元々すごい私に異世界転生で強くてニューゲームなんて必要ない

私は異世界転生などしない

今、少しでも売れる小説になるためには私が死んで異世界転生をしなくてはならない。
でも私には多分それが出来ない。


天川凛音。20歳。私は売れない小説家が書く異世界転生モノの主人公に抜擢された。
つまり異世界転生するのは私。
死ぬのは私。
しかし私は異世界転生するような死に方は出来ないのである。

私は今年に入ってから幾度となく『死んだら異世界転生出来そうな目』にあってきた。
ただ、その度になんやかんやで助かり、今を生きている。
ありえないほどに運がいい。
いや、九死に一生を得る能力が高すぎるのだ。
それに自分で言うのはと思いもするが、私は自他ともに認める完璧人間である。
勉強、運動はもちろん。料理、人間関係、その他諸々全てにおいて非の打ち所はない。
そんな私にとって強くてニューゲームなどというものは全く必要のない要素であって、この人選ミスは作者が売れない理由にもなりえるだろう。
私に今以上の強さなんていらない。
だってもう強いのだから。

私は確信している。
『私は異世界転生などしない』
と。