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第一幕
第四場面:城、王子の執務室
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ぱっと明かりがついた。次の舞台は室内のようだ。窓のない、本棚の置かれた部屋。おそらく執務室か書斎だろう。本棚も含め、置かれた家具は決して派手ではない。しかし、どれにも凝った装飾が施されているのが見える。
ペンの走る音に目を向ければ、青年が一人机に向かっていることに気がつくだろう。軍服を着た若い男性だ。その服、背格好は物語の始まりに目にしたものと同じであった。そしてそれ以上に、彼の顔には既視感があった。なにしろその顔は、先ほどの少年とどこか似通っていたのだから。
ノックの音が響き、ドアが開く。青年が顔を上げた。
「あぁ、お前か。いつもご苦労、何用だ?」
「王子、やーっぱりダメでした。ありゃあもう陛下はテコでも動きませんよ。」
片手を振りながら入室してきた男性は、王子、と呼ばれた青年とよく似たデザインの軍服を着ていた。しかし、彼のそれは王子のものより飾りが質素だ。歳は王子よりひとまわり程上に見えた。王子に対し随分と親しげな様子だ。しかし、その親しさの中にも明らかに彼を敬う様子が見て取れる。宮廷仕えの軍人であろう。
「舞踏会の件ですが、やはり陛下に中止の意向はないようです。王子の意向をお伝えしたのですが、陛下ときたら『どうせあの阿呆息子には姫の選び方も分かるまい!』と聞く耳をまーったく持たず……おっと失礼!」
「ふふ。いい、いい、気にするな。別に誰が聞いている訳では無いのだから。流石付き合いが長いだけあって、父上の話し口に良く似ているじゃないか。耳元で聞こえるようだよ。」
くすくす笑う王子に、王の口真似をした男性は口を抑えたままつられたように笑う。ごまかすように一つ咳払いをして、彼は改めて言葉を続けた。
「兎に角、はい、舞踏会は絶対に開催するし、そこで殿下に姫を選んでもらうと言っておりました。これ以上の交渉は下手をすると私の首が吹っ飛びかねませんので、もう王子も諦めていただけませんか。」
「そうか、父上ならそう言うだろうと思ってはいたが……参ったな。もう舞踏会の予定日まで日もない、諦めて当日上手く誤魔化すことにするか。」
「程々にして下さいよ。殿下のお戯れが過ぎると、叱られるのはこの私をはじめ殿下の部下たちなのですから。」
己の首を抑えた部下に、王子はニィと笑って保証はしないと言った。部下はわざとらしくため息を吐く。
「それにしても、父上もしつこい。妃くらい面倒を見られずとも自分でなんとかするというのに。」
「陛下はきっとまだ王子のことを、庭を駆け回っていたやんちゃ坊主のままだと思っていらっしゃるのですよ。私が出会った十年前から比べたって、王子は随分とご成長なされた。それくらい私にも分かるというのに。」
やれやれと首を横に振る部下を見て、王子はまた少し笑った。少しぎこちない笑みに見える。
「昔からお前には手間をかけたな。それに、あのころの教師たちにも。随分と品のない子どもだったと今なら分かる。」
「やだなぁ、六つの子どもなんて皆あぁですよ。まぁ陛下は王子の教育を始めるのがちょっと遅かったですね……これ、内緒ですよ。」
本当に首が飛びます、と部下は苦笑いを浮かべた。
「同意するよ。知識を詰め込むのは些か大変だった。」
「でも、結果的にこれほどご立派になられたのですから、教師たちだって鼻が高いと思いますよ。」
懐かしむように目を細めた部下に、王子は目を伏せた。
「なら、良いのだが。」
「しかし……お言葉ながら王子、何故そんなに結婚に乗り気ではないのですか?もちろん、御自身でお選びになりたいという気持ちは分かります。ただ、一度とはいえ御相手とも実際に言葉を交わして選ぶことを許されているのですし、そんなに暗くなることは無いように思えるのですが。」
部下の疑問に、王子は束の間答えに詰まった。眉を下げて、言葉を選ぶようにこたえる。
「まだ自分が一人前であると思えないのだ。妻を持つような器量が、私には無いように思えてならない。」
「またまた、ご謙遜を!」
部下はわざとらしく目を見開いて手を振った。
「昨年の日照りを貴方が予想してくれたから、我が国が難所を乗り越えられたようなものじゃないですか。」
「……過去に学んだだけさ。」
「過去、ですか?」
「十年前の日照りは知っているだろう?あの時我が国の東部がひどい被害を受ける中、一つだけ貯蔵を徹底して助かった村があったことを知っているか?」
「あぁ!物語にもなっていますよね。妖精に助けられた村。村に日照りのことを前もって予期した者が来たとか。」
どこまで本当か知りませんけど、と続けた部下に、王子は苦笑いを浮かべた。もちろん伝承のようなものではなく記録からだが、と付け足してこたえる。
「あの村のやり方を真似ただけだ。おかげで、食糧不足の国に高く輸出することも出来た。日照りが来るかもしれぬと備えておくことが出来たのは、過去の飢饉を知ったからに過ぎない。私の実力ではないさ。」
「何をおっしゃりますか。過去から知見を得られること自体が、王子の実力を物語っているってもんですよ。」
王子はこたえずに、ただ肩を竦めた。ご自身に厳しいですねぇ、と言いながら部下は手に持った書類を王子の机の上に並べる。
「しかしまぁ、致し方ないとはいえ皮肉なものですね。今回我が国は日照りでむしろ儲かったようなものなのですから。」
「……物の数が減れば価値が上がる。そして、希少になった物を持っていた者は益を得る。食料などの必需品は尚のこと。自然なことだが、些か残酷なことよな。」
王子はこたえて、かぶりを振った。
「他所のことまで心配すれば身が滅ぶ。まずは我が国の中でも打撃を受けた、他国からの趣向品を扱っていた貿易商たちのことを考えよう。昨年の日照りの景況で、己で身を滅ぼした者もいると聞いている。」
「おっしゃる通りで。」
書類を王子の机に一通り広げて、部下は最後に一枚の紙を王子に差し出した。
「これ、国民に配られる例の招待状です。一応お目通しを。」
「あぁ。まぁ、見たところで変えようもないのだろうがな。」
「そうおっしゃらずに。」
城の鐘が響いた。部下は驚いたように窓の外を見てから、眉を下げる。
「おっといけない、長話をしてしまいました。私は戻りますね。王子も根を詰め過ぎぬよう。」
「あぁ、また後でな。ご苦労。」
部下が部屋を出ていった。王子はしばし招待状を眺めていたが、それを机に放って大きくため息をついた。
「自分で起こす災害の予言は難しくない、かぁ。過去に学んだと言っても、きっと君が思っているようなことじゃないんだよなぁ。」
ドアに向かって、王子が呟く。その声は先ほどまでのものとは打って変わって弱々しい。彼が手を伸ばしたソードベルトには、剣と共にあの杖が掛けられていた。
「僕は一体どこに向かっているんだろうか……」
王子の言葉に返事をするものは、そこにはもう、誰もいない。机に突っ伏す王子の姿は、じきに暗闇に呑まれた。
ペンの走る音に目を向ければ、青年が一人机に向かっていることに気がつくだろう。軍服を着た若い男性だ。その服、背格好は物語の始まりに目にしたものと同じであった。そしてそれ以上に、彼の顔には既視感があった。なにしろその顔は、先ほどの少年とどこか似通っていたのだから。
ノックの音が響き、ドアが開く。青年が顔を上げた。
「あぁ、お前か。いつもご苦労、何用だ?」
「王子、やーっぱりダメでした。ありゃあもう陛下はテコでも動きませんよ。」
片手を振りながら入室してきた男性は、王子、と呼ばれた青年とよく似たデザインの軍服を着ていた。しかし、彼のそれは王子のものより飾りが質素だ。歳は王子よりひとまわり程上に見えた。王子に対し随分と親しげな様子だ。しかし、その親しさの中にも明らかに彼を敬う様子が見て取れる。宮廷仕えの軍人であろう。
「舞踏会の件ですが、やはり陛下に中止の意向はないようです。王子の意向をお伝えしたのですが、陛下ときたら『どうせあの阿呆息子には姫の選び方も分かるまい!』と聞く耳をまーったく持たず……おっと失礼!」
「ふふ。いい、いい、気にするな。別に誰が聞いている訳では無いのだから。流石付き合いが長いだけあって、父上の話し口に良く似ているじゃないか。耳元で聞こえるようだよ。」
くすくす笑う王子に、王の口真似をした男性は口を抑えたままつられたように笑う。ごまかすように一つ咳払いをして、彼は改めて言葉を続けた。
「兎に角、はい、舞踏会は絶対に開催するし、そこで殿下に姫を選んでもらうと言っておりました。これ以上の交渉は下手をすると私の首が吹っ飛びかねませんので、もう王子も諦めていただけませんか。」
「そうか、父上ならそう言うだろうと思ってはいたが……参ったな。もう舞踏会の予定日まで日もない、諦めて当日上手く誤魔化すことにするか。」
「程々にして下さいよ。殿下のお戯れが過ぎると、叱られるのはこの私をはじめ殿下の部下たちなのですから。」
己の首を抑えた部下に、王子はニィと笑って保証はしないと言った。部下はわざとらしくため息を吐く。
「それにしても、父上もしつこい。妃くらい面倒を見られずとも自分でなんとかするというのに。」
「陛下はきっとまだ王子のことを、庭を駆け回っていたやんちゃ坊主のままだと思っていらっしゃるのですよ。私が出会った十年前から比べたって、王子は随分とご成長なされた。それくらい私にも分かるというのに。」
やれやれと首を横に振る部下を見て、王子はまた少し笑った。少しぎこちない笑みに見える。
「昔からお前には手間をかけたな。それに、あのころの教師たちにも。随分と品のない子どもだったと今なら分かる。」
「やだなぁ、六つの子どもなんて皆あぁですよ。まぁ陛下は王子の教育を始めるのがちょっと遅かったですね……これ、内緒ですよ。」
本当に首が飛びます、と部下は苦笑いを浮かべた。
「同意するよ。知識を詰め込むのは些か大変だった。」
「でも、結果的にこれほどご立派になられたのですから、教師たちだって鼻が高いと思いますよ。」
懐かしむように目を細めた部下に、王子は目を伏せた。
「なら、良いのだが。」
「しかし……お言葉ながら王子、何故そんなに結婚に乗り気ではないのですか?もちろん、御自身でお選びになりたいという気持ちは分かります。ただ、一度とはいえ御相手とも実際に言葉を交わして選ぶことを許されているのですし、そんなに暗くなることは無いように思えるのですが。」
部下の疑問に、王子は束の間答えに詰まった。眉を下げて、言葉を選ぶようにこたえる。
「まだ自分が一人前であると思えないのだ。妻を持つような器量が、私には無いように思えてならない。」
「またまた、ご謙遜を!」
部下はわざとらしく目を見開いて手を振った。
「昨年の日照りを貴方が予想してくれたから、我が国が難所を乗り越えられたようなものじゃないですか。」
「……過去に学んだだけさ。」
「過去、ですか?」
「十年前の日照りは知っているだろう?あの時我が国の東部がひどい被害を受ける中、一つだけ貯蔵を徹底して助かった村があったことを知っているか?」
「あぁ!物語にもなっていますよね。妖精に助けられた村。村に日照りのことを前もって予期した者が来たとか。」
どこまで本当か知りませんけど、と続けた部下に、王子は苦笑いを浮かべた。もちろん伝承のようなものではなく記録からだが、と付け足してこたえる。
「あの村のやり方を真似ただけだ。おかげで、食糧不足の国に高く輸出することも出来た。日照りが来るかもしれぬと備えておくことが出来たのは、過去の飢饉を知ったからに過ぎない。私の実力ではないさ。」
「何をおっしゃりますか。過去から知見を得られること自体が、王子の実力を物語っているってもんですよ。」
王子はこたえずに、ただ肩を竦めた。ご自身に厳しいですねぇ、と言いながら部下は手に持った書類を王子の机の上に並べる。
「しかしまぁ、致し方ないとはいえ皮肉なものですね。今回我が国は日照りでむしろ儲かったようなものなのですから。」
「……物の数が減れば価値が上がる。そして、希少になった物を持っていた者は益を得る。食料などの必需品は尚のこと。自然なことだが、些か残酷なことよな。」
王子はこたえて、かぶりを振った。
「他所のことまで心配すれば身が滅ぶ。まずは我が国の中でも打撃を受けた、他国からの趣向品を扱っていた貿易商たちのことを考えよう。昨年の日照りの景況で、己で身を滅ぼした者もいると聞いている。」
「おっしゃる通りで。」
書類を王子の机に一通り広げて、部下は最後に一枚の紙を王子に差し出した。
「これ、国民に配られる例の招待状です。一応お目通しを。」
「あぁ。まぁ、見たところで変えようもないのだろうがな。」
「そうおっしゃらずに。」
城の鐘が響いた。部下は驚いたように窓の外を見てから、眉を下げる。
「おっといけない、長話をしてしまいました。私は戻りますね。王子も根を詰め過ぎぬよう。」
「あぁ、また後でな。ご苦労。」
部下が部屋を出ていった。王子はしばし招待状を眺めていたが、それを机に放って大きくため息をついた。
「自分で起こす災害の予言は難しくない、かぁ。過去に学んだと言っても、きっと君が思っているようなことじゃないんだよなぁ。」
ドアに向かって、王子が呟く。その声は先ほどまでのものとは打って変わって弱々しい。彼が手を伸ばしたソードベルトには、剣と共にあの杖が掛けられていた。
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