マッサージをして貰い早く就寝し、サミュエルを黄色いドレスを着た令嬢たちでボコボコにぶん殴っている夢をみた。あまりにも楽しくて声を出して笑っていた。
翌朝、入念に手入れをして魔術師団の支部に向かった。副団長が挨拶をすると新しく入団する人たちが自己紹介を始めた。揃いも揃って美形と美人率が異常に高い。それになんかいい匂いがする。美人っていい匂いがするんだ。香水で再現できない凄い蕩けるような匂いだ。
「キトン伯爵家のカティアです。好きな食べ物はイチゴです。よろしくお願いします」
私も自己紹介をすることになった。名前と好きな物を話しただけなのに、どよめきが起こる。何処からか「可愛い、お人形みたいだ」と呟いた声が聞こえた。
にやける表情を隠すように俯いた。美形や美人から褒め称えられて嬉しくないわけがない。他人から褒め慣れていないため、顔が赤くなる。今聞こえる声だって幻聴で自意識過剰かもしれない。
「キトン伯爵家のカティアで間違いはないな」
「はい………」
振り絞るような声を出したが、目の前にいた副団長だって疑いの目を向けている。朝に鏡に向かった時に私だって思ったわよ。太く見せるために何枚もタイツを履いていた事や大きな胸を隠すために贅肉腹巻を作って夏も着用していたわよ。だって敵を作らないように必死だったんだもん。
学校の女子生徒なんて少し痩せただけで心配という名のマウンティングが始まるんだから。
学生時代に綺麗になるためにダイエットして何が悪いのよ。ありのまま受け入れてくれなかった結果、黄色いドレスを着た女子生徒が爆誕したんじゃない。
「こいつがカティアなわけないだろう!」
聞き覚えのある声が聞こえると急に肩を掴まれると髪の毛を引っ張られ、後ろにひっくり返った。お尻が床に着くと思ったら誰かに抱きかかえられ、寸前のところで助かった。
「マクスウェル団長!」
近くにいたサミュエルが私の抜けた髪の毛を掴んでいて押さえつけられている。学生時代の時の私と違うと繰り返している。こいつも一緒の職場なんだと思うと気が重い。サミュエルは失言魔法をかけられて静かになると、事情を説明するように私にも魔法をかけられた。
「美人だと誘拐される話を周りから聞かされて、自主的にカツラと目が小さく見える眼鏡を着けていました。そのせいで意地悪されましたが、誘拐されるよりもマシです。学生時代も揶揄われていたのに、ノルジャン様だけ可愛いと言ってくれました。それで告白したら、気がついたら周りに人がいて。その日からもっと馬鹿にされる日が始まりました」
もっと言いたかったのに抱きかかえる力が強くて言葉を失った。
「サミュエル・ノルジャン。キトン伯爵令嬢に対する行為は見逃すわけにはいかない。入団初日だが、君はここに相応しくない。いつまでも学生時代の関係を続けられると思わないで欲しいね。追って沙汰する」
魔術師団から追い出されたサミュエルは、きっと戻ってくるに違いないと頭で考えていた。腐ってもアイツは侯爵令息だ。
魔術師団長が得意とする正直に話す魔法はこんな事では通常使われる事はない。上層部による承認許可が必要な事だと知ったのは大分後になってからだった。
美人って団長さえも初日から味方につけることが出来るのね。
と思ったが、団長が物凄く美しすぎて醜いものを徹底的に排除するからだろうと同時に考えた。
魔術師団はとても楽しくやりがいのある仕事だった。マクスウェル団長は毎日大量の書類を抱えている。元々計算が得意で、父の領地経営の収支計算をしていたため、予算の計算をすることは得意だ。
副団長と会計で抱えている業務の一部を新人が手伝う事になり、毎日ホクホク顔で計算を楽しんでいる。
実務と事務がとても楽しい。半年も経つと書類整理も任せられるようになり、残業をした時はマクスウェル団長が家まで送ってくれる。いつも残業は5人以上で行われてセクハラをされる事はない。
前世なんて上司が新人をセクハラしても、上司は処分が下されずのうのうと仕事をしていた。小汚い脂臭い爺からのセクハラはお金を貰ってもやりたくない。
魔術師団員の先輩たちは、新人育てを丁寧にしてくれている。魔法を教わる時、密着することが多い。意外な事に筋肉質な魔術師団員たち。杖の持ち方や魔法の詠唱を一緒に唱える時に、胸もとにすっぽり新人が埋まる事も最初の時は当たり前だ。
問題は新人の下半身が濡れてしまう事だ。
この世界ではブラジャーも下着もそれなりに豊富だ。生理もおりものも魔法でコントロールすることが出来る。しかし、最奥がきゅんっと疼いて愛蜜が垂れても、魔法に集中していて下着が濡れてしまう事が多い。
普段ならコントロール出来るが、魔力量も多い優秀な魔術師を目の前に教えて貰うと下半身は素直になってしまう。本能に逆らえないからだ。
――末っ子は早く帰ってきました。お腹も空いてます。
着替えると軽い食事を取って、魔術師団の制服をうっとりと眺めた。学校の制服はふりふりが沢山ついていて膝下スカートでうんざりしていたが、この制服は膝丈スカートで本当に可愛い。ローブに金の刺繍が入っていて、とても現代的でおしゃれなところも良かった。
お風呂にゆっくり使って、明日から始まる仕事に気合を入れた。忘れ物がないかチェックする。元々美人なカティアは周りから疎まれるかもしれない。美人は卑屈になったら舐められると姉たちが言っていた。ニキビが出来ないように食事を取り、運動もしていた。
上司や同僚に気に入られて、そこそこの年齢になったら結婚する。
魔術師団は男女ともに美人で有名だ。そこに学生時代のカツラとダサ眼鏡がいたら、信頼も何もなくなる。
魔術師団は名実ともに偉大な組織である。不正なんてものは存在せず、発覚した際には温情が一切ない容赦のない処分が下される。
余程の事情がない限り見た目を変えることが許されない。
マッサージをして貰い早く就寝し、サミュエルを黄色いドレスを着た令嬢たちでボコボコにぶん殴っている夢をみた。あまりにも楽しくて声を出して笑っていた。
翌朝、入念に手入れをして魔術師団の支部に向かった。副団長が挨拶をすると新しく入団する人たちが自己紹介を始めた。揃いも揃って美形と美人率が異常に高い。それになんかいい匂いがする。美人っていい匂いがするんだ。香水で再現できない凄い蕩けるような匂いだ。
「キトン伯爵家のカティアです。好きな食べ物はイチゴです。よろしくお願いします」
私も自己紹介をすることになった。名前と好きな物を話しただけなのに、どよめきが起こる。何処からか「可愛い、お人形みたいだ」と呟いた声が聞こえた。
にやける表情を隠すように俯いた。美形や美人から褒め称えられて嬉しくないわけがない。他人から褒め慣れていないため、顔が赤くなる。今聞こえる声だって幻聴で自意識過剰かもしれない。
「キトン伯爵家のカティアで間違いはないな」
「はい………」
振り絞るような声を出したが、目の前にいた副団長だって疑いの目を向けている。朝に鏡に向かった時に私だって思ったわよ。太く見せるために何枚もタイツを履いていた事や大きな胸を隠すために贅肉腹巻を作って夏も着用していたわよ。だって敵を作らないように必死だったんだもん。
学校の女子生徒なんて少し痩せただけで心配という名のマウンティングが始まるんだから。
学生時代に綺麗になるためにダイエットして何が悪いのよ。ありのまま受け入れてくれなかった結果、黄色いドレスを着た女子生徒が爆誕したんじゃない。
「こいつがカティアなわけないだろう!」
聞き覚えのある声が聞こえると急に肩を掴まれると髪の毛を引っ張られ、後ろにひっくり返った。お尻が床に着くと思ったら誰かに抱きかかえられ、寸前のところで助かった。
「マクスウェル団長!」
近くにいたサミュエルが私の抜けた髪の毛を掴んでいて押さえつけられている。学生時代の時の私と違うと繰り返している。こいつも一緒の職場なんだと思うと気が重い。サミュエルは失言魔法をかけられて静かになると、事情を説明するように私にも魔法をかけられた。
「美人だと誘拐される話を周りから聞かされて、自主的にカツラと目が小さく見える眼鏡を着けていました。そのせいで意地悪されましたが、誘拐されるよりもマシです。学生時代も揶揄われていたのに、ノルジャン様だけ可愛いと言ってくれました。それで告白したら、気がついたら周りに人がいて。その日からもっと馬鹿にされる日が始まりました」
もっと言いたかったのに抱きかかえる力が強くて言葉を失った。
「サミュエル・ノルジャン。キトン伯爵令嬢に対する行為は見逃すわけにはいかない。入団初日だが、君はここに相応しくない。いつまでも学生時代の関係を続けられると思わないで欲しいね。追って沙汰する」
魔術師団から追い出されたサミュエルは、きっと戻ってくるに違いないと頭で考えていた。腐ってもアイツは侯爵令息だ。
魔術師団長が得意とする正直に話す魔法はこんな事では通常使われる事はない。上層部による承認許可が必要な事だと知ったのは大分後になってからだった。
美人って団長さえも初日から味方につけることが出来るのね。
と思ったが、団長が物凄く美しすぎて醜いものを徹底的に排除するからだろうと同時に考えた。
魔術師団はとても楽しくやりがいのある仕事だった。マクスウェル団長は毎日大量の書類を抱えている。元々計算が得意で、父の領地経営の収支計算をしていたため、予算の計算をすることは得意だ。
副団長と会計で抱えている業務の一部を新人が手伝う事になり、毎日ホクホク顔で計算を楽しんでいる。
実務と事務がとても楽しい。半年も経つと書類整理も任せられるようになり、残業をした時はマクスウェル団長が家まで送ってくれる。いつも残業は5人以上で行われてセクハラをされる事はない。
前世なんて上司が新人をセクハラしても、上司は処分が下されずのうのうと仕事をしていた。小汚い脂臭い爺からのセクハラはお金を貰ってもやりたくない。
魔術師団員の先輩たちは、新人育てを丁寧にしてくれている。魔法を教わる時、密着することが多い。意外な事に筋肉質な魔術師団員たち。杖の持ち方や魔法の詠唱を一緒に唱える時に、胸もとにすっぽり新人が埋まる事も最初の時は当たり前だ。
問題は新人の下半身が濡れてしまう事だ。
この世界ではブラジャーも下着もそれなりに豊富だ。生理もおりものも魔法でコントロールすることが出来る。しかし、最奥がきゅんっと疼いて愛蜜が垂れても、魔法に集中していて下着が濡れてしまう事が多い。
普段ならコントロール出来るが、魔力量も多い優秀な魔術師を目の前に教えて貰うと下半身は素直になってしまう。本能に逆らえないからだ。
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