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第2章 異変の兆候
気になるバケツ①
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意図せず抱き合う(ナナ曰く、私は腕回してないもん!)結果になりドギマギしていたナナだが、ニアンに促されてようやく街への移動を開始した。
そして互いの情報を交換し合う。
「まずは自己紹介しようか。俺はニアン、ニアン・ディギルという。ニアンと呼んでくれ。
今は城塞都市アバトを拠点に冒険者をやっている。ランクはA。歳は18だ」
「ニアンさん、ですね。私はナナといいます。
12歳の中学……いえ、学生……です。よろしくお願いします」
「そうか、ナナか。いい名前だな。家名はあるのか?」
ナナの名前を褒め、そして苗字の有無を確認するニアン。
スキル【鑑定】によって、ナナに苗字があることを知っているニアンだが、身分を把握するためにあえて質問した。
爵位を持つ当主本人であれば、称号欄にそれが記載される。
しかしその子女の場合、ステータスで身分はわからないのだ。
身分差は重要な問題である。
ニアンは貴族だが身分差を気にする性格ではない。
だがルビウス王国において貴族同士の上下関係は厳格であり、平民は貴族から無礼打ちされても文句が言えない。
選民思想に染まったやっかいな貴族もいるのだ。
ナナの身分次第で守り方が変わるとニアンは考えていた。
『アバトということはルビウス王国の人間か。あの国で家名持ちということはこやつ、貴族だな。
まああまり心配は無いようだが』
『え? 家名があると貴族なの?
でも魔王は家名を名乗ってなかったよね? 言わなかっただけってこと?』
『いや、我に家名は無い。
魔族領では貴族制をとっておらんからな。家名を名乗るかどうかは自由だ。
それに魔族は寿命が長い。
家系よりも独立した個としての振る舞いの方が、社会の中では重要視されておるのだ。
であるからして、家名を持たない者の方が多い。
まあそのあたりは国によって制度が異なる。
お主の世界ではどうだったのだ?』
『地球でも昔はそういう身分制度があったみたい。
今は……他の国がどうなのか全部知っているわけじゃないけど、少なくとも日本はみんな家名を持っていたし、身分も平等だったよ。
……まあ、貧富の差は激しかったけどね』
この世界のことを知らないナナをフォローするアイマー。
それに対してナナは、地球や日本の状況を知っている範囲で答える。
最後の言葉から察するに、いくらいいことに目を向けるナナでも、自分たち兄妹が置かれていた状況に対する、国としてのサポートが薄かったことに対して思うところはあったようだ。
なお、これらのやり取りはスキル【伝心】にて瞬時に行われるため、ニアンとナナの会話に遅滞はない。
(国によって身分と家名の関係が違うなら……正直に言えばいいよね)
「家名あります。カンザキといいます。神崎奈梛です。
あ、ここではナナ・カンザキって言うのが正しいのでしょうか?」
「ああ、そうだな、ここらでは名前を先に言う決まりだ。
だがそうか、家名を持つということは、ナナは貴族なのか?」
「いえ、私の国では身分制はずいぶん昔に廃止されていまして、今は誰もが平等な身分で、すべての人が家名を持っています。
……えーっと、貴族制をとっていないという意味では、魔族領に近いのかもしれません」
「皆が平等⁉ それは……いやそれよりナナ、君は魔族領の情勢に詳しいのか?」
ナナは正直に名乗り、貴族ではないこと、そもそも住んでいた国に貴族という身分が存在しなかったことを説明した。
ついでにアイマーから聞いた魔族領の情報も付け加えたところ、ニアンはそちらの方に食いついた。
『あれ? 魔王、隣の国なのにそんなことも知られてないの?
魔王はルビウス王国のこと知ってるのに』
『あー。実はな、魔族領と他国はここ数百年ほど交流が無い。
我々は世界各地に間者を忍び込ませて情報収集にあたっておるが、逆は無いようだ』
『ええっ⁉ じゃあ魔族領の情報を私が知ってるみたいに言っちゃったのは……』
『……あまり詳しいと思われるのは避けて、そう聞いたことがある、という程度にしておくがよい。
魔族は恐れられておるようだし、ルビウス王国以外は接している国も無いからのう。
たかが数百年とは言え、人族の寿命を考慮すれば、はるか昔から禁忌の地とされているということになる。
古い伝承として残っている以外に、詳しい情報も知られてはおるまい。
まあ我らとしては、手土産でも持って挨拶に来たら歓迎しようとは思っておったのだがな』
『なるほどね、わかった』
ナナはアイマーから魔族領と世界各国の関係をざっくりと教わった。
どうやら魔族が治める地域には他国から禁忌の地とされており、一切の国交が無いようだ。
だが一方で魔族は世界各地に諜報の根を巡らせているようだ。
(そう聞くと、魔族ってけっこう危ない存在なんじゃないかな。すごく悪の組織っぽい。
私、その組織の一番偉い人をバケツ内飼育しちゃってるけど……もしかしてバレたら追手がかかたりするのかなぁ)
『魔王、もしかしてあなた、捜索されてたりする? 怖い人が追いかけてきたりしない?』
『ふむ……いや、しばらくは誰も気づかんのではないか?
我の決済が必要な事など、次期魔王の選出ぐらいだからな。
我も1カ月ほど誰にも会っておらんかったし』
『え……魔王って、一番偉い人じゃないの?』
『やかましいわ。我がおらずとも正常に統治できるよう、領民と制度を整えたのだ。
非常に先進的で透明性の高い政治が民主導で行われておる。
世界に誇る素晴らしい体制であるぞ。我はもはや、君臨するのみよ!』
(すごい……けど、放置はされてたんだよね。言葉とは裏腹に寂しいって伝わってくるよ、【伝心】で)
ナナはアイマーから伝わってくる哀愁を受け流しながら、ニアンの質問に答えることにした。
「いえ、詳しくはないです。
魔族領に王はいるけど領民は皆平等だと聞いたことがあるだけで。すみません」
「そうか。いや、謝らないでくれ。
魔族領については色々と謎すぎるから、ちょっとでも情報があれば嬉しいと思っただけだ」
(ニアンさん、実は目の前に全部知っている人がいるんだけど……なんかごめんなさい)
「ナナの国については後で詳しく聞かせてくれ。帰る方法を探すためにも必要だからな。
あと……俺は貴族とはいっても下っ端だし、冒険者だから……できれば、その、歳は違うが、友人と同じように話してくれると、嬉しい」
はにかんだような苦笑を浮かべてニアンは言った。
ナナはここまで、ニアンに対して丁寧語で話していた。
一目で年上だと分かったし、自分を助けてくれる相手に感謝の念を抱いていたからだ。
(あ……もしかして壁を作ってるみたいに思わせちゃった⁉)
色々と理由を付けてはいるが、ニアンはナナとの間に心の距離を感じてしまったのだろう。
自分の言葉遣いのせいでそう思わせてしまったと気付いたナナは慌てて話し方を修正する。
「えっと! すみませ……あ、ありがとう、ニアンさ……ニアン」
「ああ、ありがとう。よろしくな、ナナ」
「うん!」
照れながら小さな声で言うナナ。
その様子に目を細めるニアン。
なんとも初々しく、採れ始めの柑橘類のように甘酸っぱい光景だ。
非常に微笑ましい光景だが、一方でそれを看過できないアイマーという魔王代理がこの場にはいた。
アイマーは愛娘の幸せを願う親心と、どこの馬の骨ともわからない男に娘をやってたまるかという感情のせめぎあいに、頭部だけで器用に悶えていた。
父親宣言した初日からこれでは、先が思いやられるというものである。
アイマーの葛藤をよそに、ニアンは何か言いたそうに口を開いたり閉じたりしていた。
視線はバケツをチラチラ見ている。
ナナはニアンの視線に気づいた。
だが戦々恐々としながらも、気づかない振りをしてスキル【伝心】による緊急作戦会議を開催する。
『こ、これはもしかして、バケツのことを訊かれちゃう?』
そして互いの情報を交換し合う。
「まずは自己紹介しようか。俺はニアン、ニアン・ディギルという。ニアンと呼んでくれ。
今は城塞都市アバトを拠点に冒険者をやっている。ランクはA。歳は18だ」
「ニアンさん、ですね。私はナナといいます。
12歳の中学……いえ、学生……です。よろしくお願いします」
「そうか、ナナか。いい名前だな。家名はあるのか?」
ナナの名前を褒め、そして苗字の有無を確認するニアン。
スキル【鑑定】によって、ナナに苗字があることを知っているニアンだが、身分を把握するためにあえて質問した。
爵位を持つ当主本人であれば、称号欄にそれが記載される。
しかしその子女の場合、ステータスで身分はわからないのだ。
身分差は重要な問題である。
ニアンは貴族だが身分差を気にする性格ではない。
だがルビウス王国において貴族同士の上下関係は厳格であり、平民は貴族から無礼打ちされても文句が言えない。
選民思想に染まったやっかいな貴族もいるのだ。
ナナの身分次第で守り方が変わるとニアンは考えていた。
『アバトということはルビウス王国の人間か。あの国で家名持ちということはこやつ、貴族だな。
まああまり心配は無いようだが』
『え? 家名があると貴族なの?
でも魔王は家名を名乗ってなかったよね? 言わなかっただけってこと?』
『いや、我に家名は無い。
魔族領では貴族制をとっておらんからな。家名を名乗るかどうかは自由だ。
それに魔族は寿命が長い。
家系よりも独立した個としての振る舞いの方が、社会の中では重要視されておるのだ。
であるからして、家名を持たない者の方が多い。
まあそのあたりは国によって制度が異なる。
お主の世界ではどうだったのだ?』
『地球でも昔はそういう身分制度があったみたい。
今は……他の国がどうなのか全部知っているわけじゃないけど、少なくとも日本はみんな家名を持っていたし、身分も平等だったよ。
……まあ、貧富の差は激しかったけどね』
この世界のことを知らないナナをフォローするアイマー。
それに対してナナは、地球や日本の状況を知っている範囲で答える。
最後の言葉から察するに、いくらいいことに目を向けるナナでも、自分たち兄妹が置かれていた状況に対する、国としてのサポートが薄かったことに対して思うところはあったようだ。
なお、これらのやり取りはスキル【伝心】にて瞬時に行われるため、ニアンとナナの会話に遅滞はない。
(国によって身分と家名の関係が違うなら……正直に言えばいいよね)
「家名あります。カンザキといいます。神崎奈梛です。
あ、ここではナナ・カンザキって言うのが正しいのでしょうか?」
「ああ、そうだな、ここらでは名前を先に言う決まりだ。
だがそうか、家名を持つということは、ナナは貴族なのか?」
「いえ、私の国では身分制はずいぶん昔に廃止されていまして、今は誰もが平等な身分で、すべての人が家名を持っています。
……えーっと、貴族制をとっていないという意味では、魔族領に近いのかもしれません」
「皆が平等⁉ それは……いやそれよりナナ、君は魔族領の情勢に詳しいのか?」
ナナは正直に名乗り、貴族ではないこと、そもそも住んでいた国に貴族という身分が存在しなかったことを説明した。
ついでにアイマーから聞いた魔族領の情報も付け加えたところ、ニアンはそちらの方に食いついた。
『あれ? 魔王、隣の国なのにそんなことも知られてないの?
魔王はルビウス王国のこと知ってるのに』
『あー。実はな、魔族領と他国はここ数百年ほど交流が無い。
我々は世界各地に間者を忍び込ませて情報収集にあたっておるが、逆は無いようだ』
『ええっ⁉ じゃあ魔族領の情報を私が知ってるみたいに言っちゃったのは……』
『……あまり詳しいと思われるのは避けて、そう聞いたことがある、という程度にしておくがよい。
魔族は恐れられておるようだし、ルビウス王国以外は接している国も無いからのう。
たかが数百年とは言え、人族の寿命を考慮すれば、はるか昔から禁忌の地とされているということになる。
古い伝承として残っている以外に、詳しい情報も知られてはおるまい。
まあ我らとしては、手土産でも持って挨拶に来たら歓迎しようとは思っておったのだがな』
『なるほどね、わかった』
ナナはアイマーから魔族領と世界各国の関係をざっくりと教わった。
どうやら魔族が治める地域には他国から禁忌の地とされており、一切の国交が無いようだ。
だが一方で魔族は世界各地に諜報の根を巡らせているようだ。
(そう聞くと、魔族ってけっこう危ない存在なんじゃないかな。すごく悪の組織っぽい。
私、その組織の一番偉い人をバケツ内飼育しちゃってるけど……もしかしてバレたら追手がかかたりするのかなぁ)
『魔王、もしかしてあなた、捜索されてたりする? 怖い人が追いかけてきたりしない?』
『ふむ……いや、しばらくは誰も気づかんのではないか?
我の決済が必要な事など、次期魔王の選出ぐらいだからな。
我も1カ月ほど誰にも会っておらんかったし』
『え……魔王って、一番偉い人じゃないの?』
『やかましいわ。我がおらずとも正常に統治できるよう、領民と制度を整えたのだ。
非常に先進的で透明性の高い政治が民主導で行われておる。
世界に誇る素晴らしい体制であるぞ。我はもはや、君臨するのみよ!』
(すごい……けど、放置はされてたんだよね。言葉とは裏腹に寂しいって伝わってくるよ、【伝心】で)
ナナはアイマーから伝わってくる哀愁を受け流しながら、ニアンの質問に答えることにした。
「いえ、詳しくはないです。
魔族領に王はいるけど領民は皆平等だと聞いたことがあるだけで。すみません」
「そうか。いや、謝らないでくれ。
魔族領については色々と謎すぎるから、ちょっとでも情報があれば嬉しいと思っただけだ」
(ニアンさん、実は目の前に全部知っている人がいるんだけど……なんかごめんなさい)
「ナナの国については後で詳しく聞かせてくれ。帰る方法を探すためにも必要だからな。
あと……俺は貴族とはいっても下っ端だし、冒険者だから……できれば、その、歳は違うが、友人と同じように話してくれると、嬉しい」
はにかんだような苦笑を浮かべてニアンは言った。
ナナはここまで、ニアンに対して丁寧語で話していた。
一目で年上だと分かったし、自分を助けてくれる相手に感謝の念を抱いていたからだ。
(あ……もしかして壁を作ってるみたいに思わせちゃった⁉)
色々と理由を付けてはいるが、ニアンはナナとの間に心の距離を感じてしまったのだろう。
自分の言葉遣いのせいでそう思わせてしまったと気付いたナナは慌てて話し方を修正する。
「えっと! すみませ……あ、ありがとう、ニアンさ……ニアン」
「ああ、ありがとう。よろしくな、ナナ」
「うん!」
照れながら小さな声で言うナナ。
その様子に目を細めるニアン。
なんとも初々しく、採れ始めの柑橘類のように甘酸っぱい光景だ。
非常に微笑ましい光景だが、一方でそれを看過できないアイマーという魔王代理がこの場にはいた。
アイマーは愛娘の幸せを願う親心と、どこの馬の骨ともわからない男に娘をやってたまるかという感情のせめぎあいに、頭部だけで器用に悶えていた。
父親宣言した初日からこれでは、先が思いやられるというものである。
アイマーの葛藤をよそに、ニアンは何か言いたそうに口を開いたり閉じたりしていた。
視線はバケツをチラチラ見ている。
ナナはニアンの視線に気づいた。
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