『バケツ姫と魔王の異世界伝説』 - これは 願いを込めた 罪滅ぼし -

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第3章 異世界就職

ステータスの異常①

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「ナナさん……あなたが冒険者として登録するのは、危険を伴います」

「えっ?」

シイナからの思いがけない言葉に、ナナは目を見開いて硬直した。

ニアンが支部長に連れられて報告に向かった後、ナナは冒険者ギルドの応接室に案内され、甘味が濃縮されたドライフルーツと香り高い紅茶と頂きながら、魔道具によるステータスの確認を受けていた。
シイナの操作によって、林檎サイズの水晶玉の中にナナのステータスが浮かび上がっている。


◆名前:ナナ・カンザキ ◆種族:人族 ◆性別:女
◆年齢:12歳 ◆職業:無職
◆状態:衰弱(極)
◆レベル:7
◆HP:132/132 ◆MP:207/207
◆筋力:24 ◆敏捷力:70 ◆器用さ:31
◆知力:141 ◆魔力効率:23
◆運:932
◆スキル:気配操作、伝心、気配探知
◆称号:来訪者、適合者、バケツ姫


『ねえ魔王、私が【解析】した時より、表示されてる情報が少ないけど、そのせいで危険だって言われてるのかな?』

『魔道具での鑑定は、読み取れる情報が操作した者のレベルに依存する。
だから一部しか表示されておらんのだろうが……それと登録が危険と言うことには関連は無いのではないか?』

『そっか、そうだよね』

ナナとアイマーはシイナに言われたことの意味を考えたが、その答えに辿り着くことはできなかった。
シイナは再度ステータスを確認し、ナナに問いかける。

「私はこれほどまでに高い能力値を見たことがありません。
ナナさんはこれまで、周囲に比べて力が強かったり、速く動けたりという経験はありますか?」

「いえ、運動は得意な方だし、体力にも自信はありますけど……周りの子たちとそんなに変わらなかったと思います」

シイナに問われて、ナナは日本での生活を思い返してみた。
たしかに運動は得意だった。
イメージ通りに身体を動かすことが得意だったので、球技も陸上競技も水泳も、苦労せずに上位の成績を修めることができた。
だがその程度であり、選手として大会に出場する、といったような目立った活躍をした覚えはない。
そこでナナは思いついた。

「そういえばレベルが7になったのは一昨日の事です。
それまではレベル1だったので、レベルが上がったから強くなった……ということではないんですか?」

そうなのだ。そもそも地球にはステータスやレベルという概念は無い。
物語やゲームの中には登場したが、それはあくまでフィクションである。
現実世界にそんなシステムは存在していなかった。

だが、シイナは難しい顔をしたまま答える。

「いえ、ナナさんのレベルは12歳にしては決して高くありません。
むしろ一昨日までレベル1だったというのは驚きです。
普通に生活して食事をとるだけでも、少しずつレベルは上がりますので……。
それよりも、レベル7の人族で、筋力が24に敏捷力が70……これは同じレベルの人族の平均値と比較すると、筋力は4倍、敏捷力は10倍に相当します。
もちろん個人差はありますが、鬼才と名高いあのニアンさんですら可愛く思えてくるほどの、異常な値です」

実は、シイナに限らず一般的に知られていないことだが、ステータス上に表示されるパラメータは、実際の筋力値や魔力値のことを指しているわけではない。
個人の能力値は、その者の物理的な身体や魔力回路が有する能力に対して、魂が放射するエネルギーによる補正がかかった値となる。

そのため、元々頑強な筋肉を持つ獣人は体術に関するパラメータが高く、身体をめぐる魔力回路が優れるエルフは魔法に関するパラメータが高い。

そしてレベルを上げると、もちろん身体の筋力増加や魔力回路の効率向上などの要素もあるが、何より魂のエネルギー放射による補正が強まる。
その理由は、魂のエネルギー総量の増加であったり、補正効率の向上であったりと個人差が大きい。
だがいずれにしても結果として、高レベル者は物理的には説明がつかないような力を発揮することが可能となる。

(……え、そうなの? もしかして私が地球人だから、この世界の人と違うのかな……)

ナナは驚くが、どうもそのことと冒険者登録に関係があるように思えなかったので、質問する。

「そ、そうなんですか。すみません、突然のことでどうすればいいかわからないんですけど……ステータスの数値が高いということと、冒険者登録すると危険ということは関係あるんですか?」

ナナは最初にシイナに言われたことが気になっていた。

ナナの目的は地球の兄の元に帰還することだ。
そのためには、何らかの方法で転移する必要がある。
ナナ自身が時空間転移というスキルを保有しているが、今は使用できない状況のようで、意識しても発動はしなかった。

そこでアイマーやニアンと相談した結果、ルビウス王国の王立図書館にて転移に関する情報を調べることにした。
アイマーによると、魔族領には身体ごと別の時空間に転移する手段についての情報は無いらしい。
一方ニアンによるとルビウス王国の王立図書館には古代文明期の蔵書もあるようなので、転移について何か情報を得られる可能性があったのだ。

しかし王立図書館は上位貴族専用なため、ナナが入館許可を得るためには特殊な手段を用いる必要があった。
それが、冒険者ギルドに所属して目覚ましい功績をあげて、特別褒章を賜るというものである。

つまり、ナナの目的に近づくためには、冒険者登録は必須なのだ。
ステータスの数値が高いことは有利に働くことこそあれど、それが理由で冒険者登録が危険になるというのは、納得できるものではない。

「あ、いえ、ナナさんが何か悪いということではありません。
ステータスが全部見えない点についても、これは操作した私のレベルが足りないことが原因なので、よくあることです。
このままでも冒険者登録は可能です。ただ……」

そこで言葉を区切ったシイナは、紅茶をひと口すすり、気持ちを落ち着けるように息を吐いた。

「もしこのまま冒険者登録すると、今見えているナナさんのステータスは冒険者ギルドのデータベースに登録されます。
そして同時に、世界各地のギルド支部はもちろん、ギルドと提携している各国の政府にも自動的に情報共有されます。
これによって冒険者の身分が保証され、各国の出入りも自由となる仕組みです」

「なるほど、いい仕組みだと思いますけど……それが何か、問題あるんですか?」

『……そう言うことか。ナナよ、これはおそらくお主のための忠告のようだ』

シイナの話を聞いて、アイマーが気づいた。
シイナが懸念しているのは、世界各地にナナのステータス情報が共有されることで、その希少性故にトラブルに巻き込まれる可能性が高いということなのではないか、と。

「はい。絶対とは言いませんが、権力者から望まぬ接触を受ける可能性があります。
想定できる最悪なパターンだと、さらわれて従属の魔道具で強制的に支配され、権力者の手駒として死ぬまで酷使されるというものです。
それに、先ほども言いましたが、ナナさんほど容姿が優れていて、さらに髪や瞳の色が特徴的ともなると……はっきり言って危険です」

「えぇ⁉ そんな‼」

シイナからの突然の宣告に、ナナは背筋が凍り付くのを感じた。

≪――コンコン≫

その時、ドアをノックする音と共に、男性の声が聞こえて来た。

「ニアンだ。今報告を終えて来た。ナナがこの部屋に居ると聞いたが、入ってもいいか?」

ニアンだった。
その声を聞いたナナの表情が、ほっとしたように少し和らぐ。
その表情の変化をシイナは見逃さなかった。

(ナナさんはニアンさんを信頼しているのですね)

シイナはちょうどいいとばかりに、ニアンに了承の旨を告げる。

「はい、どうぞ。お待ちしておりました」

シイナの言葉を聞いてから、少し疲れた様子のニアンが入室し、ナナの隣に腰かけた。
シイナは立ち上がってニアンの分の飲み物を用意する。

シイナが再び座ったところで、ニアンが言葉を発した。

「すまない、何か話していたところかな。中断させてしまったようだ」

ニアンは2人の様子を伺う。
シイナはどことなく深刻な表情をしていて、ナナは顔色が優れない。

(これは……何かあったか?)

ニアンの問いかけに、シイナが答えた。

「いえ、ちょうどニアンさんの意見も伺いたいと考えていました。
まずはこちらをご覧ください。ナナさんのステータスです」

言われてニアンは水晶玉を覗き込む。
そこにはニアンが知っているより若干少ない情報が表示されていた。

「ああ、やはり能力値が高いな。とくに敏捷力は突出している」

「ええ、私もそう思います。
ニアンさんのステータスもかなり高いですが、ナナさんのこの値は、才能という言葉で片付けられる範囲を逸脱しています」

ニアンの率直な感想に、シイナは真剣な眼差しで答えた。
そんなシイナと、隣で不安そうにしているナナの様子を確認したニアンは、シイナに向かって少し表情を緩める。

「そうだな。……ということはつまり、シイナはナナのことを案じてくれたのか?」

「はい、良からぬ介入の危険性が高いと考えました。
そこで、冒険者として登録することで、この情報をデータベースに登録してしまってよいのかどうか、判断を迷っていたところです。
ニアンさんはどう思われますか?」

ニアンの問いに、シイナは眉間にしわを寄せながら答えた。
そしてニアンの判断を仰ぐ。

「ありがとう、やっぱりシイナにナナを任せて正解だった」

ニアンはシイナの真摯な姿勢に感謝を述べた。
その言葉にシイナは微笑を返す。

実は、ニアンが冒険者登録をした時の受付嬢もシイナだった。
冒険者側の立場で色々と世話を焼いてくれる彼女のアドバイスに、ニアンは何度も助けられている。

(そういえば、10年前からシイナって全然変わらないよな。一体何歳……)

そう思考を巡らせた瞬間、ニアンに微笑むシイナの瞳から絶対零度の殺気が放たれた……ような気がしたニアンは、慌てて話を続ける。

「だ、だけどな、冒険者登録をしない方が安全かというと、そう変わらないと思うんだ。
すでに裏組織の手が回っている可能性もあるからな。
それよりも、冒険者としてパーティを組んで、ナナが俺の庇護下にあるということを喧伝した方が、奴らも手を出しにくくなるはずだ。
もちろん、情けない話だがAランクの俺の名だけじゃ抑止力としては不足だ。
でもまあ、俺の後ろには世界最凶の悪魔、兄さんがいるからな」

ニアンの話を聞いたシイナが首肯する。

(一瞬不埒な思考が漏れた気がしましたが……ふふっ、やはりニアンさんも、ナナさんを大切に想っているのですね。
であれば――)

「なるほど。たしかに、ニアンさんがおっしゃる通りですね。
ナナさんが安全に過ごすには、ナナさんがニアンさんにとって極めて大切な想い人である、という事実を広めるのが、最良のようです」

(ふぁ、大切、わたしが、想い人、にあんの、ふぁああ)

ここでナナの脳が爆発し、セーフモードに入ったことで処理能力が低下した。

「あ、ああ、その、つまり……アレだ。……ナナは、俺が守るということだ。
よし、そのためにも俺は、明日兄さんからSランクの昇格試験を受けるぞ!」

ニアンの意見にシイナが納得し、当たり前のように際どい発言を繰り出す。
それによって一気にしどろもどろになったニアンだったが、ナナを守るために覚悟を決め、拳をグッと握りしめてポーズを取り、ついさっき確定してしまった重要情報を暴露した。

「S級ランク昇格試験……ギルマスが直接⁉
それって、世界最凶の悪魔と本気で戦うということではないですか⁉」

ニアンの発言に、今度はシイナが驚いた。
そのあまりの驚きように、ナナの脳が再起動に成功する。
そして、一連の会話の中に潜んでいた不穏な部分に気付く。

「あ、あのぉ……そのお話の流れだと、ギルマスさんは世界中で恐れられている悪魔、というように聞こえるのですが……」

ナナの指摘に、シイナは苦笑いしながら答える。

「はい、その認識で間違いありません」

「そうだな、その通りだ」

シイナとニアンが同様に肯定した。

「えぇーっと、ギルマスさんってニアンの師匠なんですよね? そんなに怖い人なんですか?」

シイナとニアンは顔を見合わせる。そしてシイナが口を開いた。

「ええ、とても恐ろしいお方です。
あまり気持ちのいい話ではないですが、こうなった以上、ナナさんは知っておいた方が良いでしょう。
少し長くなりますが、よろしいでしょうか?」

「……はい、お願いします」

シイナの前置きに、ナナは緊張しながら首肯した。
それを受けてシイナが語り出す。

それは今のルビウス国王、アルバートが即位する数年前の出来事。
一部の有力貴族が結託し、政権簒奪を企てた。
その内容は、アルバートを亡き者にして幼い弟を傀儡として立て、裏から国を乗っ取るというものだった。

当時のアルバートは今のニアンのようにギルマスの弟子として日々ボコボ……鍛えられており、そのおかげか暗殺者に襲わるもなんとか命はとりとめた。

だが、愛弟子のアルバートが襲われたことを知ったギルマスが激怒し、後に『ルビウスの赤い悪夢』と呼ばれる事件を引き起こした。

詳しい経緯は省くが、結果として謀反の首謀者たちは一人も余さずギルマスによって捕縛された。
その中には当時最強と恐れられ、懸賞金をかけられていた暗殺者も含まれていた。

そして彼らは……公衆の面前で裸に剝かれ、生きたまま為す術もなくその肉体を徐々に削り取られる責めを受け、苦しみぬいた上で処刑された。

さらに、その血にまみれた赤い悪夢のような光景は、全世界で普及している【罪マシ】のカード面に浮かび上がり、世界中に届けられた。
世界中が悪夢のような光景に戦慄する中、その映像の最後にギルマスが登場し、名乗った。
そして彼は貴族たちが処刑された経緯と、『俺の関係者に手を出した奴は必ず見つけ出して殺す』というメッセージを呪いのように世界中に振り撒いたのだ。

当時すでに最強のSSランク冒険者であったギルマスの実力を疑う者はおらず、彼の名は世界最凶の悪魔として、全ての人々の脳裏に深く刻み込まれた。

そして今では誰もが彼の名を直接呼ぶことを恐れ、『ギルマス』と呼ぶようになった、というところでシイナの話は終わった。

「…………」

ナナは絶句した。

(つまり、その世界最凶の悪魔さんが、ニアンの師匠、なんだよね?
今、この建物にいるんだよね? え? それって、怖くない?)

青ざめたナナの表情を見て、シイナは続ける。

「こういうとすごく怖い人のように聞こえるでしょうが、ギルマスはとても優しいお方です。
彼の縁者に対して不義理を働く者は許さない、というだけの話なのです。
つまり、ギルマスの弟子であるニアンさんがナナさんを大切にしているということが広まれば、ナナさんに手を出すなどという愚かな行為をする物は減るでしょう」

「ああ、そうだな。じゃあ登録を進めてくれ。それと、マイアを呼んでもらってもいいか?」

「はい、では少々お待ちくださいね」

そう言ってシイナは席を立ち、一度退室した。

(それって、愛弟子のニアンに変な虫……つまり私が付いてたら怒られるんじゃないの?)

ナナはそこはかとなく不安になったのだった。
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