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第八章 見習い実習
23 イルバニア王国の騎竜訓練は厳しい
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ユーリがエミリア先生の結婚式に感動していた頃、エドアルドと学友達は、イルバニア王国の騎竜訓練は半端じゃないなと身を持って実感していた。
「おい、大丈夫か?」
ハロルド、ユリアン、ジェラルドは、まだ竜に慣れていないので、別メニューで騎竜訓練していたのだ。しかし下手な三人は、パーシー卿や、ラッセル卿にもぶつかりにいく始末で、竜騎士は避けてくれるから接触はしないが、真っ直ぐ隊列を組んで飛ぶだけなのに、ユリアンと、ジェラルドは接触してしまった。
ユリアンもジェラルドも鞍からずり落ちかけているのを、パーシー卿とラッセル卿に、乱暴に鞍に乗せて貰い、どうにかこうにか着地できたが、膝がガクガクしているし吐き気とも闘っていた。
ハロルドは接触して鞍からずり落ちかけた友達を心配したが、自分もラッセル卿と危うく接触しそうだっただけに他人事じゃない。
「ユリアン、すまない。私が君にぶつかりに行ったんだ」
ジェラルドは自分のミスだとユリアンに謝る。
「いや、僕も真っ直ぐに飛べて無かったんだ。何で、真っ直ぐに飛ぶことすら出来ないのかな?」
エドアルドはグレゴリウスとフランツと、ミューゼル卿の指導を受けていた。上空で少し間延びした感は有るものの、旋回飛行しているのを芝生の上に座り込んで眺めながら、三人は溜め息をつく。
「初めてなんだから仕方無いさ。おいつけるかな?」
三人が疲れていると見て取ったマキシウスは、初回からムリをさせない方が良いと、指導させていた竜騎士のイージス卿に、ラッセル卿、パーシー卿を呼んでくるように命じる。
「すみません、彼らは見習い竜騎士になったばかりなので、竜に慣れて無いのです」
パーシー卿は三人の指導の竜騎士として先に謝る。
「いや、謝ってもらう必要はない。彼らが竜に慣れてないのは、見てわかったから。それより騎竜訓練で大切なのは、竜との信頼関係を築くことなのだ。まだ、見習い竜騎士になったばかりだし、予科生も数ヶ月で此処まで出来たら上出来だと、自信を持ってくれたら良いのだが」
マキシウスは、カイト、コリン、キャズが見習い竜騎士に信頼されていないと感じていると気づく。
「ハロルド、ユリアン、ジェラルド、初めてにしては良くやったと伝えて下さい」
ラッセル卿とパーシー卿は、アリスト卿が落ち込んでいる三人を励ましているのだと悟った。
カザリア王国の指導の竜騎士達が、新米見習い竜騎士達に話しかけているのを遠くから眺めながら、マキシウスは竜と見習い竜騎士の相性が余り良くないのではと案じていた。
見習い竜騎士にパートナーの竜を組ませるのは神経を使う仕事で、毎回マキシウスは頭を悩ませる。今年の夏に見習い竜騎士に昇格したのは、グレゴリウスとユーリとフランツの三人だったが、二人には騎竜がいたので、パートナーの竜を選ばなくてはいけないのはフランツだけだった。
絆の竜騎士を見つけるのが目的の竜達にとって、見習い竜騎士のパートナーに選ばれるのは、お見合いするようなものなので、マキシウスはなるべく相性の良さそうな竜と竜騎士を組ませようと気を配る。明るくて恐れ知らずに見えて、繊細な面を持つフランツに、明るく呑気なルースを組ませたのは、どうやら正解だったと安心する。
しかし、カザリア王国ではどう竜と見習い竜騎士を組ませているのか知らないが、ミスマッチでは無いのかと危ぶむ。竜騎士隊長としてマキシウスは、何十頭もの竜をパートナーとして見習い竜騎士と組ませたが、ミスマッチだと気づいて途中でパートナーを変えることを何度も経験していた。
マキシウスは竜の気持ちは理解するのに長けているが、カザリア王国の新米見習い竜騎士の性質は知らないので判断しずらい。が、あまりシックリきていないのは竜を見れば直ぐにわかった。他国の竜と竜騎士の問題に口をだすのはタブーなので、マキシウスはカザリア王国の竜達が今のようにピリピリしなくなるのを願う。
『ユーリが、どうにかしてくれるよ』
ラモスがマキシウスの悩んでいるのを見かねて声をかけた。
『ユーリが?』
孫娘が三人の竜騎士になる素質をイリスと一緒に見つけ出した経緯は報告書で読んでいたが、竜と見習い竜騎士の組み合わせというデリケートな問題を、他国の見習い竜騎士がどうこう出来るとは思えない。
『ユーリは竜達と直ぐに打ち解けるし、竜達はユーリに甘えるから、悩みがあれば相談する。ただ、イリスが嫉妬するから、そこが難点だ。イリスをユーリから離せれば、カイト、コリン、キャズはきっと悩みを話すと思う』
ラモスの提案に少し考え込んだマキシウスだったが、このまま放置するのは良い結果にならない気がする。微妙な問題だから、監督しながら試させても良いかなと思う。
自分より気楽な立場で、竜達や、見習い竜騎士達と話せるユーリの方が本音を聞きだし易いかもと考えた。
『だが、どうやってイリスをユーリから離すかが問題だな。ウィリアムと組んでいた時は、あんなに嫉妬深く無かったのに何故だろう? ユーリが色っぽい奥方だからか?』
イリスの嫉妬深さは異常で、マキシウスは密かに悩んでいた。モガーナなら竜馬鹿と罵るだろうが、マキシウスには竜達が愛しくて仕方ないので、竜の異常行動には気を使ってしまうのだ。
『イリスはユーリを護りたい気持ちが強すぎる。ユーリが子どもの時に無理やり絆を結んだ負い目か、女性の竜騎士だからかはわからないが、他の竜に乗らせないのは自分なら絶対に護れると自信を持っているからだ。話すのも嫌がるのは、ただの嫉妬だと思う。私にも嫉妬するから困っている』
フォン・アリスト家の竜舎で一緒になる機会の多いラモスは、ユーリが挨拶するだけでもイリスが嫉妬するのに困っている。
『ユーリとの絆に問題でも有るのだろうか?』
竜が竜騎士から愛されていないと感じて精神的に不安定な時に、竜騎士が他の竜と話したりしたら嫉妬するケースを稀に見るのでマキシウスは心配になったが、イリスをユーリが可愛がっているのは間違いないので自分で却下する。
グレゴリウスとエドアルドとフランツも、旋回飛行の訓練を終えてくたくたで地上に降り立った。エドアルドは、初日だから軽めの訓練にしますと言ったミューゼル卿の嘘つきと心の中で毒づく。
「この調子で頑張って下さい」
ミューゼル卿からやっと騎竜訓練の終了を告げられて、グレゴリウスもエドアルドもフランツも、へなへなと芝生に座り込む。
「疲れた~」
フランツの力無い叫びに、二人も同意する。
「いつも、こんなにハードなのですか?」
エドアルドの問いかけに、二人は力無く頷く。
「ミューゼル卿は、私達のギリギリを知っているんだ。無理はさせないが、楽もさせてくれない」
グレゴリウスの言葉には、少し反論したい気分のエドアルドだったが、確かに吐き気はしたが吐く事もなく、クタクタだったけど気絶してないのも事実だ。
「ユーリ嬢は今日はお休みですが、こんな騎竜訓練はキツイのではないでしょうか?」
体力には自信のあるエドアルドは、華奢なユーリを心配したが、フランツに笑い飛ばされてしまう。
「ユーリは騎竜訓練の日も朝ご飯を食べる強者ですから、心配はいりませんよ。女の子の方が図太いのです」
酷い言いようだが事実なので、グレゴリウスも頷く。
「ユーリは野生児ですから、心配いりませんよ。海にイリスごとダイブするのに慣れていますから、錐揉み落下でも平気かもしれませんね」
竜騎士隊の上級者は上空から、錐揉みで落下して急上昇する訓練もしていて、見習い竜騎士達はひょぇ~と眺めていたのだ。
「もしかして、ユーリ嬢は騎竜訓練がお得意なのですか?」
二人は少し考えて頷く。
「まだ私達と同じく慣れてないから、得意とは言えないかも知れませんが、イリスはユーリの父親と騎竜訓練を修了してますから、上達のスピードが違いますね。私のアラミスも騎竜訓練は受けているので、それを信じて任せれば上手くいくとわかってはいるのですが、それがなかなか。ユーリはイリスを信頼してますから、自分が飛行編隊を理解すれば良いだけだと言ってましたよ」
エドアルドは、今日ユーリが休んでくれて良かったと溜め息をついた。
「ユーリは普通の見習い実習だから、週1、2回しか騎竜訓練はありません。エドアルド皇太子殿下は竜騎士隊の見習い実習のスケジュールですから、週に3、4回の騎竜訓練を受けるのですから大丈夫ですよ。旋回飛行のコツはイリスに教えてもらいましたから、今日はどうにか出来ましたが、僕はついていけるか不安ですがね」
エドアルドは遊学が厳しいと気づき始めた。
「明日は武術訓練なんですよね。師範は誰でしょう?」
グレゴリウスとフランツは、エドアルドの遊学に付き合っての竜騎士隊の見習い実習は厳しいと溜め息をつく。
「確か、シルベスター卿が竜騎士隊の武術師範ですよ。ユーリは毎週土曜の午前中に個人レッスンを受けています」
エドアルドが武術が駄目なユーリの師範だからと、侮ったら大変だとフランツは、グレゴリウスの説明を補足する。
「シルベスター師範の指導は厳いので有名です。ユーリが武術が駄目なのは、本人のせいですから誤解しないで下さいね」
エドアルドはユーリが武術が駄目だと本人からも聞いていたし、令嬢に必要ないだろうと考えていたが、厳しい武術師範だと聞いて溜め息しかでない。
「おい、大丈夫か?」
ハロルド、ユリアン、ジェラルドは、まだ竜に慣れていないので、別メニューで騎竜訓練していたのだ。しかし下手な三人は、パーシー卿や、ラッセル卿にもぶつかりにいく始末で、竜騎士は避けてくれるから接触はしないが、真っ直ぐ隊列を組んで飛ぶだけなのに、ユリアンと、ジェラルドは接触してしまった。
ユリアンもジェラルドも鞍からずり落ちかけているのを、パーシー卿とラッセル卿に、乱暴に鞍に乗せて貰い、どうにかこうにか着地できたが、膝がガクガクしているし吐き気とも闘っていた。
ハロルドは接触して鞍からずり落ちかけた友達を心配したが、自分もラッセル卿と危うく接触しそうだっただけに他人事じゃない。
「ユリアン、すまない。私が君にぶつかりに行ったんだ」
ジェラルドは自分のミスだとユリアンに謝る。
「いや、僕も真っ直ぐに飛べて無かったんだ。何で、真っ直ぐに飛ぶことすら出来ないのかな?」
エドアルドはグレゴリウスとフランツと、ミューゼル卿の指導を受けていた。上空で少し間延びした感は有るものの、旋回飛行しているのを芝生の上に座り込んで眺めながら、三人は溜め息をつく。
「初めてなんだから仕方無いさ。おいつけるかな?」
三人が疲れていると見て取ったマキシウスは、初回からムリをさせない方が良いと、指導させていた竜騎士のイージス卿に、ラッセル卿、パーシー卿を呼んでくるように命じる。
「すみません、彼らは見習い竜騎士になったばかりなので、竜に慣れて無いのです」
パーシー卿は三人の指導の竜騎士として先に謝る。
「いや、謝ってもらう必要はない。彼らが竜に慣れてないのは、見てわかったから。それより騎竜訓練で大切なのは、竜との信頼関係を築くことなのだ。まだ、見習い竜騎士になったばかりだし、予科生も数ヶ月で此処まで出来たら上出来だと、自信を持ってくれたら良いのだが」
マキシウスは、カイト、コリン、キャズが見習い竜騎士に信頼されていないと感じていると気づく。
「ハロルド、ユリアン、ジェラルド、初めてにしては良くやったと伝えて下さい」
ラッセル卿とパーシー卿は、アリスト卿が落ち込んでいる三人を励ましているのだと悟った。
カザリア王国の指導の竜騎士達が、新米見習い竜騎士達に話しかけているのを遠くから眺めながら、マキシウスは竜と見習い竜騎士の相性が余り良くないのではと案じていた。
見習い竜騎士にパートナーの竜を組ませるのは神経を使う仕事で、毎回マキシウスは頭を悩ませる。今年の夏に見習い竜騎士に昇格したのは、グレゴリウスとユーリとフランツの三人だったが、二人には騎竜がいたので、パートナーの竜を選ばなくてはいけないのはフランツだけだった。
絆の竜騎士を見つけるのが目的の竜達にとって、見習い竜騎士のパートナーに選ばれるのは、お見合いするようなものなので、マキシウスはなるべく相性の良さそうな竜と竜騎士を組ませようと気を配る。明るくて恐れ知らずに見えて、繊細な面を持つフランツに、明るく呑気なルースを組ませたのは、どうやら正解だったと安心する。
しかし、カザリア王国ではどう竜と見習い竜騎士を組ませているのか知らないが、ミスマッチでは無いのかと危ぶむ。竜騎士隊長としてマキシウスは、何十頭もの竜をパートナーとして見習い竜騎士と組ませたが、ミスマッチだと気づいて途中でパートナーを変えることを何度も経験していた。
マキシウスは竜の気持ちは理解するのに長けているが、カザリア王国の新米見習い竜騎士の性質は知らないので判断しずらい。が、あまりシックリきていないのは竜を見れば直ぐにわかった。他国の竜と竜騎士の問題に口をだすのはタブーなので、マキシウスはカザリア王国の竜達が今のようにピリピリしなくなるのを願う。
『ユーリが、どうにかしてくれるよ』
ラモスがマキシウスの悩んでいるのを見かねて声をかけた。
『ユーリが?』
孫娘が三人の竜騎士になる素質をイリスと一緒に見つけ出した経緯は報告書で読んでいたが、竜と見習い竜騎士の組み合わせというデリケートな問題を、他国の見習い竜騎士がどうこう出来るとは思えない。
『ユーリは竜達と直ぐに打ち解けるし、竜達はユーリに甘えるから、悩みがあれば相談する。ただ、イリスが嫉妬するから、そこが難点だ。イリスをユーリから離せれば、カイト、コリン、キャズはきっと悩みを話すと思う』
ラモスの提案に少し考え込んだマキシウスだったが、このまま放置するのは良い結果にならない気がする。微妙な問題だから、監督しながら試させても良いかなと思う。
自分より気楽な立場で、竜達や、見習い竜騎士達と話せるユーリの方が本音を聞きだし易いかもと考えた。
『だが、どうやってイリスをユーリから離すかが問題だな。ウィリアムと組んでいた時は、あんなに嫉妬深く無かったのに何故だろう? ユーリが色っぽい奥方だからか?』
イリスの嫉妬深さは異常で、マキシウスは密かに悩んでいた。モガーナなら竜馬鹿と罵るだろうが、マキシウスには竜達が愛しくて仕方ないので、竜の異常行動には気を使ってしまうのだ。
『イリスはユーリを護りたい気持ちが強すぎる。ユーリが子どもの時に無理やり絆を結んだ負い目か、女性の竜騎士だからかはわからないが、他の竜に乗らせないのは自分なら絶対に護れると自信を持っているからだ。話すのも嫌がるのは、ただの嫉妬だと思う。私にも嫉妬するから困っている』
フォン・アリスト家の竜舎で一緒になる機会の多いラモスは、ユーリが挨拶するだけでもイリスが嫉妬するのに困っている。
『ユーリとの絆に問題でも有るのだろうか?』
竜が竜騎士から愛されていないと感じて精神的に不安定な時に、竜騎士が他の竜と話したりしたら嫉妬するケースを稀に見るのでマキシウスは心配になったが、イリスをユーリが可愛がっているのは間違いないので自分で却下する。
グレゴリウスとエドアルドとフランツも、旋回飛行の訓練を終えてくたくたで地上に降り立った。エドアルドは、初日だから軽めの訓練にしますと言ったミューゼル卿の嘘つきと心の中で毒づく。
「この調子で頑張って下さい」
ミューゼル卿からやっと騎竜訓練の終了を告げられて、グレゴリウスもエドアルドもフランツも、へなへなと芝生に座り込む。
「疲れた~」
フランツの力無い叫びに、二人も同意する。
「いつも、こんなにハードなのですか?」
エドアルドの問いかけに、二人は力無く頷く。
「ミューゼル卿は、私達のギリギリを知っているんだ。無理はさせないが、楽もさせてくれない」
グレゴリウスの言葉には、少し反論したい気分のエドアルドだったが、確かに吐き気はしたが吐く事もなく、クタクタだったけど気絶してないのも事実だ。
「ユーリ嬢は今日はお休みですが、こんな騎竜訓練はキツイのではないでしょうか?」
体力には自信のあるエドアルドは、華奢なユーリを心配したが、フランツに笑い飛ばされてしまう。
「ユーリは騎竜訓練の日も朝ご飯を食べる強者ですから、心配はいりませんよ。女の子の方が図太いのです」
酷い言いようだが事実なので、グレゴリウスも頷く。
「ユーリは野生児ですから、心配いりませんよ。海にイリスごとダイブするのに慣れていますから、錐揉み落下でも平気かもしれませんね」
竜騎士隊の上級者は上空から、錐揉みで落下して急上昇する訓練もしていて、見習い竜騎士達はひょぇ~と眺めていたのだ。
「もしかして、ユーリ嬢は騎竜訓練がお得意なのですか?」
二人は少し考えて頷く。
「まだ私達と同じく慣れてないから、得意とは言えないかも知れませんが、イリスはユーリの父親と騎竜訓練を修了してますから、上達のスピードが違いますね。私のアラミスも騎竜訓練は受けているので、それを信じて任せれば上手くいくとわかってはいるのですが、それがなかなか。ユーリはイリスを信頼してますから、自分が飛行編隊を理解すれば良いだけだと言ってましたよ」
エドアルドは、今日ユーリが休んでくれて良かったと溜め息をついた。
「ユーリは普通の見習い実習だから、週1、2回しか騎竜訓練はありません。エドアルド皇太子殿下は竜騎士隊の見習い実習のスケジュールですから、週に3、4回の騎竜訓練を受けるのですから大丈夫ですよ。旋回飛行のコツはイリスに教えてもらいましたから、今日はどうにか出来ましたが、僕はついていけるか不安ですがね」
エドアルドは遊学が厳しいと気づき始めた。
「明日は武術訓練なんですよね。師範は誰でしょう?」
グレゴリウスとフランツは、エドアルドの遊学に付き合っての竜騎士隊の見習い実習は厳しいと溜め息をつく。
「確か、シルベスター卿が竜騎士隊の武術師範ですよ。ユーリは毎週土曜の午前中に個人レッスンを受けています」
エドアルドが武術が駄目なユーリの師範だからと、侮ったら大変だとフランツは、グレゴリウスの説明を補足する。
「シルベスター師範の指導は厳いので有名です。ユーリが武術が駄目なのは、本人のせいですから誤解しないで下さいね」
エドアルドはユーリが武術が駄目だと本人からも聞いていたし、令嬢に必要ないだろうと考えていたが、厳しい武術師範だと聞いて溜め息しかでない。
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