男性向けエロ小説に出てくる当て馬のセックス指導係になりました。

ラブリス

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 鼻につく甘ったるい香水の匂いに囲まれて、アニキは全裸にさせられた。素っ裸の四十代の身体を横目に、私は元の世界の服を未だに着ている。異世界で初めての食事を食べることになった。食事を取りながら、国名や王の名前など何も興味がない事を話していた。それを社会人経験が長い私達は、適当に相槌を打ちながら聞いていた。あれから私達は、この世界に来たのは使命があるからと適当に嘘をついた。理由を聞かれても、何も答えられないと頑なに口を閉ざした。

「アニキの下肢に触れていた女は誰だ」

 おずおずと出てきたのは、金髪碧眼の美少女だった。まるで人形のような可愛さに、アニキの下半身も元気になる。アニキが仮性包茎だった事で、女騎士に伝えていたことが嘘じゃないと彼女達にも伝わったみたいだ。

「無礼者め。年を重ねれば重ねるほど、神々の力が強くなるとは知らないのか。アニキ、どうしますか?」
「ネキ、少し黙ってくれないか」
「はい」

 部屋から出て行くと艶めかしい声が響き渡った。用意された豪華な部屋に戻ると、ぽすりとベッドに横たわった。昨日は石畳の上で寝た事で、身体はバキバキだ。祭壇の上で寝ていたアニキはもっと辛かっただろう。
 ベッドから起き上がると、暇つぶしに用意した服を見た。向こう側が見えるくらい透明の素材だ。これを着た自分の姿を想像すると泣けてくる。

 何もする事がないので、ゴロゴロしていると涙が出てきた。今頃、職場はどうなっているんだろうか。現場は回っているのだろうか。

「ふふ……ふ、ははははっはははっはははははは」

 お腹の底から笑えて来た。元の世界で貯金もなかったし、いつも暗い顔をしていた。もう仕事をしなくてもいいんだと思うと、今なら何でも出来る気がした。そうだ、前世で出来なかった事をしよう。セックスだ。イケメンとセックスをしまくりたい。
 そう思うと、スマホを開いていつものようにネットで検索しようとした。しかし圏外で使う事が出来ない。電子書籍を開いて、買ったばかりのエロ小説を読むことにした。

「なんてこった」

 全部読み終えた頃に、思わず呟いていた。
 食事中に適当に聞いていた話とどれも一致していたからだ。ここは全く知らない異世界ではなく、男性向けエロ小説の世界だということなら。

 アニキが危ない!

 本当の物語の主人公であるキモデブ田辺は28歳のニートだ。田辺はオナニーが趣味で、この世界の女性たちは異世界の男性の精子から魔力を吸収する。小説で書かれているエロシーンの殆どが、中出しになっているが回数が書かれていた。最初のセックスで30回女を抱いたと描かれている。

 つまり、アニキは30回抱かなければいけないのだ。
 急いで外に出ようとすると、ドアの前にいた男性にタックルしてしまった。

「うっ……ぐっ……」

 金髪のイケメンだが、今はどうでもいい。そう思いながら、鍛え上げられた二の腕に一瞬だけ触れた。

「おちんちんが危ない!」

 アニキのいる場所に走って向かう。アニキとは血が繋がっていない。でも、私達は夜通し語り合ったのだ。税金が搾取され過ぎて手取りが少ない事や人に舐められて苦労した事や仕事の愚痴を。
 もう家族と言っても過言ではないのだ。

「おちんちんが危ないよぉ」

 と叫びながら、アニキの場所に向かった。厳重な扉の前から獣のような匂いがする。そこを開けてもらおうとすると、先ほどのイケメンがやってきた。どうやら魔力で扉が開く仕組みらしい。

「複雑に厳重にかけられている」
「頑張って!」

 時間をかけて解呪したイケメンを無視して、中に入ろうとした。何だこの匂いは。そう思いながら、イケメンの後ろに着いて行った。

「アニキ様……最高です」
「王女、最高の女だな」

 汚い四十代の爺と美少女のディープキスを目の前に、男は顔面蒼白になる。

「エアノーラぁぁぁぁぁああああああああ」
「ふぁあ、ディル。ごめんなさい、おちんちんに負けちゃったぁ♡婚約は白紙にするわね」

 冷たく言い放つ美少女の前でイケメンは膝から崩れた

「おおおおおおおおおおおおおお」

 心の中で、なんだ寝取られかよ。と思いながら、痛々しい姿をジッと見ている事しか出来なかったのだ
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