7 / 86
第一章 醜いあひるの子
6 精霊使い?
しおりを挟む
セドリックは離宮での修行で、真底から疲れていた。ルーファス王子と隣国イオニア王国からの亡命してきた精霊使いに、初歩的な講義を受けたのだ。
ルキアス王国にも魔力を持つ者はいたが、イオニア王国ほど活用されていなかった。イオニア王国は精霊達を使って、豊かな暮らしをしていたが、十数年前から内乱が起こり、国が荒れていた。
「国が荒れると、精霊達もいなくなるのかな? アドルフ王はイオニア王国を治める能力に欠けているのだろうか?
精霊使いを外国に亡命させるだなんて、自分の首を絞めているようなものだろうに……」
人目を避けて、離宮でルーファス王子と精霊使いの練習をしたのだが、精神を集中するのがこれほど疲れるとは知らなかった。セドリックは自分の部屋はやはり寛ぐなと、夕食まで一眠りすることにした。
ジュリアは半地下の召使い用の食堂で、伯爵家の方々の食事が終わるのを待っていた。
「今夜はセドリック様が帰宅されたから、食事も長くなってるわね」
離宮でのルーファス王子との生活を質問されているのだろうと、メイド達は噂をする。ジュリアはセドリック様もルーファス王子も知らないので、黙って先輩達の話を聞いていたが、台所のオーブンからチラチラと火の妖精が舞うのが見えて困っていた。
『なんて綺麗なの……でも、見ちゃ駄目なのよ! ぼんやりしていたら、クビになっちゃうもの』
必死で美しい妖精から目を逸らそうと努力していたが、いつもよりハッキリと見えるので苦労していた。
「ねぇ、ジュリア! さっきから呼んでいるのに!」
下げてきたお皿を洗うのを手伝ってと、調理助手をしているサリーに頼まれる。
「あっ、ごめんなさい、今朝は早かったからうとうとしてたわ」
ルーシー達は皿洗いは調理助手の仕事だと、席を立たない。晩餐会などの時は、メイド達も手伝うが、普段は手が荒れるのを嫌うのだ。
ケインズ夫人は通りがけに気づいて、ジュリアは骨身を惜しまないと評価した。
『ジュリアがもう少し器用で、ぼんやりしなければ、シルビア様の侍女に推薦するのだけど……』
シルビア様が社交界にデビューされるのは、未だ数年後なので、ケインズ夫人はジュリアを厳しく教育してみようと考えた。
「今日は疲れたので、先に休ませて頂きます」
セドリックはサロンでの話を切り上げて、部屋に戻った。
「セドリック様、お着替えをお手伝いします」
従僕候補のトーマスが、脱いだ上着などを片付けてくれるのは助かるが、未だお互いに慣れてないので、余計に時間が掛かった。
やれやれと、セドリックはベッドの上に横たわる。蝋燭の光が部屋の鏡に反射して、小さな精霊の影が舞っている。
「なんだか、離宮よりもハッキリ見えるような……」
異国の精霊使いに、初歩の初歩である精霊を見る訓練を受けたが、なかなか精神を集中しないと見ることも難しかったのだ。
「全然、見えない」と根をあげたルーファス王子とセドリックの為に、精霊使いが集めてくれたら、なんとか見ることができるようになった程度だ。
疲れていたセドリックは、もしかしたら修行の成果が今頃でたのかなと、眠りに落ちた。
ルキアス王国にも魔力を持つ者はいたが、イオニア王国ほど活用されていなかった。イオニア王国は精霊達を使って、豊かな暮らしをしていたが、十数年前から内乱が起こり、国が荒れていた。
「国が荒れると、精霊達もいなくなるのかな? アドルフ王はイオニア王国を治める能力に欠けているのだろうか?
精霊使いを外国に亡命させるだなんて、自分の首を絞めているようなものだろうに……」
人目を避けて、離宮でルーファス王子と精霊使いの練習をしたのだが、精神を集中するのがこれほど疲れるとは知らなかった。セドリックは自分の部屋はやはり寛ぐなと、夕食まで一眠りすることにした。
ジュリアは半地下の召使い用の食堂で、伯爵家の方々の食事が終わるのを待っていた。
「今夜はセドリック様が帰宅されたから、食事も長くなってるわね」
離宮でのルーファス王子との生活を質問されているのだろうと、メイド達は噂をする。ジュリアはセドリック様もルーファス王子も知らないので、黙って先輩達の話を聞いていたが、台所のオーブンからチラチラと火の妖精が舞うのが見えて困っていた。
『なんて綺麗なの……でも、見ちゃ駄目なのよ! ぼんやりしていたら、クビになっちゃうもの』
必死で美しい妖精から目を逸らそうと努力していたが、いつもよりハッキリと見えるので苦労していた。
「ねぇ、ジュリア! さっきから呼んでいるのに!」
下げてきたお皿を洗うのを手伝ってと、調理助手をしているサリーに頼まれる。
「あっ、ごめんなさい、今朝は早かったからうとうとしてたわ」
ルーシー達は皿洗いは調理助手の仕事だと、席を立たない。晩餐会などの時は、メイド達も手伝うが、普段は手が荒れるのを嫌うのだ。
ケインズ夫人は通りがけに気づいて、ジュリアは骨身を惜しまないと評価した。
『ジュリアがもう少し器用で、ぼんやりしなければ、シルビア様の侍女に推薦するのだけど……』
シルビア様が社交界にデビューされるのは、未だ数年後なので、ケインズ夫人はジュリアを厳しく教育してみようと考えた。
「今日は疲れたので、先に休ませて頂きます」
セドリックはサロンでの話を切り上げて、部屋に戻った。
「セドリック様、お着替えをお手伝いします」
従僕候補のトーマスが、脱いだ上着などを片付けてくれるのは助かるが、未だお互いに慣れてないので、余計に時間が掛かった。
やれやれと、セドリックはベッドの上に横たわる。蝋燭の光が部屋の鏡に反射して、小さな精霊の影が舞っている。
「なんだか、離宮よりもハッキリ見えるような……」
異国の精霊使いに、初歩の初歩である精霊を見る訓練を受けたが、なかなか精神を集中しないと見ることも難しかったのだ。
「全然、見えない」と根をあげたルーファス王子とセドリックの為に、精霊使いが集めてくれたら、なんとか見ることができるようになった程度だ。
疲れていたセドリックは、もしかしたら修行の成果が今頃でたのかなと、眠りに落ちた。
33
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる