37 / 368
第一章 転生したら王子様
36 月夜の出来事
しおりを挟む
ショウは竜心石の使い方を結局は父上に聞けなかったなぁと、ベッドに横たわって考えた。
「魔法の濫用に注意しろと言われても、風を操るぐらいしか出来ないけどね……」
寝ようとしても、竜心石の事や、許嫁になったララの事、そしてキスの事がぐるぐる頭の中でめぐって、寝付きの良いショウには珍しく眠れない。
「そうだ! どうせ眠れないなら、サンズの所に行こう。今日は余り話せなかったから……でも、寝ているかな?」
サンズが寝ていたら月夜だから散歩でもしたら良いと、寝返りばかりしていても仕方ないので竜舎へ向かう。
カジムの屋敷から帰った時には、未だ起きている人の気配があった離宮だが、シーンと静まり返り月の光と所々の常夜灯のみで、ショウは何だか一人きりの気持ちになる。
『サンズ、寝ている?』
竜舎に入るとサンズはスヤスヤ寝ていたが、月夜の散歩に行く気分にもなれず、ショウは寄りかかって座った。
「ララ……僕と結婚しても良いのかなぁ。親の言うままに、結婚するのが普通だなんて……」
兄上達が独立する時に結婚するのを傍観していたショウだったが、我が身の事になると、本当にララと結婚して良いのかと不安になる。
「未だ、五年も先だけど、直前に断るなんて駄目だよね。ララは可愛いし、嫌いじゃないけど、それで結婚して良いの? 兄上達は、悩まなかったのかな? それとも僕には前世の記憶があるから、違和感を持つのかな……」
サンズの寝息を聞きながら、色々と考えているうちにショウは眠りに落ちた。
「もう、いきなり許嫁を押し付けるなんて! どうせ、カジム様のお説教を聞きたく無かっただけでしょ」
アスランはミヤにビシバシ説教をされて、クッションに顔を埋めて聞かない振りをした。
アスランは、自分が許嫁を父王から押し付けられた時を思い出し、ショウも今頃悩んでいるかもと同情する。
「しまった! チビ助にも竜がいたな!」
アスランは、許嫁を押し付けられて腹を立て、竜に乗って半年も家出した事も思い出した。
「アスラン様? 何処へ行かれるのですか?」
寝そべっていたアスランが、突然立ち上がって部屋から出て行こうとするのを不審に思って、ミヤは付いて行く。
「ショウが居ないわ、まさか家出とか……」
ベッドには寝た様子があったが、もぬけの殻だった。アスランはショウが家出するなら、サンズを置いていくわけがないと竜舎に向かう。
「まぁ、ショウ! こんな所で寝てしまったのね」
ミヤは抱いて部屋に運ぼうとしたが、アスランに制された。
「ミヤ、腰を傷めるぞ。ショウも赤ん坊では無いからな」
アスランはショウを抱き上げて、部屋まで運んだ。
「赤ちゃんの頃は、抱っこした事も無かったのにねぇ」
そうだったかなぁと惚けるアスランに、そうですよとミヤは小言を言いながらベッドに寝かせ付ける。
「なぁ、ミヤ、チビ助が留学したら寂しくなるな? ハッサンも独立するし、ナッシュとラジックも航海に出てしまう。そろそろ二人で、何処かへ行かないか?」
ミヤはショウが留学したら離宮も寂しくなると思ったが、未だ幼い王女達もいるのにと怒る。
「あの娘達には、母親が付いている。少しゆっくりした方が良いぞ」
アスランは働き過ぎだと心配して言ったのだが、ミヤはきゃんきゃん怒り出した。
「貴方が真面目に王宮で仕事をして下されば、私の苦労は半減しますわ。今日もカジム様の説教から逃げたくて、ショウにララを押し付けたりして。フラナガン宰相から逃げ出す為に、ショウを跡取りにすると言ったり。あれから私は、宰相に問いただされて大変でしたのよ」
う~んと、ショウが寝返りしたので、ミヤは口をとじて、アスランの袖をつかんで自分の部屋まで連れて帰り、トコトン気が済むまで説教をした。
アスランがたまに王宮にいるとロクな事がないと、ミヤの説教を聞き流している頃、ショウは父上に跡取りはお前だ! と宣言されて王座に座らされ、困り果てている夢を見てうなされていた。
翌朝、ショウはいつの間にかベッドで寝ているのに、アレッと不思議に思ったが、不愉快な夢を思い出した。
「何であんな夢を見たんだろう? やはり許婚ができてプレッシャーを感じたからかなぁ……ああ、海に行きたいなぁ! そうだ、家庭教師が来るまで、サンズと海水浴しよう」
ハッサンもショウに用事を言いつける事も無くなったので、離宮の前の海なら勉強前でもサンズとひと泳ぎできると、竜舎に向かった。サンズと海に飛び込むと、許嫁の事も、昨夜の悪夢も忘れて、気分がスッキリしたショウだった。
「魔法の濫用に注意しろと言われても、風を操るぐらいしか出来ないけどね……」
寝ようとしても、竜心石の事や、許嫁になったララの事、そしてキスの事がぐるぐる頭の中でめぐって、寝付きの良いショウには珍しく眠れない。
「そうだ! どうせ眠れないなら、サンズの所に行こう。今日は余り話せなかったから……でも、寝ているかな?」
サンズが寝ていたら月夜だから散歩でもしたら良いと、寝返りばかりしていても仕方ないので竜舎へ向かう。
カジムの屋敷から帰った時には、未だ起きている人の気配があった離宮だが、シーンと静まり返り月の光と所々の常夜灯のみで、ショウは何だか一人きりの気持ちになる。
『サンズ、寝ている?』
竜舎に入るとサンズはスヤスヤ寝ていたが、月夜の散歩に行く気分にもなれず、ショウは寄りかかって座った。
「ララ……僕と結婚しても良いのかなぁ。親の言うままに、結婚するのが普通だなんて……」
兄上達が独立する時に結婚するのを傍観していたショウだったが、我が身の事になると、本当にララと結婚して良いのかと不安になる。
「未だ、五年も先だけど、直前に断るなんて駄目だよね。ララは可愛いし、嫌いじゃないけど、それで結婚して良いの? 兄上達は、悩まなかったのかな? それとも僕には前世の記憶があるから、違和感を持つのかな……」
サンズの寝息を聞きながら、色々と考えているうちにショウは眠りに落ちた。
「もう、いきなり許嫁を押し付けるなんて! どうせ、カジム様のお説教を聞きたく無かっただけでしょ」
アスランはミヤにビシバシ説教をされて、クッションに顔を埋めて聞かない振りをした。
アスランは、自分が許嫁を父王から押し付けられた時を思い出し、ショウも今頃悩んでいるかもと同情する。
「しまった! チビ助にも竜がいたな!」
アスランは、許嫁を押し付けられて腹を立て、竜に乗って半年も家出した事も思い出した。
「アスラン様? 何処へ行かれるのですか?」
寝そべっていたアスランが、突然立ち上がって部屋から出て行こうとするのを不審に思って、ミヤは付いて行く。
「ショウが居ないわ、まさか家出とか……」
ベッドには寝た様子があったが、もぬけの殻だった。アスランはショウが家出するなら、サンズを置いていくわけがないと竜舎に向かう。
「まぁ、ショウ! こんな所で寝てしまったのね」
ミヤは抱いて部屋に運ぼうとしたが、アスランに制された。
「ミヤ、腰を傷めるぞ。ショウも赤ん坊では無いからな」
アスランはショウを抱き上げて、部屋まで運んだ。
「赤ちゃんの頃は、抱っこした事も無かったのにねぇ」
そうだったかなぁと惚けるアスランに、そうですよとミヤは小言を言いながらベッドに寝かせ付ける。
「なぁ、ミヤ、チビ助が留学したら寂しくなるな? ハッサンも独立するし、ナッシュとラジックも航海に出てしまう。そろそろ二人で、何処かへ行かないか?」
ミヤはショウが留学したら離宮も寂しくなると思ったが、未だ幼い王女達もいるのにと怒る。
「あの娘達には、母親が付いている。少しゆっくりした方が良いぞ」
アスランは働き過ぎだと心配して言ったのだが、ミヤはきゃんきゃん怒り出した。
「貴方が真面目に王宮で仕事をして下されば、私の苦労は半減しますわ。今日もカジム様の説教から逃げたくて、ショウにララを押し付けたりして。フラナガン宰相から逃げ出す為に、ショウを跡取りにすると言ったり。あれから私は、宰相に問いただされて大変でしたのよ」
う~んと、ショウが寝返りしたので、ミヤは口をとじて、アスランの袖をつかんで自分の部屋まで連れて帰り、トコトン気が済むまで説教をした。
アスランがたまに王宮にいるとロクな事がないと、ミヤの説教を聞き流している頃、ショウは父上に跡取りはお前だ! と宣言されて王座に座らされ、困り果てている夢を見てうなされていた。
翌朝、ショウはいつの間にかベッドで寝ているのに、アレッと不思議に思ったが、不愉快な夢を思い出した。
「何であんな夢を見たんだろう? やはり許婚ができてプレッシャーを感じたからかなぁ……ああ、海に行きたいなぁ! そうだ、家庭教師が来るまで、サンズと海水浴しよう」
ハッサンもショウに用事を言いつける事も無くなったので、離宮の前の海なら勉強前でもサンズとひと泳ぎできると、竜舎に向かった。サンズと海に飛び込むと、許嫁の事も、昨夜の悪夢も忘れて、気分がスッキリしたショウだった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
840
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる