転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第8章 魔海の大行進編

第8章ー20

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 「お疲れ様ですグリムフィッシャー様。お見事な演説でした」

 集会を終え、魔海の大行進への準備を進めている中、部下はグリムフィッシャーに労いの言葉を掛ける。

 「ふん。馬鹿者め。あれだけの大歓声を聞けば私でも気づくわ」

 部下の発言にグリムフィッシャーは皮肉交じりに返す。しかし、奴の顔は満更でもなさそうにしていた。

 「では、予定通り皆の準備が出来次第出陣、という事で宜しいのですよね?」

 「ああ。そっちは大丈夫なんだろうな?」

 「勿論。手筈は整っております」

 「そうか。ならいい」

 グリムフィッシャーは部下と二人で作戦の確認を取り合う。どうやら部下は前もって準備を整えていたようだ。

 「…いよいよ我々魚人が地上を制する時が来たのですね?」

 そんな部下は意味ありげな言葉を吐く。それに対してグリムフィッシャーはニヤリと笑って答える。

 「ああ。海は全ての生物の母。つまり、海に暮らす我々は生物界の頂点に立つ者。愚かな地上の生物達にそれを思い知らせてやるのだ! ふははははは!!」

 饒舌になるあまり、不気味な笑いが込み上げるグリムフィッシャー。魚人の目的は地上を制服し、自らが全ての生物に於いて頂点に立つ者だと証明する事のようだ。

 「あの忌々しい勇者さえ居なければ十年前にはとうに果たせていた。だが、その勇者も姿をくらまし、消息不明だと言う。これは絶好の好機。あの時の傷もかなり癒えてきた。そしてなにより、私はようやく『あの技』を習得したのだ。今の私なら勇者にも負けはしないだろう。なら、今度こそ確実に達成出来る。いや、必ずや成し遂げてみせる!」

 徐々に興奮を抑えきれなくなったグリムフィッシャーは地上を見上げながら勝利を確信する。奴にとって地上を支配するにはこれ以上ないチャンスであった。

 「見ていてください魔王様。このグリムフィッシャー、見事地上を支配し、貴方様の理想の世界の礎を築いて見せましょうぞ!!」

 声高らかに話すグリムフィッシャーの目的は生物界最強を証明するだけではなく、尊敬する魔王に貢献するという意味でもあったようだ。


























 「待っていろ人間ども! 『十死怪』にまで登り詰めたこの私の恐ろしさをとくと味合わせてやる!!ふはははははははははは!!!」



















 十死怪を名乗る魚人、グリムフィッシャー。奴が企てた魔海の大行進。魔物達の恐ろしい計画が水面下で進行しようとしている事をサダメ達はまだ知る由もなかった。

 魔海の大行進が始まるまで、残り十五時間。
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